医療・介護を支える継続企業の知恵袋

毎日ブログを書き続け10年が過ぎました。2025年、2042年に向けた医療介護の厳しい時代を乗り切る策を考えます。

かけがえのない命

2023-09-27 03:39:17 | 薬局
限られたパイの奪い合いの勝者は誰になる。

アルツハイマー病の新しい治療薬「レカネマブ(商品名レケンビ)」の国内での製造販売が25日に承認された。
これにより薬価は原則60日以内、遅くとも90日以内に決まる見込みだそうだ。
因みに米国では年間26,500ドル(約390万円)に設定されている。
対象者は認知症の症状が出始めた初期段階や、認知症に移行する軽度認知障害(MCI)の患者となる。
微妙に出始めや移行する状態などは難しい診断である。
2020年段階で認知症の患者は約600万人いると言われており、2060年には1,150万人になるとの予測がある。
飛んでもない市場になる可能性がある。

高額医薬品はこれだけではない。
2022年度のレセプトから見ていくと1カ月の医療費の最高額は1億7,784万円だそうだ。
上位100件のうち1億円を超えたのは9件もある。
脊髄性筋委縮症で1患者当りの薬価が約1億6,708万円の「ゾルゲンスマ点滴静注」による。
つい最近までは血友病が上位を占めていたが、新薬の開発によって大幅に上位構成が変わっている。
1患者当り約3,000万円を超える高額医薬品(キムリア点滴静注、ブレヤンジ静注、イエスカルタ点滴静注)が薬価収載されている。
これらの高額医薬品の薬価収載により1,000万円を超えるレセプト件数は大幅に伸びている。
2014年に300件だったのが2022年には1,792件と6倍近い伸びを示している。

医療費は必然的に伸びる構造になっている。
高齢者の増加、医療技術の進歩、高額医薬品の開発など、どれをとっても人の命には代えられない。
医薬品だけを見ても限られたパイが高額医薬品で凌駕されつつある。
発症率の低い疾患に限定された高額医薬品ならある程度の限度がある。
ところが今回承認されたアルツハイマー治療薬は患者数が超高齢化と共に増え続ける。
そうなると奪われるパイが犠牲になる。
表現が悪いが、命にかかわる高額医薬品の薬価収載は、軽度な医療の自助で賄うしかない。
それは薬価の引き下げなのか、それとも薬価から外されるのか。
薬価の引き下げは既に物流に弊害が出始めている。
そうなると薬価からの除外となる可能性がある。
ひょっとしてスイッチOTC化が進むのだろうか。
厚生労働省の役人が薬局に一般用医薬品の販売を進めているような気がする。

本日は中医協の開催がある。
現時点では議題はこれからである。
薬局関係が出るのか、出ないのか。

何が起きるかわからない世の中である。
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2 コメント

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Unknown (東大一直線)
2023-09-27 13:11:23
高額医薬品が多いですけど、近未来逆ザヤにならんか心配です、残薬に一錠二万、三万が残るのもザラなので厳しいですよねぇ。小さな薬局…
大手の薬局に行ってもらいたいのが正直なところです。
皆保険も限界。
ひぃ~ (駒形SAN)
2023-09-28 03:18:57
逆ザヤにはならないと思います。
物流コストと保管料などを考えてもらわないと、扱う医薬品卸も医療機関や薬局も困ります。
仕入れの工夫が大事になりますよね。
麻薬はギリですね。
悲鳴が大きくなると何とかなるんじゃないですか。

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