アイルランド生活ブログ - 生活・料理・留学の情報満載 -

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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「スープ」

2008-01-28 00:13:32 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 初めてアイルランドでひとり旅したとき、ずいぶんとスープに救われました。
 冬のまっただなかで、あてもなくうろうろと歩き回っていると、あたたかそうなカフェは魅力的で、何度となく立ち寄ったものです。

冷蔵庫の残り野菜でこさえたスープ。オリーブ入りのスコーンを添えて。
 でも、毎回毎回、紅茶にお菓子では飽きてくるし、そもそも辛党のわたしは、日に何度も甘いものを食べるタイプではありませんでしたし。

 お、スープがあるじゃん。と気づくのに、さほど時間は要らなかった。
 どのカフェにでも必ずといっていいくらい「本日のスープ」があって、たいていは野菜のポタージュだったように記憶してます。

 ブラウンブレッドかスコーンを添えた、家庭的なスープは、心も身体もあったかくしてくれたものです。どこで食べても、すごくおいしかったし。

 今でも、歩き疲れてちょっとひとやすみ、という気分で入ったカフェでは、スープを注文することが少なくありません。

 リムリック近くの、アデアという可愛らしい町を車で通りかかったときに、素通りはもったいないねと、マークと少し町歩きをしてみたことがあります。そのときに見つけた、感じのいいカフェで食べた、にんじんスープのおいしかったこと!

 すかさず、お店の女性シェフにヒミツを聞くと「ジンジャーをね、こんなに大丈夫?っていうくらい、入れたの」と笑って教えてくれました。

 そっかー。すぐに家で真似てみました。たまねぎを炒めて、スライスしたにんじんを加え、細かく刻んだショウガと塩&コショウ、スープストック(スープの素と水でオッケー)を入れて煮込みます。コリアンダーのみじんぎりたっぷりも入れるとおいしい。にんじんがやわらかくなったら火からおろし、あら熱をとってミキサーにかけます。これをあたためれば、いつでもいただけます。

 スープはすんごく頻繁につくります。つくるときは、おお鍋にたくさん。
 冷蔵庫に野菜がちまちまと残ったときも「野菜一掃スープ作戦」に乗り出します。

 たまねぎのみじん切りは必須。これに、マッシュルームがあれば助かります。で、あとは、腰抜けになったにんじんやら、とっておいたブロッコリーの茎、とか、ハンパに残ったジャガイモ、食べごろをすぎちゃったリンゴなんかも大丈夫よ。

 ウザイ、と邪険にされる気の毒な残り野菜たちの救済は、スープに限ります。
 マークの姉がミネストローネ風のスープをこさえてくれたとき、いただく直前にチェダーチーズをちゃっちゃっとすりおろしたのを、あつあつのスープの上にのせてくれました。それは、とろーりとオーブン焼きしたラザニアみたいな効果を生み、おいしさが倍増しました。

 スープストックは、自分でとれればいちばんいいのですが。チキンならまるごとローストしたときに、残った骨でガラスープとったりしますけれど、野菜のストックは今ひとつむずかしいので、まだ市販のものにたよっています。でもオーガニックよ。

 MarigoldのSwiss Vegetable Bouillon。
 オーガニックノ表記のないタイプもありますが、オレンジ色のパッケージはオーガニックタイプ。ヘルスショップなどでは、これがいちばんメジャーです。


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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「あげせん」

2008-01-21 20:53:39 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 原稿を書くときの、わたしの悪い癖は、かたいものが食べたくなることです。
 歯応えのいい、おせんべいやらナッツやら。ばりばり噛んでいると頭が刺激される気がするのかなぁ。スポーツ選手がガム噛むのと、多分理由は同じなのでしょう。

ニューブリッジのファーマーズマーケットで買った「あげせん」。ぴり辛でおいしいよ。
 ただ、わたしは食いしん坊なので、できればおいしいものを口に入れたいわけで。

「ケルトの国のごちそうめぐり」を書いていたときは、ボンベイミックスという、ナッツや豆などが混ざったスナックをばりばり、よく食べていました。マークに「なんでもいいから、かたくて、しょっぱいスナックもの買ってきて」とたのんだら、健康食材屋さんで、ボンベイミックスを選んでくれたのです。ビールのおつまみに、ときどき買っているお気に入りのひとつです。

 おーし、と書き進めながら、ばりばりがりがり豆を噛みしめていると、ほとんど工事中みたいなやかましさで、いくらなんでも、かたすぎるな、と手をとめました。

 え?と、何か、いや~な予感がしたら、やっぱり。
 奥歯が欠けてるではありませんか!豆と一緒に、歯も噛み砕いてしまいました。

 そう。身体はって書いてるんですよ。
 以来、ボンベイミックスはトラウマがあるので、手が出ません。

 しかし最近、うれしいことにアイルランドでも大好きな「あげせん」(揚げ煎餅)が買えるんです。
 チリ風味のぴり辛ライス・クラッカーは、ひとくちサイズ。健康食材屋さんにもあるので、健康食のくくりになっているらしい。

 ファーマーズマーケットでは、ナッツやドライドフルーツなどと並んで売られています。アイルランドの人たちは「お煎餅が湿気る」ということに鈍感で、管理が今ひとつということがあって残念ですが、それでも手軽に「あげせん」買えるのはありがたいです。

 いきつけのパブに持っていって、ビールのおつまみにしたら大好評でした。
 そう、あげせんは、ビール飲みたくなっちゃうので、原稿書きのお供には向きません。

★お知らせ
 「北アイルランド食堂」の期間限定オープン!
 北アイルランド映画祭のプレイベントが、続々と開催されていますが、このお店もそのひとつ。2月4日(月)~7日(木)までの4日間、11時から14時までランチのみの営業です。目玉は”北アイルランド定食”シチュー&パンのセットで800円とお値打ちです。他にはデザートも。

 場所は、speace NEO。
 千代田区神田小川町2-10-13 御茶ノ水ビル1F
 @都営新宿線「小川町駅」千代田線「新御茶ノ水駅」丸の内線「淡路町駅」B%出口より徒歩1分の便利な場所にあります。

主催&お問い合せ:NIFF2008実行委員会
TEL:050-1118-9606
http://www.niff.jp

 先日、わたしもここで開催されたイベントに参加しました。オーナー&シェフの尚子さんのつくるお料理、おいしいよー。そんなわけで実は今、東京にいるわたし。映画祭にもぜひ行こうと思っています。

 「キングス」は絶対に観たいなぁ。マークは、地元アイルランドで公開されたときに見逃してしまい「東京で観られるんだ、いいなぁ」とうらやましがっております。

 「ミキボー」も、せっかくアイルランドではテレビ放映したのに、これも逃したとかで「映画祭では両方観られるもん」と電話で自慢したばかり。映画のラインアップのよさもさることながら、いろんな意味で、意義ある開催だと思います、北アイルランド映画祭!

 まずは開催直前イベントの「北アイルランド食堂」にお出かけくださいね!!


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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「水の話」

2008-01-14 02:15:11 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 91年に初めてアイルランドを旅したとき、ダブリンの下町にあるアンジェラのB&Bに10日間連泊しました。宿に泊まるときは必ず、ミネラルウォーターの大きなボトルを買うクセがついていて、そのときも宿の近くにあったコンビニ”SPAR”で調達したのですが、ひとくち飲んでみたら、それはスパークリング・ウォーター。

アイルランドでミネラルウォーターを買うなら、国産がおすすめ。これはメジャーなBallygowan。銘柄は多彩ですし、洋ナシやピーチなどフレーバーも豊富。
 慣れない買い物の、うっかりミスでしたが、ケガの功名で「スパークリング、けっこうおいしいじゃん」と気に入っちゃいました。

 そういえば、アイルランドではペリエを売ってるお店が少ないです。
 レストランでも、スパークリング・ウォーターを注文すると、アイルランドのメーカーのものばかり。マークに「ペリエって知ってる?」と聞いてみました。ジョッキーではなくて、スパークリング・ウォーターの、と前置きして。

 「70年代あたりは、アイルランドでもよく見かけた気がするけど。そのうちアイルランドのメーカー、バリガワンが登場してから、ペリエはあんまり見なくなっちゃったなぁ」

 アイルランドは水がおいしいです。水道水も、ぜんぜん問題なく飲めます。
 4、5階まであるような集合住宅などで、まれにおいしくない水道水もありますが。

 スライゴーの友人宅では、ちょっと濁った感じの水が出ますが、浄水器を通せば大丈夫。ちなみにニューブリッジの我家は、新興住宅地にあり、水道水は期待していなかったのですが、幸いおいしい水が飲めます。

 浄水器も何も通さず、がぶがぶ飲んでいますが、お腹こわしたことないよ。
 お酒を飲んだ後は、たくさんお水を飲むと、二日酔い防止になることを学習しました。夜中にのどが渇いて、裸足でぺたぺたと台所に向かうことが少なくありません。

 水道からじゃーっと大きなコップにお水を入れて、流しの真正面に広がる窓ごしに、明け方の空を眺めながら冷たい水をごくごく飲むと、身体のすみずみまで行きわたる気がします。

 あるテレビ番組で、ダブリンの町なかでアンケートをとっていました。
 ふたつのコップに入った水を飲んでもらって、どちらがおいしい?とたずねるものです。片方はミネラルウォーターで、もう片方はタップウォーター(水道水)。

 答えの大半は「水道水の方がおいしい!」でした。
 その番組は、ミネラルウォーターのペットボトルが、リサイクルできるとはいえ、無駄ではないかと問いかけるものでした。

 旅の最中では、宿の部屋に洗面所の水道しかなかったりして、ミネラルウォーターを買っておくこともありますが、レストランやパブなどでは「タップウォーターをお願い」ってたのみます。アイルランドでは、ごくフツーです。

★コメントをいただきました。
くまらさん(!?)
北アイルランドで買えるサツマイモの情報をありがとう。
いつもは、できるだけフードマイレージを気にしつつ、遠くから運ばれてくる野菜は買わないようにしているのですが、冬季限定なら許していただけるかな?今度見つけたら、試してみます。

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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「本の話」

2008-01-07 01:31:05 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 新年あけました!おめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします!!
 お正月といえば「本」。お年玉をもらっていた頃、年明けに早々と店を開ける本屋さんに行くのが楽しみでした。

カワイイでしょ。ニューブリッジの本屋さん兼ギフトショップで、思わず買っちゃいました。
 あらたまった気分のなかで、ま新しい本の1ページ目を繰るのは、いつにもましてわくわくしたように記憶しています。

 アイルランドでも、クリスマスに本を贈り合う人は多く、暮れからお正月にかけてのお休み中に、ハードカバーのぶあつい本を暖炉わきで優雅に読んでいる姿をよく見ます。

 ハードカバーの本は今もたいへん高価な贅沢品。料理本も売れ筋の人たちのものはハードカバーで20~30ユーロもするので、なかなか手が出ません。

 小説はしばらくするとペーパーバックで出版されますが、それでも10ユーロ以上。日本では、文庫や新書のように1000円以下で本が買えるのが素晴らしいですね。東京にいるときは嬉しくて、ついついたくさんの本を買っちゃいます。

 近年すっごくお気に入りなのが、新潮社のクレスト・ブックス。日本にはまだあまり知られていなかった、世界各国の実力ある作家たちの作品を紹介していくシリーズです。

 アイルランド好きな方たちは「アンジェラの灰」をお読みになっているかも。この本もクレスト・ブックスの一編です。

 イアン・マキューアングレアム・スウィフトなど、ブッカー賞で話題になった作家たちの作品が、このシリーズから刊行されていて、日本語で読めるのは幸せなことです。シンプルな文体なら英語の原作を読むにこしたことないのでしょうが、実力ある訳者の方の選んだ日本語で読むのは、また格別な楽しみです。

 つい最近読んで、ものすごく感銘を受けたのは、アイルランドの作家ジョン・バンヴィルの「The Sea(海に帰る日)」。

 ウェックスフォード出身の作家で、この作品は2005年にブッカー賞をとりました。イシグロ・カズオの「わたしを離さないで」をおさえての受賞したのですって。この作品も読みました。今までに読んだことのないタイプの小説で、キツネにつままれた気分で読み進めていくと、哲学に行き当たるという、すごい本でした。

 なので、それをおさえて?と興味が倍増。しかし、読み始めは、???の連続でした。マークからも「彼の作品って、好きっていう人と、きらいっていう人と、ぱっくり二手に分かれるよね」と聞いていたので、自分はどっちだろう?と迷いながら読み進んでいくと、よかったー、わたしは彼の本、好きだわ~と思える瞬間に出会えました。好きな作家がひとり増えるって、人生ひとつ豊かになりますものね。 「The Sea」は、現在と過去が、なんの境目もなく、つづら織りされていくような、不思議な小説、というより詩のようなお話です。

 クライマックス近くの、海の情景が、まるで映画を観たようにはっきりと脳裏に残っています。ショックでした。ぜひ読んでみてくださいね!

 好き、という方に。彼の若い頃の作品「バーチウッド」が早川書房から出ました。こちらも読みごたえのある怪(?)作です。68ページから69ページまでの顛末に爆笑しました。すごくアイルランド的な光景です。

 ジョン・バンヴィルはエア・リンガスに勤めていたそうで、急に親近感がわいちゃいますね。

★お知らせ
「北アイルランド映画祭」が開催されます。2/9~15まで、渋谷・ユーロスペースにて。
詳細は、http://www.niff.jp/index.htm

そのプレ・イベントに乱入させていただくことになりました!
2008/1/12(土)場所:スペースNEO

第一部 は16時からで、尹慧瑛(ゆん・へよん)女史によるレクチャー「北アイルランドという{場}-映画の背景とその現在」
第二部 交流会 立食での懇談会に、わたしも参加させていただきます。お料理の話など雑談いたしましょう。

こちらは、18時から20時。参加費2000円。お申し込みは、
mail:mail@niff.jp

あるいはFAXで:050-1118-9606

件名:1月12日レクチャー/交流会 予約
1:お名前
2:ご連絡先(電話ORメール)
*一部、二部、どちらかの参加も可能です。


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