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鉱物の部屋へのいざない

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丸い石の中2

2017-08-18 13:52:39 | 日記・エッセイ・コラム
今日は先週に引き続き、「丸い石の中2」とします。



最初のこの黒い丸い石はネパール産のノジュールです。それほど珍しいものではありませんが、これがダイナミックな地球史を物語る貴重な丸い石なのです。



上はその丸い石を割ったもので、中にはアンモナイトの化石が凹凸で収まっております。

これは現在のヒマラヤ山脈の4000メートル級の山で採集されたもので、プレートの移動にともなう大陸同士の衝突による造山運動で、古いテチス海の海底に堆積していたものが隆起した場所にあったものです。そのような事を考えると、その丸い石の中には地球史的なロマンが詰まっていると思うと愛着が湧きます。





次はケーブパールです。丸みを帯びたケーブパールとそれを二つに切断したものがセットになっております。面白いと思うのは、その切断面の内側です。最初は丸かったものが、成長するにつれて、サイコロ状に変形していく様がわかります。これは洞窟内の水たまりで生じた最初の球状の粒に石灰分の多い水の雫が長い時間にわたって落ち続け、隣にあったケーブパールとぶつかり合いながら、その空間を埋めるようにお互いに成長し、最終的にはサイコロ状になってその空間を埋め尽くす、という工程で出来ていくと考えられます。写真の一粒はそのような過程の途中で止まってしまった球状とサイコロ状の中間的な形態なのだろうと、想像できます。その丸みを帯びた石の中には丸いながらも角ばっていく様子が残っており、非常に面白いと思います。

最後に、写真はないのですが、海底のマンガンノジュールの面白い話です。

それは聞いた話なのですが、海底のマンガンノジュールを切断したものの中に、その中心部に、銃の弾があったものがあったという話です。それは戦時中の銃弾を核にしてノジュールが生成された証拠で、その生成時間を物語っています。どうも、マンガンノジュールの生成時間は思っていたよりは短い時間で生成されるようです。

マンガンノジュールと言えば、もう一つ、面白い話があります。

先日、東京の科博で開催中の特別展「深海2017」に行ってきたあるお客さんからその図録を見せてもらいました。そのお客さんは2013年に開催された特別展「深海」にも行ったらしく、同時にその図録も見せてくれました。その2013年の図録を見ていると、何と!南鳥島沖海底5500メートルにある球状マンガンが密集している写真が載っておりました。それは、ちょうど今から1年前にマスコミ発表された写真と同じものでした。という事は既に発表より3年前以前には発見されていたという事です。もしかするとこの種の科学記事の公表はそんなものなのかもしれません。

それから、さらに面白いと思ったのは、そのマンガンノジュールの新聞記事にはそれらの切断したものの写真も載っておりましたが、それらの中のひとつと同じものが展示されていたようです。会場で撮影してきたという写真と丸い石の中の表情が全く同じでした。こういう事に気づく事も石の楽しみ方のひとつなのだろうと思いました。
コメント
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