医療・介護を支える継続企業の知恵袋

毎日ブログを書き続け10年が過ぎました。2025年、2042年に向けた医療介護の厳しい時代を乗り切る策を考えます。

凸と凹の奪い合い

2024-05-14 04:59:55 | 薬局
忍び寄る”忘却の彼方”への誘惑。

厚生労働省が認知症に関する調査・推計を公表している。
それによると2022年時点での65歳以上の認知症は443万人(12.3%)で、軽度認知障害(MCI)の人は558万人(15.5%)だった。
それが25年には認知症が471万人(12.9%)、40年には584万人(14.9%)、60年には645万人(17.7%)に増加するとされている。
2060年では認知症が17.7%、MCIが17.4%の合計35.1%に何らかの認知機能障害が認められることになる。
これは65歳以上の3人に1人の計算である。

2060年とは36年先なので私が心配する問題じゃなかった。
今は気にもならないかもしれない30歳以上の人が抱える大きな問題となる。
他人ごとではない。
頭の体操でもした方がよさそうだ。

今年1月から「認知症基本法」が施行されている。
そんなことを知っている人などほとんどいない。
将来に向けた大きな問題にもかかわらず、国はこれと言った見える施策を打ち出してはいない。
認知症を抱える家族にとって介護保険は頼りになる存在である。
自宅での介護では介護サービス抜きでは対応できない。
さらに家族のレスパイトケアも必要になる。
施設での対応となるとグループホームになる。
介護財源の関係からなのか新設がなかなか認められない。
認められたとしても介護要員の手配が付かないのが現実じゃないだろうか。
これらを支える介護保険は既に11兆円を超えて果てしなく増加傾向にある。

認知症に関する薬があるが「効く」とは言っていないようだ。
「進行抑制」らしい。
その効果が実感できるのだろうか。
それだけ難しい治療のようだ。
しかもバカ高い。

気になるのは介護保険も社会保の一環である。
限られたパイの中で急速に増加せざるを得ない部分へは必然的に財源が移行する。
どこかが凹で、どこかが凸になる。
もちろん医療費の中でも同じことが言える。
”大きなリスクは共助、小さなリスクは自助“が原理原則である。
医療費の中で命にかかわる部分には保険が必要になる。
2022年度における1か月当たり医療費が1,000万円以上となった高額レセプトは1,792件もあったそうだ。
直接、命にかかわらなければ報酬の引き下げや保険からの給付が無くなる。
そう言えば調剤報酬にも引き下げや保険から一部自己負担って言うのがあったような気がする。

そろそろそんな現実にも目を向けた方がいいのではないだろうか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする