先住民族関連ニュース

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宇梶静江さんドキュメンタリー、白老で上映会 「アイヌ民族の誇り持てる世の中に」

2022-05-23 | アイヌ民族関連
北海道新聞05/23 05:00

今夏の全国公開に先駆けて行われた完成記念上映会
 【白老】アイヌ民族の古布絵作家、宇梶静江さん(89)の人生をたどるドキュメンタリー映画「大地よ!~アイヌとして生きる~」の完成記念上映会が21日、町コミュニティセンターで開かれた。全国各地から約360人が訪れ、2時間にわたる映画を鑑賞した。
 実行委の主催。今夏の全国公開に先駆けて行った。
 宇梶さんは映画の中のインタビューで、差別体験や次代を担う若者へのメッセージなどを語った。「アイヌ民族の歴史や文化を語り継ぐことで、アイヌとして生きることに誇りを持てる世の中になってほしい」と訴えた。
 上映後、会場から大きな拍手が湧き起こった。旧満州(現中国東北地方)出身の金大偉監督は「宇梶さんやアイヌ民族の思いを今後も世界に発信していきたい」とあいさつ。ナレーションを務めた長男で俳優の宇梶剛士さんは「映画には子どもの頃に母からもらった言葉がいくつもあり、懐かしさを感じた」と話した。
 来場した町内の60代男性は「宇梶さんのメッセージはとても心に響いた。アイヌ民族への理解はまだ十分ではないのだと改めて考えさせられた」と語った。
 この日は映画上映のほか、アイヌ民族のお笑いコンビ「ペナンペ・パナンペ」の漫才や白老アイヌ協会の会員によるアイヌ舞踊なども披露された。(小林彩乃)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/683961

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道内4地域のアイヌの伝統舞踊披露 最後は観客も一緒に 池田町

2022-05-23 | アイヌ民族関連
十勝毎日2022/05/22 9:29

ツルの舞「サロルンリムセ」を披露する帯広カムイトウウポポ保存会
 【池田】池田町内の千代田堰堤(えんてい)展望公園で21日、各地のアイヌ民族舞踊を披露する「第4回十勝川サロルンリムセ」(実行委員会主催)が開かれた。十勝川からの心地よい風が吹く中、ツルが飛び立つ様子を踊った「サロルンリムセ」など約20演目を、総勢60人が披露した。
 十勝川中流部市民協働会議、十勝川中流域かわまちづくり協議会が協力。帯広カムイトウウポポ保存会、阿寒アイヌ民族文化保存会、平取アイヌ文化保存会、札幌ウポポ保存会の4団体が出演した。
 阿寒保存会による「タクサ踊り」でスタートし、猟の舞「チロンヌップリムセ」ではキツネの尾をつけた子どもたちが会場を盛り上げた。帯広保存会は「サロルンリムセ」を披露。最後には「みんなで大きな輪を作って踊りましょう」という意味を持つ「ポロリムセ」を出演者みんなで踊り、イベントを締めくくった。
 広尾町から訪れた30代女性は「天気も良く、十勝川をバックに各地の踊りを一度に見ることができた」と舞踊を楽しんだ様子。帯広保存会で舞を披露した川上恵さん(37)は「毎年この日を楽しみにしている。4団体の色とりどりの着物で楽しく踊ることができた」と笑顔で語った。(近藤周)
https://kachimai.jp/article/index.php?no=561470

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豪総選挙で野党・労働党勝利、9年ぶり政権交代へ

2022-05-23 | 先住民族関連
BBC2022年5月22日

21日に投開票が行われたオーストラリア下院(任期3年、定数151)総選挙で、アンソニー・アルバニージー氏(59)率いる野党・労働党が、スコット・モリソン首相(54)の与党・保守連合を破り、勝利が確実となった。政権交代は2013年以来約9年ぶり。
次期首相となるアルバニージー氏は歓喜に沸く支持者たちに対し、オーストラリア国民は「変化を求めて投票した」と語った。
また、人々を団結させ、社会事業に投資し、「気候をめぐる戦争を終わらせる」と誓った。
早ければ22日にも首相就任の宣誓を行う。
ただ、労働党が過半数議席を獲得できるかは依然不透明。今回の選挙では、気候変動対策を掲げた緑の党や無所属候補への支持が急上昇した。
労働党が過半数の76議席を確保できなければ、緑の党などの影響力が増すことになる。公共放送オーストラリア放送協会(ABC)は、21日時点で労働党が72議席、保守連合が55議席を獲得するとの見通しを示していた。
モリソン現首相は敗北を認め、「オーストラリア国民が起こしてくれた奇跡」に感謝した。モリソン氏は2019年総選挙で事前予想を覆して逆転勝利した時のことを「奇跡」と呼んでいた。
「とてつもない名誉」
アルバニージー氏はシドニーで開かれた労働党の勝利パーティーで拍手喝さいを浴びた。そして、国を率いることは「とてつもない名誉」だと語った。
「私の労働党のチームは、オーストラリア国民を一つにするため日々働く。そして私は、オーストラリア国民にふさわしい政権を率いるつもりだ」
アルバニージー氏はまず、先住民族アボリジニやトレス海峡諸島民のオーストラリア国民を認め、3年の任期中に先住民族の諮問機関「議会への声」について、国民投票を実施すると改めて述べた。
また、「障害年金受給者のシングルマザーの息子として、公営住宅で育った」自分の生い立ちにも言及した。
アルバニージー氏はモリソン氏の首相としての奉仕に感謝し、モリソン氏が「非常に寛大に私の幸福を祈ってくれた」とした。
アルバニージー氏は演説後、BBCのシャイマ・カリル豪特派員に対し、米英との安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」を強く支持していると語った。また、気候変動対策で世界のリーダーとなることを望んでいるとした。
ボリス・ジョンソン英首相は、「今後数週間、数カ月、数年にわたり、共通の課題に共に取り組み、我々の共通の価値観の重要性を示す」ことを楽しみにしていると述べた。
アルバニージー氏は日本、インド、アメリカの首脳との会談を予定しており、23日に東京入りする。
アルバニージー氏は、オーストラリアで政治家としての活動期間が最も長い人物の1人で、2013年に当時のケヴィン・ラッド政権で副首相を短期間務めた。労働党の左派の間では長年人気が高く、2019年に党首に就任してからはより中道寄りの姿勢を見せている。
「大激動の時代」
2018年に辞任したマルコム・ターンブル首相(当時)の後任となったモリソン氏は、自然災害や新型コロナウイルスのパンデミックに支配された時代に、オーストラリアを導いた。
総選挙では僅差での敗北が予想されていたが、与党連合は無所属候補に重要な議席を奪われた。選挙結果は支持の暴落を示していた。
モリソン氏は自由党党首を退任すると表明し、「大激動の時代」だったと述べた。
「オーストラリア国民がこの数年間耐えてきたことは、とてつもない人格の深みと、回復力、そして強さを示してきた」
ジョシュ・フライデンバーグ元財務相が議席を失う可能性があることから、自由党の新党首にはピーター・ダットン元国防相が有力視されている。
(英語記事 New leader vows unity after Australia election win)
https://www.bbc.com/japanese/61539236

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「自然との触れ合いがメンタルヘルスを改善する」という研究に隠されたバイアスとは?

2022-05-23 | 先住民族関連
gigazaine2022年05月21日 12時00分
「自然との触れ合いがメンタルヘルスを改善する」という主張は数多くの研究によって裏付けられていますが、過去10年間の主要な研究に潜むバイアスから、自然がメンタルヘルスを改善することは普遍的ではない可能性が浮上しました。
Chronic deficiency of diversity and pluralism in research on nature's mental health effects: A planetary health problem - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2666049022000263
Studies linking nature to better mental health focus on wealthy nations — here's why that's a huge problem
https://www.inverse.com/mind-body/nature-psychology-rich-counties-bias
アメリカの研究チームは、2010年~2020年にかけて発表された自然とメンタルヘルスに関する研究について、さまざまなワードで学術文献のデータベースを精査して合計で174件の査読済み研究を発見しました。そしてこれらの研究を分析したところ、「自然とメンタルヘルスについての研究に潜むバイアス」が明らかになったとのこと。
研究チームが指摘するバイアスとは、「自然とメンタルヘルスに関する研究のほとんどが裕福な国々で実施され、中・低所得国家の人々はほとんど調査対象に含まれていない」というもの。今回収集した研究のうち、実に97%が世界銀行の分類で一人当たり国民所得(GNI)が1万2235ドル(約160万円)を超える「高所得国家」に位置づけられた国で行われており、GNIが3996ドル(約52万円)を超える「上位中所得国」に位置する国で行われた研究は2.9%、1006ドル(約13万円)を越える「下位中所得国」に位置する国は1.1%に過ぎないことがわかりました。なお、「下位中所得国」で実施された自然とメンタルヘルスに関する研究は2件であり、1件がインドでもう1件がイランでした。
世界銀行の分類では、指数が算出されている217の国と地域のうち「高所得国家」に含まれているのは80カ国、「上位中所得国」が55カ国、「下位中所得国」が55カ国、「低所得国」は27カ国です。高所得国家が占める割合は世界全体で見れば大きなものではありませんが、自然とメンタルヘルスに関する研究のほとんどが高所得国家のみで行われていることになります。論文の共著者でありバーモント大学で環境学の助教を務めるRachelle Gould氏は、「(これらの研究には)人類の大きな割合が含まれておらず、何が普遍的で何が特殊なのかがわかりません。このギャップが、研究結果が世界にインパクトを与え、持続可能な方法で人類の幸福を向上させる上で障害になると考えています」と述べています。
研究が行われた高所得国家の多くは欧米諸国と一致しており、非欧米の国々も中国・韓国・シンガポール・イスラエル・南アフリカなど、欧米諸国の価値観やライフスタイルが浸透した国が多かったとのこと。また、中国のような場所で行われた研究は自然に囲まれた農村部ではなく、自然の少ない都市部で行われる傾向があったそうです。また、被験者の人種統計を報告した研究は全体の62%に過ぎず、被験者の人種がわかっている研究では、全国統計より白人の割合が多いことが示されているそうです。
近年では心理学の研究において、研究者の多くが「西洋人や裕福で教育水準の高く、安定した民主主義国家に住む人々」を対象に研究を行っていることが問題視されています。これらの集団は心理学者が最もアクセスしやすい人々であると同時に、そもそも個人の心に焦点を当てる「心理学」という学問自体が欧米的な精神と合致するものといえます。そのため、西洋諸国の人々を対象に行われた心理学の研究結果は、世界全体の人口に対して普遍的に適用できるものではない可能性があるとのこと。
論文の共著者でありバーモント大学の博士研究員を務めるCarlos Andres Gallegos-Riofrío氏は、「これらの研究は比較的大きくグローバル化した都市で行われています」「論文を読むと、基本的に西洋世界で行われた研究の公式を再現しています。文化的なニュアンスや多様性がありません」と指摘しています。
研究の被験者における人種・文化的な偏りは、文化ごとに異なる緑地との関係性を無視する恐れがあります。Gould氏は、同じアメリカ人であってもアフリカ系アメリカ人や黒人コミュニティでは、白人コミュニティとは異なる緑地との関係を持っていると指摘。たとえば過去の研究では、黒人系のアメリカ人は自然と触れ合うレクリエーションに従事する可能性が低いことがわかっており、その特徴は長年にわたる差別などに起因する可能性があるとのこと。
また、先住民族も欧米的な価値観とはまったく異なる自然観を持っていますが、ほとんどの研究には先住民族の被験者は含まれておらず、わずかにカナダとニュージーランドで行われた2つの研究で10%未満の被験者がいただけでした。たとえば南アメリカのアンデス山脈周辺の先住民族は、自然や川に法的な人格を認める「自然権」を擁護しており、西洋諸国とは異なった自然の捉え方をしています。また、Gallegos-Riofrío氏によると南アメリカの先住民族が使用するケチュア語には「私」「私たち」に当たる言葉がないそうで、これは精神疾患についての西洋的評価ツールが役に立たないことを示しているそうです。
研究チームはこれらの問題を解決する方法として、「これまで被験者に含まれていなかった人々にもリーチする」「被験者の民族性を記録する」「メンタルヘルスや自然とのつながりを測定するための文化的に配慮したツールやデザインを作成する」といったものを挙げています。Gould氏は、「これらは本当に重要です。自然の中に身を置くと何か本当に強力なものを感じます。それが何なのか、あらゆる面で理解できるようにしましょう」と述べました。
https://gigazine.net/news/20220521-nature-mental-health-studies-wealthy-nations/

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もし、明日故郷が消えたら?パタゴニアが描く「気候難民」ドキュメンタリー

2022-05-23 | 先住民族関連
ideasforgood5月 19, 2022

気候変動によって国内移住者が発生するという話に、リアリティを感じるだろうか。
世界銀行の2021年の報告によると、気候変動の影響により、2050年までに2億1,600万人が自国内での移住を余儀なくされる可能性があるという(※1)。水不足、作物の生産性の減少、海面上昇などの理由で、人が移動せざるを得なくなるのだ。
住み続けることが困難になるほど、地域の環境が悪化する様子を眺める住民は、どのような気持ちを抱えているのか。そして、コミュニティ全体が移住することがいかに難しいか。そのことを学べるのが、アウトドア衣料品メーカーのパタゴニアが制作した、約100分のドキュメンタリー映像「Newtok」だ。
https://www.youtube.com/watch?v=BohwgBqAwJc
作品で取り上げているのは、永久凍土の融解と浸食が原因で2019年に国内移住を開始した、米アラスカ州ニュートック村の住民だ。気候変動による移住は、アメリカではこれまでほとんど例がない。人類に危機が迫っていることを、強く認識させられる出来事だ。
同村が、土地が消えていくことに危機感を抱き、村ごと移転することを決めたのは1996年。しかし、政府からの資金協力がなかなか得られず、待っている間にも土地が消え続けた。Newtokは、2016年から2019年にかけての村の日常を映している。
村に暮らすのは、ユピックと呼ばれる先住民族だ。彼らは狩猟をしたり、果物を摘んだり、子どもを育てたり、学校に行ったりして、一見穏やかな日常を送るが、その合間合間に、土地をめぐる不安な様子が挟み込まれる。
巻尺で土地の広さを調べて「これだけ土地がなくなった」とため息をついたり、嵐が来そうだと分かって「またこれだけ土地がなくなる」と頭を抱えたりする様子が印象的だ。
終盤では、マータービックという場所への移住が何とか始まり、明るい未来を予感させる部分もあるが、2019年に移住できたのはコミュニティのわずか3分の1。住民たちは2022年現在も、コミュニティ全体が移住できるよう働きかけを進めており、問題は完全には解決されていない。
さらに憂慮すべきなのは、気候変動による移住を迫られる村は、ニュートック村以外にも多くあると予想されていることだ。弁護士のマイク・ワレリ氏は、作品中で次のように語る。
「奇妙に聞こえるかもしれないが、ニュートック村が”ラッキー”なのは、気候変動で土地が崩壊すると見込まれている最初の村であることだ。しかし、アラスカにはこの他にも、今後20年で崩壊すると言われている村が37もある。政府は、こういった問題をすべて解決するための資金を出せるのだろうか。誰が支援を受けられるかをめぐって、大きな争いが起きるだろう。」
ニュートック村の人口は、約380人だ。その数十万倍の人数が移住する状況がどのようなものか、Newtokを見ると想像がつきやすくなるのではないだろうか。
本編はこちら(YouTube)
※1 Groundswell Report
【参照サイト】Newtok – Patagonia
https://ideasforgood.jp/2022/05/19/newtok-patagonia/

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「大学による盗骨 研究利用され続ける琉球人・アイヌ遺骨」 /京都

2022-05-23 | ウチナー・沖縄
毎日新聞 2022/5/22 地方版 有料記事 1230文字

21日組読書之森「大学による盗骨 研究利用され続ける琉球人・アイヌ遺骨」=京都市上京区で2022年2月7日午後11時1分、千葉紀和撮影
 (松島泰勝、木村朗編著 耕文社、1980円)
 かつて、他人の墓から骨と埋葬品を持ち去った学者たちがいた。
 場所は北海道、樺太、沖縄、台湾、朝鮮、旧満州(現中国東北部)など。日本の南北端、あるいは、20世紀前半までの一時期、大日本帝国の版図に組み込まれた土地ばかりだ。
 実行したのは、明治後半から昭和初期に活躍した旧帝国大所属の人類学者たち。とりわけ京都帝国大(現・京都大)医学部は積極的だった。さらに、遺骨返還を求める声にもかかわらず、
京大は集めた骨の多くを標本として所蔵し続けている。
 遺骨がどのように持ち去られ、どう使われたのか。蛮行の背景に何があり、なぜ今も返さないのか――。本書はこの問題を調べてきた歴史家や法律家、ジャーナリスト、琉球やアイヌ民族の当事者ら26人が分担執筆したものだ。アイヌ遺骨返還運動を中心に優れた類書は複数出ているが、より幅広い視座から「研究者による学問の暴力」が今も続く実態を鋭く告発している。
この記事は有料記事です。 残り807文字(全文1230文字)
https://mainichi.jp/articles/20220522/ddl/k26/070/251000c

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台湾を“圧倒的に住みやすい社会”変えた、天才「オードリー・タン」その凄さの理由(一部)

2022-05-23 | 先住民族関連
現代ビジネス2022.05.23

多様な意見の集約には、デジタルが役に立つ
近藤:この本でも書かれていますが、オードリーさんは14歳のときに、3つに分かれていた自分の心を統合するために、先住民族の暮らす地域にある山小屋にこもった。そこで変わった。
石崎:そのときに先住民族のタイヤル族の考え方に触れて、自分が思い込んでいた「あたりまえ」から自由になれた。違う考え方を理解することに興味をもったという意味のことを仰っていますね。
台湾には、人口こそ2%になってしまっていますが、政府が認定する16民族を含めて30以上の少数民族が暮らしている。マジョリティーである漢民族も、17世紀以後に渡ってきた本省人と第二次大戦後に渡ってきた外省人では、ずいぶんと意識が違う。
近藤:そうです。多様な意見の集約には、デジタルがとっても役に立つんですね。
リアルの会議では、声の大きな人の意見が通ってしまうというのは、よくあることだと思います。時間が取れない人もいる。でも、デジタルなら人前で話すのが苦手な人でも、自分の空いている時間で参加することができる。
石崎:デジタルって「0か1」みたいな冷たいイメージがありますよね。けれど台湾で使われているデジタルはまったく違いますね。
例えばvTaiwanは、賛成、反対だけでは集約できない意見の違いを、マッピング化できる。Joinでは16歳の高校生だって提案できて、支持を集めれば法律として実現する。
※注:台湾では、vTaiwanとJoinという、インターネットを通じた政治参加の方法が社会実装されている。vTaiwanは、多様な市民の意見を立法のプロセスに取り入れるプラットフォーム。Joinは、選挙権の有無に関わらず政府に対して意見を提議でき、政府を監督することができる。
「ブロードバンドは人権だ」
石崎:オードリーさんは、「ブロードバンド(インターネットへの高速接続)は人権だ」と仰っていて、山岳地帯などから5Gを設置すると発言されていますが、実際はどうですか?
近藤:わたしが行った国立公園には、政府と通信会社が協業で設置している、携帯電話が通じるスポットが作られていました。ただ、その時の通信は、3Gになってしまっていましたけど。
石崎:東京でも5Gが使えるのは、まだまだ限られたスポットだけのようです。今、できていないとしても繁華街にあるとのは、ぜんぜん意味がちがう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/95250?page=6

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消滅の危機にある日本の「方言」とは

2022-05-23 | アイヌ民族関連
テンミニッツTV2022年05月23日00時00分
 2013年に社会現象にもなったNHKの朝の連続ドラマ「あまちゃん」。主人公が驚いたときに口にする「じぇじぇじぇ!」は、その年の流行語大賞にも選ばれました。この「じぇじぇじぇ」は岩手県沿岸の方言のひとつです。岩手県内だけでも、「ざざざ」「さささ」「ばばば」など、驚きを表す方言はさまざま。
 このように、日本にはじつにたくさんの方言があります。しかし近年、そんな方言が消滅の危機にあると言われているのです。どうして方言は使われなくなってしまったのでしょうか?
●消滅の危機にある日本の8つの言語・方言
 平成21年に、ユネスコ(国連教育科学文化機関)が消滅の危機にある言語をまとめた「Atlas of the World’s Languages in Danger」を発表しました。これによると、世界には約2,500に上る言語・方言(ユネスコは言語と方言を区別せず、言語で統一しています)が消滅の危機にあるとされています。この約2,500言語のなかには、日本の8つの言語・方言も含まれていました。
 なかでも、もっとも深刻なのが日本列島北部、とくに北海道の先住民族であるアイヌの人々が使用する「アイヌ語」。続けて危機が大きいものは、石垣島などが含まれる八重山列島で使用されている「八重山語(方言)」と、与那国島で使用される「与那国語(方言)」。そして、「八丈語(方言)」「奄美語(方言)」「国頭語(方言)」「沖縄語(方言)」「宮古語(方言)」とされています。
 また、言語の危機にあるのは上に述べたような言語・方言だけでなく、日本各地の方言も消滅の危機にあるのです。
●同じ地域に生まれ育った人々が共有する言葉
 アイヌ語は日本語とは異なる文法を持ち、「日本の方言の一種」か「独得の言語」かというのは議論がなされている言葉です。そんなアイヌ語のなかでも方言があり、地方によって発音や使用している単語が違うのだそう。ではそもそも、方言とはどういったものなのでしょうか?
 方言学者である佐藤亮一氏の著書「滅びゆく 日本の方言」(新日本出版社)によると、「方言(dialect)とは、それぞれの地域の人々が話している言語である。厳密に言えば、その地域に生まれ育った人が、同じ地域の親しい人と話すときのことば(の総体)である。」としています。
 日本語をベースにしていても、独得の発展をしているため、その方言を知らない人には聞き取れない、何を言っているかわからないという事例もあります。過去には、秋田弁で歌った「大きな古時計」が「フランス語に似ている」と話題になったり、第二次世界大戦時には、鹿児島弁が暗号代わりになっていたというエピソードもあるなど、方言は多種多様な存在です。
●方言コンプレックスと隠される方言
 一方で、方言を話すことに抵抗のある若い世代が多いことも事実です。「時代遅れ」「カッコ悪い」「田舎者と思われたくない」といった理由から、少しずつ方言離れが進んでいきました。戦前は方言しか話せない人もめずらしくありませんでしたが、ラジオやテレビの普及によって、共通語を耳にする機会が増え、話す相手に合わせて方言と共通語を使い分けることが一般的になっていったのです。そんななかで、方言に対してマイナスなイメージを抱く人は増えていきました。〝方言コンプレックス〟を感じ、方言を隠そうとする人も少なくないのです。
「共通語があるのだから、方言なんてなくしてもいいじゃないか」と思われる方もいるかもしれません。しかし、方言は各地に根付いている文化と同様に、それぞれの地域を象徴する存在です。言葉と文化は強く結びつき、方言を守ることは、各地の文化を守ることにも繋がるのです。
●方言も自分の個性になる時代
〝方言コンプレックス〟がある一方で、〝方言コスプレ〟という言葉をご存じでしょうか? 近年、その地域出身でなくても、SNSや日常会話のなかで「○○だべ」「○○やろ」といった言葉を使う人は少なくありません。むしろ、共通語と大きな差がない方言地域では、くせの強い方言に憧れるという人もいます。そうした、出身者でない人が使う方言を、〝方言コスプレ〟と呼ぶのです。
 また、方言を観光業と結びつけ、近年は観光誘致に活用するという例も増えています。「めんそーれ」(沖縄)、「おいでやす」(京都)、「来(か)さまい」(青森)、「きんさい」(島根)など、観光PRに方言を使うことはその土地らしさをアピールすることにもつながっています。
 きれいな共通語、または標準語を話せることがステータスという時代もありましたが、いまは自分のルーツや、生まれもってのアイデンティティを、個性として見せていく時代。自分の生まれ育った地域の方言を、見直してみるのはいかがでしょうか?
<参考サイト・参考文献>
・文化庁・消滅の危機にある言語・方言
https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kokugo_shisaku/kikigengo/index.html
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/10mtv/trend/10mtv-3426

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「と……と、とにかく、逃げられるだけ逃げよう」大熊に追われたハンター3人…銃も使えない絶体絶命の逃走劇(一部)

2022-05-23 | アイヌ民族関連
文春オンライン5/21(土) 6:12配信
「アイヌたちの真似はとてもできない」
 ある時、私はこのことを、岩内からきたという猟人にザンゲ話に話したことがあった。すると、その猟人も同じような話をしてくれたのだ。
「僕もそれと同じ様なおっかない目にあったことがある。やはり3人で、羆射ちの目的で雷電山にのりこんだまではよかったが、向側の峰に、大岩のように大きい羆が坐っているのに出あって、とても銃を向ける気持はしなかった。3人とも電気にでもうたれたようになり、一目散に逃げてしまった。羆のケタハズレに大きいやつは、いくら猟人でもいやだからノウ……。大きい羆は度胸がいいというのか、小さいやつのように、人を見たからといって一目散に逃げ出さないのだ。28番や30番の村田銃ぐらいでは、心もとなくてとても射つ気にはならないよ」
 超弩級のものに出あうと、やっぱり同じように生命が惜しくなり、からきし意気地のないものだと、ひそかに話しあったものだった。岩内の猟人はなお言葉を継いだ。
「今日のアイヌは、もう度胸がなくなってしまったが、昔のアイヌは、この大ものを喜んで追跡したものだった。小さいやつは、はしっこくて、なかなか近寄れないが、大ものは度胸があるせいか、人間をあまり怖れないらしい。そこがアイヌたちのツケ目で、接近して射ちまくるのだ。わりあいに小羆より大羆の方が捕り易いものだ……と述懐していたものだ。しかし、まあ、われわれの羆狩りは職業ではなく、1つのスポーツとして、遊び半分の道楽でやっているものだから、アイヌたちの真似はとてもできない。生命がけの仕事はそうやりたくないからね。アイヌのいうように、大羆は度胸が図太いから、逃げださないで射ちやすいことは間違いないのだが、万一にも射ち損ったら、一跳びに襲われてしまうのは請けあい、まず、おだぶつだ。クワバラ、クワバラ……」
https://news.yahoo.co.jp/articles/886d67e448be239f7639142f3ba5d102e30cdf4f?page=5

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「学問とは無縁」という考えは間違い!東大生おすすめ「勉強になる漫画」3選、読み方にも秘訣あり

2022-05-23 | アイヌ民族関連
東洋経済5/21(土) 12:31
「東大生は漫画を読まない」と思われがちですが、「漫画も立派な参考書」と断言するのが現役東大生の西岡壱誠さんです。では、勉強になるおすすめの漫画はどれなのか。『東大×マンガ』を監修した西岡さんが紹介します。
 みなさんは、「漫画」と聞いてどんな印象を持つでしょうか。漫画といえば、娯楽の1つで勉強にはまったく関係ない、学問とは無縁のものだと思う人も多いと思います。
 が、実はそんなことはありません。漫画の中には勉強になるものも数多く存在していて、実は東大生たちも、勉強になる漫画をたくさん読んでいるのです。小さいころから漫画を読んで勉強していて、だからこそ東大に合格できた、という学生も少なくないのです。
 今回は、東大生のおすすめ漫画の中から3つを選んで紹介させていただきます。
■勉強は日常生活に立脚していることを教えてくれる
①理系科目の勉強になる『理系が恋に落ちたので証明してみた。』
 この漫画は、理系の大学生たちが「恋」という不確かで非科学的なものを証明しようとするラブコメディ漫画です。実はこの漫画、すごく理系科目の勉強になるのです。
 高校数学でも習う確率の問題や素数に始まり、「NP困難」や「巡回セールスマン問題」などの大学で扱う理系の問題などを題材にしているため、読んでいて知識として得るものが多いです。
 しかし、僕がこの漫画をおすすめするのは知識という点だけではありません。この漫画は、学問との付き合い方を教えてくれます。「勉強というのは難しいものではなく、日常生活に立脚しているということを教えてくれる」という点で、僕はこの漫画をみなさんにおすすめしたいのです。
 この漫画では理系の事柄が多く題材として描かれています。でもそれらはすべて、日常生活の延長線上として語られます。
 スマホゲームのガチャと結び付けて「確率」の話が描かれ、デートでどういうコースでいけば一番多く乗り物に乗れるのかを考えるために「巡回セールスマン問題」が描かれ、ギャルゲーのルート分岐のために「NP困難」が語られています。よく「勉強なんて社会に出たら何の役にも立たない」なんて言いますが、実はそうではなくて、学問というのは必ず社会のどこかで役立っているものです。
 実は東大の入試問題も、社会と結びついて問題が作られています。物理ではボードゲーム のジェンガの摩擦を求める問題が出たり、数学ではブラックジャックの確率を求める問題が出たり、地理ではシャッター通り商店街がなぜ生まれるのかを問う問題が出ていたりします。
 これは、東大が「机の上だけの勉強」ではなく、「社会や日常生活とつながる勉強」を推奨しているからだと思います。そしてそのための「学びに向かう姿勢」を教えてくれるのが、『理系が恋に落ちたので証明してみた。』だと言えるのではないでしょうか。
 ぜひ皆さん読んでみてください! 
■無機質だった教科書が違って見えてくる
②日露戦争後の空気感がわかる『ゴールデンカムイ』
 日露戦争後の北海道を舞台に、戦争帰りの屯田兵たちやアイヌ民族や新撰組の生き残りを巻き込んで、しっちゃかめっちゃかな戦いが繰り広げられる漫画、『ゴールデンカムイ』。この漫画を読むと、その当時の人々の空気感がわかります。
 漫画というのは、「空気」を知ることができるところに価値があります。
 歴史の教科書を読んでいても、無機質に書かれた一文一文の連なりとして見てしまったらあまり面白いとは感じられません。でもその時代の空気感なんかがわかると、教科書が違った側面を見せてくれることがあります。
 例えば、この漫画を読んだ後で日本史の「日露戦争で日本が賠償金を取れず、日比谷焼き討ち事件が起こった」という記述を読むと、その一文に秘められた当時の人たちの想いが理解できます。
 この漫画では直接的に日露戦争とその講和条約が描かれているわけではないのですが、しかし当時の民衆の「あんなに頑張って戦ったのに、どうして」という思いが理解できるようになります。日露戦争だけではなく、この漫画では北海道の開拓やアイヌ民族の生活やそこに生きる人々の価値観も描かれていて、アイヌや北海道の歴史も彩りを持って理解できるようになります。
 『ゴールデンカムイ』を読めば、勉強が面白くなって、そして理解しやすくなるわけです。
③読解力が鍛えられる『BILLY BAT』
 最後はこの漫画、浦沢直樹著「BILLY BAT」です。東大生の友だちとみんなで読んで語り合うことが多い作品なので紹介します。
 漫画家の主人公は、ただの漫画のキャラクターであるはずのコウモリに話しかけられ、自分が作ったはずの漫画がどんどん現実のものになっていき翻弄されるようになります。
 そして実はそのコウモリは、アドルフ・ヒトラーやアインシュタイン、フランシスコ・ザビエルなどの歴史を変えた有名人たちにも見えていたことがわかっていき、さらにケネディ大統領の暗殺や9.11のテロなど実在の事件にも繋がっていく……という、歴史を巻き込んだ壮大なスペクタクル漫画がこの『BILLY BAT』です。
 この漫画は非常に難解な作品で、僕自身、何度読み直したことかわかりません。でもそれだけ重層的で、非常に勉強になる作品です。そしてそうやって読み直すうちに気付いたのですが、これは非常に読解力が鍛えられる漫画です。
■「物語」というものの考え方が非常に示唆的
 作中で主人公たちが作った漫画のエピソードが、そのまま現実の世界でも起こった出来事になっていく話の構成上、1ページ前ではコウモリやウサギが登場してしゃべっていたかと思えば、その次のページではまったく同じ構図で人間の登場人物たちが話をしている……なんて描写もはさまれて、もうこれが実際に「BILLY BAT」という漫画の世界の中で起こっている出来事なのか、それとも主人公たちが作っている漫画の中だけの話なのかわからなくなってしまいそうになります。
 しっかりと読み込まないと話を追えなくなるので、だからこそ本を読解する訓練になります。
 そして、作中で描かれている「物語」というものの考え方が非常に示唆的で勉強になるのです。「登場人物たちには必ず何かの役割がある」「解釈は人それぞれ」「人間はたまに思い掛けない行動を取る」「作者は何らかの思いに突き動かされて作品を描いている」……これらの大原則を、生き生きと伝えてくれます。
 この物語自体が実は、物語の読み方を教えてくれる作品なんじゃないかと思えるくらい、この作品は読解力を高めてくれるのです。みなさんぜひ、読んでみてください! 
 いかがでしょうか。ただこれらの作品を読めば学校の成績が上がるとか資格試験でいい点が取れるとかそういうことはありません。でも、これらの作品は「生かそう」と思えばいくらでも生かすことができると思います。東大生は、ただ漫画を読んでいるのではなく、勉強に生かす読み方ができているから漫画から勉強できているのです。
 ぜひ皆さん、漫画を読んで勉強に生かしてみてください! 
西岡 壱誠 :現役東大生・ドラゴン桜2編集担当
https://news.yahoo.co.jp/articles/a1b2936293882ffd0e0e2fbba37520cdad4df275?page=1

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ウド・フキ・エゾジカで伊料理 アマンが大手町で挑戦

2022-05-23 | アイヌ民族関連
日経スタイル5/22(日) 19:30

アスパラガスと有精卵、ペコリーノの料理はイタリア中部アブルッツォの郷土料理のアレンジ
海外からの日本入国制限が少しずつ緩和されるなか、かつて外国人でにぎわっていたレストランが再び積極展開に踏み出した。その1つ、世界的なリゾートホテルチェーン「アマン」で唯一の都市型ホテル、アマン東京(東京・千代田)のイタリアンレストランの料理が見逃せない。
アマン東京は2014年に開業し、メインダイニングは欧州料理を幅広く扱うレストランだった。が、アマンがグループ全体として、「アルヴァ(英語の「収穫」の語源となったラテン語)」というイタリアンレストランをスタートさせたことをきっかけに、2018年1月、アマン東京でも「アルヴァ」に生まれ変わった。イタリアのサステナブルな食文化と地産地消をとり入れ、日本の豊かな食材を使っている点で、ホテルの宿泊客だけでなく、レストランを目当てに訪れる顧客も多い。
当レストラン「アルヴァ」の平木正和料理長は17年間のイタリア滞在歴があり、ヴェネツィアの五つ星ホテル、ザ・バウアーホテルで総料理長を務めたこともある。平木料理長は、日本の食材を使いながら、イタリア郷土料理として巧みにまとめ上げる。規模の大小にかかわらずイタリア各地の厨房に入り、郷土料理のベースがしっかりと身についているので、現地で食べ慣れた日本人や外国人にもイタリア料理として違和感なく、かつ新しい味を提示できるのだ。
ローマの東側の中部イタリアに、アブルッツォという標高3000メートル近い山にも海にも恵まれた州がある。コストパフォーマンスのよいアブルッツォのワインが日本でも話題になりつつある今、日本の食材を組み入れた同州の郷土料理コースを特別にいただいた。いくつかは、「アルヴァ」のふだんのコース料理やアラカルト料理に入っている。また、約2000本のワインセラーは、アブルッツォ産の3種類のワインを含めて、約4割をイタリアワインが占めている。
最初の前菜は「ニシンと山菜のヴァリアツィオーニ(バリエーション)」。ニシンをオリーブオイル漬け、酢漬け、薫製という3種類の調理法で仕立てた一皿だ。山菜はウド、ウルイ、フキで、フキは古代ローマ時代から味つけとしてある甘酢味にした。イタリアでもニシンは食べられ、平木料理長が滞在した北イタリアでも春になると野草を摘んで料理に使うことから、「日本の春をイタリア料理で表現した」一品である。
■日本の和食材でイタリアの郷土料理を表現
次の前菜は「ホウボウと桜海老のブロデット」。イタリア半島の東側、アドリア海に面した町で食べられる魚介のスープがブロデットだ。黄色い泡はサフランで、イタリアのサフラン料理といえばコメ料理「ミラノ風リゾット」を思い浮かべる方が多いだろう。アブルッツォはそのサフランの産地の1つなので、ブロデットにも使う。まるで魚介のエキスのように濃厚なブロデットに、サフラン入りブロード(だし)の泡が色も風味も華やかさを添える。
3つ目の前菜は「アスパラガスと有精卵、ペコリーノ」。アブルッツォには、「カーチョ・エ・ウオーヴァ(チーズと卵)」というペコリーノ(羊のチーズ)と溶き卵を使った郷土料理がある。アブルッツォは牛乳製のチーズよりも羊乳製のチーズが主流だ。その郷土料理からイメージした一品で、平木料理長が勤務していた北イタリアではアスパラガスをよく使い、ゆで卵や半熟卵をソース代わりにすることから、これらの食材を組み合わせた。
パスタは「北海道産オーガニック全粒粉のスパゲッティ アッラ・キタッラ 蝦夷鹿のラグーとアイヌネギ」。「実は、北イタリアの山のほうにも、春に行者ニンニク(アイヌネギ)に似た食材が出てきます。日本の食材をまずイタリアの食材なら何だろうと置き換えて考え、イタリアの郷土料理のベースから外れないように組み立てる。自分にできるやり方はこれしかないし、それが新しい挑戦になると思っています」と平木料理長はいう。
「アルヴァ」のふだんのメニューではタリアテッレという平打ち麺で出されているが、この日はアブルッツォの伝統手打ちパスタ、キタッラで出された。イタリア語でギターという意味のキタッラは、木枠にギターの弦のように張られた細い針金にパスタ生地を押しつけてつくる。ロングパスタの断面は、スパゲティなら円形、リングイネなら楕円形だが、キタッラは四角形という特徴があり、ラグー(ミートソース)などに合わせやすい。
■デザートはホテル内のパティスリーショップでお試しも
メインは「スプリングラムのアッロースト(グリル)」に、バラの花に見立てた新ジャガイモ、アブルッツォ産の黒オリーブなどを添えた。イタリアの中部から南部は、牛肉よりも豚肉や羊肉をよく食べる食文化が残っている。そして、春といえば、復活祭に食べるラム肉。そうした食文化を反映したメニューである。
最後のデザートは、パロッツォというアーモンドとチョコレートのケーキ。イタリアの伝統菓子は数百年の歴史を持つものも多いが、この菓子は100年ほど前にアブルッツォの有名菓子店がつくったとされる。本来は冷ましてから食べるが、この日は温かいままで出すことによって、近くに添えたバニラのジェラートがオレンジのソースに溶け出して、ソースに別の味わいを出すよう考えられていた。
実は、アマン東京の地下2階には、アマングループ初のペストリーショップ「ラ・パティスリー by アマン東京」がある。「アルヴァ」と「ラ・パティスリー」を含めたホテル全体のペストリーをつくるのは、ホテルのペストリー職人たちだ。ショップの商品はプチガトーなら500円から、パンなら300円からとなっている。アマン東京の菓子やペストリーのレベルを知りたい方は、まずここで買って試してみるのもいいだろう。
新型コロナウイルス禍以前、アマン東京は約8割を海外からの顧客が占めていた。世界中の顧客が訪れる有名リゾートホテルだからこそ、誰にでも知られ、誰でも食べられるイタリアンのメニューも置いている。「トマトとモッツァレッラ」「カラスミのスパゲッティ」などがそうだ。平木料理長が若いころのイタリアでの修業先は、家族的なトラットリア(庶民的な料理店)も多かった。「だから、ホテルといえども、温かく親しみやすい雰囲気を出したいんです。ホテルだから、ではなく、ホテルだけど、と言われる料理とサービスを提供したい」(平木料理長)
世界に名だたる「東京」というグルメ都市の、有名ブランドリゾートホテルだからこその挑戦と試行錯誤が続く。
中村 浩子イタリア食文化文筆・翻訳家。東京外国語大学イタリア語学科卒。イタリアの新聞社『ラ・レプブリカ』極東支局長助手をへて、文筆・翻訳へ。著書に『イタリア薬膳ごはん』(共著)『「イタリア郷土料理」美味紀行』、訳書に『イタリア料理大全 厨房の学とよい食の術』(共訳)『スローフード・バイブル』
https://news.yahoo.co.jp/articles/593e531edf66770c675aebc67a54a2913b807165

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米紙が報じた「タトゥーのタブーに挑戦する日本の若者たち」

2022-05-23 | 先住民族関連
クーリエ5/21(土) 21:42
刺青(いれずみ)やタトゥーに対する偏見が根強い日本だが、ソーシャルメディアの影響などで、若い世代に変化が訪れているという。職場では隠すなどの工夫をしながら、タトゥーを入れる日本の若者の姿を米紙が報じている。
職場で隠すための工夫
東京都内でウェブデザイナーとして働くキヅ・アヤカ(28)は、職場のデスクの横に立ち、リンゴ大のばんそうこうを剥がした。クライアントとのミーティングが終わったので、その下に隠していたものを見せることができる。カラフルなユニコーンのタトゥーだ。
キヅは、日本におけるタトゥーのタブーに逆らう、増加しつつある若者の1人だ。日本のマフィアが衰退し、欧米ではボディーアートが広く人気となった今でも、日本ではタトゥーは組織犯罪と結び付けられたままだ。
キヅは19歳のときに日本のインフルエンサーや海外のセレブに影響され、大好きな漫画『シュガシュガルーン』へのオマージュとして、右太ももに三日月のタトゥーを入れた。その後も、さらに5つ入れている。
大学卒業後、伝統ある大企業の広報や百貨店の販売員など、さまざまな仕事を経験しながら、タトゥーを隠すための工夫を凝らしてきた。最もリベラルな職場以外では、タトゥーの露出は禁じられているのだ。このため、髪を下ろして耳の後ろのタトゥーを隠すなどしなければならない。
「面倒だけど、仕事の時は隠せばいいんです。気にしません」と、キヅは話す。「おしゃれがしたかったんです。だから入れることにしました」
タトゥーを入れた成人が倍増
若い世代の日本人は、スマートフォンの画面をスクロールするたび、有名な歌手やモデルのタトゥーに触れる機会が増え、ボディアートに対する偏見を徐々に壊し、社会の外見に対する期待に挑戦する勇気をもらっている。
都留文科大学の文化人類学者で、沖縄の女性の手に施される伝統的なタトゥー「ハジチ」を研究している山本芳美によると、日本のタトゥーを入れた成人の数は2014年からほぼ倍増。約140万人となった。
2020年には、日本の最高裁が医師免許がない人でもタトゥー施術ができると判断を下し、広く受け入れられるための後押しとなった。情報技術会社の昨年の調査によると、20代以下の60%がタトゥーに関する一般的なルールは緩和されるべきだと考えている。
東京や大阪などの大都市の外食産業や小売業、ファッション業界では、タトゥーの露出は一般的になりつつある。セト・タカフミ(34)は、赤と黒のタトゥーが見えるTシャツを着て、流行のカフェでバリスタとして働いている。
セトのタトゥーのほとんどは、10年前に西日本の郊外から東京に引越してから入れたものだ。今でも帰省するとジロジロと見られる。祖母はタトゥーのことは知らないので、長袖を着られる冬にしか会わない。
「タトゥーを入れるハードルは下がったと思います」とセトは言う。「インスタグラムでは、みんな自分のタトゥーを見せています。タトゥーは今はOK。そういう世代なんです」
硬貨サイズの細い線のタトゥーで20代女性に大人気となっているタトゥー・アーティストのカケハシ・ヒロキ(44)は、公務員、高校教師、看護師などにも顧客の幅が広がったと話す。
「隠せる場所に入れることが多いですが、考えられている以上に多くの人が入れています」と話す。
「業界のイメージを変えた」画期的判決
タトゥーは日本では長い歴史があり、先住民族の沖縄やアイヌの女性にとって重要なものだった。組織犯罪との関わりは、約400年前にさかのぼる。丸、大きな「X」、漢字の「犬」など、地域や犯罪の種類によって異なる印を、犯罪者の腕や額に付けるのに使われた。1868年、日本は鎖国を解き、西洋式の近代化政策を推進するようになった。その一環で、タトゥーは「野蛮」と見なされ、法律で禁止された。
1948年には合法化されたが、偏見は残った。日本の暴力団員であるヤクザは、首から足首まで手彫りする「和彫り」という伝統的な日本のタトゥーをしていることが多い。このような暴力団員との関わりのため、多くの温泉や海水浴場、スポーツジムでは、タトゥーをした人の入場を禁止している。また、事務職では、タトゥーを入れることを許可することはまだまだ少なく、求人への応募を禁止している会社も多いのが現状だ。
画期的な最高裁判決の発端は、2015年に大阪のタトゥー・アーティストの増田太輝(34)が自宅スタジオを家宅捜索され、罰金を科されたことだった。多くの先輩アーティストには罰金を支払うよう助言されたが、増田は従わずに裁判を起こした。
この裁判は「日本のタトゥー業界のイメージを変えた」と増田は言う。
裁判中、ベテランのタトゥー・アーティスト、納品業者、弁護士が集まり、「日本タトゥーイスト協会」を発足させた。2人の医師から助言を受けながら、衛生と安全に関するオンラインコースも立ち上げた。海外の事例を参考に、施術するスタジオで表示できる認定証を発行することもできるようになった。同協会は現在、厚生労働省と協議しており、最終的にはすべてのタトゥー・アーティストが講習を受けるよう政府に推奨してほしいと期待している。
昨年は約100人がコースを受講。現在、日本では少なくとも3000人のタトゥー・アーティストが活動しており、正当性が高まれば、より社会的に受け入れられるようになると期待されている。
「社会が私に追いつくまで」
サナダ・リオン(19)は最近、東京都世田谷区にあるスタジオのベッドに緊張しながら横たわり、初めてのタトゥーを入れようとしていた。
正社員の職を探そうとしているが、心配はしていないという。
「腕や足をゆったりとした服で隠せる仕事に就くつもりです」と、サナダは話す。「最近では、タトゥーはもっと普通になってきてますから」
45分後、サナダは自分の前腕に目をやった。そこには、ハートの形をした小さな羽を持つネズミの輪郭が描かれていた。
「社会が私に追いついて、私が自由になれるまで、働ける場所で働きますよ」と、サナダは語った。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0d1463e52b6ecf205e8dec69536858e69a9e5476

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