花ごよみ

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坂の途中の家  角田光代

2017-01-05 | 本 か行(作家)

坂の途中の家

裁判員裁判の通知が届いたところから
日々の暮らしに変化がもたらされていく。

みんなが同じ所で、
同時に話を聞いていても
心の持ち方によって、
それぞれが違う思いを持ってしまう。

裁判員に選ばれた主人公の里沙子は
被告となった女性に対し
自分を重ね合わして行く。


自分と被告の境目が見えなくなって
恐怖感を感じるようになってしまいます。

自分は本当に我が子を愛していたのか
自分に自信が持てず
心に猜疑心を抱えてしまいます。

審理に加わることがなかったなら
気づかなかった私ではない私。

蓋をしていた心の闇が
裁判員になったのを機会に
開き放たれてしまいます。

気分が落ち込んでいくような
重い物語でした。

ネガティブな方向にどんどん突き進んで行き
心に不安感が満ちてくる様子が
うまく描かれています。




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