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ゆきてかえりしひび――in the JUNeK-yard――

読書、英語、etc. jesterの気ままなおしゃべりです。(映画は「JUNeK-CINEMA」に引っ越しました。)

終わらない夜

2006-11-11 | 読書
カナダの画家、ロブ・ゴンサルヴェスさんの書かれた絵本、「終わらない夜」の不思議な世界にこのところ浸っています。

終わらない夜
終わらない夜

まるでエッシャーのだまし絵のように、リアリティと現実が溶け合い、そのさかいがどこなのか・・・と見ていくと、いつの間にか絵本の中に飛び込んでしまいます。

暗くて静かな夜に、自分の後ろで起こっている光と影の戯れ。

美しくてちょっと怖い、摩訶不思議な光景が次々と繰り広げられて、飽きることがありません。

あまり不思議なので、絵本の中を写真で撮って載せてしまった・・・

一番上のやつ、へたくそな写真ですが、ベットの上で飛び跳ねているうちに、ベットカバーのキルトがいつの間にか畑やがけになっていて、その上を飛んでいる、という絵なんです。
独特の浮遊感がたまりません。

どの絵も素晴らしくて、本を分解して額に入れて、ベットから見えるところに飾りたくなりました。

美しくてちょっと不安な夢が見られそうです・・・・・。

おとなのひとにいってほしかった24のこと

2006-11-04 | 読書

絵本ですが内容は大人向け。

「友だちはいらない」 なんていう言葉が心に突き刺さります。

私の若い日、友達を作ろうとしてあんなに悩んだり頑張ったのに。

「生きていることなんかには意味はない」

「3年間くらいは捨ててしまいなさい」

「自分ひとりでできることは何ひとつない」
 

子供の頃、大人の人にこんなことをいわれたらどうだっただろう。
確かに苦しみから救われていたかもしれない。


著者のヨゼフ・パイオンは「あなたはほんとうのことをこどもにいえますか?
わたしのおしりがまだ青かったころにおとなのひとにもっと、いってほしかったことがあります。」と話しかけてきます。

この本の内容はもともと、彼のホームページに書かれていたものです。「まずは、わたしのホームページを見ている人がいることに驚きました。このHPは誰にも知られずに在り続けることが出来るかの実験でした。世の中には見える場所と見えない場所があり、わたしの興味はもっぱら居心地の良い見えない場所からの観察なのです。」
 
なんて書いてあるんですよ。

ずいぶんと天邪鬼。

でもちょっと共感。
わたしもこのブログを作ったとき、友達、誰にも言わずに、だれも見に来てくれなくてもいいや、なんて思って作りましたから。
矛盾しているようですが・・・・求めていたのは義理じゃなくて、純粋な魂のふれあい。
しかもNobodyとして、裸の私の。

(それでも見つけて覗きに来て下さった方、そして、今、見に来てくださってるあなたには感謝です


子供の頃、信じようと思っていたことが、実はそうでもなかったのかもしれないと思うことって、ありますよね。
一つ一つと年を重ねるごとに、少しずつ諦観のようなものが心に育ちます。

悲しいけど、・・・楽になる。

そんな年取ったという自覚をほんの一部分だけど言葉にしてくれる1冊の本です。


「一番大切なことは想いをお使いに出すこと」

お使いにだしましょう、心の中の想い。

ビースト by アリー・ケネン

2006-09-15 | 読書
ビースト  読むまでは、キングっぽいホラーかな?と思っていたのです。
この表紙もすっごく怖いし。(Eragonより怖い!)

アマゾンの紹介だって「ぼくはスティーヴン、17歳。「あいつ」を飼いはじめて、6年になる。はじめはただの弱々しいペットだった。いまでは巨大でおそろしいビーストだ。貯水池の檻のなかから、ぼくをにらんでいる。ぼくを食おうと考えている。もしもあいつが、この檻から逃げだして人間を襲ったら…。だからぼくは決めたんだ。この手で、あいつを殺すしかない。でも、あんな狂暴な生き物を、ぼくひとりで始末できるんだろうか…。 」ですもの。


でも読んでみたら、あら不思議。

ラストは爽やかな「ライ麦畑でつかまえて」風の青春小説なんですよね、これが。

ビーストに関してはホラー仕立てなんですけれど、それを縦糸にして、横糸は少年スティーヴンが、実の両親との軋轢、里親家庭での居心地の悪さ、そしてこれから社会に出て行かなくてはいけない不安などを抱えながら、自分の力で問題を解決しようと奮闘し、それを通じて次第に成長する様が、鼻につかない自然さでかかれてます。

飽きさせずに、謎を持たせて最後まで引っ張りながら、少年の心理を細かく観察しているところが良かったです。
はらはらするので、1日で読めちゃいます。


しかし・・・・
お父さん、どうなったんだろう・・・・・



こないだ、スティーブン・アーウィンさんがお亡くなりになった記事を書きましたが、この小説の中にも、

『テレビであのオーストラリア人の男を見たことがあるかい? ほら、でっかい人食いワニの背中に飛び乗ったり、目玉を両手でおおっておとなしくさせたりする男だ。』P174より

なんて文があって、ああ、アーウィンさんのことだわ・・・と、ちょっと悲しくなりました。


和訳で読んだのですが、どう考えても人の名前を間違っていると思えるところがあって、翻訳者の間違いなのか、原文ではどうなのか、気になるところです。

「ユダの福音書を追え」

2006-08-19 | 読書
『ダヴィンチコード』が話題になってから、キリスト教関連の「謎解き」本がいろいろ出ていますが、こちらは存在が伝説化していた「ユダの福音書」が見つかった、という衝撃的な本。

副題は「イエスと”裏切り者”の密約」「ユダは裏切り者ではなかった」


イスカリオテのユダと言えば銀貨30枚で師イエスを売り、歴史的にもそれがまたユダヤ人差別にもつながっていく諸悪の根源の、『裏切り者』ですけれど、実は裏切り者じゃなかったということがこれによって証明される・・・・

これは本当だとすると、かなりショックです!!

こういう、歴史的大発見で見方がぐるっと変わっちゃう、っていうのには興味がつきませんね


「聖書」にある、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの福音書以外にもユダの福音書があるのでは、という説は以前から流れていたようですが、パピルスに記されて、エジプトで眠っていたのですね~

この本は、内容を分析するというよりは、「ユダの福音書」をどうやって手に入れたか、というドキュメンタリーで、その歴史的価値を理解せず、欲の皮が突っ張ったエジプト人が売り渋っているうちにぼろぼろになって読めなくなっていた・・・・という情けないおまけつき。

歴史的大発見だとしても、その金銭的価値しか考えてないノンインテリジェンスな人たち・・・・その辺の顛末はとってもいらいらさせられます。

そしてやっと手に入ったけれど、長いこと金庫に入れっぱなしになっていたために、ぼろぼろになっていたパピルスを何とか解読していきます。



 その結果、明らかになった「ユダの福音書」の内容の詳しい分析はこちらの本。


*******以下ネタばれあります(何故かハリポタ6巻のネタばれも含みます)*******



最悪の裏切り者とされていたユダは、実は裏切り者ではなく、イエスが深く信頼していた使徒だった・・・
そして最も難しいタスクを課されていた・・・・


こんな異端な考え方を、教会が容認するわけがなく、もちろん異端として抹消されかかっていたわけですが、1700年後、コプト語写本がエジプトの砂漠で見つかるんですね~ すごい!

どちらの本も知的興奮を誘う極上の『謎解き』になっています。


しかし・・・・


なんかね、これって・・・・・


読みながらハリポタ6巻のSnapeとDumbledoreの関係を思い起こしたのはjesterだけ?

ハリポタ6巻も和訳が出版されてから長く経つからもうそろそろネタばれ話してもいいだろうと思うので書いてしまいますが・・・・

つまり、Chapter NineteenでHagridが立ち聞きした二人の会話が、「キリストとユダの密約」に当たるのではないか、それをSnapeが『didn' wan' ter
do it anymore 』だったのではないか・・・・・

と、Snape大好きjesterは思っているのですが・・・・



ところで、一昨日の日経新聞にでかでかとDVDつき本が発売されたって広告が出てました。
ユダの福音書 DVDブック ビジュアル保存版・・・・・・
この本、読んでるときに「あ、これ、ナショナル・ジオグラッフィックの番組を本にしたな~」と思いながら読んでたんですよ。
「その番組みたい!」と思いつつ。
そしたら案の定、今頃になってDVDつきのが出るなんてね・・・・
悔しい! 最初からそっちを買えばよかった~~


「『ダヴィンチコード』の内容はかなりまゆつばかも~」という検証番組をナショナル・ジオグラフィックで見たので、ぜひこっちの「ユダの福音書」の番組も見てみたいjesterなのでした。

池袋ウエストゲートパーク4 電子の星

2006-08-10 | 読書
石田衣良さんのシリーズの4巻目。

相変わらず、ネタを見つけるのが上手だな~と感じる。
マコト君もかなり有名になっているのに、全然ぶらないところが素敵です。

20=ヤクザ なんて初めて知りました。(8+9+3=20だから)


ラーメン好きのjesterには「東口ラーメンライン」が嬉しかった

自慢じゃないけど、出てくるラーメン屋さんで、実在のお店は全部食べてますね~
だから読んでいてすごくリアルなの。


それと、ビルマの少年が出てくる「黒いフードの夜」もいいです。
マコト君と少年サヤーの友情に心温まる感じ。
最後の「黒いフード」の使い方は残酷すぎるけど・・・


「電子の星」はネタがスプラッタ過ぎてついていけないけど、山形からでてきた『負け犬』のテルがいい味出してます。
彼が語る山形・・・というか、地方都市の底辺に住む若者の実態に驚きました。
jesterは良くも悪くも日本では東京近郊しかしらないので、そんなものなのか・・・と思いました。



以前、知人で
「東京なんか大嫌いだ! 人間多くてごちゃごちゃしてて、うるさくて! 田舎はいい!! 美しい!!!」 
と言い張る人がいまして、その人は大学からずっと東京近郊に住んでいる人でした。
とっても感情的になって、その話になると涙ぐんじゃうの。

あまり何度もいわれるので、東京人jesterとしては返事のしようがなく、
(「大嫌いだ」といわれる東京ですが、jesterには一応ふるさとなんですよ
「じゃあ、○○ちゃんは田舎に帰ったらいいんじゃないの?」なんていってしまったのですが、
「・・・・田舎じゃ仕事がないもん・・・」といわれました。

そんなこと思い出したりしました。



山形もきっと美しいところなんでしょうね

田中宥久子さんっていくつだとおもいます??

2006-07-26 | 読書
とってもとってもビックリしたのです~

いや、前に田中宥久子さんの顔筋マッサージについて書きましたよね~(こちらの記事です

最近、この人の特集の雑誌とかが増えてきたな~、さすがにこれから注目をあびるのだろうなあ~と思いつつ、昨日発売のクロワッサンを読んでいて・・・・・

びっくり・・・・

田中宥久子さんて・・・・


60歳!!


うっそ~~~~~!! 

若作りの美容研究家の写真を見て気持ちワリイ、って思ってたし、どんなに整形しても、60歳は60歳だと思っていたけど、この人の顔、アップの写真を見ても整形したかんじもしわ伸ばしした感じもしないのよね~~
口元のたるみもないし!!
普通、60歳ぐらいで肌がきれいな人は、体型がふっくらしてて、脂肪が乗ってるっていう感じがあるんだけど、この人の顔はシャープ!

帽子とかめがねで隠してんじゃないの?と思う方はぜひクロワッサンを立ち読み(いや買っても良いです(爆))してみてください・・・・

やっぱり効くのか、顔筋マッサージ・・・
↑実は本を買っただけで満足し、まだ真面目に取り組んでないjesterである。



7年前の顔になる田中宥久子の「肌整形」メイク [DVD付]

この本の中に、昔からの写真があるのですけれど、このひと、どんどん若々しくなってきてる感じがします。

安藤優子とか黒柳哲子とか林真理子とか、この人のマッサージだけはやってます、という人が多いのもうなずけますね。

60歳はビックリしました。
こんな60歳、みたことないよ。
頑張ってマッサージしてみます~(つくづく単純・・・)

目指せ、60歳で田中宥久子の肌!←(まったくもって単純・・)

骨音 池袋ウエストゲートパーク3

2006-07-23 | 読書
ウエストゲートパークも3冊目。

骨音 池袋ウエストゲートパーク3

表題の「骨音」は最初の数ページでネタばれしましたが、ミュージシャンとホームレス襲撃を結びつけるっていうのは結構新鮮かもしれません。

「キミドリの神様」で地域通貨の偽札、っていうのもおもしろかった。
実際にある地域通貨でもこういう問題があるのでしょうか?

「西口ミッドサマー狂乱」では、『レイブ』って言うのがどういうものなのか、よくわかりました。
日本でも良く開催されるものなのでしょうか?


でも一番好きなのは「西1番街テイクアウト」かな?

こういう背伸びして大人の振りをしている子供、が出てくるのに弱いjesterです。
『読書好きで、口が悪い、やせっぽちの女の子の父親になるのも悪くないかなってね』(P89)なんてマコト君の気持ち、分かったりします。

jesterも『読書好きで、口が悪い、やせっぽちの女の子』でしたから。・・・あ、いまも(殴

少年計数機―池袋ウエストゲートパーク〈2〉

2006-07-21 | 読書
少年計数機―池袋ウエストゲートパーク〈2〉
少年計数機―池袋ウエストゲートパーク〈2〉
このシリーズの中では、好きな話が多い2冊目。

『その笑顔を見て、ぐらりとおれのなかでなにかが動いた。十歳でそんな笑いかたを身につけるガキ。そんなやつを放ってはおけないだろ。それでおれは自分から、やつのトラブルに巻きこまれていったのだ。
 ミス1。』P71

なんて文が相変わらずおいしいです


『銀十字』の有賀喜代治と宮下鉄太郎、おじいちゃんコンビが可愛い。マコトくんとの会話に笑えます。
『水の中の目』のミナガワも。
かっこ悪いハードボイルドなのに、男気(セクハラ用語か?)があります。

全体的におっさんパワーが炸裂してますね~~


ところでまた浦島太郎発言なんですけど、この小説ってテレビドラマ化していたのですね!
どなたかご覧になりましたか? TBSでやってたらしいのですが。

見たいような見たくないような・・・・

先日友人にNHKドラマの「陰陽師」を借りて見て、いろんな方面でショックを受けたjesterでございました。


『池袋ウエストゲートパーク』

2006-07-12 | 読書
いまさら・・・なんですが、なんとなくばらばらに、人に借りたりして読んだので、まとめて読んでみたくて、はじめからこのシリーズを読み返しています。

池袋ウエストゲートパーク
石田衣良の鮮烈なデビュー作。


東京で一番おしゃれな街といったらどこでしょう?

青山、自由が丘、代官山、赤坂、広尾、六本木、麻布、それとも銀座・・・?

考えてみると、JRの駅がないところが多いですね。
山手線の渋谷、新宿、池袋は大きなターミナルだけれど、どれもどことなくダサい。

中でも池袋は埼玉県につながる私鉄が何本か出ていいるせいか、ベッドタウンにつながるターミナルで、「遊べる場所」というイメージはありません。

もともと昔は湿地帯だったそうです。だから袋。

新宿鮫とかは新宿のどろどろした盛り場を舞台に鮫島刑事の活躍がかっこよくて酔いしれたものですが、jester馴染み深い池袋がハードボイルドの舞台になるとは・・・意外でした。

今まではどこかに行く途中の通過点、お買い物に寄る場所、本屋で立ち読みするところ、というイメージだった街が、生き生きと「人間たちが生きている街」として描写されてます。


それに、池袋は新宿ほど「他国のマフィアがぞろぞろいて、歌舞伎町は怖い」というような場所はないし、渋谷ほど高校生が多くないし、と思っていましたが、この本を読むと、最近は若者が集まっているし、それなりに怖い場所もあるのね~と思います。



そんな池袋をバックに活躍するヒーロー。

工業高校をでて、無職、こづかい銭稼ぎに実家の果物屋を手伝っている、真島誠の一人語りで物語が進みます。

およそヒーローの肩書きからは離れている『マコト君』なんですけど、これがかっこいいんですね~

ニヒルなハードボイルドのヒーローは履いて捨てるほどいるけれど、『マコト君』ほど若くて不安定なのに芯が通っていて、醒めているようで実は友情に篤いってやつはいないです。
その心に流れる正の方向のベクトルは心地よい♪

新しいヒーローの誕生ですね

しかも考えるときにクラシックの曲を延々と聴いたり、雑誌のコラムを書いたり、およそ「らしくない」ことを次々としてくれます。

何の力もなく、頼るのは頭脳と不良仲間の友情だけなのに、悲惨な出来事、手に負えないような大きな事件も解決していくのが気持ちよくて。


『マコト君』を取り巻く人々も、引きこもりだとか、中学時代のいじめられっこだとか、ラジオオタク、マッチョな女性ジャーナリスト・・・。
お約束のステレオタイプもいるけれど、人間観察がしっかりしているので、それなりに個性的でたのしい。


そして、クッキーの中にチョコチップがちりばめられているように、心に響く文がところどころに隠されてます。

『思い出しただけで胸が痛くなるようなキスってあるよな。誰かの歌にもある。いつかきっと愛の謎が解けるって。その夜はおれの愛の謎が初めて解けた日だと、個人的には思っている。心と身体をつなぐ謎。初恋なんて幼稚園の年長さんでするもんじゃない。』 P266より


なんかね、むか~しサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」とか庄司薫さんの「赤頭巾ちゃん気をつけて」を読んだときみたいな、爽やかな読後感があるんですよね~


赤頭巾ちゃん気をつけて ライ麦畑でつかまえて

『由香里の死そして愛』

2006-06-22 | 読書
むかし、大ベストセラーになった『積み木くずし』の後日談です。

といっても、大昔過ぎて、ご存じないかもしれませんね。
1982年に300万部も売れて、ドラマは視聴率50%を稼ぎました。

高部知子扮する女の子が「あけろ~ぃ!!」と怒鳴りながらドアをどんどんするのを、お母さん役の小川真由美さんが「だめなの、あけられないのよ・・・・」と仮面のような顔でドアの中で泣き崩れるシーン、よくまねして遊んだものです(殴



これがその、大ベストセラーだった、前の本。
その後、何冊か後日談のような本が出て、作者であり父親の穂積隆信さんへのバッシングとかごちゃごちゃあったみたいですけど、そのへんはよく知りません。

(去年『積み木くずし 真相』という題で、テレビドラマになってたのですね~ jesterはテレビ見ないので、全然知りませんでした・・・)


由香里の死そして愛―積木くずし終章穂積 隆信 4901006851

だからこの本を見たときも「え、あの女の子、死んじゃったの?」という驚きでいっぱいでした。

「積み木くずし」は、非行に悩み、どうにか娘を更生させたいという親が、警視庁の少年相談室の心理鑑別技師の方の指導に従って、愛情を持ち、しかし厳しく接することで、娘を更生させることに成功する(しかかる)という話でした。

この、心理鑑別技師の方の指導である、「いじりすぎない」が、とても意表をついて斬新で、しかも効果がある、というのが斬新だと思いました。
 

「こどもと話し合ってはいけない」
「シンナーをやっていても怒ってはいけない」
「子供にお金を上げてはいけない」
「門限の夜10時過ぎたら家に入れてはいけない」・・・・
 

などなど、どれも理由を説明されたらなるほどと思いますが、親ならまず反対のことをしてしまうようなことばかり。

そして確かに、こうした態度が娘を変えていくのでした。
「積み木くずし」ではこの過程が語られてます。


でも「積み木くずし」が300万部も売れたために、せっかく更生しかけていた娘さんはまた道を踏み外し、家族は崩壊していきます・・・・
巨額のお金が入り、教育評論家扱いされ、穂積隆信さんはすっかり舞い上がってしまうのですね・・・

そして、娘さんは35歳で死亡・・・・

その辺がこの本で詳しく語られます。

妻の裏切り、離婚、その妻が自殺、そして娘も・・・・と、つらい人生を送られている著者ですが、ご本人が書かれているのでそれを差し引いて読むと、はっきり言って、かなり自分勝手な夫、表面しか見ない父親だったのだな、と思う部分も多いです。
書かれていることの大半は、後から考えた言い訳のような、反省のような・・・

娘がどうして非行するのか、シンナーや薬をするのか、その根っこの部分を何も分からず、ただ表面に見えるものだけに一喜一憂し、娘の本当の気持ちに気づかない。
娘の必死の再生への努力にもなんら力を貸すこともなく、甘えさせてやることもしないで、ただ「いい子」だけを求め、一人寂しく死なせてしまう・・・・

読んでいて「ああ、これだから・・・」と思ってしまう部分がたくさん。

でもこれを書くのは、身を削るようにつらいだろうと思われ、一部で言われているような単なるお金儲け狙いではないとjester思いました。

自分の娘はこうなってしまったけれど、同じようなことで悩む親、これから子育てをする不安な親に、自分の失敗を赤裸々に語り、考えてもらい、次の世代に生かして欲しい、という願いを感じました。


子育てって、生き物を相手にしているのだから、あとから反省したり言い訳しても手遅れってことがあります。
芽が小さいうちに摘めばたいしたことないのに、面倒くさいとほおっておいて、大変になってからあたふたしたり。

いつもアンテナを伸ばして、想像力や直感をいかし、その時々で、的確に子供の気持ちを汲んであげないといけない・・・・

jesterの子育てはもうほとんど終わりに近づいてますが、いつでも「一番大事なのは子供が幸せになること」 というのを忘れてはだめなんだな、と再び心に言い聞かせたjesterであります。

    

顔筋マッサージ

2006-06-12 | 読書
7年前の顔になる田中宥久子の「肌整形」メイク [DVD付]
どうです、このすっごい題。
しかもあおり文句が
“この人”の出現で、日本の女の運命は少なからず変わった
不変と思われた常識も、この人の“発明”にはかなわなかった。ビューティ アーティザン田中宥久子さんの出現は、日本の美容をハッキリと変えたのだ。“人間”はもっと美しくなれる!!そういう壮大な美容の始まり。
ですと。

よくは知りませんが、芸能人とか林真理子とか、これをやって顔が引き締まったという人はたくさんいるとか。

そんでもって、知人でこれを始めたら、ほんとに顔のたるみが治った!!と大騒ぎしている人がいたので、ちょっと気になって本を買ってみました。
DVDつき、というのにも惹かれてしまい・・・・

知人は新宿伊勢丹まで飛んでいって、SUQQUのクリーム1万数千円をお買い上げ~してマッサージを教わったそうです。

jesterはお化粧や美容はほとんど(まったく、とはいいません)興味がないのですが、さすがに近頃「ハリ」が失われてきたよな~と密かに思っておりました。

先日友人と会ったときも、「朝起きるとシーツのシワのあとが顔に残っててなかなかとれない~」などとつらい話で盛り上がりました。(爆)

しかも最近背が伸びた家族B(それでもjesterよりは低いのである。しかもやつももう18歳なのでこれ以上伸びないだろう。かかか。)が、私の洋服なんかを着るもんで、時々友人などに
「母子で見分けがつかないよ。双子みたいね」
なんていわれるのですが、それに対して家族Aは

「いやいや、脂肪のつき方は全然違いますし。それに肌のハリもまったく別もんですからね~」

などと!!!ぬかしやがるわけで!! 

・・・ま、真実なんで、何もいえないjesterでありますが・・・・

だもんで、クリームお買い上げまでしないまでも、マッサージぐらいやってみようかな、そんで、DVDつきなら、何とか分かるかしら?
なんて思ったわけです。


しかし・・・・

マッサージ自体はそれほど難しくない・・・と思うんですが、これを朝晩続ける、っていうのが・・・・

いつまで続くか自信のない私であります。




蛇行する川のほとり

2006-06-10 | 読書
蛇行する川のほとり
引き続き恩田陸さんの本も読んでおります。

高校生の主人公に、学校で憧れの的の、ものすごく美しい先輩と、その友達のまたまた美しい先輩がいて、夏休み一緒に絵(舞台の背景)を書く合宿を先輩の家でしようと申し込まれる。

先輩の家は昔不吉な事件があった、「船着場のある家」。

主人公は平凡な女の子なので、この申し出に有頂天になるけれど、その先輩には謎めいた美少年の従兄弟がいて、その少年が「来てはいけない」と警告にくる。
そしてその友達がまたまた美少年で・・・・

とまあ、こう書くと、まるで少女マンガの筋立てですよね。


jesterは少女マンガ大好きなんですけど、それを文字で読みたいかというと、小説に求めてるものは別なんで、こうどうどうと少女マンガの世界を小説仕立てにされても戸惑ってしまうのです・・・・


しかし戸惑ってしまいながらも、結構楽しんでもいるのですが・・・


ミステリーとしては、ちょっとホラーの要素も加わって、最後までぐいぐい読まさせられる力を持っています。

でも、一番大事な殺人事件のネタがちょっとこじつけ気味というか、思い付きを無理やりつじつま合わせしてるような気がして、ラストは不満足でした・・・。

どうもこの人のミステリーはラストに満足できるのが少ないかも・・

陰陽師 生成姫

2006-06-08 | 読書
この陰陽師シリーズももうほとんど読んでしまったのが寂しいです。

陰陽師生成り姫
この話は、以前に読んだ「鉄輪」に、いろいろなエピソードがついて膨らませてありますが、基本的に新しい驚きはないです。

自分で自分の作品を膨らませたのだから「盗作」じゃないですけど、でも読者としてはなんとなく損をしたような気が・・・・

しかしまあ、博雅がとてもとても可愛いので、許します。(誰よ、あんた)

博雅に「肉がついてもその肉も愛しい。皺が増えてもその皺が愛しい」
なんていわれたら、鬼でも成仏できるでしょうなあ。

ラストの鬼vs博雅のクライマックスは、少々甘すぎかとも、長引かせすぎかとも思われますが、思わず涙してしまいました。

女は哀れであるなあ・・・・

そんな哀れが分かる背の君に出会えた女は幸せでしょうね・・・・

光の帝国 恩田陸

2006-05-29 | 読書
「僕たちは、草に頬ずりし、風邪に髪をまかせ、くだものをもいで食べ、星と夜明けを夢見ながらこの世界で暮らそう。そして、いつかこのまばゆい光の生まれたところに、みんなで手をつないで帰ろう。」P132

前に書いた蒲公英草紙の前段階の作品です。
光の帝国―常野物語光の帝国―常野物語


常野物語の根底をなす短編集。「エンドゲーム」につながる瑛子と時子の「オセロ・ゲーム」や、春田家の末裔、光紀と紀実子の話がはいっています。

ひっそりと暮らす、様々な超能力のある一族。
超能力、なんてものにあこがれちゃう、凡人のjesterでありますが、こういうのを読んでると、人と違った能力を持つというのも大変なことなんだな・・と思います。

jesterの友達で霊感がある人がいるのですが、感じるけど、お払いができる程じゃないので、とっても嫌だそうです。
高校時代は尼さんになろうかと思いつめてるほどだったといってました。


感動的だったのは、本の表題でもある「光の帝国」。
ツル先生と常野の子供たちの切ない生活と哀しいラスト。
それが最後の短編、「国道を降りて・・・」などにつながっていくのが少し嬉しいです。

亜希子や倉田、三宅篤と美耶子など、恩田陸の真骨頂ともいうべき常野物語、これからどう広がっていくのか、楽しみです。


陰陽師 鳳凰ノ巻

2006-05-25 | 読書
ほろほろと桜が散っている。
闇の中で、音もなく、桜の花びらが舞い降りていく。
風はない。
花びらは、自らの重みで枝を離れ、地にこぼれていく。
満開の桜である。
(P103)

こんな下で、静かに桜を見ながら、時にはぽつぽつしゃべりながら、博雅と晴明がお酒を飲んでいる・・・

陰陽師 鳳凰ノ巻

お酒は弱いjesterも、鮎の塩焼きだとかきのこを炙って巣立ちを搾ったのをつまみに、こんな花の夜、彼らとお酒が飲んでみたいなあ・・・とあこがれてしまう、いつもながらの二人組み。

相変わらず怖い話がいっぱいだけど、晴明がついてれば、平安の暗闇も安心して散歩できます。

最後の「晴明、道満と履物の中身を占うこと」では、道満との力比べが楽しい。
二人ともお互いの力を認め合って、かなりきわどいお遊びをしてます。
道満の「おもしろかったなあ、晴明・・・・」
にうなずいてしまうjesterでした。