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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「ネースのお気に入りパブ」

2007-05-28 22:31:50 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 飲兵衛のわりにパブ・ネタが少なかったかも、と気づいたので、今回のお題はお気に入りのパブの話です。

お気に入りのパブはクラシックで居心地がいい。
 飲酒運転の取り締まりが、すっごくきびしくなったので(って、日本で考えたら、当たり前でしょうって言われそうですが)、軽く一杯だけっていうのをせずに、まっすぐ家に帰ってくるようになってしまいました。

 確かに、外で飲む機会は減っているな。たとえば、家でくつろいでいるときに、電話で「ちょっと出てきなよー」といわれて、以前だったらまず片道は車で出かけて、路上駐車して、いっぱい飲んじゃったときは翌朝とりに行くって感じでしたけど、駐禁もキビシクなっているため、そんなことはできません。タクシーをよんで、タクシーで帰る。あるいは、よたよた歩いて帰る。いずれにしても、ちょっとめんどくさいって気持ちが働くようになってしまい。

 町まで20分足らずなので、たいした距離ではないのですが、雨の降っている冬の夜をご想像ください。なかなか出て行けないわよー。飲みに行くのにも根性が要ります。で、根性なしのわたしは、家でだらだらとワインを飲むことが増えている今日この頃。

 行く機会が減って、特にさみしいな~と思うのが、ネースのどまんなかにあるパブ「フレッチャー」です。クラシックな内装の、静かで、趣きのある、今では少なくなってきた老舗パブのひとつ。

 チャーミングなオーナー、ミスター・フレッチャーとは、しばしばネースのファーマーズ・マーケットや、ネース競馬場で出会います。

 フレッチャーさんが、ゆっくりゆっくりいれてくれるギネスは、すっごくおいしい。お店のすぐ近くで、ヨガを習っていたことがあるのですが、ヨガの先生には絶対にナイショ。レッスンの後いつも、フレッチャーさんのお店に直行してギネスを飲んだのですが、これがもう、信じられないくらいおいしく感じるのよねー。

 先生はいつも、レッスンの後はお水を飲んでくださいねーと言ってくれてたのに、わたしはギネスを飲んでいた。申しわけない。

 フレッチャーさんの店には、有名な話があるの。

 ローリング・ストーンズのロン・ウッドは競走馬の厩舎を持っていて、アイルランドですごすことも多い馬人間なのですが、彼がこの店に来たことがあるのですって。

 で、居心地がよかったのかしらね、ギターを弾きながら歌い始めたそうな。お客さんたちはラッキーだったと思うのですけども、フレッチャーさんは、静かに彼に近寄って「たいへん申しわけないのですけれど、この店は、音楽パブではないので、演奏はご遠慮くださいませ」って、ていねいにおことわりをしたのですって!!

 いいなぁ。さもありなんって感じなのですけども、お店のポリシーを曲げない頑固さが、まだあるっていうことにカンゲキです。


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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「レトロなご飯」

2007-05-21 01:18:49 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 食の文明開化時代に突入しているアイルランドでは、見つけにくくなってしまったお料理が、けっこうあります。

ローストポーク&アップルソース。マッシュしたにんじんとターニップ、ゆでたキャベジ。
すっごくおいしかったレモンタルト。メレンゲはふんわりさくさく。
 その代表格が、ごくごくノーマルな家庭料理でもある「ロースト肉と温野菜」。パブ料理の定番でもありますが、これの“おいしいもの”となると、案外ないのよ。

 パブでのランチメニューでさえ、パスタやヌードル、スプリングロールなんてのが目立つ今日この頃。なので「懐かしい味」探しが、アイルランドの食べ歩きで、目下最大のテーマです。ヨソ者の私がいうのもヘンなものなのですが。でも、生っ粋のアイルランド人マークがカンゲキするか否かは、大きな基準。

 で、見つけました!アイルランドの懐かしの味!!

 お気に入りのカーロウで、ガーデンめぐりをしていたときに偶然、駐車場で会話した女性に「レストランの看板を見たのだけど、ご存知?」とたずねたら、「あら、それウチよ。まだ開いてるから、寄ってみて」・・・と、こういう成り行きが、アイルランド的で、とても好き。

 言葉を交わした女性メアリは、どうやら店主のようでした。

 居心地のいい、こじんまりとしたカフェ&レストランで、最初に食べたのはスープとパン。これで、お店の力量はわかります。サンドウィッチにはさませていたのも、スライスでなく、ちゃんと調理された塊肉のハムでした。

 よーし、ちゃんと食べに来なきゃ。と、次回はお腹をすかせて、がっつりしたランチに挑戦。やっぱローストものよね、と、マークと私はそれぞれ、チキンとポークをたのみました。嬉しいのは、ちょっと小さめサイズが選べること。私は決して少食ではないけれど、もうオトナなので「うー、苦しい」というまで食べるのは、避けています。楽しくないし。アイルランドでは、とてもむずかしい「腹八分目」が可能なこのレストラン、The Forge。サイズだけではなく、肝心のお味の方も大満足。

 得点高かったのは、やわらかくマッシュした古風なスタイルの温野菜。しっとり仕上がったロースト肉にからまるグレービーソース。ポークには、甘いずっぱいアップルソース。自然な甘みで、うっとりした顔になってしまうニンジンとターニップ。

 これでお値段10ユーロは、たいへん良心的。デザートも、お家で食べるようなトライフルやアップルタルトなどなど。庭にちゃんと、りんごの木があって、ほんとのホームメイドなの。圧巻は、巨大なレモンタルトでした。ふんわりしたメレンゲと、さぱりしたレモンカードたっぷりのタルトは、不思議なことに、こどもの頃、西荻窪にあったケーキ屋さんで、そっくりのを売っていて、家族そろって大ファンだったことを思い出しました。

 もうなくなっちゃったそのお店とともに、そこではそう呼んでいた「レモンパイ」のことは、長いことすっかり忘れていたのですが、The Forgeのレモンタルトをひとくち食べた瞬間に、ふわ~っと記憶が甦ってきたのです。食べものの力って、すごいなぁ。あらためて、感じました。

■The Forge
Kilbride Cross,Ballon,Co.Carlow.
Tel:059-9159939


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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「続・アラン島の思い出」

2007-05-14 01:13:13 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 先週に引き続き、お題は「アラン島」です。
 92年1月に初めて、ひとりで訪れたイニシュモアの夜。夜といっても、まだ8時にもなっていないのに、あたりの静けさはまるで真夜中。冬の離れ小島で、ただ一軒開いているというレストランは、幸い宿のすぐ近くというので、夕飯を食べに行くことにしたのですが。教えてもらった道には街灯がありません。細くうねった道の左側は海で、波の音はするものの、闇に包まれて水面が見えないというのはかなりオソロシイ。月明かりもない晩で、海も道も、まっくろで、情けないことに結局私は、その闇のなかに一歩も足を踏み出すことができなかったのです。幸い、バッグに入れておいた、りんごとクリスプスの小袋ひとつが、おおいに役立ってくれました。

夜には、たどりつけなかったレストランで、翌日ランチを食べました。チーズとハム入りのトーステッド・サンボ。どこで食べても、まちがいなくおいしい。あったかい、ということが、嬉しい。
 アラン島の記憶を引っぱりだしたのは、つい最近、10年ぶり(!)にイニシュモアを再訪したからです。前回は、中濱潤子ちゃんと一緒に「アイルランドB&B紀行」のための取材でした。そのときに会ったクレイ・バンのおかみマリオンとは、たった一度電話で話しただけ。それも偶然、ICTのダブリンオフィスに遊びに行っていたとき、たまたま所用でマリオンから電話がかかってきたので、かわってもらったのでした。「なによー、また遊びにいらっしゃいよう!ボーイフレンドのマークだっけ?まだ続いているの?だったら、イニシュモアに連れて来なさいよ。アラン島に来たことのないアイルランド人なんでしょ!あはははは」と、屈託なく笑う彼女に、行く行くと約束したままで。それも今回、やっぱり彼女には会えないままで。でも、きっとまた会えると思えるところが、アイリッシュのいいとこで。

 3月末のあたたかい日、朝一番に8人乗りの小さなセスナでイニシュモアに渡りました。半日をここですごしたのは、今出ているスタジオヴォイスの撮影のためです。

 おだやかな春の陽射しに包まれた島は、私が最初に体験した島とは、まったく別の表情で、のーんびりと平和そのもの。朝の海は引き潮で、むき出しになった岩の上には、あざらしたちが寝そべっています。

 潮の引いた海にのぞむときは、ダン・エンガスさえもが、なんだか少し退屈しているように見えて、肩すかしをくらわせるあたりが、アイルランド的だよねー。

 新しい家々が建築される島のあちこちで、ケルティックタイガーも、ようやくここまで来たのかなと思いつつ、それでも、たまにしか訪れない身には、小さな島暮しの過酷さなど、理解を越えた世界です。だからこそ、ときどきちょっと、のぞき見したくなるのかも。

 アラン諸島に行く機会があったなら、いえ、どこの地を訪れるにしても、連泊することをおすすめします。駆け抜けてしまうと見えなかったことが、止まって(泊まって)みると、すこうしだけ、感じることができるはずです。

 すこうし、だけなのよ。結局。だから、また。確かめに行かなければならないの。
 まだなんにも、理解なんかしていなかったなぁって。


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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「アラン島の思い出」

2007-05-07 20:48:16 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 アイルランドで、いちばん日本人に会う確率の高い場所が、アラン諸島のイニシュモアだと誰かに聞いた気がします。確かに、アイルランドの強烈なイメージといえば、イニシュモアの断崖絶壁ダン・エンガスを思い浮かべる人は多いかもしれません。

92年1月。初めて渡ったイニシュモアの港。
 かくいう私も、2度目のアイルランド旅行で、いちばん行きたかったのがアラン諸島でした。

 92年1月。イニシュモアの港に着いたのは夕方6時すぎで、あたりは暗~くなっており、なにやら心細い感じ。私の乗ってきたフェリーには観光客などまったくいなかったようで、ひと握りの乗船者たちは港に着くなり、お迎えに来ていた人たちの車で、あっという間に立ち去ってしまいました。港にぽつんと私ひとり。カメラの三脚やら大きなバッグを抱えたまま取り残されて、いや、どうしたもんだか。

 ゴールウェイのツーリストインフォメーションで、宿の予約だけはしていたものの、その宿が、いったいどっちの方角にあるのやら、見当もつきません。

 ほとんど、あてずっぽうで歩き出して、しばらくすると、海沿いの道を絵に描いたような「酔っ払い」が、ふらふらと歩いています。アランセーターに帽子をかぶったフィッシャーマンとおぼしき彼は、なかみが三分の一ほど残ったウイスキーだかウォッカだかのボトルを握りしめて、左右に大きく蛇行しながら、ゆっくりと坂道をのぼっていきます。追い越すのもためらわれ、後ろを着いて行く形になって、しばし。

 他に、宿への道をたずねられるような人も、まったく見当たらないし、ましてや、この酔っ払いおじさんに聞くのはなぁ・・と、困り果てました。

 さらに歩いたところで、これはもう彼に聞くしかないな、と意を決し「エクスキューズ・ミー」と声をかけてみると。これがもう、すごく親切な酔っ払いで、「おー、俺についてきな」と、宿まで送りとどけてくれたのでした。

 宿は民家ではなく、こじんまりとしたホテルの体裁で、観光客もいない真冬にオープンしていただけで、私にとっては超ラッキー。確か、宿代は朝食込みで10アイリッシュポンド。3000円くらいだったように記憶していますが、どうだったろう?

 バスルームは共同。バスタブの回りに絨毯が敷きつめてあるクラシカルなつくりで、趣きはあるのですが、じっとりと湿っている感じ・・・。お湯はちゃんと出るのかな、と着替えを抱きしめてチェックしていると、バスタブのへりをささささっとフナムシが走り去った!!

 ロンドンの安宿で、同じような様式のお風呂につかっていたときに、同じような感じでゴキブリが通りすぎるのを見たときは、そっかーロンドンにもいるのね、と落胆しましたが、アイルランドにはゴキブリがいない!というのは私にとって、ものすごく得点が高いのです。そういうなかで、初めて見ました。室内を走るフナムシ。ゴキブリよりははるかにマシだけども・・・。

 旅好きには、何を軟弱なと言われそうですけども、キラーニーから半日かけて移動してきた後、ほとんどフォビア(Phobia)といってもいいくらいのムシ嫌いが、風呂場でフナムシをガマンする余裕は残っておらず、その夜はお風呂をスキップして、夕飯を食べに出かけることにしたのですが・・・

 ・・・珍しくこの項、翌週に続く。


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