火星への道

有人火星探査の実現を夢見て!火星ミッションの情報を提供しています。

まだ、有機物を見つけていない!

2012-11-30 11:14:04 | MSL

JPLの発表によりますと12月3日9時 PST(日本時間:4日2時)からpress conferenceを行うとのことです。
場所は、サンフランシスコで開催されるアメリカ地球物理学連合(AGU)の秋の会議場となります。
AGUの秋期会議は、12月3日から7日なので会議の冒頭となりますね。

このpress conferenceに関するNASAのコメントは、11月20日のNPR(US broadcaster National Public Radio)が放送した内容を否定するものです。
当ブログ11月24日「SAMが生命を見つけた?」参照。

「この初期段階で重要な新発見物の発表があるという噂や推測は、正しくありません。今回の記者会見は、Curiosityが砂地で全ての分析機器を初めて使用した調査結果に関する最新版の発表となります。Curiosityが調査している物質のひとつは、有機化合物です。(生命成分になりえる炭素含んでいる化学物質)。現時点では、Curiosityの測定機器は、火星の有機物の決定的な証拠を検知していません。」

NASAのコメントは、上記のように一連の噂をきっぱりと否定しましたが、一方では、以下のように余り急がず、期待して待って欲しいと言ってます。
「まだ2年間のミッションの内の4ケ月が経ったばかりであり、Curiosityは、期待以上の活躍をしている。これからも更に素晴らしい発見を期待できる。」

期待して待ちましょう。
しかし、今までのpress conferenceでは、資料が付いてましたが、今回は無しのようです。
Sol93に"Rocknest"で5回目のサンプル採取をしたものをSAMで2回分析したはずですが、その結果が今のところ発表されていないですね。
今回のpress conferenceで発表があるのか気になるところです。なかったら・・・もっと気になりますね~
待ちましょうね。

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地質学者のパラダイス

2012-11-29 22:18:40 | MSL

11月26日付けのEmily Lakdawalla さんのブログに"Point Lake." から東方を望む画像が紹介されています。
Sol107にMastCam-100で撮影されたものですね。縦 28°、横 56°の範囲をカバーしています。
Curiosityは、現在"Glenelg"の端にいます。
"Glenelg"は、3つの明確に異なる岩のユニットが露出した場所だったので、Curiosityがわざわざ遠回りして立ち寄ることになった訳です。
上記の画像には、その3つの内の1つである"high thermal inertia" unit が見られるとのことです。
岩だらけで砂やダストは、ほとんど見られずいろいろな岩盤が露出していますね。
Emilyさんは、ここを「地質学者のパラダイス」と言ってます。
岩には、平行な層を見ることが出来ます。
地質学者がそばに行って、それらが語ることを読みとってくれるのを待っているようです。
Curiosityがこの情報の宝庫へ進むのが待ちきれないとEmilyさんは、言ってます。

しかし、見れば見るほどかなりデコボコしていて、Curiosityの走行性能が試されることになりそうです。

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砂嵐は縮小傾向

2012-11-28 22:40:34 | MSL

11月27日付けCuriosityのWhat'sNewによりますと南半球で発生した砂嵐が縮小傾向にあるとのことです。
下記の11月18日25日のMRO搭載のMars Color Imagerによる火星全体の画像を見ると良くわかりますね。
Mark Richardsonさん(Ashima Research, Pasadena, Calif.)が「今回の観測で良いデーターを沢山取った。」と言ってます。
そして、研究者たちは、地上のCuriosityと軌道上のMROの連携により、砂嵐発生シーズン中に大砂嵐発生のメカニズム解明に繋がる情報が得られることを期待しています。

11月25日

11月18日

下図は、CuriosityのREMSによる砂嵐発生前と発生後の気圧の変化を測定した結果です。
1Solでの時間変化です。1Sol内での気圧変化を比較する為に、縦軸を最低気圧との差で表示してますね。
日の出が5時20分前後、日没が17時20分-30分頃でしょうかね。当然、砂嵐発生前は、発生後より日の出が遅く、日没が早いです。
11月16日の当ブログ「REMSとRADの競演=気圧と放射線の関係」に記載した通り、
*この気圧のサイクルは、「上昇気流」によって引き起こされます。
 それは、太陽が地面と空気を暖めることによって駆動された火星の大気中の全球的規模圧縮波です。

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地球を飛び立って1年!

2012-11-27 14:41:14 | MSL

Curiosityは、1年前の11月26日10時2分EST(日本時間27日0時2分)に打上げられました。
地球を飛び立って1年、火星に降り立って16週間。
その間、23,000を越える画像を送って来ています。
現在(Sol110)は、着陸地点"Bradbury Landing"から約517m移動して"Point Lake."にいます。



上図は、 Unmanned Spaceflight.com Phil Stooke's latest route map for Curiosity からの引用です。

11月26日付けのJPL/CuriosityのWhat'sNewに"Rocknest"から東方を見た画像が紹介されています。

下図は、"Rocknest 3"をChemCamで分析した様子です。
この後、APXSでも分析しました。

上図は、ChemCamがレーザーパルスで"Rocknest 3"を打った5つの点を示します。
それは、直径10センチメートルの範囲です。
この画像は、ChemCamのRMI(Remote Micro-Imager)で3.7メーターの距離から、Sol57(2012年10月3日)に撮影されたものです。
Sol56に"Rocknest"に最接近したので、その後に撮影されたものと思われますが、何で本日この日に発表されたのでしょうか。
意味は無くて、たまたまこの日の発表となったのですかね。
このデーターは、ESAのMars Expressが中継して地球に送られたそうです。
Mars ExpressがNASAのthe Mars Odyssey orbiter とMars Reconnaissance Orbiterの代役も立派にできることが確認されました。

上図は、Sol59にMastCam-100によって撮影されたものです。Mastcamから約4メーターの距離でした。
"Rocknest 3"は、"Rocknest" patch のそばにあり、長さ 約40センチメートル、高さ 約10センチメートルの岩です。

下図は、"Rocknest"でのCuriosityの活動の様子です。

Phil Stooke'sさんのサイトからの引用です。 

次のニュースは、Curiosityのハンマードリルを最初に使用するためのサンプルとなる岩のことでしょうか?
または、生命に関することでしょうか?
楽しみです。

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SAMが生命を見つけた?

2012-11-24 06:49:26 | MSL

火星の土の中に有機物等の何か重要なものを発見したということで、ネット上で結構賑わっています。
ネタ元は、11月20日にNPR(US broadcaster National Public Radio)で放送された John Grotzingerさん (lead mission investigator)のインタビューです。
WIREDさんにもで詳しく載ってます。
MarsDailyの続報によりますと、11月21日になってNASAがこの件の過熱を冷まそうとしているとのことです。

それにしても、Grotzingerさんがまさに、Curiosityから素晴らしいデーターを受け取っているところにNPRのリポーターが偶然入り込んでインタビューしたとのこと。
凄くオープンな感じですね。
従って、Grotzingerさんも口が滑ってしまったのではないでしょうか?
Grotzingerさんは「このデータは歴史に残るだろう」「それは、本当に良いデータに見える」と言ってます。
しかし、何を発見したかは、リポーターに話していません。

リポーターは、科学者達がいくつかの刺激的な新しい結果を持っている時に、彼らは、何を見つけたか皆に伝え、興奮を共有したいと思う一方で、結果が単にあるまぐれ当たりだったり、機器のエラーではないことを確かめる必要があるので、発表に慎重になっていると言います。
Grotzingerさんと彼のチームは、以前同じような状況で一度苦しみを味わっています。
SAMが最初に火星大気試料を分析した時、メタンがその中にあるように思われました。(これは、大発見=生命が生きている・・・)
しかし、彼らは、フロリダの空気がCuriosityの機器内や周辺に残っている危険性を知っていましたので、その可能性を打ち消す為に、再測定を行なう必要がありました。
そして、再測定の結果、メタンのサインは消えていました。

Richard Zareさん(スタンフォード大学の化学者)は、Grotzingerさんの今置かれている不快な立場に理解を示しています。
彼も同様な経験をしています。1996年に、彼は、南極大陸で発見された火星からの隕石に有機化合物を見つたことを報告したチームの一員でした。

*米惑星協会のEmily Lakdawallaさんも、ブログにおいてこの件を伝えています。

*John Grotzingerさんは、WIREDにメールで、詳細については12月3日から7日に開催される米国地球物理学連合(American Geophysical Union:AGU)の学会で記者会見を行うと伝えてきたとのことです。
非常に影響力のある結果なので、研究チームはチェックを重ねているとのことです。

非常に素晴らしい情報を持っているけど、今は誰にも言えない。
結構、同じような悩みを持っている人多いでしょうね。
でも、フロントランナーとなると、もっと孤独でシビアーな立場に置かれるのでしょうね。
慌てずに、待ちましょう!

下図は、SAMで分析できる元素や有機物の表です。

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大砂嵐に成長するか?

2012-11-23 14:29:25 | MSL

上記は、MRO搭載のMars Color Imagerによる11月18日の火星全体の画像です。
(JPLのCuriosityサイトの11月21日付けWhat'sNew。)
MRO搭載のMars Color Imagerの最新情報は、こちらで確認できます。
上記画像には、OpportunityとCuriosityの場所が示されており、矢印で囲まれている地域で疾風によってダストが巻き上げられている様子がハッキリ見られます。
疾風は、Opportunityから1,347km以上離れているとのことです。

科学者による長年の火星観測によって、砂嵐出現に季節的パターンがあることが分かっています。
南極冠のドライアイスが溶け出してくる春から夏にかけての時期です。詳しくは、こちらにて  
発生場所によっては、大砂嵐にまで発達することが分かっているようですね。
ただし、砂嵐の発生メカニズムは、まだ十分解明されていないとのことです。

今年の砂嵐の季節は、丁度数週間前、南半球の春のスタートとともに始まりました。
MROは、11月10日から疾風の観測を始めています。
11月16日から測定を開始したMRO搭載のClimate Sounder instrument(気候測深機器)は、疾風の約25km上空で大気の加温を検知しました。
その時以来、その地域の大気は、25℃程度暖まりました。
これは、その高さで日光を吸収するダストによる効果です。
したがって、この温度上昇は、ダストが地表面上から上空に舞い上げられているということ、そして、強い風が広い地域上空にダストやもやを発生させ始めていることを示します。
こうした大気の温度上昇は、、南半球のダストの多い大気の場合だけでなく、北極地方近くにも大気の循環の変化により生じるホット・スポットが見られます。
この春の前兆をCuriosityは、観測していたようですね。
11月16日当ブログ「REMSとRADの競演=気圧と放射線の関係」 で姿の見えない(ダストを巻き上げない)つむじ風の存在の可能性に触れています。

今回は、MROからの観測と併せて、CuriosityのREMSによる観測が出来ますので、砂嵐発生のメカニズムを解明する為の絶好の機会といえます。
でも、Curiosityの探査に影響ないのか?が心配です。嵐の時に山登りは、しないですよね。
もっとも、山登りの前に"Glenelg"の調査もあるし、まだまだ先のことですから、心配無用ですね。
ならば、ダストストームの真っ只中での観測を期待しましょう。
こっちへ来い!Opportunityから遠ざかれ!
Curiosityは、原子力電池搭載だ!

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立つ鳥、後はグチャグチャ

2012-11-21 13:25:11 | MSL

JPLのCuriosityのWhat'sNewによりますとSol100にCuriosityは、 "Rocknest 3."と呼ばれる岩に近づくために1.9m移動しました。
Sol102に "Rocknest 3."をAPXSで2回(10分/回)の分析を実施しました。
(*Sol100=11月16日16:48-17日17:28 JST、Sol102=18日18:07-19日18:47 JST)

そして、APXSの測定を終えた同じ日(Sol102)にロボットアームを畳んで、次の目的地"Point Lake." へ向けて東へ25.3m移動しました。
チームは、このことを「タッチアンドゴー」と呼んでひとつの探査技術の前進と評価しているようです。
APXSで測定したらすぐに次の目標へ移動することが出来ると確認されたことで、他の調査に時間を割くことが可能となるわけですね。
下図は、移動後に左のNavCamにて撮影したものです。"Glenelg" の中の "Yellowknife Bay"を望んでいるとのことです。
Curiosityは、感謝祭の休暇中に、東への可能なルートおよび目標を探すということです。
Mastcamを使用して回りをじっくり見るわけです。
優先事項は、Curiosityのハンマードリルを最初に使用するためのサンプルとなる岩を選ぶことです。
そして、岩を割って内部のパウダーのサンプルを集める予定です。
ところで、Curiosityは、ロボットアームの「the sample-handling mechanism」に"Rocknest"で採取した5回目のサンプルを保持しているそうです。
しかるべき時に再分析する積りの様です。
「the sample-handling mechanism」とは、CHIMRA(Collection and Handling for In-situ Rock Analysis)のことでしょうか?

米惑星協会のEmily Lakdawallaさんのブログ(2012/11/19 06:36 CST)にもう少し詳しい情報があります。
下記の画像は、JPLのCuriosityサイト「RawImages」にも載っています。
Curiosityは、Sol60からSol99まで滞在した "Rocknest"を散々に踏みにじっています。
何か気に喰わないことが有ったのでしょうか?
違います!Emily さんのお話では、DANでの測定の為だそうです。
DAN(Dynamic Albedo of Neutrons)は、地表下の水の存在を確認する装置です。

下図は、Sol100で1.9m移動した後にNavCamで撮影されたパノラマ写真です。
左が北で右の方が南南東です。

       

いよいよ、新しい展開の始まりとなります。 

Sol102の天気は、SUNNYです。最も、Curiosityが火星へ来てからずっと晴天が続いてますが・・・
気温は、最高気温8℃、最低気温-67℃と結構暖かくなってきました。

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REMSとRADの競演=気圧と放射線の関係

2012-11-16 23:46:12 | MSL

Curiosity関連のmedia teleconference が11月15日11時 PST(11月16日4時 JST) に開催されましたが、SAMによる5回目のスクープの固体サンプルの分析結果の発表はありませんでした。
SAMでは、"Rocknest"での5回目のスクープサンプルをSol93に引き続いてSol96にも再度分析を開始したとのことです。
Sol93(11月9日-10日 JST)、Sol96(11月12日-13日 JST)

今回のmedia teleconference は、REMSとRADの測定結果の発表でしたね。
8月22日の当ブログ「BOOMは?」でREMSの2つのBOOMのどちらかが壊れているのでは?と心配しましたが、無事活躍しているようです。
media teleconference の主な内容が11月15日付(PST)のWhat'sNewに紹介されています。

REMSは、風速/風向、気圧、相対湿度、気温、地熱および紫外線の6つの測定をします。
今回は、そのうちの風向、風速、気圧、気温、紫外線について注目しています。

その結果、東から西への風が確認されました。
これは、当初予想された南から北への風とは、相反する結果でした。

下の画像は、南東に面しているGaleクレーターの斜位像です。時刻は、現地時間で正午です。
×印がCuriosityの場所です。
昼間、風は、赤い矢によって示されるようにクレーターの外に、そして黄色の矢によって示されるように山を上へ流れます。
青い矢は、クレーターの底に沿って流れています。Curiosityのいる場所がクレーターの底に近いので、Curiosityから上に上がるように見えています。
CuriosityのREMSは、こういった風の混ざり合わさったものを測定しているようです。


下図は、Sol31とSol93の1日の気圧の変化です。
Sol31は、Ls=168°で地球の暦にすると9月8日頃となります。南半球では、菜の花の時期でしょうか?
Sol93は、Ls≒203°で地球の暦にすると10月16日頃となります。南半球では、桜が終わって夏へ向かう時期ですね。
気温の上昇によって二酸化炭素は南極冠から蒸気して大気へ拡散します。
毎年、大気はこの結果により約30パーセント程度増減します。
下図のカーブは、午前7時近くのピークと午後4時近くの最小と約10パーセントの強い変化を示しています。
この気圧のサイクルは、「上昇気流」によって引き起こされます。
それは、太陽が地面と空気を暖めることによって駆動された火星の大気中の全球的規模圧縮波です。

下図は、Curiosityが火星で活動を開始した最初の12週の内でREMSによって21回観測されたつむじ風の通過による気圧低下を示す中の1例です。
Sol75の火星時間で午前11時直後の気圧低下(青線)とローバー正面での風向(緑線)の測定結果です。
気圧が下がった数秒以内に風向が変化しているのがわかると思います。
(Curiosityはこの時、西を向いており、90°は、北から来る風となります。)
火星の他の多くの場所でダストデビルの軌跡や影が周回機によって確認されています。
REMSは、ダストデビルの通過を観測しています。しかしながら、Curiosityは、ダストデビルを見つけていません。
研究者は、ダストを巻き上げないつむじ風の可能性を検討しているそうです。

下図は、火星の「上昇気流」、火星の表面での気圧の大きな日変化の原因である気象現象を説明します。
日光は、火星の表面および大気を熱し、その結果空気を上方へと拡大させます。
その結果、日中に気圧の減少を測定し、引き続いて、夜、圧力の増加を測定します。
気圧の増加および減少の正確なタイミングは、惑星の地表の形、および大気中のダストの量を含む多くの他の要因と同様に大気が日光に反応する時間によって影響を受けます。
地球での気象学が活かせるのでしょうね。

下図は、CuriosityのRADによってSol10(9月15日)からSol60(10月6日)の50Solの間測定されたグラフです。
荷電粒子の線量率は、シリコン検出器を使用して測定され、黒で示されます。
線量率(荷電粒子と中性粒子の両方からの)の合計は、プラスチック・シンチレータを使用して測定され、赤で示されます。
変化が毎日、そしてさらにより長い時間スケール上で生じます。
日変化は火星大気の厚さによって動きます。
より長期的な変化は、火星の近くの惑星間空間の中でガスとプラズマの構造によって動くように見えます。
これは、太陽圏と呼ばれる構造で、太陽に磁気的に結び付けられ、約27日の周期で太陽と一緒に回転します。
この太陽圏の構造の密度は、おおよそ27日間の周期に応じて変わり、火星大気が遮蔽を提供するのとほとんど同じ方法で、太陽系の外側から来る銀河宇宙線から保護してくれます。

下図は、Curiosityによって測定された放射線および気圧の日変化を示します。
圧力が上昇すると、放射線量の合計は減少します。
すなわち、大気がより厚い場合、火星の外部からの放射線をより有効に遮蔽します。
赤線は、荷電粒子とニュートロンの両方からの放射線の線量率の合計を示します。
青いドットは、気圧を示します。
Sol21からSol26まで5つのSolの測定です。(8月26日〜9月1日に相当します。)

放射線量は任意の単位で与えられてます。絶対放射線量の校正は、進行中とのことです。

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Sol93 SAM 初固体サンプル

2012-11-14 11:35:19 | MSL

Sol93に"Rocknest"から5回目のスクープで採取したサンプルをSAMとCheMinで分析したとのことです。
SAMで火星の固体サンプルを分析するのは、初めてです。
CheMinでは、3回目の分析となりますね。

SAMで2日間掛けて、質量分析、ガスクロマトグラフィーおよびレーザー分光測定での分析を実施しました。
下図は、SAMのサンプル投入口です。

「初のSAMによる固体サンプルの分析から良い結果を得ています。」
「私たちは、行うべき多くのデータ分析をしています。また、私たちは、分析によって学んだことについて確信を加えるため、Rocknestからの追加サンプルを採取することを計画しています。」
とSAMの主任研究員Paul Mahaffyさん(NASA Goddard Space Flight Center)が言ってます。

下図は、Sol95のRawImageによる5回目のスクープで採取されたサンプルです。

分析は、終了したとのことですが、今のところ発表されていません。
Curiosity関連のmedia teleconference が11月15日11時 PST に開催されますので、その時に報告されるでしょうね。
日本時間で11月16日4時となります。
楽しみにしましょう。

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5回目のスクープ実施

2012-11-10 12:24:08 | MSL

Sol 93 (2012-11-09 15:44:58 UTC: 11月10日0:44:58 JST)に "Rocknest"で5回目のスクープを実施した模様です。
アメリカの惑星協会のEmily LakdawallaさんのTwitterで知りました。

Emily Lakdawalla 「Woo hoo! Curiosity's finally taken another scoop of soil! This one should be destined for SAM:

JPLのCuriosityのRaw Imagesには、下記の写真がありましたが、正式発表はまだありませんね。
いよいよ、SAMでの分析となるのでしょうか?楽しみです。

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大量の水が・・・どんだけ~

2012-11-09 22:03:04 | 火星地形

11月1日のESAの Mars ExpressのNewsによりますとNereidum Montesも火星の氷河の過去を解く手がかりを与えてくれるようです。
10月7日の当ブログ「ドライアイスが銀色に・・・」にて紹介したのと同じArgyre basin(アルギュレ盆地)の中です。
でも今回は、Hookeクレーターの約380km北東のNereidum Montesです。

     10月7日の画像の場所                       今回の画像の場所(小さな長方形がHRSCによりカバーされた地域)

Nereidum Montesは、ほぼ1,150kmの範囲に広がっています。
有名なギリシャの天文学者Eugène Michel Antoniadi (1870–1944)によって命名されました。
*Antoniadiは、火星についての広範囲な観察に基づいてパーシヴァル・ローウェルによって報告された火星の「運河」が事実、単なる光学的錯覚であると結論を下した人です。

Mars Express搭載のHRSCによるこの地域の画像は、多数の河川や氷河および風による影響の特徴を表しています。
HRSC:the high-resolution stereo camera

下記のいくつかの画像は、2012年6月6日にESAのMars Expressの10,736周回目に取得された高解像度ステレオカメラ(HRSC)の真上からの画像と色チャンネル・データから作成されたものです。
Nereidum Montes地域の南緯 40°、西経 50°を中心としています。
画像は、1ピクセル当たり約23mの分解能があります。

下図は、Nereidum Montesを自然な色で形成しており、東(イメージの下方部分)のクレーターの多くの集中した広範囲な地域の一部を示します。
クレーター原の起伏は、火星の中緯度地方で一般に見られ、氷河運動の結果であると考えられます。
下図および次の地形モデル画像の北(より低い右側)の方に見られる、広範囲な樹木状の水系模様は、この地域で液体の水が流れた時に形成されました。
地球で、この種の樹木状の溝は、大量の降雨、あるいは雪か氷河が溶けた後の表面流出によって通常形成されます。
科学者が現在、赤い惑星の表面に水が存在したと考えている大昔の火星で、同様のプロセスが生じたと思われます。

次の画像は、HRSCのデジタル地形モデルに基づきます。
クレーターの直径と深さの間の比率は、水の氷が(ひょっとしたら古代の氷河の形で)乾燥した岩屑の覆いの下に存在しているかも知れないことを示唆します。
科学者は、これらのクレーターの中の水の氷の厚さが数十から数百メーターまであると推測しました。
上記の画像および下記地形学の画像の南西の横(左上半分)の最大のクレーター(地形学のイメージの中で青として示される)のより低く位置する部分への氷河状のものをこぼしたように見えます。
氷結している特徴の(下段)東の滑らかなエリアは、クレーターがほとんど完全に見られないことで、画像内で最も若い場所と見えます。
別の地下水の証拠は、上記画像および下記地形学の画像の北端部(右側)でクレーターを囲む、液体噴出物の形で見られます。
彗星か小惑星が水または氷が過剰供給となった地表面を襲う場合、これらの噴出物構造が形成されます。
最後に、画像の全体にわたって、しばしば、塚と峡谷の風に保護された側の近くで、広範囲なさざ波の形状の砂丘フィールドが生じているのが見られます。

次の画像は、3Dです。

次の画像は、Mars Expressのデーターを用いてコンピュータで作成した立体的な眺望です。
画像の下部にある衝突クレーターのまわりの葉状・扇形の表面や同様に塚と峡谷の風下(風保護された)側に生ずる、さざ波のような砂丘の多くを強調しています。これらは、火星の歴史の中で乾燥した期間に滑らかな平原が作られる前の氷河の広がりを示すものかも知れません。

もうひとつ角度を変えた画像です。

Nereidum Montesのような地域の綿密な研究は、将来のロボットおよび人間による調査のために刺激的な場所を見つけるのを支援すると同時に、火星の地質学的過去を解明するために主要な役割を果たしてくれるでしょう。

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地球での目覚め

2012-11-08 19:03:39 | MSL

11月6日のJPLのWhat'sNewによりますと、Curiosityの火星着陸以来、チームが3ケ月間続けてきた火星時間でのシフトを地球時間に戻しました。
今後は、Curiosityチームの仕事のほとんどは、午前8時〜午後8時(PST)の範囲内に収まるようです。
PDT(夏時間)表記もPST(標準時間)に変わりましたね。

「みんな火星時間から解放されて喜んでいる。」
「チームは、着陸後最初の週で、毎日のプロセス計画策定の時間が16時間以上だったのを12時間へ下げることに成功しました。私たちは、オペレーションの効率を良くしました。」
と Richard Cookさん(MSL project manager、JPL)が言ってます。

Curiosityチームは、約200人のJPLエンジニアと約400人の科学者(大部分がJPLの人ではない)で構成されています。
JPLである程度の時間を過ごした、200人を超える非JPL科学者は、北アメリカとヨーロッパの至る所でのそれらの所属機関から定期的に参加し続けます。
チームは、テレビ会議およびウェブ接続を使用する用意をしています。

「私たちがやり終えた、同じ場所で一緒に働くという過程は、毎日のスケジュールの圧力の下でのチーム作りおよび互いに知り合うということに信じられないほど価値がありました。」
「私たちは、今、人々を彼らの家から離れて生活させる必要なしに、共同作業を上手く継続することができるポイントに達しました。」
とJoy Crispさん(MSL Deputy Project Scientist、 JPL)が言ってますね。
3ケ月は、長いですね。それも、1日が24時間37分という変則な時間ですから・・・
地球上でも時差はありますが、毎日同じ時差です。地球と火星とでは、一寸簡単な計算が必要となりますね。

数日間後には、SAMとCheMinの両方に投入するサンプルを採取するために、Rocknestで5回目のスクープを予定しています。

下図は、Sol84でのCuriosityのMAHLIによる画像です。
(Sol84:10月31日 JST)
このポートレイトは、Curiosityの外観の経時変化を確認する為のものです。
洗車機を持って行ってないもので・・・

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REMS 今も全力、未来も見つめて!

2012-11-06 12:28:27 | MSL

Astrobiology Magazineの10月25日付けのFelipe GómezさんのREMSに関するインタビュー記事です。
Felipe Gómezさんは、スペインの研究者でREMSを研究対象とする科学者の1人です。

Q:一般にどんな種類の研究を行いますか?
A:私は、極限環境(すなわち極限環境微生物)を用いて仕事をし、生命の識別用の自動ツールを開発する生化学者です。
私は、火星はもちろん、または別の惑星上でも、それを見れば生命を認識することが出来る方法を理解する為に、地球での居住適性研究に取り組んでいます。
私は、「居住適性インデックス」を開発するために過去数年間、世界中の極限環境を研究しています。
それは、火星におけるMSLのミッションで特殊なケースに適用されています。
私は、生命であるところの特定の物理的化学的工程を理解するために地球で生命の限界を研究しました。(私たちが他の惑星上のそのようなプロセスを認識したければ、それは、必要です。)
居住適性インデックスの開発には、3つの主成分があります。
それらは、(1)エネルギー入力、(2)液体状態にある利用可能な水、(3)重要な生命成分である炭素、水素、酸素、窒素、リン、また硫黄です(CHONPSとして一般に知られている)。
C:炭素、H:水素、O:酸素、N:窒素、P:りん、S:硫黄
これらの元素のすべては、居住適性可能性測定の全体のモデルを構築します。
CHONPSは、火星の地面上には利用可能な量は、少ないですが、それらは利用可能です。
エネルギー入力は、さらに、いくつかの表面成分において利用可能な潜在的な代謝エネルギーとして計算されます。
最も大きな問題は、水の有効性です。
このことがこの居住適性可能性のための最も重要で最も論争の的になっている部分であるので、この最後のポイント(水)は、私がMSLミッションともっとも関係するものです。
私の他の研究ライン-生命の確認の為の自動システムの開発-は、生命の特徴のサインを捜すシステムを開発することに集中することです。
例えば、それは、生命だけが作ることの出来る生命存在の証拠、すなわち正確に言えば、生命が進化し再生する時に生命によるエネルギーのインプットや環境パラメーターの変更を意味します。
研究している生命検知のための自動システムは、Curiosityには、搭載されていません。
それは、火星や火星を超えた遠い場所の将来のミッションのために私が開発しているものです。
それは、生命の新陳代謝の探知システムに基づきます、それは、生命確認の為、生命によってのみ促進される環境パラメータの変更に注目したものです。

Q:特にMSLでは何を行いますか?
A:MSLミッションでの私の主な科学的な関心は、MSLデータを使用して、火星での「居住適性インデックス」を適応させることです。
例えば、私は、CuriosityがいるところのREMSデータ(環境情報)と環境の居住適正可能性を測定するための他の機器を使用してます。
他の機器は、今後、生命または生命の痕跡が固定しているかもしれない場合、Curiosityのまわりの特別のスキ間を識別するのを助けることができます。
そのスキ間とは、Curiosityが行くことの出来ないところで、しかも火星で生命存在の可能性の高い場所「ホット・スポット」です。
REMSは、気圧、大気および地表面温度、大気中の水分および風速/風向、UV放射線を測定できます。
これらは、すべて非常に重要ですが、さらに、他の道具からの情報も必要です。
例えば、私は、モデルの他の重要なコンポーネントを評価するために強風クレーター、および特にシャープ山の層状材料のうちのいくつかの鉱物学を知る必要があります。
さらに、私は、火星においてMSLミッションで求められる重要な質問であり、居住適性可能性に直接関係するウォーターサイクルに非常に興味を持っています。

Q:あなたの仕事は、どのように宇宙生物学的質問に答えるのを助けることができますか?
A:私の仕事は、私たちがMSLミッションの主な科学的目的のうちの1つ(火星での生命の「居住適性」)に答えるのを助けることができます。

Q:Curiosityが火星に着陸した時、どう思いましたか?
A:それは、実際、私にとって刺激的な瞬間でした。
幼年期以来ずっと、私はNASAの宇宙飛行に関して熱烈なファンでした。また、私は、熱烈な感情でそれらすべてに興味を持っていました。
今、私がそういうミッションの一員であるということは、私にとってまるで夢のことのようです。
Curiosityが着陸した瞬間、夢は現実になりました。
火星の表面でのオペレーションの準備をするために、私たちが行った大変な仕事がすべて、その瞬間に幸福な良い感動に変わりましたので、それは、特別の瞬間でした。

Q:REMSから予備データを受け取りましたか、また、そうならば、REMSが火星表面で活動していることを知ってどのように感じましたか。?
A:私たちは一日単位でデータを受け取っています。
毎Sol[火星の1日]、私たちは、火星からの気象データを持っています。
火星で活動しているCuriosity、そしてそこに搭載されている機器で仕事をすることは、非常に刺激的であり、科学的挑戦です。
そのようなミッションのための科学チームの一員であるということは、実際、私にとっての挑戦です。
(火星で活動し、火星表面から地球へデータを送ってくるCuriosity)

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SAM Galeクレーターで早春の大気を嗅ぐ

2012-11-04 12:27:53 | MSL

11月2日のJPLのWhat'sNewでSAMによる大気分析結果が発表されました。
11月2日10時 PDT(3日2時 JST)のmedia teleconferenceで発表と質疑を見ることができます。

測定場所は、Galeクレーター内"Rocknest" (東経 137.42°、南緯 4.49°)で、南半球の早春の時期となります。
地球の10月中旬に相当するかと。
SAMへ大気が吸引され、 四重極質量分析計(QMS:Quadrupole Mass Spectrometer)と 波長可変レーザー分光(TLS:Tunable Laser Spectrometer)の2つの分析器にて測定しました。

下図の左側は、TLSによる測定結果でアルゴン-40がアルゴン-36の2,000倍多く存在することが確認されました。
下図の右側は、地球で発見された火星由来の隕石の断面です。黒い部分にガスが残っていました。
この隕石に閉じ込められていたガスの組成と今回の分析結果が一致したとのことです。
また、二酸化炭素の放射性同位体も左のチャートに表示されています。二酸化炭素-44が一番多く存在していることが分かります。
二酸化炭素の中の炭素が重い同位体が理論値よりも5%増加していることが確認されました。
重い同位体が残る傾向が確認されましたので、今後データーを蓄積することで大気の散逸のメカニズム解明に繋がるものと期待してます。

下図は、QMSによる測定結果です。
今後、定期的に分析を実施することで大気成分の季節変動を捉える計画です。

今回の結果でメタンの測定は、出来ませんでしたがガスクロマトグラフ(GC:Gas Chromatograph)がまだ活躍していませんので、期待したいですね。

次は、SAMによる固体サンプルの分析が実施されます。楽しみ~

下図は、火星における揮発性物質の存在と移動の様子を示しています。
火星等の惑星において、これらの揮発性分子は、火山の噴煙によって大気の中へ地殻および惑星内部から放出されます。
火星では、二酸化炭素の多くの量が、季節変動によって極氷冠と大気の間を移動しています。
そして、軽い分子ほど大気から宇宙空間へと散逸して、その結果、より重い分子が残るわけです。
Curiosityがいろいろな年代の岩石に閉じ込められているガス組成を分析することで大気の変化を読み取ることが出来るはずです。

 

下図は、メタンの生成と喪失を示しています。
地質学的に生成したものか?微生物の生命活動によるものか?はたまた、火星外からもたらされたものなのか?
メタンは、紫外線によって分解されますので、メタンの存在は、現在も生命活動がある可能性を示唆しています。

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