日本裁判官ネットワークブログ
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 私は,勤務する裁判所から約20㎞離れた自宅に住んでおり,月に一度,夜間の令状当番を自宅待機で勤める。夜9時までは裁判所に居残った裁判官が令状当番をするので(看護師でいうと準夜勤),夜間当番(深夜勤)は夜9時から翌朝8時まで当番をする。管内の警察署から令状請求(逮捕状,捜索差押許可状,鑑定処分許可状などの請求)を受けると,裁判所で当直している書記官が受付をし,記録を点検し,発布する場合の令状の準備をし,今から行くと私に電話をしてから,事務官がタクシーに約40分乗って私の家までやってくる。
 寝入る前に連絡があればよいが,寝入りはなに起こされると辛い。私は早寝早起きなので夜10時から午前2時までに起こされるのが辛いが,午前3時以後なら平気である。もっとも,そんな時間だと当直している書記官・事務官は大変だ。
 もちろん,犯人を追いかけて捕まえてくる警察官の苦労はもっと大変だが,彼らは夜勤明けはおそらく非番(休暇)だろう。
 しかし,裁判官・書記官・事務官は夜勤明けが休暇になるわけではない。深夜令状当番をした翌日に法廷立会とならないように当番を組んでいるけれども,法廷の立会だけが裁判所職員の仕事ではない。むしろ,法廷前の準備と法廷後の整理が大変であって,法廷と法廷との間の非開廷日は,大変重要な仕事の日なのだ。ここでしっかり準備し,整理していないと,法廷で良い仕事ができない。裁判官の場合は週に3日法廷を開く場合が多く,残りの2日を準備と整理にあてているから,深夜令状当番は法廷を開いた日の夜になり,翌日は法廷の準備と整理をすべき日なのに一日中眠いときを過ごすのだ。
 遠方に住んでいる裁判官は深夜令状当番を免除され,その代わりに準夜勤や日曜休日当番をしているのだが,裁判官の公平を期するためと,書記官・事務官の負担軽減を計るとして,私の勤める裁判所でも,今年中に,裁判官が庁舎に泊まり込んで深夜令状当番をする制度に移行する。これまで,警察は,裁判所の負担を気にして,夜間の令状請求を必要最低限度に押さえていた傾向があったが,裁判官が泊まり込むようになると,遠慮なく夜間に請求してきそうである。彼らは17時以後に仕事をすれば夜勤手当がつくだろうが,裁判官は夜勤も給料の内であって手当はない。夜間の令状請求に対しては,とりわけ厳しくチェックしないと,夜勤の日は眠れないことになり,翌日の仕事ができなくなりそうだ。(瑞月)

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