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裁判員裁判と立証方法

2009年02月24日 | 
 最近,裁判員裁判をにらんでビジュアルな立証が必要ということで,大型スクリーンに残虐な写真を写した検察側立証が問題となっています。

 裁判員裁判になっても,否認事件などで現場写真を見なければならない場合があることは否定できません。現場写真が真実を語ることが多いからです。しかし否認事件の真相を解明したいとの強い意欲があれば,その写真の残酷性はあまり気にならない場合が多いと思います。

 これに対し,犯行自体は認めている事件で,遺体写真などがどれくらい必要かはかなり疑問です。裁判には想像力も必要です。残虐な写真を見なければ残虐性を判断できない,とはいえません。裁判員に不必要な負担を課さないためにも,公判前整理手続でその必要性について,三者が十分な議論をすべきでしょう。

 特に,犯行再現写真やビデオは全く必要性がありません。これは捜査官の描いたイメージを被告人に再現させたもので,いわぱ供述調書とおなじものです。
 この点で真実を語る現場写真とは全く証拠価値が異なります。
 しかも過去に終わった犯行を,あたかも目の前でおこなわれているかのような錯覚を与える点で有害ともいえます。捜査官のイメージを裁判員に植え付けてしまうという意味で,その有害性は供述調書に優るともいえます。このような立証は裁判員裁判では基本的に許されないと思うのですが,どうでしょうか。

              模擬裁判員裁判の主任弁護人をする予定の「花」