北海道新聞05/26 05:00

ポロト湖で「チプ」に乗る筆者
ウポポイ(民族共生象徴空間)の国立民族共生公園に隣り合うポロト湖畔では、アイヌの舟について学ぶことのできるプログラム「丸木舟実演・解説」を行っています。
丸木舟のことをアイヌ語で「チプ」といいます。丸木舟は石器時代にはすでに作られており、昭和の初めごろまで使われてきた息の長い民具の一つです。道路や橋のない時代は、河川を利用した重要な交通や運搬の手段でした。湖沼では水生植物の採取、河川ではサケ・マスの漁に使用するなど用途は多岐にわたります。
また、アイヌは交易の民ともいわれるほど、交易が盛んな民族としても知られています。外洋へ出るためには、丸木舟の舷側に板をとじ付けた「イタオマチプ」という舟が利用されてきました。
交易は互いの社会にいろいろな変化をもたらします。例えば、和人社会からはガラス玉、漆器類、鉄製品などがもたらされました。一方、アイヌ社会からは昆布や干鮭(ほしざけ)、毛皮、細工物のほか、アイヌの労働によって生産された魚の〆粕(しめかす)は良質な肥料として近畿地方の綿花生産を増大させ、それによって普及した木綿がアイヌ社会に木綿衣を普及させたように、交易は新たな文化を生み出しました。それを支えたのも舟です。
日常的に見ることが無くなった丸木舟ですが、現在でも丸木舟の製作技術や関連儀礼が各地で伝えられており、ここウポポイでも製作から乗り方、関連儀礼について伝承を行っています。9月ごろまでは丸木舟に乗っているスタッフの姿を見ることができますので、「チプ」とともに暮らしていた景色を少しでも感じていただけたら幸いです。(文 山道ムカラ=象徴空間運営本部・工房担当)
※「チプ」のプ、「イタオマチプ」のプ、山道ムカラさんのラは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/685400

ポロト湖で「チプ」に乗る筆者
ウポポイ(民族共生象徴空間)の国立民族共生公園に隣り合うポロト湖畔では、アイヌの舟について学ぶことのできるプログラム「丸木舟実演・解説」を行っています。
丸木舟のことをアイヌ語で「チプ」といいます。丸木舟は石器時代にはすでに作られており、昭和の初めごろまで使われてきた息の長い民具の一つです。道路や橋のない時代は、河川を利用した重要な交通や運搬の手段でした。湖沼では水生植物の採取、河川ではサケ・マスの漁に使用するなど用途は多岐にわたります。
また、アイヌは交易の民ともいわれるほど、交易が盛んな民族としても知られています。外洋へ出るためには、丸木舟の舷側に板をとじ付けた「イタオマチプ」という舟が利用されてきました。
交易は互いの社会にいろいろな変化をもたらします。例えば、和人社会からはガラス玉、漆器類、鉄製品などがもたらされました。一方、アイヌ社会からは昆布や干鮭(ほしざけ)、毛皮、細工物のほか、アイヌの労働によって生産された魚の〆粕(しめかす)は良質な肥料として近畿地方の綿花生産を増大させ、それによって普及した木綿がアイヌ社会に木綿衣を普及させたように、交易は新たな文化を生み出しました。それを支えたのも舟です。
日常的に見ることが無くなった丸木舟ですが、現在でも丸木舟の製作技術や関連儀礼が各地で伝えられており、ここウポポイでも製作から乗り方、関連儀礼について伝承を行っています。9月ごろまでは丸木舟に乗っているスタッフの姿を見ることができますので、「チプ」とともに暮らしていた景色を少しでも感じていただけたら幸いです。(文 山道ムカラ=象徴空間運営本部・工房担当)
※「チプ」のプ、「イタオマチプ」のプ、山道ムカラさんのラは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/685400