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 日本振興銀行が経営破綻し、破綻処理の手続に入ったと報道されています。かつて金融機関の破綻は多く、毎週のように破綻の報道が続いた時期もありましたが、今回は久しぶりという感じがします。

 しかも、今回は、初めてづくしで、① 預金の全額が保護されるわけではなく、元本1000万円+利息のみが預金保険で保護されること(ただ、それを超える預金も、振興銀行の債権回収等により、支払の可能性があります。預金保険以外の支払がないというわけではありませんので注意して下さい。)、② 破綻金融機関の承継機関への資金援助という間接的な預金保険金支払方法ではなく、預金の払戻しという預金者への直接的な預金保険金支払がなされること、③ 行政的な手続だけでなく、民事再生手続という裁判所が関与する手続が取られること(10月に申立予定と報道されています。)等が挙げられます。③は、あまり大きく報道されていませんが、司法関係者としては重要なものです。

 私は、平成11年から平成13年にかけて、預金保険機構に出向し、他官庁や民間銀行から出向してきた人たちと一緒に作業し、ペイオフに備えるというのを目標にしてきましたが、今回初めてペイオフが発動されることで感慨深いものがあります。それと共に、上記③のように、金融機関も裁判所の倒産手続で破綻処理されることになり、倒産手続にも新たな歴史が刻まれるという感じがしますが、少し大げさでしょうか。担当する東京地裁の担当部署の皆さんは、先例がなく大変だと思いますが、処理方法がこれからのモデルになると思いますので、裁判官、書記官、事務官の皆さんで協力してがんばってください。

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