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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「ケルトの木の知恵」

2008-02-25 20:56:07 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 大切にしているアイルランド関連書のひとつが「ケルトの木の知恵」です。

 「the Celtic Wisdom of Trees(mysteries,magic & medicine)by Jane Gifford」訳書で、監訳はケルト文学の権威、井村君江先生で、東京書籍から2003年に初版が出ました。著者のジェーン・ギフォードはUKで活躍している写真家です。

 拙著を担当してくださった東京書籍の寺嶋さんに、出版の準備の段階からお話をうかがっていていました。

 「原書は、アイルランドでも話題になっているそうですよ」お恥ずかしいことに、ぜんぜん知りませんで、日本で訳書が出るのを楽しみにしていました。

 文字を持たなかったといわれるケルト人ですが、ドルイドの僧たちは密かにオガムというケルトのアルファベットを使っていたのですって。

 それらはすべて、木の名前の頭文字から取った・・・という話は、マークの義兄で博学のジョンから何年も前に聞いていました。すっごく面白い話で、以来ずっと「木」についてもっと知りたいなと思っていたのですが、なんせ植物オンチ。好きなくせして、花や木の名前がいっこうに覚えられません。なので、この「ケルトの木の知恵」は、素晴らしい教科書です。

 アイルランドにも1冊持っていきたいなぁと思っていたのですが、初版はハードカヴァーで少々重たく、いつもあきらめていました。が、つい最近再版になり、こちらは同じ大きさですけどもちょっと軽めの装丁で、今度は持っていけそう。

 いっとき絶版状態になっていたらしく、アマゾンなどでは「絶版、古書扱い」で紹介されているらしいですが、今でもちゃんと本屋さんで注文できるそうなので、まだお持ちでない方は、超おススメ本なので(アイルランド&ケルト文化に興味ある方、アイルランド&UKの自然に興味のある方)一家に1冊、お持ちになるといいと思います!

 ダンレアリのファーマーズマーケットで、エルダーベリーのシロップをよく買います。ブライアンの奥さんはスウェーデン人で、現地から取り寄せるベリーのシロップがおいしいの。夏は、さっぱりしたエルダーベリーのシロップを冷たいお水で薄めて飲むのが大好き。

 それなのに、Elderと、ニワトコと、実際の木と花のビジュアルがすべてひとつに合体して「あーー、この花の実だったの!」と納得したのは「ケルトの木の知恵」を読んでたときでした。

 ずっと前に、サンザシの木の伝説を書いたことがありますが、実はこの本で知ったお話です。

 アイルランドにいるとき、なんとはなしに毎日見ている木々に、たくさんの秘密が隠されていることをひとつひとつ知るのは、しあわせなことです。

 アイルランドがさらにまた、奥深く感じられ、離れられないなーと実感するときでもあります。


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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「続ワイン事情」

2008-02-18 19:52:39 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 Drinking & Driving Ban (飲酒運転禁止)が徹底し始めたアイルランドでは、車で出かけた先で、ちょいと一杯とパブに立ち寄る楽しさはなくなってしまいました。

手前にいる黒猫は近所から遊びにくるキティちゃん。そのうしろ、暖炉の近くに並んでいるのは家で飲んだワインの空き瓶。
 安全第一。すっかり車社会になっているアイルランドでは、確かに以前に比べて、酒気帯び運転のリスクはぐっと高くなっています。一台の車ともすれちがわないような田舎道、なんて少ないもんなぁ。

 今でもグラス一杯のビールくらいは許容範囲らしいですが、いずれまったく認められなくなるでしょう。第一、グラス一杯だったら飲まないほうが気がきいてますもんね。

 ダブリンなどの大きな町では、車でパブに行く必要がないので。さほど影響はないようですが、パブに車でしか行かれないような田舎では、大きな変化が起きています。まず、家で飲むケースが増えたこと。ローカルバスが巡回サーヴィスを始めたりして、足には困らないよう配慮されてきていますが、今まで自分のペースで「そろそろきりあげようかな」と決められたのが、バスの時間を気にしつつってのは、どうにも慣れないようです。

 家で飲む場合、ワインを選ぶ人はぐっと増えた感じ。
 以前なら、食時のときに少しワインを飲んで、さあパブにくりだして「ビールだ!」ってノリでしたけれど、食事の後もしばしワインでお喋りをつないでいくスタイルは定着しつつあると思います。

 友人たちも、すっかり出不精になっているマークとわたしをパブに誘うのは、3回に1回あきらめて、各々ワインボトル片手に我家に集まってきます。

 ニューブリッジに、ワイン専門店「Wine Buff」ができてからは、ワインの楽しさがさらに広がりました。

 アイルランド各地に10店舗ほどのチェーン展開をしているワインショップで、フランスにあるワインメーカーと直接契約し、独自に仕入れているので価格もリーズナブル。なるほど、と思ったのは、たとえばスーパーなどで10ユーロで売られているワインは、税金やら、場所代やら、もろもろの経費をのぞくと、中身は3ユーロにも満たないクラスのものなのだとか。

 しかし、直売のこの店の10ユーロのワインは、経費をのぞいても7ユーロほどの価値ある中身。まー、ワインを語るには次元の低いお話かもしれませんけど、フツーに、毎日ワインを楽しみたいあたくしどもには、説得力がありました。

 スライゴーの店舗を最初に知り、その後ニューブリッジの店に行くように。
スライゴーの店長さんは、アメリカはアリゾナから移ってきた方で、お話好きのすっごい楽しいおじさまです。

 ニューブリッジの店長ピーターは、ばりばりのダブリナー。奥さまはすっごい美人のスペイン女性で、マークとわたしは、すっかり彼らのファンになってしまいました。ピーターは、いかにものエナジェティックなアイリッシュで、とうとう隣町ネースにも一店構えたところ。

 「今日は、ラム料理なんだけど、どれがおすすめ?」などと相談します。

 「ソースは?」とスルドイ質問をしてくるので、調理法もちゃんと決めておかないと。クリームを使うのと、ハーブ系のさっぱり味とで、コンビを組むワインも異なるもんね。

 われわれのご予算ラインは、1本15ユーロまでで、限りなく10ユーロに近いことを望む、というふところ具合も承知の上で、選んでくれるのがありがたい。

 マーケットで知り合った、スイス人青年はキルケニーでオーガニック専門のワインショップを経営しており、たまーに車で通りかかったときなど、まとめ買いをしたりもします。オーガニックワインは、ずいぶん数が増えたけれど、おいしい!というのにしょっちゅう出会えるほどではないので、厳選しているお店で買えるのは助かります。

 そうそう、こういう専門店で買ったワインでは、絶対に二日酔いしないのが、ありがたいですね。


★お知らせです。
 アイルランド政府観光庁の主催のイベントです!
 3月23日(日)の午後、新橋にあるアイリッシュパブで「アイルランドの食」に関するスライド&トークをさせていただくことになりました。

 詳細&ご予約は、アイルランド政府観光庁のHPにて。
http://www.discoverireland.jp/
 ぜひ、ご参加くださいませ!!

 伝統食から、今のオーガニック&モダンな食のシーンまで、写真をご覧いただきながらお喋りしたいと思います。

 Q&Aコーナーもありますので「これが聞きたかった」というご質問も当日お待ちしています!

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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「ブッキー」

2008-02-11 21:39:29 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 今週、相棒のマークはポルトガルでホリデーです。
 彼の友人が、ポルトガル南部ファロ近くに、アパートを借りたとかで、男ともだちばかり5人で出かけるのだとか。

大きなバッグにお金がざくざく。ボードはオッズの表記です。
誰が、どのオッズでいくら賭けたかをすべてを記す大きな帳面(ブック)。ブックメーカーの名はここから。
 ダブリン~ファロは直行便が出ており約2時間。航空券は200ユーロを切るほどですから、熱海に行くような気軽さで出かけられます。

 近年アイルランドでは、スペインやポルトガルなどに、ホリデー用の部屋を買ったり、借りたりが大人気。海外物件専門の不動産屋さんがいるので、現地で探す必要はありません。新聞の広告でも「あ。この家安い」と思ってよく見ると、フランスの田舎だったなんてことも。20年前のアイルランドでは、考えもしなかった状況です。

 先週末パブで、すでにポルトガル行きを決めていた友人たちと会ったマークは「お前もこいよ」と誘われたそうな。おそろしく出不精で腰の重いマークの性分を知る友人たちは、思いがけず「行こうかな」の答えに、むしろびっくり。

 気が変わらないうちに、と悪友がその場で即座にケータイ電話から航空券をインターネット予約。という流れも、以前のアイルランドでは考えられないですよねー。

 電話でこの顛末を聞かせてくれたマークは「自分でも、なんであのときに、行くって答えたのか、よくわかんない」とハテナマーク。考えられる理由は「天気かな」。

 ここのところ、ニューブリッジ界隈は氷点下まで気温が下がり、老朽した愛車がぴくりとも動かなくなり、仕事に行くのにも支障が出てるらしく、うんざりしてたところに、ポルトガルの太陽がふと見えたってところなのでしょう。

 アイルランド人が、ホリデーで北国に行く話はまず聞いたことがありません。
 みな、嬉々として南の太陽のもとへと出かけて行きます。

 そうそう、本日のお題は「ブッキー」でした。
 アイルランドの競馬(UKも、ですが)の面白さの大きな要因のひとつに、賭け屋兼予想屋の、ブックメーカーの存在があります。

 競馬場のコース脇に、ずらりと並んだブッキーたちは、個性豊か。女性もいるし、家族総出のファミリービジネスも。テレビにもよく出演する北アイルランドのブッキー、ショーン・グレアムは双子で、どちらが来ているのか、いっつもわかりません。

 カシミアとおぼしき黒いロングコートでパイプをふかしたミスター・パワーズはものごしが紳士的で素敵だし、最近見かけないけれど、ナイトクラブに行くような今どきのカジュアルなファッションの、かっこいい青年たちのチームもいます。

 ブッキーで賭ける楽しさは、自分がこれ!と思う馬のオッズを選べるところ。
 大きなレースでは、誰もがこぞって同じ馬を人気馬にすえて、同じようなオッズになりますが、混乱が予想される30頭だてのハンディキャップレースなどは、それぞれのブッキーが、それぞれの予想でオッズを決めます。そしたら、いちばん「勝たないだろう」と予想しているブッキーで賭ければ得なわけです。

 競馬場内の馬券売り場はトートといって、窓口では最低2ユーロから賭けることができるので、自信のないときはこちらを使うこともありますが、「勝つ確率はほとんどなし」と判断したブッキーから馬券を買うのが好き。そして、たまに、よりは多く「ふふん、勝たせてもらいました」って、くしゃくしゃのお札を何枚か返してもらうのが好きです。

★コメントをありがとうございました!
COCOさん、若月さん、ELIMさん、ききさん。
嬉しいですー


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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「アイリッシュタイムス」

2008-02-04 20:07:17 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 ほんの少しの間、ダブリンで英語の個人レッスンを受けたことがありました。
 仕事でアイルランドにいらしてた日本人の方が紹介してくださった先生は、とても気さくなイギリス女性。レッスンというより、知人宅を訪れて、お茶しながらお喋りを楽しむような感じで楽しかったなぁ。

 ビジネスで滞在している外国人を中心に教えてらして、仕事の分野に応じたレッスンが受けられるユニークな教室でした。

 まだ写真も勉強中の段階でしたのに「ユミコはフォトグラファーなのね!」と、教材のかわりに用意してくれたのは、アイルランドのメジャー新聞”アイリッシュタイムス”の記事。いちばん印象に残っているのは、モノクロの馬の写真です。当時のわたしはまだ、競馬にのめりこむなんて夢にも思っていません。それでも、馬を専門に撮っている女性フォトグラファーの写真と記事は、今でもときどき思い出します。

 以来、アイリッシュタイムスは、わたしの愛読紙になりました。
 今でこそ、紙面は経済の話ばっかりという印象ですけれど、それでも興味深い視点の記事がちょこちょこと見つかるので、大事な情報源にさせてもらっています。

 けっこう高いので、毎日買うわけではないのですが、アイリッシュタイムスを必ず買うのは土曜日。ウィークエンドの別刷りとマガジンという小雑誌が付録で、読みごたえ充分。東京からアイルランドに戻ってすぐの週は、金曜日のタイムスも楽しみ。

 イベント情報を集めた「チケット」という別刷りがつくので、わくわくしながら広げます。しかし「今夜、明日・・」といった、その週にあるイベントのスケジュールばかりなので、土曜日の朝に広げて、ああ間に合わなかった~なんてことも、ままあります。そういう、いきなり情報は、90年代はじめの頃から、あんまり変わってないなぁ。大きなコンサートは半年前に発表されたりして、東京みたい。と驚きますけど、小さなギグの告知は、間際に突然がけっこう多い気がします。

 写真がいいのもタイムスの魅力。デザイナーの腕もいいのか、へぇ!と感心するような構図の写真が、どーんと大きく扱われたりします。

 日本の新聞は「状況が把握できる、説明の写真」が中心ですが、タイムスはまだ、感性に訴える写真が使われます。まだ、と書いたのは、かつてはアイルランドという大きなローカルの新聞だったのが、今はグローバルな話を読者に提供していかなければならず、どこかから配信された写真も増えたし、状況写真も多くなっているので。

 東京にいるときも、カフェオレ片手に1時間はゆっくりと朝刊に目を通します。
 実は、すっごい新聞好き。ダブリンから東京に帰るとき、成田行きのフライトで配られる新聞は、欲張って2~3紙拝借し、むさぼるように読んじゃいます。
 しかし、前に拙著にも書きましたが、朝起きると家に新聞があるって贅沢じゃあないですか!夕刊もくるし。

 アイルランドでは、自分で買いに行かなければなりません。でもね、新聞買いがてら町に出て、帰りがけにパブで一杯飲みながらタイムス広げるのもまた楽し。

★お知らせ
2/7(木)15時より。北アイルランド食堂にて、アフタヌーン・トークいたします。詳細とご予約は、北アイルランド映画祭実行委員会 http://www.niff.jp/ まで。
会場は、神田小川町2-10-13 御茶ノ水ビル1F スペースNEO。

わたくしの、自家製アップルクランブルをご賞味いただきながら、アイルランドの(主に食)にまつわるあれこれをお喋りする、気楽な会です。どうぞいらしてくださいねー


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