以下、個人的な独り言ですが、国際政治がらみの繰り言です。
こういうお話は苦手な方、また(いないと思うけど)右翼より思想の方は、どうぞどうぞスルーしてくださいませ。
今回の尖閣諸島問題での、中国、香港での状況がとても心配です。
昨日は香港で散歩していた日本人が襲われるという事件が起きました。
jesterがあちらで暮らしていた時も、魚釣島に日本の国会議員が上陸するという事件があり、これをうけて、香港全土で反日デモが起こりました。
領事館が攻撃され、家族Bが通っている日本人学校前にもデモ隊が押し寄せ、国旗が燃やされたりしました。
当時の日本人学校は、タイハン道から狭い坂道を上がった山の途中にあり、あの狭いところにデモ隊が押し寄せ、学校内には守りようのない1000人以上の小学生がいたことを思ったら、親としては不安で、居ても立っても居られない気持ちでした。
まだイギリス領であった当時ですら、トンロワン(繁華街)のジョルダーノ(日本のユニクロのような洋服屋さん)のウインドウには血の飛び散ったデザインに「魚釣島は中国のものだ!」というスローガン入りのTシャツを着たマネキンが10ほども並びました。
トンロワンに当時あったデパートの大丸の日本食売り場にはいかないほうがいいといううわさが流れ、実際にいつもは日本人でにぎわう日本食売場はガラガラでした。
繁華街やタクシーやミニバスで日本語をしゃべってはいけない、という噂に、必要に駆られて買い物に出かけるのにも身を小さくしたものでした。
当時は1万7千人以上の日本人駐在員と家族が香港におりました。
私たちは物見遊山の観光で香港に行っていたわけではなく、仕事で、いわば、資源のない国である日本の経済活動の一端として、『企業戦士』として駐在していました。
よその国で場所を借りて商売させていただく、という意識は日本人家族全体(多分)がもっており、その国に迷惑をかけないように気を付け、日本人として恥ずかしくない行動を誇りをもってする、という気持ちでいました。
それなのに、そういう海外で頑張っている日本人を切り捨てるような、というか、そんな日本人がいるなんて考えてもいないような、当時の国会議員の行動に、怒りを覚えたのを覚えています。
また、自分は関係ない、というような、弱腰というよりは、無関心な風に見える政府にも、怒りを覚えました。
鎖国時代ではないのに!!!
香港がイギリス領だった当時でもそうだったのですから、いま香港を含む中国に駐在していらっしゃる方やご家族はどんなに不安な日々を過ごしていらっしゃるか、考えただけでつらくなります。
香港では、当時の若者の間では日本は「あこがれの国」でした。
「日式」(日本風)とついていれば、ある意味「かっこいい」という意味でした。
ファッションもインテリアもドラマも『日式』がもてはやされていました。
今でも日本人がヨーロッパにあこがれ、「パリジェンヌの暮らし」なんていう特集が雑誌で組まれるのと同じです。
日本人です、というと、いつもとても友好的に迎えられました。
もちろん戦争を経験した年を取った方たちの中には「日本なんて大嫌い」とまゆをひそめる方もいらっしゃいましたが、それは少数でした。
8月15日(終戦記念日)や9月18日(柳条湖事件の日)が近くなると、血で書かれたような色の反日のスローガンが道端に掲げられることもありました。
その頃に国境を越えて広州に行ったら、帰りにビザにありえないいちゃもんをつけられて、英語も広東語も全く通じず、北京語でまくしたてられ、香港に戻れなくなりそうになったこともありました。
が、それらは海外に住んだ中ではほんの些細なことで、普段の生活では、不愉快な思いをしたり、セキュリティ的に不安になったことはありませんでした。
しかし、香港では返還後しばらくして、「中国への愛国心を植え付ける」教育が推進されるようになってきました。
返還直後はそんな気配はなく、「返還されても、香港は香港」といっていた中国側の、当初は隠していた本音が次第に見えてきました。
(そりゃあ当然だ、国内に、反発分子がいっぱいで経済的に進んだ地域を放置しておくわけにはいかないだろうし)
学校教育でも、しだいに反日教育を含めた『愛国教育』が始まりましたが、それに反対する教師の運動なども起こりました。
イギリス風の地名や道路名は中国風に変えられ、国有の美しいイギリス風の公園に、中国風の門がついたり、風景も次第に変えようとされていました。
馬に乗ったカッコいいHong Kong Policeも、中国の軍隊風の制服に変わりました。
それでも私の感覚では、友人の香港人の知識階級には文化革命などで本土から逃げてきた人が多く、また西洋の教育を受けて育った人が多いので、どちらかというと、中国政府に懐疑的な人が多かったです。
「中国なんて信じられない」といって、返還前にアメリカやカナダの国籍を取得して、逃げなくてはいけないときはいつでも逃げられるようにしていた人が多かったのです。
みな不安の中で、中国政府が香港をどう変えようとしているのかを見守っていました。
返還後、私は香港から別の国に引っ越しましたが、それからも旅行者として何度も香港を訪れても、すべてにおいて中国っぽくなったわけではなくて、違和感はなく、香港は香港のままだわ、と安心していました。
ついこないだ行った時ですら、香港は香港のままだと感じました。
富裕な知識層が作った冷静な国家観、国際的バランス感覚はいまだ健在という感じでした。
でも今回は、ちょっと違う気がします。
やはり変化はじわじわと押し寄せてきているのかもしれません。
それにしても8月15日、9月18日という中国人がぴりぴりする日付の前に、尖閣諸島のことを言い出した石原慎太郎氏は、海外で働く日本人を切り捨てているとしか思えないし、外交的なセンスが乏しい気がします。
「井の中の蛙」です。
お叱りを恐れずいえば、戦中のアジアの問題に対しては、海外からみたら、日本人は加害者です。
しかけた戦争に負けたのですから責任を取らされても仕方ありません。
だから、もっと賢く、もっと繊細に、謙虚に、、ある意味ひそやかに、しかししっかりと、この問題にあたる必要があるのです。
考えなしの強気の発言は絶対に、強い反発を呼び起こします。
小さいころから「日本の帝国主義の恐ろしさ」について否応なしに叩き込まれているアジアの人々たち。
高等教育を受け、冷静に問題を分析できる人たちは多くありません。
底辺の生活をしている人たちは、ストレスが溜まり、はけ口を求めています。
今の日本人がどうであれ、過去に私たちの父母や祖父祖母が起こした戦争の遺産を、私たちは背負わされていることを、決して忘れてはいけないと思います。
私たちが忘れていても、侵略被害にあった人は忘れていないのです。
もし今中国と戦争になったとしたら、戦うだけの武力も持たず、現地の日本人を救出するだけの力もなく、
(終戦の時、中国にいた日本人を見捨てて、日本軍が逃げたように・・・)
要するに、自衛できる確かな実力もなく、確固とした哲学もないのに、ただただ
「アメリカが助けてくれるだろう」
と縄張り意識丸出しでけんかを売るようなことをして、後始末は知らんぷりでは通りません。
(いざというとき、アメリカは助けてくれるかわかんないよ・・・
どうせ他人のことなんだからね・・・
黄色い顔をした日本人を友好国だなんて、本音で思ってるかどうかわかんないよ・・・
前の戦争では敵味方だったのだから、
捨石にされることだってあるかもしれないよ・・・?
国際社会がだまっていない、なんて、甘~い!!
どこの国も、いまや自分の問題だけで手一杯なんだから・・・)
尖閣諸島がどこの国の領土であるかは、それぞれの国で言い分が違います。
どちらの国の国民も自分が正しいと思い込んでいる。
また、今は誰も住んでいない場所での、それが争われているのは、歴史的な理由ではなく、経済的理由、漁業資源、将来の地下資源確保のためなど、さまざまな意図が絡まりあっているものだと思います。
それにしても、日本政府はもっと外交の奥義をまなび、賢くたちまわることをおぼえるべきだと思います。
おバカな右翼政治家のアジテーションにつられて、眠っている獅子を起こしてはいけません。
他の国の問題はその国の政治家に任せておかなくてはならず、そのスケープゴートになるような愚かな真似だけはしてはいけない。
そっとそっと、でも断固とした覚悟をもって、平和的に、大人に、微笑みを浮かべて行動しなくては。
意識の部分から真のグローバル化を果たさない限り、いくら企業の中で英語を使っても無駄でしょう。
坂本竜馬のような賢く、先を見通せる政治家は、もう日本にはでてこないのか・・・
竜馬、Come Back!!
日本で働いている中国の方たちにも、酔っ払ってからんだり怒鳴ったりするおじさんがいるということ。
こんなときこそ「平和的で冷静な、大人の日本人」を世界中の人たちにアピールすべきなのに。
中国で、香港で、韓国で、どんな反日行動がおこっても、私たちは冷静にしていたい。
理不尽なニュースをきいたら、John LennonのImaginをかけて、心を落ち着かせ、プライドを持って、日本にいる中国人や韓国人や海外の人すべてを尊重していきたい。
お互いに尊敬しあい、理解できるように歩み寄っていきたい。
決して危険な思いや嫌な思いをさせることがないように。
それが未来の日本を、より平和で、国際的に誇りの持てる、豊かな国にすると信じています。
尊王攘夷でガイジンを切り捨てるが道じゃないがぜよ~~
すみません、あまりに気になり、思い切って書いてしまったので、読んでいる方もすくない疎ブログではありますが、バイアスの入ったjesterの意見ですから、反論のコメントを覚悟しております。
荒れないといいのですが。
反論も大いに歓迎ですが、あまりに思考の根本が相違する方からのコメントは、削除させていただくことがあるかもしれません。