アイルランド生活ブログ - 生活・料理・留学の情報満載 -

アイルランド在住者(精通者)によるアイルランド生活の情報を発信中!!

アイルランド・ハイスクール・ダイアリー「Vol.12/IBプログラム:知識の理論(TOK)」

2006-01-27 00:22:06 | アイルランド・ハイスクール・ダイアリー
 今回は、インターナショナル・バカロレア(略してIB)プログラムの特徴でもある3つの特別カリキュラムについて説明します。

 3つの特別カリキュラムとは:

* <Theory of Knowledge (TOK)> 知識の理論
 学校の内外で得られる知識や経験をもとに、独自の思考力を発達させることを目的としています。主観や先入観を認識した上で、状況を分析し、さまざまな知識を統合して、異文化を賞賛する精神を養います。哲学、倫理、道徳のような科目。

* <Creativity, Action, Service (CAS)> 創造性、活動、奉仕
 CASは学問以外の活動に重点を置いていて、学問の世界とバランスを取ることを目的としています。芸術活動、スポーツ、奉仕活動などに参加することで、若者がエネルギーと才能を分かち合うことを促進します。

 IBプログラムの目標は、責任感と思いやりのある人間を育てることですが、これらのCAS活動を通じて、自分自身の理解を深め、他人を思いやり、人々と協力し合うことを学びます。

* <Extended Essay> 自由エッセイ
 生徒は自分自身でテーマについて独自のリサーチをし、4,000ワードのエッセイを書くことが義務づけられています。このプロジェクトを通して、生徒は個々の興味に基づいたトピックを深めるとともに、大学で求められる文章を書く技術を身につけます。

 さて今回は、最初の一つ、TOKの授業について。
 今年度5年生に上がったYちゃんはIBプログラム1年目。実際のTOKの授業をレポートしてもらいました。

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 練習は完璧な物をつくる。または、完璧に近づく最短の方法である。でも、そこに完璧というものは存在しない。では、この完璧の基準とは何なのか? 何を基準とし、完璧と私はいっているのか?

 これは、昨日、他校の友達と議論したTOKの課題の一つです。普段何気なく使っている完璧という単語。その単語の私の中での使用基準とは? そんなこと今まで考えた事もなかった! その言葉の意味は知っている。でも、その単語の使用基準は、一人一人違うはずである。なぜなら、完璧とは、一人の人間の理想であるのだから。

 このように、当たり前すぎて、普段何気なく使っている“完璧”という言葉を改めて深く考える。これを言葉にして表すというのが、TOKという教科です。私にとってTOKとは、当たり前のことを深く考えるという機会をくれるすばらしい教科。自分の人生にとって素晴らしい機会です。

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 Yちゃんが自分の中で、“完璧”という言葉について自己議論をして、自分の中で定義づけていく過程が読み取れますね。このように、TOKとは、自分の周りの経験や知識、他人の意見を取り入れた上で、自己議論をしていく力、思考力をつける科目なんです。

 6年生のHちゃんはIB最終学年。6年生は各自選んだトピックをもとにプレゼンテーション(発表)をします。一人持ち時間は10分で、パワーポイント(プレゼンテーション用のソフトウェア)も使用、というから本格的。

 Hちゃんの選んだテーマは「少年犯罪―犯罪の低年齢化」。
 きっかけは、インターネットで読んだ犯罪の低年齢化に関するエッセイ。

 別の学校に通うGくんは新聞や本をよく読んでいる「雑学王」。事件のキーワードを思い出して、インターネットでの検索にアドバイスを与えてくれます。

これらの凶悪犯罪はただいわゆる残虐なTVゲームやホラー映画だけのせい??

現実と非現実の区別がつかなくなってしまうのは、そして人を殺すということがどういうことか、その恐怖を想像できなくなってしまう状態に陥るのは、子どもの周りの環境の影響なのでは・・・?

少年犯罪の加害者は本当に加害者なのか?それとも社会の生んだ被害者なのか・・・??

 Hちゃんのノートには、「Family(家庭)」、「School(学校)」、「Media(メディア)」など、子どもも周りの“環境”となるキーワードや、「核家族化」や「少子化」など、昔ほど“死”が子どもの身近にないことなどの要因が書き込まれていました。

 Hちゃんが自分で持ち込んだパソコンを使って、プレゼンの内容をタイピング。
 パワーポイントというソフトウェアもプレゼンを盛り上げる機能満載。キーワードや箇条書きが、パソコンのEnterキーを叩くたびに画面にフェードイン、その度に、みんなで「おぉ~っ・・」と感動してしまった(笑)。当日は、これらのキーワードがEnterキーを叩くたびに教室のスクリーンに浮かび上がります。(カッコイ~イ♪)

 高校生の問題意識って結構高い。戦争、宗教の違い、環境問題、エイズ、etc…。
 インターネットや新聞や本で何かを読んで、いろんなところで立ち止まって、「それっておかしくない?」って考えたり「これはひどいな…」って心を痛めたりする。それをTOKの授業でみんなで共有して、討論しあう。
最近の社会は情報が氾濫していて、正しい情報を選別するのが難しいことも確か。でも、人間としてモラルのある思考・判断ができるような“大人”になって欲しいな(あ、自分もね)。
 それが少年犯罪を食い止める“環境”を作る第一歩なのではないかな・・・?


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Yukko’s Life In Dublin「Vol.2/ホストファミリーとの生活」

2006-01-26 08:36:40 | Yukko’s LifeInDublin
 これは留学しないと経験できない貴重な体験の1つだと思います。

私が利用した部屋
部屋から見た空
 私の場合は4月から5月末までの2ヶ月足らずでしたが、大きなショッピングセンターがあったりLUAS(路面電車)の駅がある、買い物にも交通にも便利なダブリン郊外のダンドラムという町のホストファミリー宅に滞在しました。

 今まで家族以外と生活をしたことがなく、英語力の乏しかった私にとって、はじめは緊張と「他人の家に居候する」という感覚から、居心地の悪さを感じましたが、1週間後にはその環境にも慣れ、快適に過ごすことができました。

 もちろん宿泊費と食費を払って滞在するのですから、そんな気持ちになる必要はないのですが、私と同じように感じる方も多いのではないかと思います。

 私の家はホストマザーとファザーのみで、彼らの子供たちは自立し、別の場所で生活していました。子供たちが家を出た後、ホストファミリーとして生徒たちを受け入れはじめ、私はその10人目ということですっかり彼らはその生活に慣れているようでした。

 いわゆる「アイルランドの典型的な生活」を送る二人は、ゴルフとテレビが大好きですが(笑)、通学初日は車で学校まで送ってくれたり、学校から帰った後、夕食後は決まって会話をする時間を作って積極的に声をかけてきてくれました。

 朝食は基本的に自分自身で用意し済ませていました。これはどこの家も大体同じようです。トーストとコーンフレークといったシンプルなものです。

 夕食はホストマザーの手作り料理を毎日いただいてました。
 肉料理か魚料理に温野菜が添えられたものが基本で、アイリッシュシチューやブラックプディング・ホワイトプディングという伝統料理も出ました。

 そして毎食後に出るのが甘~いデザート。ケーキ・アイスクリーム・手作りスコーンなどなど。ボリュームたっぷりのメイン料理の後のデザートには、お腹いっぱいになり手が付けられないこともありました。

 彼女は料理がとても上手だったので「今日のディナーは何かな♪」といつも楽しみにしてたのを覚えています。

 ホストファミリーの家に滞在して良いと思った点は
  • アイルランド人の生活を垣間見れた
  • アイルランド人とコミュニケーションができた
  • 炊事、洗濯、掃除など全てファミリーがしてくれた
その一方で問題点となったのは
  • ホストファミリーとの会話時間が十分ではなかった
  • 入浴時間や食事時間が決まっていた
  • 炊事、洗濯が自分で出来なかった
などが挙げられると思います。

 これはあくまで私のホームステイ生活の場合です。

 どういうことかというと、何人かのホームステイ先の話を聞いて思ったことは「それぞれの家族で規則や生活が大きく異なる」ということです。私のファミリーは比較的良い家族だったと思います。

 7月末までの滞在予定だったところ、急遽ファミリーの都合で家を2ヶ月足らずで移らなければならなくなってしまい、良い関係を築き上げる手前で引っ越してしまったため、それだけが残念でした。

 聞いた話では、ある家族はほとんどの時間家にいないため、一切会話時間がなかったり、食事が冷凍食品だったり、たくさんの時間制限があった、というケースも耳にします。ですが、もし不満足な家族の家に当たった場合、学校ですぐに変更の手配をしてくれるようです。

 一方、友達をいつ呼んでも平気だったり、食事や入浴時間の制限がなかったり、炊事も自由に出来る家庭もあるそうです。

 ホームステイ生活をした結果、「体験してみることに越したことはない!」というのが率直な私の感想でした。

 この特別な生活を経験することで期待以上に何かを得られることは間違いありません☆


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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「ディッティさんのオーツケーキ」

2006-01-23 10:55:39 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 北アイルランドが今、がぜん元気です。長い間の内紛状態に、去年ようやく事実上の終止符が打たれました。最後まで拒否していたカソリック側の武装勢力が、武器の放棄を承諾したからです。すでにここ数年、北アイルランドには平和ムードがあふれ、観光にも力を入れ始めていました。南(共和国)側とはまたちがった魅力ある観光スポットがたくさんありますし、食文化も微妙に異なるので、力をこめて紹介していきたい地域のひとつです。

ディッティさん
 去年の10月の終わりに、オートミールの取材で北アイルランドに出かけました。
近年、健康食ブームで人気再来しているオーツ(カラス麦)でつくった保存食、オーツケーキの第一人者として知られるベーカリー、ディッティさんのお店をたずねるのも、大事な目的のひとつでした。

 現地では、オートケーキ(OAT CAKE)とよばれますが、これはOAT CAKESと複数形でよばれることが多いため。でも日本語でオートケーキというと、なんだかAutoの方を思い浮かべがちなので、あえてオーツケーキとよぶことにしました。

 このオーツケーキ、2月1日のセイント・ブリジッド・デーの日にいただく伝統食のひとつです。アイルランドにじゃがいもが伝わってくるまで、オート麦は大事な主食でした。たいていはポリッジというお粥にして食べますが、オーツケーキのように、焼きつけてビスケットにちかい形の保存食も重宝されてきました。

ディッティさんのオーツケーキ
 ディッティさんのオーツケーキは、味にこだわる高級食材店で売られていて、ずっと気になっていました。スローフード協会にも積極的に関わるディッティさんは、休日には野山で馬を駆る、じっとしているのが苦手な行動的で魅力あふれる、こだわりパン職人でした。

 オーツケーキの他に、デュールスという海草入りのオーツビスケットなど種類も豊富。アイルランドにいらっしゃるさいには、彼の商品をおみやげにしてね。ビスケットといってもお菓子ではなく、本来の保存食という意味で、チーズなどに合わせていただきます。

 1月25日に発売になる「暮しの手帖」にケルト人たちの主食であるオートミールの話を12ページの特集記事にしました。ディッティさんの話も書いています。オーツケーキのつくり方なども載せました。ぜひ、ご覧くださいませ。


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アイルランド・ハイスクール・ダイアリー「Vol.11/インターナショナル・バカロレアプログラム」

2006-01-20 01:04:56 | アイルランド・ハイスクール・ダイアリー
 これまでアイルランドの高校プログラムについて説明しましたが、同様に高校留学生に知っておいてもらいたいのが、インターナショナル・バカロレア(International Baccalaureate, 略してIB)という国際資格を取得する教育プログラム。

 これはスイスに本部を置く非利益教育団体インターナショナル・バカロレア・オーガナイゼーション(International Baccalaureate Organization, 通称IBO)によって提供されている教育プログラムです。これらにはディプロマ・プログラム(16-19歳)、ミドル・イヤーズ・プログラム(11-16歳)、プライマリー・イヤーズ・プログラム(3-12歳)の3種類があります。IBプログラムを実施する認定校の数は世界中で年々増加し、2005年9月現在、世界121カ国、1595校で、約200,000人の生徒がこれらのプログラムに参加しています。

 アイルランドでは、ダブリンのSt. Andrew’s College(セント・アンドリュース・カレッジ)がディプロマ・プログラムを実施しています。

 IBOの基本理念は:
 「IBOは、常に問題意識を持ち、知識と思いやりのある若者たちが、互いに理解と尊重を通じて、よりよい平和な世界を築いていけるよう発達を促すことを目標としています。」

 IBOは国際的教育プログラムと公正な評価を展開するために、学校、政府、国際機関などと協力しています。(IBOホームページ http://www.ibo.org/ より抜粋・翻訳)
※ちなみにIBOはユネスコ(UNESCO=国連教育科学文化機関)と諮問機関関係にあります。

* ディプロマ・プログラムとは?
 ディプロマ・プログラムは、大学レベルの準備コースとしてデザインされた16-19歳のセカンダリー・レベルの生徒向けプログラムです。2年間のプログラムで、英語、フランス語、スペイン語で実施されています。

 最後に試験を受けますが、試験に合格した生徒には、IBのディプロマ(学位)が授与されます。IBディプロマは、世界各国で大学出願資格として認められています。

 ディプロマ・プログラムは、さまざまな国の教育システムの良いところを引用して作られており、どの国の教育システムとも異なります。

 St. Andrew’sでは、日本人のほかにアイルランド人、韓国人、アメリカ人、ロシア人、エジプト人、ポルトガル人、カザフスタン人、デンマーク人・・・などさまざまな国の生徒がIBコースを受講しています。このインターナショナルな環境で、お互いの国や文化の違いを学びつつ、一緒にプロジェクトに取り組んだり協力し合います。IBコースは、まさに国境をまたにかけて活躍する未来の国際人を育成する国際教育プログラムなのですね!

* 基本科目と特別カリキュラム
 このプログラムの特徴は、一般的な学問を習得する基本科目(6分野)に加え、3つの特別カリキュラムに見られます。


 生徒は次の6分野の中からそれぞれ一科目を選んで履修します。

  • Group 1(言語A、第一言語): 日本語A、英語A など
  • Group 2(言語B、第二現代語): 英語B、フランス語B、ドイツ語B、スペイン語B など
  • Group 3(個人と社会): 歴史、地理 など
  • Group 4(実験科学): 生物、物理 など
  • Group 5(数学): 数学ハイヤーレベル、スタンダードレベル、数学論、数学方法論 など
  • Group 6(アート及び選択教科): 美術、化学、ビジネス&経営学、音楽 など
 次回は、3つの特別カリキュラムであるExtended Essay(自由エッセイ)、Theory of Knowledge(知識の理論)、Creativity, Action, Service(創作、活動、奉仕)を説明しつつ、実際のコースの内容を、もっと詳しく高校生たちにレポートしてもらいます!


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Yukko’s Life In Dublin「Vol.1/Introduction」

2006-01-19 00:32:35 | Yukko’s LifeInDublin
 はじめまして。このブログに参加させていただくことになりましたYukkoです。2005年4月からダブリンに語学留学中です!

 こちらに来て始めに聞かれること、「なんでアイルランド?」がダントツです。私の場合は2年前に姉と旅行に来たことがきっかけです。そしてとっても心強い、今ではここでの両親的存在のアイリッシュの友人達がいることです。他にはアイリッシュミュージックが好きだったりU2が大好きというのもここを選んだ大きな理由です。

 旅行に帰ってきてから半年後に留学を決めてから、特に留学に向けて勉強することはほとんどありあませんでしたが、留学のための貯金を地道に続けました。

 「とにかくこっちで英語を上達させるぞ!」と意気込みダブリンに着いたその日は、長旅の疲労と突然日本語の一切通じない場所にたった一人で来たという不安感でいっぱいになりました。ホストファミリーの家へ着き部屋に通され独りになった途端思ったことは「日本に帰りたーい!」でした。

 こんなことを聞くと「留学ってとても大変なことなのかしら…」って不安になるかもしれませんが大丈夫、特にこんな気持ちになるのは始めのうちだけです。学校に行き始めてからはとにかく楽しくて気がつけばもう8ヶ月も経ったのか・・・という感覚です。かと思えばあまりに中身の濃い日々を過ごしてきたので4月にここにやって来た時の事が遠い昔のようにも感じます。

 今後語学留学を考えている方に少しでも参考になれば、と願いつつ今までの私のアイルランドでの生活談や語学学校への通学談などを今後ここへ載せていけたらと思っています!


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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「甘くないスコーン」

2006-01-16 14:02:37 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 今回からタイトルを一新しました。いただいたメッセージなどから、アイルランドの特に食文化に関心を持たれている方が、とっても多いことをあらためて知りまして、ならばコラムの題材もさらに食を中心にしていった方がいいかなーと。

 それでも時々は、音楽の話や、私の大好きな馬の話、地元の人たちのことなどもまぜながら、アイルランドの暮しぶりが伝わるコラムにしていきたいと思っています。

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チーズとマスタード・シード入りの
甘くないスコーン
 日本でもすっかり市民権を得たスコーン。たぶん私が、生まれて初めてスコーンを食べたのは、20年ちかく前のロンドンのカフェでした。てんこ盛りのクリームと、ベリー系のジャムが添えられ、お菓子然としていました。

 その後、イングランド南西部のコーンウォールで食べたスコーンには、有名なクロテッドクリームが添えられ、クリーム・ティの愛称で、紅茶とセットで現われました。スコーンはお菓子の範疇とずっと思ってきたのですが、アイルランドではむしろパンの一種として活躍しています。もちろんジャムと一緒に、おやつとして楽しむこともあります。でもクリームをつけることはあっても、クロテッドクリームは一般的ではないですね。

 スコーンは、まず失敗することがないので、ホームベーキングの初めの一歩としてまず覚えたい一品です。

 基本の分量は、小麦粉1カップ、バター20g、卵1個、ベーキングパウダー小さじ1、砂糖 大さじ1、塩ひとつまみ、牛乳適量。

 つくり方は、
1.小麦粉、砂糖、塩、ベーキングパウダーをまぜる。
2.手で粉類にバターをまぜあわせ、細かいそぼろ状態にする。
3.卵を加え、牛乳で適当なかたさの生地に仕上げる。
4.生地を3センチほどの厚みにととのえ、型抜き。
5.200度のオーブンで、10分ほど焼く。
 これで、こぶりなスコーンがちょうど二人分できます。

 最近カフェなどで人気なのは、チーズやドライドトマトなどを入れた甘くないスコーンで、スープなどに添えていただきます。

 上記の材料から砂糖を抜いて、塩をちょっと多めにし、「コショウ」を加えます。応用編として、「小さじ1のマスタードシード」、「粉チーズ」を加えたり、あるいは、細かく刻んだ「黒オリーブ」や「ドライドトマト」をまぜこんだり。

 また、みじん切りのタマネギをさっと炒めたものを生地に加えて、タイムなどのハーブで風味づけなんていうのもいいですし。タマネギを炒めるときに細かく刻んだベーコンを入れても旨いよー。

 小麦粉を全粒粉にしたり、オート麦をまぜこんだり、スコーンは簡単に冒険ができます。甘いのも、しょっぱいものも、必ずあたたかい状態で召し上がってください。冷めちゃったら、ホイルなどでゆるく包んでオーブントースターなどで温め直して。

 馴れればスコーンづくりは、準備に10分、焼くのに10分と、すぐさまできあがるので、つくりおきはせず、そのつど新しいものをこさえましょう。


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アイルランド・ハイスクール・ダイアリー「Vol.10/学校潜入レポート!Holy Child」

2006-01-13 10:10:33 | アイルランド・ハイスクール・ダイアリー
 A Happy New Year from DUBLIN !!

 クリスマスシーズンも終わり、日本に冬期休暇で帰国していた私(ICTスタッフ)もダブリンに帰ってきてしまいました(涙)。

 日本の家族や友人にすっかり甘やかされた2週間。オイシイ日本のご飯をたくさん食べた後では、やや食欲停滞気味(ご飯作るのがめんどくさいだけ)。

 「あれ、私オコンネル・ストリートを歩いてるよ・・」とヘンな気分になったり、ちょっと日本が恋しくなって寂しくなったりしましたが、徐々にダブリンでの日常を取り戻しつつあります。

 冬のダブリンは相変わらずどんよりとした灰色の毎日ですが、東京よりも少し暖かいかな…。

 冬休み帰国していた高校生たちも帰ってきました。
 おととい(水曜日)は、新入生(この1月、女の子が2名増えました!)、帰国していた子、アイルランドでお正月を過ごした子、たくさんの子がオフィスに集まって、とっっってもにぎやかでした。

 これから6月上旬までの約5ヶ月、またみんなの留学生活が始まります。

 2006年一発目のハイスクール・ダイアリーは、Holy Child(ホーリー・チャイルド)という女子高に通うÅちゃん(4年生)の学校レポートです!日本の女子高とはちょっと様子の違うアイルランドの女子高の雰囲気を、Aちゃんのレポートから感じ取ってください☆

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場所
キライニー駅(KILLINEY)駅から徒歩一分ほどのところ。

制服
セーター、シャツ、靴下、スカート、体操着、上から下まで緑一色です。
生徒には全く人気のない制服ですが、体操着の上は赤いポロシャツで下は緑なので、一年中クリスマス気分味わうことが出来ます。

校舎
外から見れば比較的綺麗な学校ですが中はカナリ歴史深い雰囲気です。
窓はカナリ昔式ですがコンピュータールームなどは新しくなっているので使い心地抜群です。(ついでに言うと、パソコンルームのイスは全て緑です)
広く感じるので、最初は迷うこともありますが今では覚えることが出来ました。

教室
四年生のクラスの人数は20人前後で3クラスあります。(日本でいう高1)
机とイスも新しく綺麗です。床はカーペットになっています。日本の教室より少し狭い感じです。20人が教室にいると少し狭く感じます。
自分の所属するクラスでは朝の出席確認だけをすませ、あとは各自の時間割で移動することになります。ですからみな、違う時間割を取るわけなので、授業にでる顔はさまざまです。

授業
留学生でもアイリッシュのと同じように授業を受けなくてはなりません。
基本的に英語、数学、フランス語、宗教、体育は必修で、生物、物理、化学、歴史、アイリッシュ、家庭科、音楽、美術 は選択教科です。
なので、高校になって歴史を全くやらないということも出てくるということです。
体育は語学をあまり必要としないのでみんな仲良く活動していますよ。

行事
四年生は他の学年よりも学校旅行の数が格段に多いです。
遠足で北アイルランドまで行ったり、農場見学などもあります。
2006年の4月にはイタリア旅行も含まれていますが、これは他の旅行とは違い自由参加になります。(お金なかったらいけませんものね)
この学校では文化祭などはありません。少し寂しく感じるかもしれませんね。
ですからクラスで力をあわせて何かをやるという事はありません。

生徒
この学校では10歳くらいの子供から18歳までいます。ですが先輩後輩の関係は全くなく、いつでも気軽に話をすることが出来ます。
先生や、学年が上の生徒に「やあ」、という事が多いです。(もちろん、校長先生にハーイ!ではありません)
留学生でもっとも苦労するのはもちろん語学です。ですがわからないことがあったらいつでもクラスメイトに訊いてみるといいです。いつでも優しく明るく丁寧に教えてくれるはずですよ。

クラブ活動
クラブ活動。日本でいう部活動ですね。こっちでは必修ではなくやりたい人がシーズン制で(夏はテニス、とか…)やります。
ほとんどの人が学校が終わるとすぐに帰ります。
授業が終わって10分もすると教室は誰もいなくなると言う具合です。

その他
授業に日本語という授業もあります。これは体験授業で私たちもやるので、「あいうえお」を勉強する授業はある意味、一つの息抜きにもなります。
いじめはなく皆仲良くしています。8時30分を過ぎると遅刻ですが、40分から始まる朝会に間に合えばセーフになります。(先生が優しければね)

では、そろそろ、失礼しますよ。明日も学校なんです。



学校の正門


校庭


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松井ゆみ子のアイルランド日記「Vol.12/ジャパニーズ・フィドル・ガール」

2006-01-09 07:59:23 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 ちょっと遅ればせですが、 Happy new year! すてきな一年をお送りくださいね!!

 さて、私事ですが、アイルランドで唯一すごしたことないのが新年です。
 アイルランドの人たちは、クリスマスを家族と一緒に過ごす習わしを今も大事にしていますが、同じように日本人として、新年は家族と迎えたいと思っており、いつもこの時期は東京にいます。四季を通して、様々なアイルランドの表情を見てきましたが、まだ大晦日と元旦を見る楽しみが残っているのです。

 クリスマス休暇は12月23日くらいから始まり、25、26日は祝日ですし、なんだかんだ1月1日までは、お休みモード。でも1月2日からは、ふだんの生活に戻ります。でも好景気を迎えた後のアイルランドでは、この時期に2週間ほどの長めの休暇をとる人も増えました。年末のダブリン空港は、旅行に出る人たちでごった返します。90年代初めには、考えもしなかった光景です。

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フィドルを弾く林さん
 昨年の秋、ダブリンでフィドルを学んでいる、林千恵さんに取材をする機会がありました。AERA Englishの「留学のススメ」という、海外で英語だけでなく特別な技術を学んでいる留学生の方たちを紹介するシリーズなのですが、そこに登場していただきました。

 林さんは昨年6月から11月までの半年間、ダブリンに滞在し、英語学校に通いながら、アイルランドの伝統楽器であるフィドルを学ばれました(ちなみにフィドルはヴァイオリンを使いますが、アイルランドなどの伝統音楽を演奏するときには、独特の演奏方法をするためにフィドルとよばれます)。
 
 語学学校LCIと、ダブリンで有名な楽器店ウォルトンズに併設された音楽学校でのレッスンというカリキュラムは、ICTがアレンジしたユニークな企画です。

 日本でフィドルを学んでいた林さんは、本場アイルランドでレッスンを受けてみたいと望んでいたところ、インターネットでICTの企画した「伝統音楽を学びながら語学学習も」プログラムを見つけ、すぐさまダブリンに向かいました。詳しくは、今発売中のAERA English、2月号をご覧くださいませ。

 林さんはクラシック奏法のヴァイオリンを習い始めて約1年で、フィドルに転向。それから約1年と、長いキャリアではないのに、演奏は堂々としていて、正直とてもびっくりしました。ヴァイオリンは、ちゃんとした音が出るまで時間のかかる楽器といわれますが、林さんの演奏を聴くと、2年足らずでこんな風に弾けるようになるの? と、ついマネして習ってみたくなっちゃいます。といっても、林さんはすっごくたくさん練習を重ねているのですが。それでも、アイルランドの風景の中で、フィドルを弾き続ける姿は、うらやましくなるくらい、すてきでした。

 帰国後の林さんは、沖縄で活動する音楽仲間とコラボレーションする予定だそうで、これからの活躍が楽しみです。

 すっかりフィドルの音色に魅了され、最近あらためて、ずっと前にリリースされた
マーティン・ヘイズ(Martin Hayes)のアルバム「under the moon 」ばかり聴いています。

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 今回、東京に滞在している間に、アイルランドの食文化に関するワークショップを開催することになりました。詳しくは次回1月16日に更新する、このコラム内でお知らせいたしますね。

 今年はさらに、アイルランドのまだまだ隠されたままの魅力を、積極的に紹介していきたいなと思っています。ので、どうぞこれからもご贔屓くださいませ。


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