坂の途中の家
裁判員裁判の通知が届いたところから
日々の暮らしに変化がもたらされていく。
みんなが同じ所で、
同時に話を聞いていても
心の持ち方によって、
それぞれが違う思いを持ってしまう。
裁判員に選ばれた主人公の里沙子は
被告となった女性に対し
自分を重ね合わして行く。
自分と被告の境目が見えなくなって
恐怖感を感じるようになってしまいます。
自分は本当に我が子を愛していたのか
自分に自信が持てず
心に猜疑心を抱えてしまいます。
審理に加わることがなかったなら
気づかなかった私ではない私。
蓋をしていた心の闇が
裁判員になったのを機会に
開き放たれてしまいます。
気分が落ち込んでいくような
重い物語でした。
ネガティブな方向にどんどん突き進んで行き
心に不安感が満ちてくる様子が
うまく描かれています。
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