アイルランド生活ブログ - 生活・料理・留学の情報満載 -

アイルランド在住者(精通者)によるアイルランド生活の情報を発信中!!

松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「ミンスパイ」

2007-12-17 00:24:16 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 クリスマスのごちそうの準備は、秋深まる頃、畑や野山の実りを収穫する時期に始まります。ベジショップの店先に、様々な木の実、たとえばウォールナッツやヘーゼルナッツなどが並び、りんごが山盛りで売られる頃。ほんとは庭や近くの森などで集められる材料ばかりですが、今はベジショップで集める木の実や果物で、プディングやミンスパイに使うミンスミートなどをつくりおきします。

大好評だった即席ミンスパイ。あっという間になくなっちゃうので、やっぱりミンスミートはたっくさんつくり置きしておくのが得策。
 プディングは、以前コラムに書いたように、材料集めがたいへんなので、ノーリンのとこで買うようになっちゃったけど、せめてミンスパイくらいはつくりたい。

 でもミンスミートも、2~3ヵ月は置いた方がおいしくなるですが、たとえば10月に東京に帰って来ていたりすると仕込みそびれてしまいます。瓶詰めのミンスミートを買ってきて、自分でこさえたタルト生地に入れて焼いたこともありますが、今ひとつ達成感がありません。

 しかし去年、にわか仕込みでも充分にイケるミンスミートを考案しました。
 友人たちも、ウマイ、ウマイと喜んでくれ、2ダースがあっという間になくなったので、まずまず成功だったようですから、ここにて発表したいと思います。

@ミンスミート
*以下の材料で、写真にあるようなものが30個ほどつくれるはずです。

【材料】:レーズン、デーツ(刻む)、ミックス・ピール、ウォールナッツ(刻む)をすべて1カップずつ。厳密ではないです。レーズンは、ブランデーかラム酒、赤ワインなどに1時間ほど浸しておく。(カップに入れたレーズンがあらかたかぶるくらいの量で)これらの材料は、できるだけオーガニックのものをご用意ください。

 後は、シナモン とオールスパイスを小さじ山もり各1杯づつ/シェリーかブランデーを半カップくらい/溶かしバターを、そうだなあ、大さじ3杯くらいかな、材料全体にざっとまぶせられれば充分です。

 砂糖も大さじ2~3杯くらいかな。デーツがけっこう甘いので、ハチミツで代用してもよさそう。
 これらをぜーんぶ、大きなボウルの中で、ざっくりまぜあわせます。

 何かで蓋して、ひと晩置きます。
 翌日、タルト生地(ビスケットっぽいのでも、フイユ系のパイ生地でも、なんでもオッケー)の中に入れて焼けばできあがり。

 ひとくちサイズが食べやすいけれど、大きなタルトでも盛り上がりますね。
 焼き時間は、タルト生地に合わせて。ミンスミートは火が通れば食べられますから。
 デーツはわたしのオリジナル。プルーンやイチジクなんかもいいのではないかしら。

 いつもミンスパイを食べると思うのですが、これって洋風月餅ですよね。
 中華菓子が、ヨーロッパに伝わってタルトになったのでは?って、わたしは思うのですが、ほんとのところはどうでしょう?

 ミンスパイは、スパイスを効かせたものをワインでいただくのが好みです。
 赤ワインも合うけれど、きりっとした辛口の冷たい白もいいです。

 遅めの午後に、クリスマスディナーをお腹いっぱいいただいた後、パブも閉まる夜は長く、家族たちと暖炉の前でお喋りを続けていると、たらふくのディナーもほどよく消化し、驚くことにまた小腹がすいてきます。そんなとき、ミンスパイの登場です。なぜにミンス?と不思議だったのですが、「家ではひき肉のパイだった」という友人の話を聞くことも多く、オリジナルは肉だったのかしら?と、これもまたナゾの多い祝祭のごちそうのひとつです。

 大人の味のお菓子で、季節にこだわらない現代では、クリスマスに限らず食べてもよさそうなものなのに、今も律義にミンスパイが食卓にのぼるのは、この時期だけ。

 そういう「特別」感って、いいですよね。だから、ミンスパイを食べたときの風景って、どの年もはっきり思い出せるの。

 思い出も包み込む、ハレの日のお菓子です。


★松井ゆみ子さんのプロフィールはコチラから★
☆「松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー」投稿一覧はコチラから☆

⇒「松井ゆみ子さんの著書はコチラから購入できます!」