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自然に感謝の祈り 伝統儀式「シラッチセカムイノミ」-恵庭アイヌ協会

2017-07-07 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 2017/07/05

トノトをささげる藤原会長=2日
 恵庭アイヌ協会(藤原顕達会長)は、恵庭市盤尻にあるヒグマの送り場跡「シラッチセ(岩屋)」で祈りの伝統儀式「シラッチセカムイノミ」を千歳アイヌ協会(中村吉雄会長)の協力を得て2012年から行っている。ここには祭壇やクマの頭骨、当時アイヌ民族が寝泊まりした跡も残り、中村会長は、こうした場で今もシラッチセカムイノミを行うのは国内で唯一とみている。
 恵庭や千歳はかつてヒグマが多く生息している地域として知られ、恵庭市内にはシラッチセが5カ所確認され、うち1カ所は軟石だったため4年前に崩落している。この日儀式を行ったシラッチセではかつて、アイヌ民族が自然への感謝を込めて仕留めたヒグマの魂を天に送る儀式「シラッチセカムイノミ」を執り行っており、祭壇などの送り場が残っている。そのほかに、火を使った跡や飯ごうなどの道具も見つかっており、かつてこの場で寝泊まりしながらヒグマ猟をしていたことがうかがえる。
 中村会長は「飯ごうなどが残っているのは、ここで寝泊まりしていたということ。アイヌ民族は、シラッチセに次に来る人が食料に困らないよう、自分たちの食料をこの場に残して絶やさないようにしていた。慈しみ、優しさの跡だ」と語る。自身の親戚が関わっていたことから、このシラッチセは少なくとも120年前よりも古いという。
 この場は地元の元猟師が今から60年以上前にアイヌ民族の友人から託され、恵庭猟友会として儀式を行い守り続けてきた。中村会長がこの元猟師から相談を受け、12年に恵庭アイヌ協会が引き継いで毎年、文化伝承のためにこの儀式を執り行うこととした。
 中村会長は「自分は別の地域でシラッチセカムイノミを執り行っているのを聞いたことがない。全国でここだけだと考えている」と話す。
 今月2日にも、恵庭アイヌ協会の会員や中村会長、苫小牧アイヌ協会の澤田一憲会長など約20人が参加して儀式を執り行った。木を薄く削って作ったイナウを祭壇にささげた後、祈りの言葉を口にしながらトノト(お神酒)もささげた。終了後には近くの森の中で交流会も開いた。
 恵庭アイヌ協会の藤原会長は「さまざまな人の手で長年守られ続けてきた大切な場所。これからも、儀式を長く続けていきたい」と話している。
https://www.tomamin.co.jp/news/area1/11657/
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