医療・介護を支える継続企業の知恵袋

毎日ブログを書き続け10年が過ぎました。2025年、2042年に向けた医療介護の厳しい時代を乗り切る策を考えます。

Noと言える日本

2024-05-15 05:43:41 | 薬局
“ノーと言える卸”がやっと出てきた。

利益が出なくても売るのは商売ではない。
商売とは相手のニーズに対応した利益を獲得できる仕組みだと思う。

医薬品の「価格代行・共同仕入れ」を手掛ける会社に、ある医薬品卸が勇気ある選択をした。
薬価が改定になる3月末を持って取引契約を打ち切ったそうだ。
利益の産まない仕事からの脱却である。
売上は大幅に下がるかもしれないが、既存の売上からの利益の損出が無くなる。
この傾向は他の医薬品卸でも見られる。
さすがに1%に満たない経常利益しか出ていない医薬品卸が重い腰を上げだしたとみるべきじゃないだろうか。

医薬品卸が危惧しているのは利益だけではない。
実は、債権管理が大きな課題となっている。
医薬分業の流れに乗って、今までは“順風満帆”だった薬局業界ではあったが、ここ数年は大きな逆風に見舞われている。
1つは医療費抑制のターゲットになっていることだ。
調剤報酬の医療への貢献度が問われている。
そこに出てくるのが”対物業務から対人業務へ”である。
服薬指導重視が調剤報酬の主たる方向性になる。

もう1つがドラッグストアの容赦ない処方箋獲得である。
これに貢献しているのが「調剤ポイント」かもしれない。
”5のつく日は5ポイント”などと言われると、すべてに5ポイントだと勘違いが生じる。
さらに、ドラッグストアのポイントは1%だとしても、支払いによるポイントは別もの扱いになる。
PayPayなどの支払いに付与されるポイントを規制することはできない。
さらに“Vポイント”も追加されると3つのポイントがもらえる。

時代の変化を見失っている薬局は知らず知らずのうちに”茹でかえる”になっている。
情報量があまりにも無さ過ぎる。
薬局経営に油断があり過ぎる。
ある日、突然、キャッシュフローの悪化が襲い掛かる。
それに医薬品卸は細心の注意を払っている。
危ない取引先には高い価格で売らなくしている。
ところが「価格代行・共同仕入れ」が絡むと、売りたくない取引先にも安い価格での提供となる。

医薬品流通改善などの検討会でも「価格代行・共同仕入れ」は問題として上がっている。
もし自前で価格交渉するとなった時に、対応できるだけの力が残っているだろうか。
”廃用性症候群”に陥っていないだろうか。
価格交渉のノウハウが古びて使えなくなっていることが恐ろしい。

その時は“言いなり“になるのかもしれない。
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