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鉱物の部屋へのいざない

四面銅鉱

2013-01-27 11:35:35 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「四面銅鉱」です。

黄銅鉱も四面体の外形をとりますが、その面はきれいな正三角形ではありません。それに比べると四面銅鉱の結晶は美しい正三角形の正四面体構造になるものが多いです。その三角形には結晶世界の美しい秩序を見て取れると思います。

Dscf3275
Casapalca,Peru 四面銅鉱(Tetrahedrite)

これは正四面体構造を取っている四面銅鉱です。天然鉱物なので結晶モデルのように、きれいではありませんが、この結晶からは正三角形の形が見えます。写真は2次元面なので分かり難いかも知れません。肉眼的には3次元的にしっかりした正四面体の形になっております。この四面銅鉱には方鉛鉱が共生しており、いくつかの立方体の方鉛鉱が貫入しています。そのせいかシャープな四面体ではなく、鉱物標本らしいゴツゴツとした印象も兼ね備えています。

Dscf3249
Pachapaqui,Peru 安四面銅鉱・水晶(Tetrahedrite/Quartz)

これは四面体結晶が特徴的な安四面銅鉱と微細な水晶が共生したものです。写真に写っている正三角形の面には、さらに正三角形を三等分したカットしたような結晶面が見えます。偶然かも知れませんが、このような形が自然に出来あがる事に興奮してしまいます。

Dscf3260
Cerro de Pasco mine,Peru 砒四面銅鉱(Tennantite)

これも四面体構造の特徴的な正三角形の面が美しい砒四面銅鉱です。方鉛鉱や閃亜鉛鉱や微細な黄銅鉱が共生しています。

この標本が砒四面銅鉱である事はラベル情報にたよっています。実は砒四面銅鉱や安四面銅鉱は正四面体を基本とした結晶形を示す一群の銅鉱石グループに属し、砒素とアンチモンは交代可能な固溶体として存在します。固溶体は2種類以上の元素が液体のように互いに溶け合って全体が均一の固相になっているものの事で、見た目では判断できません。

四面銅鉱の組成式には砒素やアンチモン以外の元素も任意の比率で交代可能なケースがあるので、四面銅鉱というグループは鉱物種数的にはかなりの数になると思われます。これからも新種の鉱物が発見される可能性もありますが、それはプロの専門家の仕事です。

私は四面体構造の鉱物が増える事を好ましく思います。

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