火星への道

有人火星探査の実現を夢見て!火星ミッションの情報を提供しています。

今までに分かったこと

2016-12-14 18:04:14 | MSL

12月13日のWhat'sNewthe American Geophysical Union の発表内容がアップされていますので、紹介します。

概要は以下のとおりです。

- Curiosityは、山のより高い、より若い層で岩の組成の変化のパターンを調査しています。
- 古代火星の地下水を伴う堆積盆地は、化学的に活性で、生命の存在の可能性のある組成でした。 
- Curiosityは、大変可溶性の高い元素として最初にホウ素を見つけました。 

移動ルートやドリル穴に関しては、昨日の当ブログ「Curiosity、最新情報(明日の朝4時です)」でお伝えしましたので、割愛します。

下図は、現時点でのCuriosityの垂直位置を表しています。
高さが水平方向に比べて14倍に誇張されています。
また、高さは、火星の海面レベルより低いので「マイナス」表示となっています。

下図は、 CheMinによる2013年から今までの泥岩の分析結果です。

上記のサンプルサイトは、以下のとおりです。
JK:JohnKlein、CB:Cumberland、CH:Confidence Hills、MJ:Mojave、TP:Telegraph Peak、BK:Buckskin、OD:Oudam、MB:Marimba、QL:Quela、SB:Sebina 

下図は、CheMinの分析結果から"Yellowknife Bay" と "Murray Buttes."での泥岩からの粘土鉱物の分析結果の違いを表しています。

下図は、"Yellowknife Bay" と "Murray Buttes."での粘土鉱物の構造に固定されるイオンの様子を示しています。

下図は、"Yellowknife Bay" と "Murray Buttes."での鉱物の含有量の違いを示しています。

下図は、Curiosityが移動中にChemCamでホウ素を分析した結果を示してます。

下図は、CuriosityによってSol1441(2016年8月25日)に最高濃度のホウ素を発見した"Catabola,"と呼ばれている場所です。

下図のとおり、Murray岩盤中の白く見える硫酸カルシウムの鉱脈中にホウ素、ナトリウムと塩素を発見しました。
場所は、 Diyoghaと呼ばれる分析対象で、Sol1454(2016年9月7日)に調査しました。 

下図は、the Murray formationで泥岩中の硫酸カルシウムの鉱脈中にホウ素が集まったことを説明する2つの仮説を上下で示しています。
右端の結論が同じだということに注目です。 
*まだ、2つの仮説があるんですね。 

下図は、現在Curiosityが見ている風景です。
今後、進んでいく場所が含まれています。
岩の色がいろいろありますね。地層の多様性を示しているようですので、今後の調査が楽しみです。 

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Curiosity、最新情報(明日の朝4時です)

2016-12-13 12:44:20 | MSL

Curiosityは、Sol1545(12月11日 JST)時点で、ドリル問題を解決するための作業をしながら、ドリル以外の機器を使用して周辺を調査しています。

EmillyさんがCuriosityの最新情報を纏めてくれていますので、メモします。
また、the American Geophysical Union の会議で以下の発表があるそうです。
Livestreamがありますので、早起きして見ますか!
ーーーーーーthe American Geophysical Union の会議の内容ーーーーーーーーーーーー

ゲイルクレーターからのニュース:NASAの好奇心火星ローバーから最近の知見
日時:12月13日(火曜日)午前11:30(PST):日本時間(14日4:30 JST)

内容:NASAのCuriosityが火星のこの部分に水が豊富な古代の環境に関する情報を追加して、ゲイルクレーターの中央にあるSharp山の若い地層を調査し続けています。2年前(Sol753:2014年9月18日)山のふもとに達してから、ローバーは、長く存在していた湖や地下水環境の記録を提供する180メートルの厚さの地層の半分以上の垂直方向の範囲を調査しました。それは、複数のサイトでの岩組成の分析で、生命のための有利な要因を含む、環境条件が時間の経過とともにどのように進化したかについての新たな証拠を提供しています。いくつかの成分は、これからのさらに長い山登りののちにたどり着く当面の最終目標地で何を見つけるかを予想することができます。

参加者:Joy Crisp, 米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所、パサデナ、カリフォルニア州、USA; 
Thomas Bristow, NASAエイムズ研究センター、モフェットフィールド、カリフォルニア州、USA; 
Patrick Gasda, ロスアラモス国立研究所、ロスアラモス、ニューメキシコ州、米国; 
John Grotzinger, カリフォルニア工科大学、パサデナ、カリフォルニア州、アメリカ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

下図は、今までと今後の移動ルートです。

NASA / JPL / MSSS / ESA / HRSC / Emily Lakdawalla
白丸がドリルでサンプル採取した場所です。 

下図は、火星着陸依頼にサンプルした15か所のドリル穴です。

NASA / JPL / MSSS / Emily Lakdawalla / Sebina image processing by James Sorenson
新しい順に左から右へ、上から下へ並んでいます。 

下図は、Sol1468からSol1546のルートです。
Sol1495に “Sebina”でドリル穴をあけました。
Sol1536に“Precipice.”でドリル穴をあけるときにトラブル発生。 

NASA / JPL / UA / Phil Stooke

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大量の水発見!!

2016-12-07 10:00:30 | 水と生命

GIZMODOさんで、「火星に巨大な氷床を発見。水量は北米最大スペリオル湖以上かも」という記事が載ってましたので、紹介します。
詳しくは、こちらです。
ネタ元は、Geophysical Research Letters」です。

記事によりますと、テキサス大学オースティン校の博士課程学生Cassie Stuurmanさんのチームが、NASAのMRO(Mars Reconnaissance Orbiter)搭載の火星の地下探査用レーダー、SHARAD (Shallow Subsurface Radar)のデーターを分析して、ユートピア平原の地下に大量の水の氷を発見したとのことです。
場所は、ユートピア平原の西側の地下1mから10mです。
推定量は、14,300 km³にもなります。

当ブログ2015年5月3日「中緯度に氷河が!しかも、動いている!」でも南北の緯度30°~50°の範囲の地下に大量の水があることが証明されています。
これも、MROのSHARAD のデーターから導き出したものです。(コペンハーゲン大学の研究者です。)
北緯30°~50°というとユートピア平原が含まれています。 

いよいよ、水の存在は確かなものになってきましたね。

--------水に関するアレコレ-----------

その1:東京都の2018年12月6日現在の貯水量は、合計で611,192km³ですので、今回発見された氷床は、その2.3%となります。
 12月5日の1日の配水量は、4,350km³でしたので、約3.3日分となります。
 一見少ないようですが、東京都の人口は、2015年11月時点で、13,646,374人でした。それ以外に大きな工業地帯とビジネス街、娯楽施設を抱えた大都市です。
 配水量で単純に比較すると13,646人だったら3,300日分、14人だったら3,300,000日分(約9千年分)の埋蔵量に相当しますね。
 東京都での個人の水使用量は、2014年の統計で平均220リットル(約0.22m³)です。
 でも、使用内容をよく見ると洗うことに大量の水を使用していることが分かります。
 この水は、節約も出来るし、火星でも水の再生システムで再利用することになりますので、10,000人規模の工場や娯楽施設を備えた都市を作ることが可能になるかもしれません。 (水に関して言えば、100万人でも可能かも・・・)

その2:火星の地下の氷の利用法は、既に研究が始まっています。
 10月14日発表のJAXAの「第2回 研究提案募集(RFP)結果」の中に「マイクロ波凍結乾燥技術(氷から水をつくる技術)」がありました。
 詳しくは、10月24日の化学工業日報JAXAの記事をご覧ください。
 *日刊工業日報からの引用:マイクロ波化学はこのほど、マイクロ波を用い、月や火星で地中の氷から水を作る技術の開発を始めると発表した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究提案募集に対し、東京工業大学と共同提案が採択された。まずは地球上で技術を確立し、将来、月や火星での実証を目指す。

-------------------

*ますます、有人火星探査の実現性が高まってきました。
火星の風景が下図のようになることがあるのでしょうか・・・ 

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ドリルに不具合が・・・

2016-12-06 18:14:36 | MSL

12月5日のWhat'sNewによりますと、12月1日にCuriosityのドリルに不具合が発生したとのことです。
通常、パーカッションと回転でサンプルを削りますが、Sol911(2015年2月)にドリルをした時にショートが発生し、それ以降は、回転のみでサンプルを削っています。
しかしながら、今回は、ドリルが出ないトラブルです。
原因を究明中です。 
サンプル採取目標は、“Precipice.”(下図:撮影Sol 1526 (2016-11-21 02:30:44 UTC)) でした。



*2015年2月に発生したパーカッション機構の不具合は、下記のとおりです。
通常、パーカッションとドリルを行い、サンプルを削りますが、ドリルの時にショートが発生しました。 

Sol911 ショート発生によりサンプル投入停止中

"Pahrump Hills" は、調べつくした!

現在の場所は、下図のとおりです。
着陸地点から15.01km走行してきました。"Murray Buttes”からは、840m。
高さは、着陸地点から165m登ったことになります。"Murray Buttes"からは、44m。 
*"Murray Buttes"から単純計算では、斜度3°となりますね。道路勾配だと約5.2%(普通の自転車で登れるくらいの傾斜です。)

なんと、最後の手段は、パーカッションを使うことも検討しているようです。
まだ、山登りは続きます。
頑張って!Curiosity!

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宇宙での存在感を増す!

2016-12-04 00:40:11 | ESA

12月2日のESAの閣僚理事会で、Space 4.0の始まりとして火星探査やロケット開発のための予算103億ユーロが承認されました。
103億ユーロというと約1兆2,500億円となります。
もちろん、年間予算ではなく、今後2020年代までに亘って使用される予定です。
通常のESAの年間予算は、約30億ユーロです。
宇宙開発競争激化の中でESAの存在感を増そうという意欲に満ちたものです。
日本経済新聞の記事は、こちら 

とにかく、ExoMarsの継続が確認されたことで、安心しました。

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