主人公は川久保篤という名前の
新任駐在警官。
札幌ではベテラン刑事だったのに
かつての道警不祥事による大異動の結果、
十勝平野にある志茂別という、
田舎の駐在所に、
初めて単身赴任する。
表面的には犯罪など、
起こりえないはずの農村、
でも、川久保はそれが、
間違いであったことを
実感していく。
駐在警官として色々な
障害にあいながらも、
因習にとらわれた、
田舎の濃い人間関係の中に
入っていって事件を、
地道に捜査していく物語です。
「逸脱」
「遺恨」
「割れガラス」
「感知器」
「仮装祭」
5つの短編からなる、
連作小説になっています。
強引な飲酒の強要の後悔から
最初の事件が始まります。
淡々とした静かな、
ストーリーの進行に対し、
解決に至る間際は、
物語の高まりを感じます。
ラストの「仮装祭」、
十三年前の夏祭の夜の、
少女失踪事件は
静かで乾いた語り口から徐々に
不安感が高まる展開になっていき
読み応えのあるものでした。