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鉱物の部屋へのいざない

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構造色2

2024-07-09 10:39:51 | 日記・エッセイ・コラム

このブログでは過去に「構造色」(2012.08.14)というタイトルで一度書いておりました。

国宝 曜変天目の美しい光彩は構造色に起因している事は既に分かってきたことですが、石の世界にも美しい光彩現象はあります。それは虹彩と言った方が適切かもしれません。

石好きさんは、ほぼ全員虹色好きさんと言えるような気がします。石の世界でも虹色は重要なのです。

石の世界の虹も、本来の虹と同じように構造色です。

ただ、その構造色の中でも異なるメカニズムで虹色が出現します。

構造色は光のスペクトルの波長によって色の種類も変わるのですが、石の世界の虹色のタイプはその構造によって幾つかに分けられるようです。

まず、最初は、比較的単純なメカニズムの光の薄膜干渉です。シャボン玉の虹色や、油膜による虹色ががそれです。例えば、アイリスクォーツのような水晶内の薄いクラックや水晶の結晶同士の接合面に現れる虹もそれです。それは、透明度の高い結晶内でしばしばみられます。同じ原理の虹はアメシストやスモーキークォーツなどにも見られ、非常に美しい濃い虹色を醸し出します。

もう一つは、光の多層膜干渉です。多層膜干渉による虹は、一枚の薄い膜に起因するのではなく、薄い膜が何層も重なり、その多層膜に光が通る際の干渉に起因する虹です。
螺鈿や真珠などの構造色がそれに当たります。石の世界では。例えば、レインボーガーネットの虹色がそれに当たります。他には、アンモライトの虹色などもそれでしょうか。レインボーオブシディアンの構造色も多層膜干渉色だと思います。

また、光散乱という発色もあります。青空や夕焼けなどの発色がそれに当たり、レイリー散乱とかミー散乱とかがあります。ムーンストーンのシラーやラブラドライトの発色はそれでしょうか。

それから、フォトニック結晶という構造も構造色を発色します。鉱物のオパールは結晶ではなく微細な粒状の集合体と考えられていますが、その非晶質なシリカの粒のサイズが一定で規則正しく3次元的に並ぶと遊色という美しい虹色を醸し出します。そのような遊色も構造色の一つに考えられているようです。

もう一つ、岩石の薄片を偏光板で見る顕微鏡画面の美しい虹色も偏光による虹色現象のひとつだと思われます。

いずれにせよ、石の世界の構造色はとても美しく魅力的です。発色の原理は違えど、様々なメカニズムから生じる様々な構造色は、一つもしくは複数の原理が関与して、石の世界の多様性を物語り、石好きさんを楽しませてくれております。

今日の写真は、メキシコ産のオパールです。肉眼的には写真よりもっと美しく見えるのですが、その金属光沢を持ったような遊色には、構造色という原理の理解を超えて魅せられてしまいます。

 

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