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鉱物の部屋へのいざない

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電子顕微鏡

2014-02-07 18:48:24 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「電子顕微鏡」です。このブログ内検索で「電子顕微鏡」のワードは5件ありましたが、タイトルとしては0件でした。「電子顕微鏡」は初登場です。

私は鉱物を見る為の光学顕微鏡(双眼実体顕微鏡)は持ってはいますが、それほど使ってはいません。鉱物を見るには普段はルーペで十分ですし、もっと言うと、肉眼サイズの鉱物結晶が好きなので、メガネをとって裸眼で見るのが一番です。

ただ、鉱物の世界は顕微鏡の存在で大きく変わります。顕微鏡下では小さな鉱物でも大きくなりますし、得をした気になります。さらに顕微鏡サイズの別の世界を垣間見る事もできます。鉱物の世界は肉眼サイズ、ルーペサイズ、顕微鏡サイズ、それぞれ別世界があると言えます。

さらに、電子顕微鏡サイズの世界はまた別の世界が現れます。結晶好きにとっては電子顕微鏡も欲しいもののひとつだと思いますが、それは高価で、中々個人所有するには縁遠い存在だと思います。

そう言えば、数年前にデスクトップ電子顕微鏡が百万円台で登場した時は本気で購入を考えた事もありましたが、それは実行されませんでした。その代り、私は電子顕微鏡写真の本やDVDを買ってみて疑似的に電子顕微鏡サイズの世界を楽しんでいました。(電子顕微鏡写真ではなく偏光顕微鏡写真ですが、秋山実さんの「ミクロ・コスモス」はお気に入りの写真集です。その極彩色の結晶世界には魅せられました。)

そのような高嶺の花のような存在である電子顕微鏡が比較的身近なところに現れました。それも向こうから話がやって来ました。

実は、サイエンスヒルズこまつにある電子顕微鏡で鉱物結晶を見てみたいというお話がサイエンスヒルズこまつの方からありまして、水曜日に鉱物標本サンプルを持ってサイエンスヒルズこまつに行って参りました。

私は実際の電子顕微鏡を使った事はありませんでしたので、気分は高まりました。どのような鉱物が良いのだろうか?自分の見てみたい鉱物を中心に選んでみました。

用意したのは天然C60フラーレンと言われているロシアのカレリア共和国産シュンガイトやオーストライア産の有色オパールや奈良県穴虫産のジルコンや地元小松の金平産の方鉛鉱、等々、他にも幾つかの候補を選んで持っていきました。

サイエンスヒルズこまつではサイエンスコーディネータのKさんが電子顕微鏡を操作して下さいました。電子顕微鏡では実体顕微鏡と違って試料は極わずかの小さいものとなります。大きめの標本は見れないという事で、まず最初に砂粒状のジルコンを見てみました。すると小さいながらも結晶の形態をしている形が現れました。それは丸みを帯びていました。ジルコンの他にコランダムの微細な砂粒状のものも混じっていたせいか、それらは摩耗しているようでした。面白かったのはそのジルコンの結晶面に出来ている微細な傷の部分も拡大して見る事が出来ました。小さい結晶面にも大きな傷が付いていたのです。

次に方鉛鉱を砕いて見てみました。私が期待したのは方鉛鉱らしい無数の立方体の結晶が階段状に規則正しく並ぶ光景だったのですが、実体はかなり不定型なカオスの世界でした。何となく多孔質なゼオライトのような感じの無秩序な光景でした。ただ、拡大率を上げていくとやや立方体のような形が現れてきましたが、ピントが合い難くぼんやりしていました。

その次には遊色の秘密を期待してオパールを見てみましたが、こちらも想像していた微細な球体が秩序良く並んでいる光景とはほど遠いものでした。それはまるで火星上空から火星の地形を見ているような光景が現れて来ました。そこから試料の断面の方に視点を移動してゆくと、何か筋状の構造が見えて来ましたが、それが何なのかは分かりませんでした。

最後にシュンガイトを少量砕いて見てみました。こちらも想像しているようなサッカーボール状のフラーレンの形は見えて来ませんでした。見えて来たのは平らな平面に何か?他の不純物のような不定形なものが付いているような光景でした。

その日は、結局、期待したような鉱物結晶らしい光景はあまり見る事が出来ませんでした。電子顕微鏡で見る事のできる範囲は極僅かな狭い部分です。見る部分が悪かったのかも知れません。それとこちらの期待していた結晶世界のイメージが現実的ではなかったからかも知れません。もしかすると、電子顕微鏡サイズで見る現実の天然石の世界は結晶世界のイメージとは違うものなのかも知れません。そこで見えたものは地球の山や川を上空から見たような風景に似ていたのです。

そう言う事は、鉱物の世界が鉱物結晶らしく見えるのは、人間的なサイズ、せいぜいルーペサイズが最も結晶らしく見えるのかも知れないと思ってしまいました。それが正しいのかは?まだ分かりません。

そして、今日は別のサンプル(方解石や蛍石や磁鉄鉱や沸石やビスマス、炭化珪素の人工結晶等)を複数持っていきました。それらは本日見る事は出来ませんでしたが、それらがどのように見えるのか?は気になるところです。

イメージ通りの結晶世界が見えて来ると良いのですが・・・・

コメント
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