日刊スポーツ9/2(土) 17:04配信

映画「カムイのうた」トークイベントに登壇した、左から菅原浩志監督、吉田美月喜、島田歌穂、木原仁美氏(撮影・村上幸将)
アイヌ民族の間で歌い継がれてきたユーカラに日本語訳を付けた「アイヌ神謡集」を完成させた、知里幸恵さんをモデルに描いた映画「カムイのうた」(菅原浩志監督、11月23日に北海道で先行公開)トークイベントが2日、東京ビッグサイトで開催中のGOOD LIFEフェア 2023で開催された。
【写真】楽器ムックリを弾く吉田美月喜
主演の吉田美月喜(20)は、アイヌの血を引くというだけで希望する進学を阻まれたテルを演じた。「アイヌ神謡集」を完成させた1922年(大11)に19歳の若さで亡くなった、幸恵さんがモデルの役で「自分自身が映画を準備するまで、アイヌの文化を知らない部分があり、一から学んで考えた」と今年1、2月に北海道東川町を中心に行った撮影前からアイヌ民族の歴史、文化を学んだと振り返った。
吉田自身、実在の人物や実在の人物をモデルにした役を演じるのは初めてだった。「実在された方を演じる経験が初めて。しかも、自分の知らない文化を学びながら、ちゃんと説得力ある作品にしなくてはいけないというプレッシャーがあった。アイヌ文化を理解し、しっかり伝えていくんだ。想像の中で、きっとこうだったとイメージした」と思いを語った。そして「映画を撮らせていただいた時は、ちょうど19歳で幸恵さんが亡くなったのと同い年。19歳で、どう思っていたんだろうと、しっかり考えながら演じました」と、同世代として幸恵さんの気持ちを推し量って演じたと説明した。
アイヌ文化を学び、強く感じたことについて聞かれると「1番、驚いたのが、床にお茶をこぼしてしまった時『床の神様が喉が渇いた』というセリフ」と即答した。「小さい頃に『お米の一粒に神様がいる』とは聞いたことがあるけれど、ものの中に神があって生かされているという、アイヌの考え方は素晴らしいと思った」と、アイヌ民族の考え方に感銘を受けたと強調した。
テルの叔母、イヌイェマツを演じた島田歌穂(59)は、夫の作曲家・島健氏(73)が作曲した主題歌「カムイのうた」のほか、ユーカラも歌唱する。吉田の話を聞き「全てのものに神が宿っているという考えは素晴らしい。アイヌの歴史は知らなかった。学ばせていただいた。負けずに文化を守っていく生き方に感銘を受けました」と語った。
イベントの中で、吉田がアイヌ民族の楽器ムックリを生演奏し、島田がユーカラ「小鳥の耳飾り」を生で歌唱した。吉田は「撮影が始まる前から教えていただいて、家でも練習した。撮影を終わっても家でやるんですけど、やればやるほど知らない音が出る。ちゃんと表現できたか分からないんですけど、主に撮影させて頂いた、東川町をイメージしました」と笑みを浮かべた。島田は「小鳥の耳飾り」について「かなり切ないお話(のユーカラ)です。全国の民謡を歌わせていただいたんですけど、やっぱり、今までに聴いたことがない…初めて聴く。でも、何か懐かしい感じのする、何て特別な音楽だろうと感じました」と語った。
1988年(昭63)の映画「ぼくらの七日間戦争」で知られる、菅原浩志監督(68)が、メガホンをとり、脚本も書き下ろした。先住民として北海道で独自の生活、文化を築きながら、和人(大和民族)が入って来たことで奪われ、生活の糧であった狩猟、サケ漁が禁止され、住んでいた土地も奪われ、アイヌ語が禁止されるなど、アイヌ民族は差別を受けた。同監督は、その事実を踏まえ「北海道の地名は、アイヌ語。アイヌ民族が、どれだけ北海道中に住み、全部知って、地名に意味を込めていたか。和人が入って、その名前の上に全部、漢字を書いていって、アイヌの文化、歴史が書き直されてしまった」と訴えた。
さらに「見た目だけじゃなくて本質が一体何か、その裏の本当の意味は何だということを、我々は見ていかなくちゃいけない、それを、アイヌ民族たちが教えてくれた」と強調。「我々も、わずか11年前には『安心。安全、未来のエネルギー』と大きな看板を掲げていた原発が爆発しているわけです。我々が思っていたことが実際は、そうではないということを、考えなければいけない時代がが今。その、きっかけになるのがアイヌ民族であり、文化です」と訴えた。
この日は、知里幸恵さんの、めいの娘で知里幸恵記念館の艦長を務める木原仁美さんも登壇。「19歳で亡くなった人に、おかしいんですけど血縁としては大叔母さんです。(1923年発行の)『アイヌ神謡集』出版100年で注目されている時に、映画が出来て、さらに注目されると思う」と期待した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/99c51f5da1c699b6deb45d1c30c5319d577ebb42

映画「カムイのうた」トークイベントに登壇した、左から菅原浩志監督、吉田美月喜、島田歌穂、木原仁美氏(撮影・村上幸将)
アイヌ民族の間で歌い継がれてきたユーカラに日本語訳を付けた「アイヌ神謡集」を完成させた、知里幸恵さんをモデルに描いた映画「カムイのうた」(菅原浩志監督、11月23日に北海道で先行公開)トークイベントが2日、東京ビッグサイトで開催中のGOOD LIFEフェア 2023で開催された。
【写真】楽器ムックリを弾く吉田美月喜
主演の吉田美月喜(20)は、アイヌの血を引くというだけで希望する進学を阻まれたテルを演じた。「アイヌ神謡集」を完成させた1922年(大11)に19歳の若さで亡くなった、幸恵さんがモデルの役で「自分自身が映画を準備するまで、アイヌの文化を知らない部分があり、一から学んで考えた」と今年1、2月に北海道東川町を中心に行った撮影前からアイヌ民族の歴史、文化を学んだと振り返った。
吉田自身、実在の人物や実在の人物をモデルにした役を演じるのは初めてだった。「実在された方を演じる経験が初めて。しかも、自分の知らない文化を学びながら、ちゃんと説得力ある作品にしなくてはいけないというプレッシャーがあった。アイヌ文化を理解し、しっかり伝えていくんだ。想像の中で、きっとこうだったとイメージした」と思いを語った。そして「映画を撮らせていただいた時は、ちょうど19歳で幸恵さんが亡くなったのと同い年。19歳で、どう思っていたんだろうと、しっかり考えながら演じました」と、同世代として幸恵さんの気持ちを推し量って演じたと説明した。
アイヌ文化を学び、強く感じたことについて聞かれると「1番、驚いたのが、床にお茶をこぼしてしまった時『床の神様が喉が渇いた』というセリフ」と即答した。「小さい頃に『お米の一粒に神様がいる』とは聞いたことがあるけれど、ものの中に神があって生かされているという、アイヌの考え方は素晴らしいと思った」と、アイヌ民族の考え方に感銘を受けたと強調した。
テルの叔母、イヌイェマツを演じた島田歌穂(59)は、夫の作曲家・島健氏(73)が作曲した主題歌「カムイのうた」のほか、ユーカラも歌唱する。吉田の話を聞き「全てのものに神が宿っているという考えは素晴らしい。アイヌの歴史は知らなかった。学ばせていただいた。負けずに文化を守っていく生き方に感銘を受けました」と語った。
イベントの中で、吉田がアイヌ民族の楽器ムックリを生演奏し、島田がユーカラ「小鳥の耳飾り」を生で歌唱した。吉田は「撮影が始まる前から教えていただいて、家でも練習した。撮影を終わっても家でやるんですけど、やればやるほど知らない音が出る。ちゃんと表現できたか分からないんですけど、主に撮影させて頂いた、東川町をイメージしました」と笑みを浮かべた。島田は「小鳥の耳飾り」について「かなり切ないお話(のユーカラ)です。全国の民謡を歌わせていただいたんですけど、やっぱり、今までに聴いたことがない…初めて聴く。でも、何か懐かしい感じのする、何て特別な音楽だろうと感じました」と語った。
1988年(昭63)の映画「ぼくらの七日間戦争」で知られる、菅原浩志監督(68)が、メガホンをとり、脚本も書き下ろした。先住民として北海道で独自の生活、文化を築きながら、和人(大和民族)が入って来たことで奪われ、生活の糧であった狩猟、サケ漁が禁止され、住んでいた土地も奪われ、アイヌ語が禁止されるなど、アイヌ民族は差別を受けた。同監督は、その事実を踏まえ「北海道の地名は、アイヌ語。アイヌ民族が、どれだけ北海道中に住み、全部知って、地名に意味を込めていたか。和人が入って、その名前の上に全部、漢字を書いていって、アイヌの文化、歴史が書き直されてしまった」と訴えた。
さらに「見た目だけじゃなくて本質が一体何か、その裏の本当の意味は何だということを、我々は見ていかなくちゃいけない、それを、アイヌ民族たちが教えてくれた」と強調。「我々も、わずか11年前には『安心。安全、未来のエネルギー』と大きな看板を掲げていた原発が爆発しているわけです。我々が思っていたことが実際は、そうではないということを、考えなければいけない時代がが今。その、きっかけになるのがアイヌ民族であり、文化です」と訴えた。
この日は、知里幸恵さんの、めいの娘で知里幸恵記念館の艦長を務める木原仁美さんも登壇。「19歳で亡くなった人に、おかしいんですけど血縁としては大叔母さんです。(1923年発行の)『アイヌ神謡集』出版100年で注目されている時に、映画が出来て、さらに注目されると思う」と期待した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/99c51f5da1c699b6deb45d1c30c5319d577ebb42