ゆきてかえりしひび――in the JUNeK-yard――

読書、英語、etc. jesterの気ままなおしゃべりです。(映画は「JUNeK-CINEMA」に引っ越しました。)

『中国魅録 「鬼が来た!」撮影日誌』  by香川照之

2007-05-31 | 読書
カンヌで2000年にグランプリ(パルムドールの下の賞。今年、日本の河瀬直美監督の「モガリの森」(漢字が出ない!)がとられたのと同じ賞です)を取った中国映画、「鬼が来た!」(「鬼子来了」)に出演した香川照之さんが、撮影当時、無印良品のノートに書いていた日記を中心に、映画が撮られた日々を書き綴ったもの。

jesterがこれを読んだのは、まず、日本映画について彼が書いた本、「日本魅録」を読んで、面白かったのでDVDで映画「鬼が来た!」を見て、そのあと、この「中国魅録―「鬼が来た!」撮影日記」、という順番でした。

ど、どうですこの表紙・・・・
思わず大きい画像を貼り付けちゃいました。


香川照之さん、日本の俳優さんの中ではjesterは好きなんですけど、この顔、怒りをこめて雄たけんでますよね~
その上なんなんでしょう、このベルトを引き絞るアクション・・・
「もうここでズボン脱ぐぞ!!わりゃ~」とフキダシをつけたくなっちゃいます。

まあ、読めば彼の気持ちも分かるのです。
何回彼はこういう顔で怒鳴りたかったか、怒鳴ったか・・・・

とにかく抱腹絶倒の世界です!


中国にいき、しかも都市ではなく僻地で、地元の人たちと映画を撮る、とんでもない苦労が伝わってきます。


タレントとかがアフリカとかアジアの国々で生活を体験する、という番組がありますが、あれはせいぜい1~2週間。
生活といっても観光旅行みたいな物で、どんなに苦しくても先が見えてますから、我慢が出来るでしょう。

でも香川さんは4ヶ月の間、お仕事として出かけられたのですから、さぞかし大変でしたでしょう。
その上撮っているのが、「戦時中の日本軍が中国でしたこと」で、彼は鬼子(日本)の兵士ですからね~
(鬼というのは日本だけを表している言葉ではないのですが)


ま、それにしても何ヶ月か後には仕事を終えて日本に帰れる、というのがあったのだから、駐在員よりはましですけれど。

jesterも開発途上国といわれる国々で暮らしたことがあり、こういう国で何年か暮らすというのは、ものすごい体験でございました。

今までの自分の常識をほとんど否定されるような・・・・

正直言って、その国を出てヨーロッパとかオーストラリアとかへ休日を過ごしに行くと
「あれは悪夢だったのかな・・・」
と思ったこともありました。はい。
で、その国にある自分の家に帰って
「あ~~やっぱり現実だったのね~~」
とまじにショックを受けました。

しかしその場所で暮らすうちに、何ヶ月かすると、だんだんそこにも慣れてきて(あきらめてきてともいう)その国の良い部分にも目が行くようになります。(ま、そうしないと生きていけない・・・・)

ま、驚愕→怒り→絶望→あきらめ→視点の変化→受容
というような過程を経るわけです。(爆)

(しかし、適応性のない人は あきらめ→逃避 となることもあります。
いや本当に、息抜きに別の国に行ったはいいけど、帰りの飛行機にどうしても乗れず、そこで辞表を書いて会社に送り、日本に帰国した人がおります)

香川さんの場合は、受容まで行きつく前に帰ってこなくてはいけなかったので、つらい想いばかり残ったらしい。

彼は、両親が離婚したとはいえ、父は歌舞伎俳優の三代目市川猿之助、母は元宝塚歌劇団トップ娘役で女優の浜木綿子という、芸能界の超サラブレッドで、しかも東大卒という大切に育てられたエリートでもありますから、そんな肩書きが一つも通用せず、その上日本では当然の『常識』さえ通用しない、という世界に放り込まれて、そりゃあ苦しんだことでしょう。

「鬼子来了」という長編中国映画で私が直面した、よい意味にせよ悪い意味にせよ「夢のような」体験は、私の理解を超えた実に過酷なものだった。肯定しがたいことも多々あった。夜中見てうなされた本当の「夢」よりも、その日起きてから降りかかってくる現実のほうが「夢」にしか思えなかったことも何度もあった。 (「中国魅録」 P7より引用) 

と彼は書いていますが、

だが、この日々やって来る固くて厄介な異物をあれこれ考えずにガンガン飲み込み続けていたら、後日その異物から漉し出された芯のようなものが、今日の私を突き動かしていることにやがて私は気がついたのだった。 (同上)

と続けています。この映画に出た体験が彼の俳優人生を変えた、とも後述しています。

彼は文学部卒ですし、若い頃は三島由紀夫に陶酔しきっていたという文学青年でもありますから、文章もそれなりにうまい。
カッコをつけず、正直に書いているところも好感が持てます。

ゴーストライターが書いたような、いわゆるタレント本ではありません。
異文化体験としても、とても面白いです。
同じような体験を持つものとしても、共感を持って大爆笑いたしました。

・・・といっても中国や『発展途上国』を笑っているわけではないのです。
日本だって、また別の国々から見ればまだまだいろいろな面で遅れていて、その国から日本に来た人たちに言わせれば、同じこと。

とあるお茶会に出たら、jester以外全部海外から来た人たちで、「後進国・日本に暮らすストレスの愚痴大会」になっちゃって、肩身が狭い思いをしたこともあります。

この本の中でおかしいのは、異文化のカルチャーショックの中でじたばたする人間模様。
当事者は大変だけれど、第三者からみると、かなり滑稽なんですよね。



この本だけでも充分面白いのですが、もし出来たら映画、「鬼が来た!」(「鬼子来了」)をご覧になってから読まれたら、面白さが倍増します。とてもいい映画です。
(映画のネタばれがあるので、映画が先のほうがお勧めです)


なお、映画、「鬼が来た!」(「鬼子来了」)については、JUNeK-CINEMAのほうでレビューを書く予定です♪

後記;やっとこさ、レビュー、アップできました。
こちらです。




Jの悪夢・・・・

2007-05-26 | にゃんこ
最近なにやら悪夢を見ます・・・

それは草木も眠る丑三つ時・・・

暗い枕元から、行灯の油をなめる音が

ぴちゃ・・・
ぴちゃ・・・・
ぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃ・・・・!!


しかも壁にうつるその影には不気味なとがった耳が


ん・・・とがった耳・・・・??

            

うちでとがった耳といえば


あんたかい!!


夜中とか夜明けに目が覚めたときにわたくしが飲むように、寝る前にコップに水をいれてベッドサイドに置くのですが、

「・・・なんか最近やけに減ってるのよね~ 
・・・しかも埃やネコの毛が入らないように上にカバーしてあるのが取れてるし・・・・」
と不思議に思っていたのでした。

鍋島藩の化け猫かと思った。(↑寝ぼけ眼でとった証拠写真。)

いやそういう問題ではなく、寝ぼけて、あんたが飲んだ水、飲んじゃったかも。
いんや、絶対飲んだ。
生臭かったし、自信がある
。(そんなことに自信をもちたくない)

貴方の水はちゃんと貴方の水のみ皿に汲んであるでしょ!!

うぎ~~!!

                  



・・・しかし
・・・それはほんの予兆にしか過ぎなかった・・・・

恐ろしい事件は昨日起こったのであります・・・

土砂降りの雨の中、用事を済ませた後、またまた六本木の青山ブックセンターの洋書アウトレットに顔を出し、ペーパーバックをまたまた、しこたま仕入れてホクホクと帰宅。

雨がひどいので、お店の方が濡れないようにビニールをかけてくださった、重い紙袋を抱えて、
たとい己の身体は濡れても本の一ページとも濡らすまじ!と頑張って抱えて帰ってきたと思ってください。

とりあえずなんとなく戦利品の写真を窓辺に並べて撮った後、本を片手、水で入れた煎茶をなみなみといれた大型のタンブラーをもう一方にもって、ベッドへ。

ガラスのタンブラーをサイドテーブルに置き、本をずらっとベッドに並べて、さてどれから読もうかな~とページぺらぺら、至福の時をでれでれと過ごすのじゃ・・・・
朝から走り回って疲れきった体を横たえて、しかも、横に脂の乗った霜降り猫をはべらせて





「じゃあ~~~~」

・・・・じゃあ~~~・・・・?・・・??


「うにゃ。」 

(註訳;「あ、あの・・・スビバセン、た~だ水飲もうとしただ~けなのに、何故かコップったら倒れて、このように、ほれ、こぼれちゃって・・」)
 





だ~~~~!!

買ったばかりの本が、替えたばかりのシーツが、枕が、ベッドマットが、ベットが~~!

一瞬目を離した隙に、おいしいお茶をどっぷり吸っておりますがな・・・。

しかも外は土砂降り。

・・・・jesterの心も土砂降りですわ。



水害にあう前の、昨日の戦利品。(まだ懲りずにどっさり買っちゃいました。)

ダレン・シャンの「Lord loss」とか、ブラム・ストーカーの「ドラキュラ」とかとっても趣味のいい(爆)化け猫怪談にふさわしい品揃えで・・・・

(何回か通って買い漁ってるうちに、めぼしいものはほとんど買ってしまったので、だんだん選本が微妙になってきました・・・)

ええ、ええ、泣きながら拭きましたよ、本も、ベッドも・・・・


ところで、昨日、
(あ~5月いっぱいでこの洋書アウトレットも終わっちゃうのよね~ 残念・・・)
と思って、お店の方に
「またいつかやらないのですか?」と聞いてみたら、
「まだ決定じゃないですけど、もう少しこのまま期間を延ばしてやるかもしれません」とのお返事でした

うれしいなったら
(これ以上、本を置く場所ないけど、) うれしいなっと。


ねぞうのいい私。

2007-05-24 | にゃんこ
洗濯籠が気に入っているロッタです。
洗濯物を干した後、ふと気がつくとすばやくはいっております。

昔、家族Bがとっても小さかった頃、この籠にはいって「UFOごっこ」を家族Aがしてやってました。

「発進! びゅーん!びゅーん!」と手で持ち上げて、UFOみたいに飛ばしてあげるわけです。

それをいまや家族Bがネコにやってやってるんですね~
家族Aは「こいつもそんな年になったか・・・」と感慨深げ。(爆)


ロッタも「UFOごっこ」大好きで、ごろごろ言って喜んでいます。


とむぼんさんとこのキャンディちゃんは高級にゃんこべっどでオヤスミのようですが、この洗濯籠、この季節には風通しがよくて、涼しくて、これまたいいんですよ~(らしい)


ま、寝返りうつと、時々はみ出ちゃうのが玉に瑕ですが・・・・

ナイトキャップに・・・ リスニング学習用に・・・ 朗読のCD

2007-05-21 | ENGLISH BOOK & STUDY
青山ブックセンターの回し者じゃありませんけど、洋書のOUTLET SHOPでの戦利品その2はアガサ・クリスティの短編の朗読CDです。

2枚の朗読CDと、その朗読の原文がのっている本が付いて1セット。

jesterはこういうCD、まず本は読まずに、CDを繰り返して聞いて、よく聞き取れなかったところだけ本で確認、という方法で使ってますけれど、それは人によりそれぞれの使い方があるでしょうね。
これはミステリなので、ラストが気になって、最後まで真剣に聞けます。

一説によると、繰り返して聞いておぼえるぐらいになってから本で確認するほうが英語力はあがるそうです。
そしてそのあと暗唱するといいとか。

jesterはそこまで聞き込めませんが、夜寝る前に、ちょっと本が読みたいけど目が疲れすぎ・・・なんてときにとても良いです。
このシリーズは音楽や効果音などがほとんど入っていないので、とても静かに美しい朗読を聴けます。

ナイトキャップ(催眠導入材)としても良好なんです。

ただ、いつもラストまで聞く前に眠くなるので、ラストがわからない・・・(爆)

なので、i-podに落として、ウオーキングで聞いたりもします。
1話30分ほどなので、最後まで聞くと「30分歩いたな」なんて確認できるし。


たとえば←この1巻、Agatha Christie Reader (Agatha Christie Reader 1)ですが、お話は

The Bloodstained Pavement
Wireless
The Hound of Death
Four-and-Twenty Blackbirds

の4本。 1本30分ぐらいですから全部で2時間程の朗読です。

こういう朗読って、読んでいる人の声や英語が好きじゃないと長続きしませんけれど、このCDセットは朗読している俳優さんが、テレビシリーズでミス・マープルを演じているJoan Hicksonさんとか、ポアロのDavid Suchetさんとか、おなじみの面々なんです

それと、ロード・オブ・ザ・リングスでサルマンを演じたChristopher Leeさんをはじめ、James Warwickさん、Hugh Fraserさんなどなど、すごく豪華なメンバー。

Christopher Leeさんのしぶ~い声に聞きほれてます。


ちなみに、このセット、アマゾンで買うと3,237円なんですが、CD2枚だし、本も付いているし、まあ妥当な値段かな~とおもいます。

でも、OUTLET SHOPでは1,200円でございました~

3巻はなかったので、1巻,2巻Agatha Christie Reader (Agatha Christie Reader 2), 4巻Agatha Christie Reader (Agatha Christie Reader)を大人(?)買いしてきました。

その後、行く度に3巻ないかな~とさがしてますが、出てきませんねえ・・・・

ネコ捨てポスト

2007-05-18 | a day of my life
最近病院に赤ちゃんを置くポストができ、そこに3歳の子どもが「捨てられていた」と聞いて、胸が痛くなりました。
父親が「かくれんぼしよう」といって子どもを入れたとか。

日本ではショッキングな事件ですが、こういう施設は海外では結構あります。
「殺すより、捨ててくれ」という発想で、元は教会などがやっていたのでしょうね。

明るい感じの施設が多くて、これを見た幼かった家族Bが「ハリー・ポッターも意地悪な親戚のうちじゃなくて、ここに捨てられたら良かったのにね」といったのを思い出します。



ところで、昔住んでいた国で「ネコ捨てポスト」を道で見つけてすごく驚いたことがあります。

濃い緑色の木でできた大きなゴミ箱のような箱に、ふたの上に、片方は犬の絵、片方は猫の絵がついているもの。
(写真があったはず、と捜したけれど、見つからなかった・・・)

「まさか死体を捨てるゴミ箱??」と近寄ってみると、SPCA(動物愛護教会; the Society for the Prevention of Cruelty to Animals)が設置しているものでした。

こわごわ中を見てみると、綺麗な新聞紙がひいてあり、小鉢に清潔なお水が入っていました。
毎日巡回して、動物が捨てられているとSPCAが引き取っているようでした。
これも「殺すなら捨ててくれ」の発想です。

それからSPCAの活動に興味を持ち、募金したり、フェアに行ったりしているうちに、ついに虐待されていてとても凶暴になってしまい保護されたけれど引き取り手のないネコを引き取りました。
(もうあと少ししかそこにいられない運命だったので)

(その猫は、別の国に引っ越すとき、検疫がかわいそうとかいろいろの理由があり、結局その国のネコ好きの友人が引き取ってくれました。)


SPCAにいくと、たくさんの可愛い犬やネコが「つれてかえって!! わたしを連れて帰って!!」と必死でアピールしてくるのです。
しかもそのケージには「私はあと○○日しかここにいられません。どうかつれて帰ってください」と、個別に書いた張り紙がしてあって、その日数がどんどん減っていくのです。
でも全員を連れてかえることはできません。

ケージの前を通るたびに、思わず目を閉じてしまったのを思い出します。


洋書のアウトレット @六本木 青山ブックセンター

2007-05-17 | ENGLISH BOOK & STUDY
最近、本屋さんの洋書売り場で、YOHANのバーゲンブックを見かけます。
ワゴンなどに入っていて、ペーパーバックで大体1冊700円ぐらいにディスカウントされているもの。

在庫がだぶついたり、少し紙が黄ばんだりしたものが出ていると思われます。
ハリーポッターなんかの以前の巻も良く出ていますね。


で、六本木の青山ブックセンターの入り口前にも、そんなペーパーバックバーゲンの小さな本棚が出ていて、いつも通りかかると必ず覗くのですが、先日、大きく
OUTLET SHOP OPEN! と張り紙がしてありました。
青山ブックセンターの入り口の左のビルの入り口から入り、奥のエレベーターで2Fへ。降りたら左に行って、突き当りを右に行くと、Outlet shopが!

本のアウトレットなんて素敵です

YOHANのバーゲンで700円になっているペーパーバックがさらに500円に。
500円のものは300円です。

ペーパーバックは紙質が悪いので、発売されて月日がたつと、紙が黄ばんだりシミができたりします。湿気の多い日本では特に早い。
そうなる前に、売っちゃおう!ということなんでしょうか、全く痛みのないものがほとんどで、嬉しくなります。

それ以外にも、絵本やらお料理の本、インテリアの写真いっぱいの本なども安くなっています。

なので、最近は用がなくても途中下車して、ここを覗いています。

一昨日の戦利品はペーパーバックが10冊。

上の画像に写ってるタイトル&著者を読まれると、ちょっと冷や汗物ですが、英語の読書本では

1、英語が平易
2、先が気になる展開

をとりあえず重視しておりますので(・・・でないと最後まで読むのが大変!)今回は読みやすいエンタメ物中心になりました。

(以前のお買い物で、ファンタジーや児童文学を買いあさったのでこういう結果になったもので、こういうのだけ読んでるというわけではないのですが・・・


しかし・・・どこへ置くのだろう・・・
しかも・・・いつ読むのだろう・・・・

という不安を胸に抱きつつ、・・・また行ってしまいそうです。

まだ読んでない本がいっぱいあるって幸せ・・・


5月31日までOPENしているそうです


フランス音楽  東京シティ・フィルハーモニック@東京オペラシティ

2007-05-16 | 音楽・ミュージカル・コンサート
東京シティ・フィルハーモニックの第208回定期演奏会、「フランス音楽の彩と翳」を東京オペラシティコンサートホールで聞いてきました。

指揮は矢崎彦太郎さん、コンサートマスターは戸澤哲夫さん。(実はjesterは戸澤さんのファンです!)
演目はジャック・イベールの祝典序曲、アルテュール・オネゲルの交響曲第2番、フランシス・ブーランクのグローリアでした。

フランスのクラシック音楽はあまり得意なほうではないですが、それでも時々聞きにいきます。

プーランクの「グローリア」が聞きたくて行ったのですが、オネゲルの交響曲がよかった・・・・



オネゲルの2番を聞いたのは初めてです。
弦楽器五部で演奏されるのに、トランペットが一本入る、ぐらいの知識しかなく、演奏中も「あれ~~トランペットはどこにあるんだろう・・・」ときょろきょろ。

この曲、ナチス占領下のパリにとどまったオネゲルが、寒さと飢えに震えながら1941年に書いた曲で、弦楽器のみで不安で陰鬱なメロディが続いていきます。

と、最終楽章で、高らかにひときわ明るく、トランペット。
見ると、2階の客席にトランペット奏者が一人出現。

レジスタンスの勝利とフランスの自由を歌うがごとく、伸びやかで華やかなメロディがめちゃくちゃかっこいいです。

それと第一楽章のビオラのソロがよかった!
若い奏者でしたが、艶のある音色、なんとも品のある演奏でした。
なんという方なのでしょう・・・
(パンフ&HPをみたのですがお名前がわからず・・・・早速チェックしたいと思ってます)
チェロも良かったですけどね~♪


イベールの祝典序曲は、日本に関係が深い曲なんですよね。
1940年に日本の紀元(皇紀)2600年を祝した式典で、日本政府がその頃はまだ戦闘状態になっていなかったヨーロッパ5カ国に依頼して、フランスから送られてきたものだそうです。

5曲の中で、イギリスから送られてきたブリトゥンの「シンフォニア・ダ・レクイエム」は「なんで祝典曲にレクイエムなんだ!!」と日本の抗議を受けて、黙殺され、日の目を見なかったそうです。
(わざとだよね、イギリス。)

そんで、あとの4曲はその年の7月に歌舞伎座で披露演奏会があったとか。
あの戦時中の暗い時期に歌舞伎座でそんなことがあったのね~と感慨にふけりながら拝聴しました。



そして、最後のプーランクのグローリアは美しかった!
東京シティ・フィル・コーアはすごくレベルが高いです。
厚みがあり力強いコーラスに感動しました。



ソプラノの半田美和子さんは、眉目秀麗の上、あんなにすらっとしてて、あんなに天使みたいな声が出るなんて、神様は不公平ですだ・・・・(涙
せめてあの半分ぐらい声がでたら、どれだけ人生楽しいでしょう・・・

黒のシフォン地に大きな金色の水玉プリントのドレス&ストールという衣装がぜんぜん嫌味に見えないところがすごい。
(どこを見ていると人にいわれます、はい)



大変子細なことなんですけれど、演奏が終わった後、精一杯拍手しながら、演奏し終わったあとの演奏者の顔を見るのが好きなんです。

「やった・・・終わった・・・」という満足げな表情に対して、「とても良かったよ!!」と、筋肉痛になる(爆)ほど一生懸命手をたたきます。
いい演奏してくれた方程、その興奮が伝わってくる感じで、もう手が真っ赤になるほど頑張るjesterです。(←あほ。)


・・・でも昨日の第一バイオリンの某女性二人、何であんなに暗い顔だったのでしょう・・・
クールを通り過ぎて、「つかれた・・・」「もうやってらんない。早く帰りたい~~」という風に見えました。

1曲目と2曲目の間にスタッフが舞台に上がって何かしゃべったりしていたので、「なにかあったのかしら」とも思いましたが・・・・

帰り、ホールでその中のお一人をお見かけしたときはそんなに暗い顔はなさってませんでしたが、ちょっと気になります。

スウェーデンの絵本 スウェーデン児童文学フェア その2

2007-05-10 | スケッチ・美術展
スウェーデン児童文学フェア2007でみた絵本の原画の中で気に入ったのは
Stina Wirsen(スティーナ・ヴィルセーン)さんの「Who's in charge」(誰が決めるの?)という絵本です。

英語の題がついていたので、アマゾンに画像がないか捜したのですが、なかったので、私のとったへたくそな写真でご紹介しますね。
ガラスにバックが写りこんじゃってて見辛いのですが・・・・
(この写真は、jesterが許可を取って撮影させていただいたもので、すべての権利はStina Wirsenさんとスウェーデン大使館に帰属します。無断転載なさらないでください)


さて、登場するのは2匹のくま。
くまには見えませんが・・・でもくまなんです。

おおきいくまと小さいくまが、ヨーグルトを食べたり、けんかしたり、お風呂に入ったり・・・・というたわいないお話ですが、子どもと大人の気持ちがうまく入っていてとてもほのぼの。
親子で読んだらきっともっと楽しいだろうな~というストーリー。

ひょうきんな、くまにみえないくまたちのシンプルな絵柄もとても好きになりました。
前回の記事で、最初の画像のポスターも彼女の書かれたものです。
ピンクのあれも、くま・・・なのかなあ。

今のところ、日本語訳はでていないし、アマゾンでも原書の取り扱いがないようなので、手に入れることはできませんけれど、いつか手元においてゆっくりながめたいな、と思うような絵本でした。

作者のStina Wirsenさんは1968年生まれ、ストックホルム在住。3人のお子さんがいらっしゃるお母さんです。




このフェアは六本木1丁目のスウェーデン大使館で13日まで開催中。
無料です。
(←いかにも北欧ふうな入り口です)


フェア会場では、リンドグレーンさんや、スウェーデン児童文学に関する雑誌(パンフレット)を無料で配布してくださっています。

綺麗な写真で絵本の内容や作者について紹介してあるものもあり、読み応え、あります。

英語のものもあり、翻訳されているものもあり、この関連の研究をしていらっしゃる方には、貴重な資料になるのではないかと思います。

スウェーデン児童文学フェア2007 その1

2007-05-04 | スケッチ・美術展
六本木のスウェーデン大使館で行われている『スウェーデン児童文学フェア2007』に行ってきました。

これはアスリッド・リンドグレーン生誕100年祝賀行事とともに開催されたもの。

『長靴下のピッピ』で育ててもらい、『やかまし村の子どもたち』で子育てをしたjesterとしては見逃すわけにはいきません。
まつかぜさんのサイトで教えていただいて、早速出かけてきました。

スウェーデン大使館の正面入り口を入ってすぐのところに展示室が。

細長くてこじんまりとした展示室ですが、明るくてすっきりしていて、北欧の雰囲気があふれています。

中央にリンドグレーンさんに関する展示があります。
また会場内には、楽しいスウェーデンの童謡が流れています。


展示されている絵本や児童文学の翻訳されたものを、会場内の小さな本屋さんのブースで売っています。

また、小さなスウェーデンカフェもあって、サーモンのオープンサンドとか焼き菓子などが販売されていました。

それから奥のほうには小さな椅子とテーブル、子どもの遊ぶスペースもありました。


壁側には、スウェーデン作家による絵本の展示がありました。


特にスティーナ・ヴィルセーンという方が書いた絵本はとっても可愛くて、jesterは欲しくなりましたが、残念ながら会場内の本屋さんにはありませんでした。
日本語に翻訳されていないのですね。残念です。
この絵本についてはまた後で少し詳しく書きますね。


このスウェーデン児童文学フェア2007について、詳しくはスウェーデン大使館のサイトに載っています。

ここに載せた写真は、スウェーデン大使館の方の許可をいただいてjesterが撮影したものです。転載なさらないでください。

逢わばや 見ばや 完結編  出久根達郎

2007-05-01 | 読書
古本、下町、ときたら、出久根達郎さん。
jesterも古本やら東京の下町やら大好きなので、ファンであります。


逢わばや見ばや 完結編
逢わばや見ばやは、少年だった出久根さんが、茨木から東京は月島の古本屋さんに就職し、いろんな人に出会うほのぼのとしたお話を集めた本で、その誠実な語り口が大好きでした。
だもんで、 逢わばや見ばや 完結編 が出たと聞いて、読んでみました。

月島の古本屋さんから独立して、高円寺に「芳雅書店」をつくり、それを軌道に乗せ、出久根さん自身、作家として本をお書きになるまでが語られています。

どんな職業もそうなんでしょうが、古本屋さんって深いんですよね。
「何が高値で売れるか」を見抜くには、豊富な知識と確かな眼が必要。

古本をおろしに来る廃品回収業者の人との交流とか、お客さんとのやり取り、彼が手書きで発行していた「書宴」という古本のカタログが段々に成長していく様などなど、心温まるエピソードがいっぱい。

福島の農村にある小学校に、「子どもと先生がイナゴ(お米につくバッタのような害虫)を捕って作った資金で買った本」の「いなご文庫」があった、なんていうエピソードも、なんともいえず時代を感じます。

ちなみにjesterは幼少のみぎり、いなごの佃煮をたべたことがあるのだ!!
(そんなことで胸を張ってどうする)

そう、いなごって、虫の姿のまま佃煮にして食べるんですよね。
(「いなご文庫」で子どもたちが捕ったいなごも佃煮用です)

姉は「きゃあああ~~いやあああ」といって絶対食べなかったけれど、純真(当時)だったjesterは、親に「栄養があるのよ」といわれ、素直に食べてました。
しかし(目をつぶってたべれば)、桜海老の佃煮と変わらなかったおぼえがあります。

今も食べられるかはちと自信がありませんが・・・・・
来るべき食糧危機の折には、いなごをたべられるものが生き残るかもしれません。


(以前、シーラという子を書いたトリイ・L・ヘイデンさん(大ファンです)とネット上でお話していたときに、
「日本人は虫を食べるというが本当か」と聞かれ、
「もちろん。私も食べて育った。」
「しゃりしゃりという歯ごたえがたまらないのだ。」などと答えて、OMGの連発を喰らったことがあります←だから胸を張るなっていうの)

そういえば、うちにいなごの佃煮を売りに来ていたおばさんは、茨木からかごを背負って東京まで野菜を売りに来ていたひとだったな~

と、いなご話になってしまいました・・・(殴


新刊本の本屋さんの匂いも好きですが、古本屋さんの一種独特のにおいが好きです。
といってもいわゆるコレクターではないので、買いそびれていていつの間にか本屋から消えていた本とか、図書館や友だちに借りて「これは買いでしょう」と思った本などを探して歩く程度でありますが。
神保町とか歩くの、とっても楽しいです。(帰りは芋やでてんぷら定食!)

そんな、古本屋さんの匂いがしてくるような、本好きにはたまらない、楽しい本でした。