花ごよみ

映画、本、写真など・

真幸くあらば

2010-01-16 | 映画
監督は御徒町凧。
奥山和由が制作。
小嵐九八郎原作の同名小説の映画化。
森山直太朗が音楽を担当しています。

主人公南木野 淳を久保田将至。
彼を愛し愛される女性、
川原薫、(本では榊原茜)を
尾野真千子が演じます。

尾野真千子はNHKドラマ 外事警察
意志の強そうな横顔が印象に残っています。
その彼女が演じる川原薫を見たくて
映画館に足を運びました。



原作も読んでいます。
本を読んでいる時は、
あまり感じなかったことですが、
婚約者に裏切られた本人が
また夫を裏切ったことになります。

恋のベクトルは自分では制御不能、
思いもよらない方向に行ってしまいます。
人を愛する理由なんてないといいますが、
彼女の心理は不可解、
好きになってしまったのは
どうしようも仕方ないですが…
それにしても、
彼女の夫が可愛そうです。
本よりも、見た目もいい人なので
余計にそう思いました。

一応ハンカチの用意はしていましたが
泣くには至りませんでした。
隣の人は泣いていましたが…。
薫の女心についていけない、
といった感じです。


暗い映画です。
薫のその後は映画では描かれては
いませんがそれはそれでよかったと思います。
余計に暗くなってしまいます。

控訴を取り下げ自ら望んだ死、
絵を描く喜び、、
生きる喜びを得ることができ、
愛されてあの世に…。

でも初めてともいえる愛を得た淳には
命の期限が酷なように思えました。







コメント (4)
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真幸くあらば (小嵐 九八郎)

2010-01-16 | 本 か行(作家)
「真幸くあらば」というタイトルと、
映画化されるということに興味を持ち、
読み始めました。

タイトルの読み方は(まさきくあらば)で、
『いは代の浜松が枝を引き結び
真幸くあらばまた還り見む』
万葉集にある有間皇子が護送の旅で
詠まれたといわれる
歌から引用されています。

主人公は死刑囚の南木野淳と榊原茜。
後には、淳は養母となった、
榊原茜の姓をとって
榊原淳という名に変わります。

自ら延命の道を閉ざし、
悔いあらためる以外に
命を絶たれるに至った、
被害者二人の苦痛を、
共有することは出来ない。
そして、愛し始めた茜と、
心を通わすことはかなわないと悟り
控訴を取り下げる決断をして、
罪の償いを完成しようとする。

宗教画、自画像そして茜を、
ボールペンによってを描くことに、
喜びを見いだす。

茜に心を奪われてからは、
絶命の恐怖にいつもおびえながらも、
真逆の生の喜びを得る。

そして迫り来る、
生命の終わりを前にして、
生きたいと切望する。

外と内での秘密通信を重ねる、
二人の愛の引力の強さが、
描かれていますが、
本を読む限りではあまり心を
動かされるということはなかったです。
映画ではどうかな?

解説によると、
この物語の作者小嵐九八郎氏は
新左翼の元活動家で
投獄の経験があるそうで、
刑務所内の事情に、
精通しているそうです。






コメント (1)
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