火星への道

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大量の水が・・・どんだけ~

2012-11-09 22:03:04 | 火星地形

11月1日のESAの Mars ExpressのNewsによりますとNereidum Montesも火星の氷河の過去を解く手がかりを与えてくれるようです。
10月7日の当ブログ「ドライアイスが銀色に・・・」にて紹介したのと同じArgyre basin(アルギュレ盆地)の中です。
でも今回は、Hookeクレーターの約380km北東のNereidum Montesです。

     10月7日の画像の場所                       今回の画像の場所(小さな長方形がHRSCによりカバーされた地域)

Nereidum Montesは、ほぼ1,150kmの範囲に広がっています。
有名なギリシャの天文学者Eugène Michel Antoniadi (1870–1944)によって命名されました。
*Antoniadiは、火星についての広範囲な観察に基づいてパーシヴァル・ローウェルによって報告された火星の「運河」が事実、単なる光学的錯覚であると結論を下した人です。

Mars Express搭載のHRSCによるこの地域の画像は、多数の河川や氷河および風による影響の特徴を表しています。
HRSC:the high-resolution stereo camera

下記のいくつかの画像は、2012年6月6日にESAのMars Expressの10,736周回目に取得された高解像度ステレオカメラ(HRSC)の真上からの画像と色チャンネル・データから作成されたものです。
Nereidum Montes地域の南緯 40°、西経 50°を中心としています。
画像は、1ピクセル当たり約23mの分解能があります。

下図は、Nereidum Montesを自然な色で形成しており、東(イメージの下方部分)のクレーターの多くの集中した広範囲な地域の一部を示します。
クレーター原の起伏は、火星の中緯度地方で一般に見られ、氷河運動の結果であると考えられます。
下図および次の地形モデル画像の北(より低い右側)の方に見られる、広範囲な樹木状の水系模様は、この地域で液体の水が流れた時に形成されました。
地球で、この種の樹木状の溝は、大量の降雨、あるいは雪か氷河が溶けた後の表面流出によって通常形成されます。
科学者が現在、赤い惑星の表面に水が存在したと考えている大昔の火星で、同様のプロセスが生じたと思われます。

次の画像は、HRSCのデジタル地形モデルに基づきます。
クレーターの直径と深さの間の比率は、水の氷が(ひょっとしたら古代の氷河の形で)乾燥した岩屑の覆いの下に存在しているかも知れないことを示唆します。
科学者は、これらのクレーターの中の水の氷の厚さが数十から数百メーターまであると推測しました。
上記の画像および下記地形学の画像の南西の横(左上半分)の最大のクレーター(地形学のイメージの中で青として示される)のより低く位置する部分への氷河状のものをこぼしたように見えます。
氷結している特徴の(下段)東の滑らかなエリアは、クレーターがほとんど完全に見られないことで、画像内で最も若い場所と見えます。
別の地下水の証拠は、上記画像および下記地形学の画像の北端部(右側)でクレーターを囲む、液体噴出物の形で見られます。
彗星か小惑星が水または氷が過剰供給となった地表面を襲う場合、これらの噴出物構造が形成されます。
最後に、画像の全体にわたって、しばしば、塚と峡谷の風に保護された側の近くで、広範囲なさざ波の形状の砂丘フィールドが生じているのが見られます。

次の画像は、3Dです。

次の画像は、Mars Expressのデーターを用いてコンピュータで作成した立体的な眺望です。
画像の下部にある衝突クレーターのまわりの葉状・扇形の表面や同様に塚と峡谷の風下(風保護された)側に生ずる、さざ波のような砂丘の多くを強調しています。これらは、火星の歴史の中で乾燥した期間に滑らかな平原が作られる前の氷河の広がりを示すものかも知れません。

もうひとつ角度を変えた画像です。

Nereidum Montesのような地域の綿密な研究は、将来のロボットおよび人間による調査のために刺激的な場所を見つけるのを支援すると同時に、火星の地質学的過去を解明するために主要な役割を果たしてくれるでしょう。


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