むかし、大ベストセラーになった『積み木くずし』の後日談です。
といっても、大昔過ぎて、ご存じないかもしれませんね。
1982年に300万部も売れて、ドラマは視聴率50%を稼ぎました。
高部知子扮する女の子が「あけろ~ぃ!!」と怒鳴りながらドアをどんどんするのを、お母さん役の小川真由美さんが「だめなの、あけられないのよ・・・・」と仮面のような顔でドアの中で泣き崩れるシーン、よくまねして遊んだものです(殴
これがその、大ベストセラーだった、前の本。
その後、何冊か後日談のような本が出て、作者であり父親の穂積隆信さんへのバッシングとかごちゃごちゃあったみたいですけど、そのへんはよく知りません。
(去年『積み木くずし 真相』という題で、テレビドラマになってたのですね~ jesterはテレビ見ないので、全然知りませんでした・・・)
由香里の死そして愛―積木くずし終章穂積 隆信
だからこの本を見たときも「え、あの女の子、死んじゃったの?」という驚きでいっぱいでした。
「積み木くずし」は、非行に悩み、どうにか娘を更生させたいという親が、警視庁の少年相談室の心理鑑別技師の方の指導に従って、愛情を持ち、しかし厳しく接することで、娘を更生させることに成功する(しかかる)という話でした。
この、心理鑑別技師の方の指導である、「いじりすぎない」が、とても意表をついて斬新で、しかも効果がある、というのが斬新だと思いました。
「こどもと話し合ってはいけない」
「シンナーをやっていても怒ってはいけない」
「子供にお金を上げてはいけない」
「門限の夜10時過ぎたら家に入れてはいけない」・・・・
などなど、どれも理由を説明されたらなるほどと思いますが、親ならまず反対のことをしてしまうようなことばかり。
そして確かに、こうした態度が娘を変えていくのでした。
「積み木くずし」ではこの過程が語られてます。
でも「積み木くずし」が300万部も売れたために、せっかく更生しかけていた娘さんはまた道を踏み外し、家族は崩壊していきます・・・・
巨額のお金が入り、教育評論家扱いされ、穂積隆信さんはすっかり舞い上がってしまうのですね・・・
そして、娘さんは35歳で死亡・・・・
その辺がこの本で詳しく語られます。
妻の裏切り、離婚、その妻が自殺、そして娘も・・・・と、つらい人生を送られている著者ですが、ご本人が書かれているのでそれを差し引いて読むと、はっきり言って、かなり自分勝手な夫、表面しか見ない父親だったのだな、と思う部分も多いです。
書かれていることの大半は、後から考えた言い訳のような、反省のような・・・
娘がどうして非行するのか、シンナーや薬をするのか、その根っこの部分を何も分からず、ただ表面に見えるものだけに一喜一憂し、娘の本当の気持ちに気づかない。
娘の必死の再生への努力にもなんら力を貸すこともなく、甘えさせてやることもしないで、ただ「いい子」だけを求め、一人寂しく死なせてしまう・・・・
読んでいて「ああ、これだから・・・」と思ってしまう部分がたくさん。
でもこれを書くのは、身を削るようにつらいだろうと思われ、一部で言われているような単なるお金儲け狙いではないとjester思いました。
自分の娘はこうなってしまったけれど、同じようなことで悩む親、これから子育てをする不安な親に、自分の失敗を赤裸々に語り、考えてもらい、次の世代に生かして欲しい、という願いを感じました。
子育てって、生き物を相手にしているのだから、あとから反省したり言い訳しても手遅れってことがあります。
芽が小さいうちに摘めばたいしたことないのに、面倒くさいとほおっておいて、大変になってからあたふたしたり。
いつもアンテナを伸ばして、想像力や直感をいかし、その時々で、的確に子供の気持ちを汲んであげないといけない・・・・
jesterの子育てはもうほとんど終わりに近づいてますが、いつでも
「一番大事なのは子供が幸せになること」 というのを忘れてはだめなんだな、と再び心に言い聞かせたjesterであります。