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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「ウエディング・レポート」

2007-07-30 01:47:58 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 先週末、友人の結婚式に出席しました。
 新郎新婦ともに、なかよしなので、新しい門出に立ちあえるのは嬉しいものです。

 アイルランドのへそとよばれるBirrの近くの小さなヴィレッジが、新婦の故郷。地元の教会でのセレモニーは、クワイアがとっても素晴らしく、感動的でした。

 2時間の長丁場ですが、あっという間。ディナーは、Birrの町を少しはずれたところにある大きなホテルでおこなわれるため、各々車で移動するのですが、その前に小一時間ほど教会近くのパブに分散して、仲間と一杯ひっかけます。

 ほとんどのゲストは、式場の近くに宿をとります。幸い、マークとわたしは、新郎の友人たちとともに式場のあるホテルにお泊まり。

 アイルランドの結婚式は、すごく長丁場なので、途中で抜け出して部屋でひと息つくのは、けっこう重要なポイントです。

 ディナーにそなえて、朝シリアルを食べたきりで、すきっ腹なところに、よくばりなわたしはウェルカムドリンクのピンクシャンペーンを2杯もいただき、すでにほろ酔い。ディナーは、スモークサーモンのスターターから始まりました。フレンチキュイジーヌスタイルで、こじんまりとしたもりつけが嬉しい。マークはメインに魚を選んだので、スターターは生ハムとメロン。もちろん、少し盗み食いします。

 次にレモンソルベ。マークはスープを選んだけどパンはスキップ。ようやく学習したらしい。わたしらは、パンが大好きで、おしゃべりしながらワインでパンをつまんでいるうちに、メインがくる頃お腹がふくらんで何度後悔したことか。

 メインは、中部地方ですからね、やっぱり肉でしょう。ビーフですが、ステーキではなくロースト。グレービーがたっぷりかかっていてウレシイ。クリーム状のマッシュポテトの上に鎮座ましますビーフスライスの隣にローストポテト。ご丁寧に、別皿にもられたチャンプ(マッシュポテトにスカリオン=あさつき、が、まぜてある)をもってしまう、アイリッシュなわたし・・。

 マークが選んだ魚料理は、ちょっと珍しい。サーモンとタラが重ねてあり、マッシュポテトとともにミルフィーユ状にしたもの。

 「ビーフORサーモン」は、アイルランドで有名なジャンプレースの馬の名ですが、昔スタイルのレストランでは「肉料理にしますか、魚料理にしますか?」でなく「ビーフまたはサーモン」の選択がポピュラーでした。今は少しかわってきてるけど。

 デザートは、プチフール。これもアイルランドでは新しいスタイルなの。
 ふつうは、どっかんと、ひと種類が、どうだ!という感じで登場します。
 甘党でないわたしは、少しずついろんな種類が味わえるので、プチフールの盛り合わせはありがたいのだけど、甘党のマークは、食べた気がしないと少々不満気味。どっちが贅沢なんだろう??

 小さなシュークリーム、ミニチュアのパヴァロヴァ(メレンゲの上にクリームとフルーツがのったお菓子)、ゴーフルにもったアイスクリーム、リッチなチョコスポンジ。コーヒーをいただいたところで、沈没。いったん部屋に引き揚げます。

 この後は、同じ場所で延々、無礼講が続きます。
 ちょっとうとうとして、ようやく気力が戻ったのは12時を回ったところ。しかし「絶対にまだもりあがってる」と確信してたので、式場に戻ってみると案の定、式場はダンスパーティと化していました。

 DJが(バンドなことも多い)、もんのすごい音量でガンガン音楽を流しています。日本であまり大きくないコンサートをしたカトリーナ&ウェイヴスの曲で、みんな大喜びして踊るのにびっくり。逆に、U2ではダンスフロアがガラすきになって、ちょっとさみしい。けど、踊りにくいのかも。

 Birr出身のシンガーソングライター、マンディの曲は大もりあがり。
 踊るのは若い子だけでなく、新郎新婦のご両親や親戚もしっかり加わり、最後はほとんどフォークダンスののりに。みんなで手をつないで、フロア中を使って踊り、というか駆け巡るというか。

 この間、新婦はずぅっとウエディングドレスのままで、最後は靴を脱いで裸足のまま、踊りの輪の中心にいるのがすごい。そのスタミナダンスパーティがお開きになった後は、バーに移動し、さらにみんな酒を酌み交わすのですが、さすがにバーも閉めるという頃、外はすっかり明るくなっていました。

 1日がかりのウエディングは、アイルランドではごくノーマルなことです。
 マークとわたしが、15年ちかくつきあっているのに、いまだにケッコンにふみきれない大きな理由は、このタフなケッコン式をどう乗りきるか?という点につきるような気がしています。


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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「すぐれものの洗剤」

2007-07-23 00:53:16 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 エコに気をつかうとき、いちばん使用頻度が高く、おまけに水を汚す根元になる「洗剤」が悩みのタネでした。

日本でも買えます!愛用しているエコベール。
 環境にやさしい、とされるものは、今ひとつ洗いあがりがさっぱりといかないことが多く、でも、これが自然なのよね、と半ばあきらめるようにしていたのですが。

 すぐれものを発見!と、いうより、アイルランドのヘルスショップでは、もうこの銘柄一色という状態。Ecoverというベルギーのメーカーで、特にすぐれものは食器用洗剤。さっぱりした洗いあがりで気持ちいい。やっと出会った、と思える台所の味方です。嬉しいことに、日本でも入手可能なの。ずっと、エコバーってよんでたのですが、エコベールっていうのね。

 洗濯用の粉洗剤は、ちょっとダマになるけれど、洗濯好きなわたしにとって、良心の呵責から逃れるための大きな免罪符です。

 値段はちょびっと高めだけれど、毎日使うものですから、日々の出費としたら微々たるもの。オーガニック食材もそうですが、これからの時代、身体に正しいものをケチってはいけませんよね。

 今回は、驚異的な短かさですが、お許しを!

 お役立ち情報になれば幸いです。

 エコベールの日本のWEBサイトは、www.ecover.co.jp

 アイルランドでは、ヘルスショップか、テスコでも買えます。


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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「花を飾る」

2007-07-16 01:56:30 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 アイルランドの家にいるときに欠かせないひとつが、花を飾ること。

おばさんたちの運営する“カントリーマーケット”で買ったガーデンフラワー。
 特に通りに面した窓は、そこに住む人のためというより、外を通りすぎる人たちへのための空間で、殺風景なままにしていると、コミュニケーションの拒絶みたいな印象になっちゃいます。

 まー、そこまでいうのは大げさかもしれないけど、窓辺を飾れないのは、何かしらの理由で「余裕」がないのだな、と思うし、思われちゃうの。

 実際、決して裕福ではないなと推測されるような家でも、通りに面している窓は、それなりに工夫してディスプレイをほどこしているとこが、すっごく多い。

 裏通りの小さな平屋が並ぶ、日本でいえば長屋のような家並みで、窓を飾る置物や花々から、そこに住む人の気質が垣間見える気がして、いっつも心が和みます。

 アイルランドは北国なので、花は高いのよー。

 気軽に買えるのは、菊やカーネーションくらい。スーパーマーケットの花ですら、ちょっとしたものは10ユーロ以上は軽くするので、うえっ、日本なら2000円近くする花束なわけ??とジャッジしてしまうので、雑多な仏壇花系の束には10ユーロ払うのもシャクな気がしてしまいます。

 で、どこで花を買うかといえば、もちろんファーマーズマーケット。

 おかみさんたちの賄うカントリーマーケットでも、ほんとのガーデンフラワーをスーパーに比べたら、うそっ!っていうくらい安価で入手できます。

 アレンジも、おしゃれなの。ああ、花を好きな人が、楽しみながら束ねてくれたんだろうなって思う、すてきなブーケが、うんとリーズナブルに買えます。

 ファーマーズマーケットでは、カスタマーたちだけでなく、トレーダーたちも、帰りがけには花を買っていくのが、すごくすてき。

 肉屋さんも、魚屋さんも、家を守る奥さんのために、マーケットの仲間の花屋さんが、うんとオマケしてくれたユリなどの大きな花束を抱えて帰宅します。

 のろけますがね。マークをソウルメイトだなって思えるようになったきっかけです。ひんぱんに日本に帰ってしまうわたしが、彼に頼んだことのひとつに「花を絶やさないで」がありました。

 いない間をどうやってわかるの?という、イジワルな質問もあるけれど、留守してた人間には、わかるのよ。いない間、そこが、どうなってたかって。

 たいてい主が留守してた部屋って、DEADなの。それがね、帰った日に、ブランクを感じさせない部屋を保ってくれたことが、すっごく嬉しかったのねー。

 花を贈ってくれる人はいても、主がいない間、花を飾り続けてくれる人は少ないと思うの。

 食卓を飾る花は、いつもわたしを豊かな気持ちにしてくれます。


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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「アイルランドの海藻」

2007-07-09 21:57:43 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 海に囲まれた国なのに、アイルランドで海藻を食べる人は限られていました。ごく一部の人たちが、近くで採れるからとか、ローカロリーで健康にいいことを知って食べるくらいの、マイナーな存在で。主な活用法は、古いドキュメンタリー映画にあるよう、いい土をつくるための肥料にしたそうです。

アイルランド産の海藻“ドルズ”。健康食品屋で買えます。
 それが近年の健康ブームのアイルランドで、海藻は新たな注目をあびています。

 ヘルスショップには、カラギンモスやドルスといった自国産の海藻が、おしゃれなパッケージで売られています。

 カラギンモスは、かろうじて古くから食べられていたもののひとつ。寒天に似た使われ方で、あたためた牛乳にいれて、くず湯のようにして飲んだり、ムースのようなお菓子に使われていました。ドルスは、ゲール語でDillisk(デリスク・・・カタカナにしづらーい)とよばれ、乾燥させてスナックがわりにしたり、最近では粉にしてパンにまぜるのが流行りです。

 アイルランドにおいては、牡蠣と同じような立場にある海藻。

 採れるのにもかかわらず「え、そんなもの食べるの?」と、けげんな顔をする輩がいるのよ。インランド(中部)の人たちにとっては、長らくナゾの食材だったでしょう。

 そんな国で、虎視耽々と海藻料理を紹介する機会を待っていた人がいました。

 女医のプラニーです。彼女は、マークのいっぱいいる従姉妹のひとり。なので、長らく私は会う機会がなく、当のマークでさえ、何年も会ってない始末。

 それが、ひょんなことから、彼女の海藻料理本の撮影をすることになったのです。

 スライゴーに住むプラニーは、幼なじみで、サバ漁船の船長ジョニーと、小学校にあがったばかりの娘ケイトと、築200年の大きな家に住んでいます。

 「そろそろひき潮よ」のかけ声で、昆布や海苔を採りに出かけるのは幸せなことでした。私は、そこで初めて自分で岩海苔を採り、家に持ち帰って、佃煮にしました。

 しっかりと磯の香りがする、満足のできで、味見したプラニーも絶賛。

 彼女は後に、そのレシピを1日講習に招かれたバリマルーハウスで披露したのですって。たまたま受講されていた日本人の方が絶句されたとか。

 そうよねー、こんな遠くに料理を学びに来たのに、なぜに海苔の佃煮??

 世界は、こうして縮まっていくのです。

 海藻料理本の出版の予定はまだですが(アイルランドだもん)、このエピソードは、おいおいまたご紹介させてくださいね。


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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「サマープディング」

2007-07-02 23:32:24 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 アイルランドの家庭でつくられるお菓子の大半は、おとなりの英国から伝わったものです。そもそも昔は家庭料理の本も、英国製がほとんどでしたし。

ハンターズホテルの食後に登場したサマープティング。かわいいでしょ?
 クランブルやタルト、フルーツをたくさん使ったティーブレッドなどは、すでにアイルランドの伝統菓子として定着しており、どこが起源か問われなくなっています。

 そんななか、英国ではよく知られているのに、アイルランドであまりポピュラーでない、ある意味珍しいのが「サマープディング」。

 名前だけは知られているものの、なかなか出会う機会がありません。
 たぶん、私のリサーチ不足ってことではなかったと思うの。

 10年ほど前に、友人がホームパーティで、デザートにサマープディングをつくったという話をしたときに、聞いてた仲間が「珍しいねー。どうやってつくるの?」とたずねていました。

 当の友人は「カンタンさ。ラズベリーやブラックベリー、様々なベリーを赤ワインで煮てシロップをつくる。型の中にホワイトブレッドを並べて、ベリーのシロップを注ぎ、一晩置くだけ」え?それだけ?

 その当時、私は料理本の写真でしか見たことがなかったのですが、白いパンに染みこんだベリーは、赤というより濃いピンクで、すごく美しいお菓子です。これはパーティで、盛り上がるだろうなー。

 一般的にならなかった理由のひとつは、アイルランドの人たちが、それほど白い食パンに興味がなかったからなのではないかしら。

 材料を見て、「なにぃ~、食パンでつくるお菓子だってぇ~??」と、あまり食指が動かなかったのだと推測します。だって、私もそう思った。白いパンをシロップにひたすだけで、おいしいデザートになるなんて、信じられないって。

 それが最近、料理雑誌やレストランのメニューにのり始め、ようやく私もお味見することができました。またまた同じ河岸の話で恐縮ですが、ウィックロウのハンターズホテルでディナーしたときのこと。

 メインでお腹いっぱいだったのですが、デザートメニューに見つけた「サマープディング」を見逃すわけにはまいりません。

 いや~びっくり。これは、ひとり用サイズにつくられたもので、見た目もかわいらしかったけど、味に驚いた。これって、ほんとうに、ただの白パン??

 甘酸っぱくジューシーで、口の中でとろりととけてしまうデリケートなお菓子です。アイスクリームも合うだろうなぁ。お腹いっぱいでも、すいすいと食べられてしまう、さっぱりしたデザートです。

 詳しいつくり方の載っている、いい本も見つけました。日本で、です。
 「英国伝統のホームメイドお菓子」ジュリー・カレン著(河出書房新社刊)
 アイルランドのシーフードレストランに勤めていたのですって。どこでしょうね??

 彼女の本には、アイルランドでもおなじみのお菓子のつくりかたが、たくさん載っているので、すごく重宝です。

 ★mamakarinさんから、コメントをいただきました。カントリーバターの話を「おいしそう!」って、ほめてくださって、嬉しかったです。メッセージは、とっても励みになるので、お待ちしていまーす!! Yumiko (^o^)


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