火星への道

有人火星探査の実現を夢見て!火星ミッションの情報を提供しています。

Sol437 新たな調査目標

2013-10-31 00:03:11 | MSL

10月29日のWhat'sNewによりますと"Cooperstown,"という新たな調査目標を設定したようです。
下図で地平線から少し下がったところに黒い帯のように見えるところが"Cooperstown,"です。
幅が約30mでCuriosityからの距離は、約80mです。 
この画像は、Sol437(日本時間10月29日)にNavCamで撮影されたものです。 
左端にSharp山の縁が見えており、方角としては、南南西となります。 
右端には、Galeクレーターの縁の一部が写っており、方角としては、西です。 

研究者達は、"Darwin"で調査に4日間費やしましたが、"Cooperstown,"では、1日で済ます計画です。
調査もしたいけど、先も急がなくてはならないのです。
"Cooperstown,"は、MROによる軌道からの画像で発見された層状物質からなる魅力的な露頭であり、Yellowknife Bayと Sharp山の地質を関連付けるために役立つだろうとのこと。
また、11月4日の週に火星到着後3回目となるソフトウエアのアップグレードを実施する予定もあります。
このアップグレードによって、 例えば、Curiosityは、翌日も継続して自律運転を再開するための情報を1晩保存することができる様になります。
これで運転効率を上げることが出来ますね。
今までは、夜に省エネのスリープモードに入るとCuriosityの揮発性メモリがクリアされていました。
また、斜面に停車しながらロボットアームを使用するための機能を拡張します。この機能は、Sharp山での調査に有効ですね。

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モスクワにズブリン会長現る!

2013-10-30 12:22:45 | 火星協会

火星協会の会長Dr. Zubrinさんが、モスクワを5日間の予定で訪問しました。
目的は、「マーズダイレクト」を広めるため議論を交わすことです。 
下記の2箇所で行われました。
最初は、22日にthe Skolkovo Institute of Science & Technology, a private graduate research universityにて行われました。
(the Massachusetts Institute of Technologyと共同で設立された大学です。)
2番目は、23日にthe Moscow Aviation Instituteで行われました。
(航空宇宙技術に特化した世界有数のエンジニアリング学校の一つです。)
かなり反響があり、マスコミの取材も受けています。
詳しくは、ロシア語ですが、下記を参照して頂くとマーズダイレクトについてとモスクワでの反応がわかると思います。

http://mars-tefo.livejournal.com/54344.html  [火星ダイレクトスライド付き】
http://www.mk.ru/photo/social/7465-mars-v-quotkosmosequot.html?page=1&img_id=115624#写真
http://ria.ru/space/20131021/971495779.html
https://plus.google.com/photos/117177088164256678969/albums/5937538173498031169  [写真]

下記は、マーズダイレクトの概要です。

                  

下図は、行きの計画です。
LEOに約140tの宇宙船を打上げれば、火星地表面に20t-40tの物資を届けることが出来ます。
アポロ打上のサターンVの改良で可能です。
貨物ロケットと有人ロケットの2機を組み合わせてミッションの自由度を確保します。
先行して水素を積んだ貨物ロケットを火星へ送り込み、そこで帰還用の燃料製造と酸素や水を製造して、それが確保されてから有人ロケットと2機目の貨物ロケットが出発すると言うシナリオです。
貨物ロケットが帰還用ロケットとなります。有人ロケットは、ハブとして火星での居住施設となります。

下図は、有人ロケットが火星へ着陸したところです。
ハブは、ツナ缶方式で縦型となります。
マーズダイレクトは、初期のミッションとして計画されているので、重機を使用しないで居住可能な設備として利用できるように考えられています。

下図は、燃料と水と酸素を作る計画です。現地調達方式です。

マーズダイレクトの詳細は、下記の本が基本的文献となっています。

マーズ・ダイレクト―NASA火星移住計画

ロバート ズブリン
徳間書店
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良い競争を!宇宙開発のワールドカップを目指そう!

2013-10-24 12:14:47 | Weblog

EmillyさんのISROのMars Orbiter Missionに関するブログの中でインドと中国の競争をアメリカとロシアの競争になぞらえたBBCのニュースを「大変優れた記事」と紹介してます。
事務局も大変共感したので紹介します。 

<BBCニュースの趣旨>
・ ISROのMars Orbiter Missionの主な目的は、新興の宇宙開発国であるインドが惑星間ミッションをやることが出来るかどうか確かめるためにインドの宇宙技術を実地に試みることです。

・このミッションが成功した場合、ISROは、既に火星に探査機を送った米国、欧州、ロシアに次いで第四の宇宙機関となります。

・Pallava Bagla氏によるとインドの国民は、特に赤い惑星へ中国に先駆けて到達する可能性について興奮しているとのことです。
「インドが火星に行くことで中国を打ち破った場合、国家の誇りを想像することができます。」と彼はBBCニュースに語りました。
*Pallava Bagla(science editor of New Delhi television news and author of a book about India's space efforts, Destination Moon)

・このミッションは、インドのManmohan Singh首相が昨年の8月に行った独立記念日の演説の中で公表されました。
演説の場所は、ニューデリーの最も象徴的な建物の一つの城壁(the Red Fort)でした。
the Red Fortは、世界遺産のようです。 

・Bagla氏によると、「the Red Fortの城壁から言われた言葉は、常に国家の誇りに満ちたものである。そして、国家の誇りは、このミッションに非常に大きくそして大胆に書かれている。」とのこと。

2011年、火星にYinghou-1という名前の宇宙船を送ろうという中国の試みが技術的な問題のため失敗しました。
その後、インドの宇宙機関は、火星ミッションをわずか15ヶ月で準備しました。

・インドは30年以上の間、宇宙計画を継続してきました。
最近まで、その優先順位は、人工衛星との通信インフラや環境モニタリングを改善することで直接、貧困層を助けるであろう技術を開発することでした。

しかし、2008年には、ISROは、衛星を建造し打上げるための恐ろしくたくさんの能力の重点を探査の方へと変更しました。
そして、月にChandrayaan-1という宇宙船を送りました

月面ミッションは、55百万ドル以上を要しました。
今、政府は、火星へ行くために、さらに60百万ドルを費やしてきました。

・貧困問題の観点から、宇宙開発へ多くの予算を使う前に貧困の解決が先だと言う意見があります。
それに対して、Bagla氏は、この60百万ドルを直接的に貧困層に使っても4億人の貧者を貧困から抜け出させることは出来ません。と言っています。
Prof Andrew Coatesさんによりますと、それ以上に、この探査計画は、大きなものをもたらすと以下の通り言ってます。

「宇宙開発のためのインドの能力を示すことで、打上や宇宙船の市場にインドが参入することが可能となり、大きな産業を作り出すことが出来ます。」
* Prof Andrew Coates(who rejoices in the impressive title of "Head of the Solar System" at the Mullard Space Sciences Laboratory in Surrey, part of University College London.)

・また、Sandeep Chachraさんは、BBCに「重要なことは、良い大きいことのために科学技術がもたらす進歩を活用し、染み付いた貧困を克服し、将来の世代への希望を構築するために、それらの進歩を利用することです。」と話しました。
* Sandeep Chachra(executive director of the poverty eradication charity Action Aid in India)

・しかしながら、中国は宇宙開発で大きな力を持っています。月へ人を送る計画を進めているところです。

・JAXAもアジアで重要な力を持っています。アジアの宇宙機関としては、はるかに最も経験豊富で、多数の無人科学惑星間ミッションを行っています。

・Prof Andrew Coatesさんは、「インド、中国、日本は、確かにお互いに他を上まわることを狙っています。」と言ってます。

・この成長する競争関係は、最終的には、アジアの新興宇宙開発国家間のより協調的なミッションにつながるような -宇宙探査の新たなブームを見ることになる可能性があります。
そして、最終的には、火星に宇宙飛行士を送るための真にグローバルな取り組みにつながるかもしれません。
                                                                   以上 

全く同感ですね~国際協調なくして火星の地は踏めないと思います。
ただし、お互いを鼓舞するような協調的ではありながら、厳しい競争が必要なのでしょうね。
宇宙開発のワールドカップを夢見てます。

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またまた延期!

2013-10-23 00:14:27 | インド

ISROのHPを見たら打上が11月5日14:36(IST)(日本時間18:06)となっています。
9月27日の当ブログ「色々ありますが、とにかく前進しました。」で触れましたが、当初予定では、打上時期が10月21日から11月19日であったのが10月28日の午後に変更されていました。
それが更に変更と言うことになった訳です。
11月19日というおしりが決まっている中での変更なので、問題ないといえばその通りですし、なにかありそうと言えばありそうでもありますね・・・

下図は、MARS orbiter mission の火星までの軌道です。(ISROのHPからの引用です。)

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活動さ~い~かい

2013-10-23 00:02:14 | MAVEN

MAVENの10月19日付けFACEBOOKで作業再開が報告されていました。
22日付けFACEBOOKには、spin testを実施したことが報告されています。
spin testは、毎分10回転までの回転でのバランスをチェックするものです。
いよいよ次のステップとして、今週末には、MAVENに燃料が積み込まれるようです。 
また、本日はMAVENを包むフェアリングが「the Payload Hazardous Servicing Facility's high bay」に運び込まれたとのことです。
MAVENの包装は、11月初旬に始まる予定です。
打上は、11月18日13:28 EST(日本時間 11月19日3:28)となっています。

いろいろ気を揉みましたが、無事予定通りの打上に向かって作業が進捗しているようで一安心です。

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打上準備完了!Phobos-Gruntの雪辱なるか・・・

2013-10-22 00:01:22 | インド

ISROのHPの表紙が「Mars Orbiter Mission」になっていますよ。
打上ロケットPSLV-C25と宇宙船の組立完了 → 10月22日にヒートシールドを閉鎖する予定との事。
打上窓は、10月28日から11月19日
打上場所は、SDSC、SHAR、Sriharikota

打上げて地球のパーキング軌道に乗ってから火星へ向かうというロシア方式です。
Phobos-Gruntの失敗を思い出してしまいますが、今度は成功して欲しいものです。
地球軌道を離れるのが11月30日となっています。
火星軌道へ投入が2014年9月20日の予定です。

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もっとデータを!

2013-10-19 12:44:16 | MSL

10月15日のブログでEmillyさんがその前の週に行われたPlanetary Sciences meetingの分科会(DPS)で聞いた、Curiosity搭載のSAMの測定に関する報告について言及してます。
その内容をひとつの文章で表現すると「More data is needed.」だそうです。 

Caroline Freissinetさんの発表です。
Rocknest と Yellowknife Bayで採取したサンプルをSAMで分析し、炭素含有化合物を検出した結果を報告しました。
SAMは、いくつかの炭素含有化合物を発見しましたが、それが火星由来の有機物であるかどうかは、明確になっていないとのこと。

SAMが直面している最初の問題は、結果を混乱させる可能性のある汚染物質が含まれていることです。

「SAMの有機化合物を確認する仕組み」
SAMは、N-Methyl-N-tert-butyldimethylsilyltrifluoroacetamide(MTBSTFA)という物質を満たしたいくつかの "湿式化学"セルを持っています。
この物質は、有機物質と反応して、気体に変わりやすいが、熱で分解することが困難である新規物質を形成します。
SAMのオーブンによる加熱で単純な化合物に燃焼されることなく、うまく生き残れれば、それは、火星の有機化合物の可能性が高くなり、そしてSAMのガスクロマトグラフ質量分析計を通って流れる気相に行く可能性が高くなり、そして更に、実際にそれがなんの有機化合物なのかが解明できることが期待できます。

 MTBSTFA 

問題は、このMTBSTFAの一部がSAM内に漏れたと思われることです。
MTBSTFAは、有機化合物です。従って、SAMが有機化合物を検出したとき、我々は、それらが火星のサンプル由来なのか、または単に漏洩MTBSTFAであるかどうかを知ることはできません。これは大きな悩みです。

Freissinetさんは、MTBSTFAの汚染を補正する方法をいくつか考えています。
ここでは、省略します。興味ある方は、原文をご確認ください。

Freissinetさんは、発表を興味深い言葉で終了させました。
「これらの化合物中の炭素の由来がどこであれ、試料中に存在する炭素化合物に多種多様性がありません。」
彼女はその点について詳しく説明しませんでしたが、自然に炭素質材料が発生している場所には、通常、炭素含有種が多くの種類存在するものです。
だから、少し奇妙です。

もうひとつ、同じセッションでMichael WongさんがSAMのQMS(Quadrupole Mass Spectrometer)を使用して火星大気中の同位体について測定したいくつかの非常に混乱した結果を発表しました。
QMSは、窒素14、窒素15、及びアルゴン40の割合を測定しました。
地球で採取された火星隕石の中に閉じ込められたガスの窒素同位体比の測定は、以前バイキングから報告された結果と一致しています。
これとは対照的に、アルゴン/窒素比でCuriosityの測定結果は、バイキングの結果や火星隕石で測定された比と合っていませんでした。
Wongさんは、「チームが広範囲に調査しているし、MSLデータを疑う理由を見つけることはありません。」と言ってます。
また、「彼らは、校正ガスを持っており、それを測定して測定値を確認している。」「だから我々は、今、頭を悩ませている」と言ってます。
彼は、可能性のある原因を推測:隕石が火星から飛び出した時点から、またはバイキングが測定した時点と現在の大気中で変化があったのか?
しかしながら、現在、バイキングが測定したオリジナルの生データ(特に、バックグラウンドの測定)を見つけることが出来ないので、バイキングの測定結果との比較は、難題であるとのことです。
*バイキングの生データは、一体どこへ行ったのでしょうか?誰かのファイルやノートの間に潜んでいるのかも・・・ 

Sushil Atreyaさんが本会議講演の後半で述べたように、窒素、アルゴンの割合が混乱しているのかもしれません。
SAMによって測定されたアルゴンの同位体比(アルゴン38にアルゴン36の割合)は、火星の「大気の損失の明確なシグナル」と「火星隕石が実際に火星から来たことの最良の証拠」を提供します。
バイキングによるアルゴン同位体比の測定は、不確かだったようです。
しかし、SAMによる値は、火星は、その原初の大気の50%から95%を失ったことを示しています。

DPSにおいてFreissinetさん、Wongさん、およびAtreyaさんは、異口同音に「科学者たちは、常により多くの作業が必要である。」と言ってます。
しかし、Curiosityは、間違いなく遥かに多くの作業が必要とされている状況です

このミッションには、迅速な答えはありません。
そして、我々が質問に答えるために必要なデータを取得するまでかなり長い時間が掛かることでしょう。

Atreyaさんは、次のように言ったそうです。
「今こそCuriosityミッションのモットーは、「Sharp山か完敗か?」です。
Curiosityは、今、運転、運転、更に運転、そしてSharp山の麓に到達するために通過しなければならない合計9キロの約3分の一をカバーしています。
この後、長距離トラバースマップの "Waypoint2"に立ち寄る予定がされていますが、私が会議で人々とした会話によると、彼らは、停止をスキップして、ただ前進を進める可能性が高いと思いました。
人々は、できるだけ早くSharp山に到達させるための多くの圧力の下にあったことを私に言いました。
それは、軌道から鉱物学にとって興味深い多くの証拠を示していない道沿いの岩について科学のために時間を無駄にしないことを意味します。
これらは、私たちが探している岩ではありません。」

最後にEmillyさんは、Curiosityチームが仲間同士でこれらの混乱を共有して、対処しようとしていることが嬉しい。
そして、Curiosityをチャレンジングな方向へ進められて嬉しいとも言ってますね。 

さあ、あの山に登ってもらいましょう!

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いよいよ一生に一度のご挨拶

2013-10-10 00:01:25 | Weblog

9月29日に火星周回機MRO(Mars Reconnaissance Orbiter)搭載のHiRISEが火星に接近中のISON彗星を捉えました。
*この時の火星との距離は、約1,280万km(800万マイル) 

次の観測は、10月1日と2日に行われたようです。(まだ、発表されていませんね)
*この時の火星との距離は、約1,120km(700万マイル)
現在のISONの位置は、火星の近くなので太陽から約2.41億kmです。 

ISONは、11月29日4時9分(日本時間)に近日点を通過します。
この前後にISONは、最高に明るくなり、マイナス等級に達すると予想されています。
*この時の太陽との距離は、116万km以内
12月27日頃地球に最も接近します。 

現在は、日の出前の東の低空に火星と一緒に見ることが出来るようです。
11月後半には、明るさが増して双眼鏡で見つけることが出来、運がよければ肉眼で見れる可能性もあるそうです。
逆に、地球接近の頃は、近日点の頃のほど明るさは期待できないとのことです。
*以上、国立天文台の記事からの引用です。 http://www.nao.ac.jp/astro/sky/2013/ison.html

また、速報性では、AstroArts「アイソン彗星」特設サイトも充実しています。

ISONは、回帰しない彗星なので、観測は、今回が一度きりのチャンスです。
12月末から1月末までは、周極星となって一晩中北の空で見ることが出来るそうですので、寒くなりますが、頑張って観測したいものです。

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足元に不安?それとも、1マイル走破の勲章?

2013-10-08 23:12:43 | MSL

10月2日の惑星協会EmillyさんのブログによりますとCuriosityの左前輪に損傷が見られるとのことです。
Emillyさんは、「でも心配しないで!全く問題ありません!」と言ってます。
下図がSol411(2013年10月2日)にMAHLIによって撮影されたものです。

 下図は、損傷箇所をアップしたものです。

Emillyさんは、この車輪に開いた穴を見た人は、2つの疑問を持つでしょうと言ってます。
1. 20億ドルも費やしたミッションなのに!アメリカは、より良い車輪を使えなかったのか?
2.このことで、ミッションに障害とならないのか?

Emillyさんは、最初に「2」について答えています。
Curiosityが要求されている性能については、この車輪の受けた損傷から全く影響を受けないとのことです。
車輪に要求されていることは、回転することと地面をしっかり掴むことです。
Curiosityの車輪は、めちゃくちゃ高いトルクを持っており、最高速度は、秒速5cmです。(時速:180m)
*これは、Opportunityとも同じだそうです。
通常の速度は、毎秒1cm~2cm(時速:36m~72m)です。
これは、「走行する」とか「回転する」と言うよりも「すり足」です。
(Emillyさんは、火星では車輪が正方形の方が上手く転がるという確かな筋からの情報を持っていると言ってますね。)
車輪のトレッドの間の肉厚が薄い部分に出来たこのような損傷は、予期されたものでミッションへの心配はないとのことです。

「1」の質問の答えは、宇宙探査のジレンマを象徴していますね。
火星へ持って行ける重量に制限があるためあちらを立てれば、こちらが立たずという中でのミッションの最適化の結果です。

Emillyさんは、以下のように言ってます。
「Curiosityの車輪に穴が開いたことは、全く間違っているように思える。しかし、それは、やるべきことをやった結果なのです。イライラしないでください。1マイルを走破した名誉のバッジとしてその穴を楽しんでください。」 

同じSol411のRawImageの中に下記の画像がありました。
穴が開くには至ってませんが、全く無傷とはいきません。そこそこダメージを受けていることが分かります。 
これからも更に長い距離を移動して、そして山登りを予定してますので、やっぱり心配ですね。 

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僕が行かなくっちゃ

2013-10-06 00:44:14 | MAVEN

10月4日のFACEBOOKでMAVEN Principal Investigatorの Bruce JakoskyさんがMAVENの打上に関して報告しています。
MarsDailyにも関連記事が載っています。
結局、現在のアメリカ政府機関の一部閉鎖にもかかわらず、NASAは、MAVENが緊急例外に相当するので予定通り打ち上げすることを確認したとのことです。
MAVENには、探査目的以外に現在火星地表面で活動中のOpportunityとCuriosityを地球と繋ぐ中継基地の役割があるからです。
そのため、例外規定が適用される見通しだとの事です。 
現在は、MRO(Mars Reconnaissance Orbiter)Mars Odyssey が中継の役割を担っていますが、MAVENの後には、周回機を打上げる予定がないのです。
Jakoskyさんは、11月18日には、打上準備を完了することを目指して頑張ると言ってます。

オバマさんも頑張って!

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地表の土に2%の水分!でも、荷造りはまだ早いとのことです!

2013-10-02 00:02:53 | MSL

9月26日のWhat'sNewによりますと、Curiosityが着陸してから約4ケ月間で得た情報のレポートが「the Sept. 27 edition of the journal Science」で報告されています。
その中で、一番のビッグニュースは、水分の発見ですね!
 

主な舞台は、"Jake Matijevic."と"Rocknest"です。

Sol43に"Jake Matijevic."をMAHLIとAPXSの調査対象に決めてます。

  

Sol56で"Rocknest"に最接近して、Sol61で初めてサンプルを掬ったのでした。
下図は、Sol59-60でNavCamで撮影されたものです。 

今回の発表の主な点は、以下の通りです。

・地表のきめ細かな土粒子に約2%の水分子が含まれていることが分かりました。
この土粒子は、火星のほとんどの表面を覆っているので、火星全体に水があるといっても良い発見です。
(今後の有人探査に勇気を与えるものとなりましたね。でも、荷造りはまだしないでといっている人がいます。
http://news.discovery.com/space/mars-water-discovery-human-mission-resource-curiosity-130926.htm)

地球での鉱物を識別するための標準的な実験法を用いて、初めて他の惑星で包括的な鉱物学的分析を完了しました。
土壌中の結晶と非結晶の両方の組成に関する知見は、惑星の火山の歴史への手がかりを提供するでしょう。
*分析に使用した機器:
CheMin

・サッカーボール大の火成岩"Jake Matijevic." の鉱物組成分析によって、火星の地殻と内深部の進化についての情報が得られました。
火成岩は、地殻の下で溶融物質が冷却されることによって形成します。
岩石の化学組成は、それらが結晶化した際の熱、圧力および化学的条件を推論するために使用することができます。
今までに調査した火星の火成岩は、それほど地球の火成岩と似ていなかった。
今まで調査した火星の火成岩が地球の火成岩とも "Jake Matijevic."とも大きく違うということは、驚きであるとのことです。

・砂とダストの組成と風の流れによる形成過程の分析が報告されています。

・"Rocknest"と呼ばれる吹き溜りからサンプルを掬い取って、5つの分析器で調査しました。
"Rocknest"
は、複雑な歴史を持っており、その地域で発生した砂の細粒を含んでいます。
それは、風に吹かれた火星のダストのサンプルが地域的あるいはグローバルに分散した砂粒子と同様に、細かい粒子です。
*分析に使用した機器:「ChemCam」「APXS」「MAHLI」「SAM」「CheMin」

・ChemCamの分析によって、"Rocknest"の土微粒子と風に運ばれたダストの組成が同じであることが分かりました。
Curiosityは、139回レーザーで分析を実施したそうです。 

・"Rocknest"のサンプルの組成を決定するためにCheMinが使用されました。
CheMinは、10の異なる鉱物を識別するのみでなく、結晶構造も解析できます。
その結果、予想外なことに結晶性鉱物より非晶質成分のものが多くを占めていることがわかりました。

・また、サンプルは、SAMに取り込まれてSMS(sample manipulation system)で焼かれて、そこから放出されたガス中の化学物質と放射性同位体の分析が行われました。
この時に水分が確認されました。その水分子は、非晶質に結合していることが分かりました。 
更に、この水の水素同位体比は、最近の大気との相互作用によるものであることを示しています。
(遠い昔に閉じ込められた化石ではなく、今も循環している水、生きている水なんです。)

また、この加熱装置による分析で塩素酸塩、過塩素酸塩のような酸素と塩素を含む化合物も発見しました。
これは、2008年にPhoenixが遥か北極圏で発見したものです。
過塩素酸塩のような化合物が火星に広く分布していると考えられます。 

*懐かしいですね!Phoenixの活躍は・・・
  Phoenixが過塩素酸塩を発見したことは、当ブログ2009年7月4日の「 
いよいよ正式な論文が出ました!」で紹介してます。
  この時もScienceに掲載されたのでした。 実際に分析を実施したのは、約1年前でした。

New Curiosity Research Papers - From Sept. 27, Science Magazine Issue

上記のGrotzingerさんのサマリーと5つのレポートは、着陸から4ケ月間の調査結果となります。
4ケ月というとSol120頃で、12月7日です。実質"Rocknest"の調査を終えたのは、Sol100(11月16日)ですが・・・
Curiosityによる2012年12月7日までの調査結果が2013年4月3日にレポートとして纏められて提出された訳ですが、出版の受理が8月15日で実際の出版が9月27日ですか~
結構掛かるものですね!拙速では困りますから、こんなもんなんでしょうかね。
そして、未だにCuriosityが取得したデーターの分析が継続されているとの事です。
もっと、火星のことが分かることを期待してます。 

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