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ゴミ収集(2)

 以前ゴミ収集所のことを取り上げたことがある。元の収集所である橋のたもとから5mほど離れた金網にネットを取り付けて、カラスがゴミ袋を荒らさないようにした。ここには橋の手前10軒ほどの家がゴミを出しており、収集所の変更はどの家も了解してくれた。誰もがネットの中にゴミ袋を入れてくれるようになり、カラスの害はさっぱりなくなった。ゴミが散乱して手に負えなかった状態と比べると、清々しささえ感じる情景である。
 しかし、橋より向こう側に住み、本来は違う収集所に持って行かねばならないはずの人が、時々ゴミ袋を置いていく。新しく決められた場所にルールに従ってネットの中に置いていくのなら誰も文句を言うこともないだろう。しかし、その人は以前の収集所であった橋のたもとに、しかも収集日の前夜にゴミを置いていく。一度その人影を見たのだが、その時に注意できなかったのがいけなかった。その後も3、4回と回数は少ないものの、ゴミ袋を以前の場所に人知れず置いていくことが続いた。すると、翌朝には必ずと言っていいほどカラスがそのゴミ袋をあさり、中のゴミが散乱して非常に汚らしい。


 もし、その人が毎朝この場所を通る人なら、アミの中に置かれた多数のゴミ袋を目にしたことがあるはずだから、きっとアミの中に入れてくれるだろう。普段はこの辺りを通行しない人だから、カラスに食い荒らされたゴミ袋を目にすることもなく平気でいられるんだろう。それにしても、こんなことがこれからも続いたら汚らしいし不潔だ。近所の人が散乱したゴミを片付けてくれているようだが、そうした迷惑をかけるのも心苦しい。そこで、一計を案じて、効果があるかどうか不確かではあるが、ダンボールにマジックで注意書きを書いて、雨に濡れても大丈夫なように透明な粘着テープで表面をぐるぐる巻きにしたものを橋の欄干にビニールテープで結び付けてみた。



 夜にゴミ出しをする人なので読みにくいかもしれないが、ちょうどすぐ傍に街灯が立っているので読めなくはない。何とかメッセージが伝わればいいなと思って見守っていたら、1週間ほどはゴミが置いていかれることはなかった。気付いてくれたのかな、と安心していたら、その直後に4つのゴミ袋が置かれていてがっかりした。私が最後の授業を終えてバスで生徒を送っていくときに見つけたから、11時前にゴミを出したのだろう。「注意書きの効果はなかったなあ、他にどうしたらいいのだろう」と思い悩んでいたら、その2・3日後には注意書きを書いたダンボールが傘の先のようなものでいくつも穴があけられているのを発見した。


 これがゴミ出しを注意されたことへの腹いせだとしたら、なんて陰湿ないたずらだろう、と暗澹たる気持ちになった。決められたルールを守っていないことに対して、オブラートに包んだような文言で「お願い」をしただけなのに、こんなやり方で応えたとするなら、その人の心は何と貧しいことだろう。世知辛い都会に比べれば近所づきあいも多いはずのこんな田舎町でもこうした狭量な行為をしてしまう者がいるのだから、本当に住みにくい世の中である。
 
 でも、その後は橋のたもとにゴミは出されていないので、何らかの効果はあったかもしれない、そうだといいんだが・・。
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