生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

生き生き箕面通信755 ・日本のジャーナリズムの1年間を総括

2010-12-31 06:16:04 | 日記
おはようございます。今日は大みそか。1年間お付き合いいただきましてありがとうございました。どうぞ良いお年をお迎えください。新しい年が幸多い年となりますようお祈りしています。
生き生き箕面通信755(101231)をお届けします。

・日本のジャーナリズムの1年間を総括

 「大手メディアの情報ガラパゴス化が顕著になった半面、ツイッターなどが新しい道を切り開き始めた」――そんな1年だったように思います。

 「日本ではジャーナリストとして活動できない」と、海外のメディアが日本から撤退し、アジアの拠点を中国などに移す動きが加速しています。日本では、世界には例のない「記者クラブ」という制度が取材の自由を阻害しています。だから、日本人記者クラブに加盟できていない外国メディアの記者は、多くの記者会見から排除されることが多い。

 日本のジャーナリストでも、記者クラブ所属以外の記者は排除し、情報へのアクセスを邪魔することによって、大手メディアが「情報の独占(寡占)」を図っています。外国のメディアからは批判され続けているのですが、朝日、読売、毎日、日経などは牢固として改めようとしません。記者クラブという大きな部屋の提供を受けるなど便宜供与を受け、その代わりその役所や業界の都合の悪いことには目をつぶることも多いという、臭いもの同士の「もちつもたれつ」。

 検察の記者クラブなどは、写真も撮らせない、録音・録画は一切禁止という検察側の規制を易々と受け入れ一向に改善することがありません。

 裁判もいまだにカメラが入れません。裁判は抽選に当たれば誰でも傍聴できるわけですから一般に公開されているようなものですが、写真撮影ですら禁止されスケッチで代用するというおかしなことが麗々しくまかり通っています。イギリスでは、ツイッターなどで中継することも認めるところまでオープンになってきています。

 記者会見のオープン化は、今年前半の鳩山政権までは前向きに進みましたが、菅政権になってからは著しく後退し始めました。まず、菅さんは首相会見を3カ月もしませんでした。前原外相は、会見の時間を短縮し、徐々に元の閉鎖的な記者会見に戻しています。片山総務相は、原口総務相が決断して実行に踏み切った「政務三役会議のオープン化」をやめました。

 今年春、フリージャーナリストの常岡浩介さんがアフガンで誘拐され、5ヶ月後に解放された事件がありましたが、帰国後も東京のメディアは全く報道しませんでした。常岡さんが羽田に到着したときは200人を超える報道陣が押し掛けたのですが、外務省は霞クラブ(外務省記者クラブ)に一片の通知を出して報道を抑えにかかりました。「避難勧告地域に入った人間がいるが、そうした人間に便宜供与するのはいかがなものか」という趣旨でした。つまり、「報道するな」ということです。そうすると、朝日も読売も、見事に外務省のお触れにしたがったのです。

 アフガンで常岡さんを誘拐したのは、現在のカルザイ政権で有力な地位を占めている有力閣僚がリーダーの団体だったようですが、「事実を調査してほしい」という常岡さんの訴えも日本の警察は素知らぬ顔で取り上げません。そのことも、日本の報道機関は伝えようとしません。

 一方、ツイッターなどは、盛んに取り上げています。「何が真実か」、ともかく伝えてくれなければ判断のしようがありません。大手メディアは、私たちの「知る権利」を奪って平然としています。私たち自身が「情報ガラパゴス」の環境に置かれることがままあるのです。ツイッターはその突破口を開く可能性を感じさせる1年でした。

生き生き箕面通信754 ・遠山の金さんによる「デモクラシー裁判」の終焉

2010-12-30 07:26:32 | 日記
おはようございます。「検察に脚本家まで居るらしい」(よみうり時事川柳より)
生き生き箕面通信754(101230)をお届けします。

・遠山の金さんによる「デモクラシー裁判」の終焉

 私たち日本人は、ずっと「遠山の金さん」が好きでした。「この桜吹雪が見えねえか」と、お白州に引き据えた犯人にとどめをさすシーンに喝采を送り、胸の内をスッとさせていました。ところが、ここに猛毒が仕込まれていたのです。

 現代に映して見ると、遠山の金さんに当たるのが検事です。だから、検事が起訴すると、それだけで有罪が確定したように錯覚してしまうのです。繰り返し「金さん」を見たりしているうちに、金さんという捜査機関が一転、お裁きの場で裁判官も兼ねるシーンを当たり前、「裁判はそんなものだ」と頭の中に刷り込まれてしまいました。

 例えば、かつての田中角栄・ロッキード裁判がそうでした。「検事が角栄に懲役5年を求刑するや否や、社会党は浮かれ出して、何と提灯行列で練り歩く始末である」。こう指摘するのは、小室直樹さん。

 小室さんは、時に奇矯な振る舞いがあったことから、「奇才」とされましたが、知る人には「世紀の大天才」と認められていました。東大で法学博士号を得、フルブライト留学生として米国ミシガン大学で計量経済学を学び、マサチューセッツ大学ではサムエルソン博士(ノーベル経済学賞受賞)から経済学を学んでPh.D(博士号に相当)を取得。ハーバード大大学院ではさらに理論経済学や心理学、社会学を修めました。

 その小室さんは、「田中角栄の遺言」という書を出し、その中でロッキード裁判そのものが、嘱託尋問というインチキな手法で始まり、反対尋問なしという憲法違反のでっちあげで裁断されたもの。結論として、「田中角栄は無罪」と明快に断定しています。さらに、「日本でデモクラシーを信奉するならば、今こそ角栄がさん仰される」と、角栄を高く評価しています。

 「国難の時代にあっては、政治家の胆力は大きな水がめのように、並はずれたスケールのものでなくてはならない。田中角栄よ、再び出でよ。その声が、国民の間に澎湃として高まらんこと、それを、ただ祈るのみである」と、結んでいます。

 小室さんは今年9月、どういうわけか急逝しました。78歳。最近、復刻版が「日本いまだ近代国家に非ず」(ビジネス社)の題名で出版されました。副題は「国民のための法と政治と民主主義」です。

 生前、「デモクラシー(民主主義)に対する正しい理解がされない限り、何回でも、同じ繰り返しをすることになるでしょう」と言っていたそうです。確かに今、小沢問題はまさに同じことの繰り返しです。かつて社会党が検察の起訴を拍手喝さいしたのと同じことを、朝日や読売新聞、NHKなどのテレビ各社などマスメディアがやっています。そして「推定無罪」の原則もなんのその、1年以上にわたって執拗に人民裁判を続けています。その上に乗って民主党の菅、岡田、前原、枝野、蓮舫といった人間が、何としてもお白州(国会招致)に小沢氏を引き出そうとしているのです。

 顧みると、日本人の裁判感覚はいまだに江戸時代、遠山の金さんの時代と対して変わらないといっても言い過ぎではありません。検察が起訴すれば、それでただちに「有罪」と確信してしまうのが証明しています。それが、日本の政治のレベルをいつまでも世界水準に達せないブレーキにもなっています。

生き生き箕面通信753 ・菅政権は官僚主導へ大転換

2010-12-29 06:36:19 | 日記
おはようございます。
生き生き箕面通信753(101229)をお届けします。

・菅政権は官僚主導へ大転換

 仙谷官房長官が昨日、各府省の事務次官に対する年末訓示で、大臣、副大臣、政務官による政務三役会議に「次官や官房長が可能な限り出席、陪席するようお願いしたい」と要請しました。

 これは何を意味し、これからの政治にどのような影響をもたらすのでしょうか。一言でいえば、「官僚主導への先祖がえり」です。「『政治』は力不足だから、官僚さん助けてください」という菅政権側からのあからさまな「白旗」、SOSなのです。

 日本の政治は、田中角栄時代などわずかな例外を除き、官僚に支配されてきました。戦後間もなく行政ばかりでなく、立法や司法も官僚主導が確立し、長く続いてきました。

 官僚主導の根幹は、事務次官会議です。政治の根幹は法律です。その法律は、新しいものを1本作ろうとすると、関係する省庁が複数にわたることが通常です。だから、すべて事前に課長クラスを中心に各省庁間で厳しい調整を行い、それを次官会議でオーソライズするという段取りをたどります。つまり、次官会議ですべてが正式に決定され、大臣クラスの閣議はそれに署名するだけの単なるセレモニーとなり果てていました。
 
 それでは世界が激動する時代に、ダイナミックな政治は行えないという反省があり、国民も政権交代を選択したはずでした。

 ところが、民主党には、本当の政治主導を仕切れる政治的な力量を保持している人材は不足していました。端的な例が、蓮舫などという政治的力量もなければ、日本を引っ張る哲学も持ち合わせていない人間が大手を振ってまかり通る現実です。各省大臣をはじめ、政務三役も今は、どうなっているか。予算分捕りのための「族議員」となり下がってしまいました。自民党時代よりしまつの悪い政治状況が進行することになりました。

 この官僚主導をどうすれば、「国民のための政治」へ取り戻すことができるか、このことが真に分かっているのは、小沢一郎氏しかいない。

 かつて、田中角栄は、日中国交回復を成し遂げたのをはじめ、当時日米間の最大の懸案だった繊維交渉も解決し、列島改造にも大胆に取り組みました。エネルギーの自立を求めて当時のソ連との交渉も始めようとしました。最終的にはアメリカからの桎梏(しっこく)を逃れ、新の独立を果たそうとしました。それが、アメリカという「虎の尾」を踏むことになり、ロッキード事件をでっちあげられたのでした。

 角栄の直系である小沢一郎氏がいままた、同じような経過をたどらされています。

 官僚主導は、アメリカの息がかかったものになり下がっています。菅政権は、いよいよ官僚主導で米国の属国化の道をまっしぐらに突き進むことになります。

生き生き箕面通信752 「小沢さんが表舞台に登場することを楽しみに待ちたい」と、茂木健一郎氏

2010-12-28 06:13:29 | 日記
おはようございます。社会科学の立場から「日本の政治の実態」をみると、政府への国民の信頼度ひとつで測っても、「途上国」のランクだそうです。
生き生き箕面通信752(101228)をお届けします。

・「小沢さんが表舞台に登場することを、楽しみに待ちたい」と、脳科学者・茂木健一郎氏

 「小沢一郎という人の真価は、日本の因習を離れ、国際的な文脈の中にあって初めて明らかになるのではないかと思う。小沢さんが表舞台に登場することを、楽しみに待ちたい」と、脳科学者の茂木健一郎さんは対談後の感想をこう書いています。週刊朝日の今週号(1月7・14合併号)に掲載された記事で、見出しは「小沢一郎すべてに答える」。

茂木さんは、「なぜ政倫審に出ないのか」「水谷建設から裏金が渡ったのではないか」「新生党解党時
に残った金など4億5千万などを”私兵”を養うために使うのはいかがなものか」など、聞くべきことをきちんと聞いて、そのうえで、表舞台への登場に期待を表明しました。

 一方、本日の読売新聞の社説は「逃げ切りなら許されない」という見出しで、「菅首相は、本当に小沢氏の国会招致が必要と考えるのであれば、法的拘束力のある証人喚問の実現を目指すべきだ」と主張しています。まるで、「悪者は早く国会に引き出して、強いお裁きを受けさせるべきだ」と言わんばかりの論調です。

 そして、「ポーズだけの『脱小沢』では、野党はもちろん、国民の理解も到底得られまい」と、民主党の尻を叩いて結論としています。

 小沢氏は1年以上もかけて検察の火の出るような厳しい追及を受けて、その結果、「不起訴」の結論が出たものです。それを、「いや、あいつは怪しい」という印象を新聞が振りまいて、そのうえでさらに「お裁き」にかけようというのですから、読売の論調は「人民裁判」あるいは「魔女裁判」の類と変わるところはございません。

 ぼくが読売新聞に期待したいのは、「小沢追及」にそれだけの情熱をかけるのであれば、せめてそれと同じくらいのエネルギーで「焦眉の政策課題」の解決に知恵を出し、鋭い論調を張り、そちらの面でもがんばっていただきたいということです。

 とくに読売新聞は、小沢排除に執拗な論調を重ねてきました。アメリカの現政権も「小沢警戒」を少しも緩めていません。検察が「不起訴」としたものを、かくも長きにわたって追求し続け、なんとか「闇に葬ってしまおう」とする意図は何なのでしょうか。

 茂木さんは、こう質問しています。「個人的には、強制起訴された人が首相になっても何の問題もないと思うのですが、やる気はまだあるんですか?」と。これに対し小沢氏は「僕としては、できるだけ早く公判で無実を認めてもらって、スッキリしたいと思っていますので、いまのところは考えていません」と答えていました。

 少し飛躍したことをいえば、「小沢問題」は、司法の面から日本の民主主義の成熟度をはかる試金石になってきたと思います。あるいは日本のジャーナリズムの水準をあからさまに示す問題となってきました。それはまた、国民の成熟度を示す鏡でもあると認識しています。

生き生き箕面通信751 ・”CIAの手先”と揶揄される「朝日}の船橋洋一主筆の退任

2010-12-27 06:33:06 | 日記
おはようございます。「何一つらちのあかない民主党」(今朝のよみうり時事川柳より)
生き生き箕面通信751(101226)をお届けします。

・”CIAの手先”と揶揄される「朝日」の船橋洋一主筆の退任

 朝日新聞の船橋洋一主筆が12月15日付けで退任したことが、憶測を呼んでいます。「駐米大使に抜擢されるのではないか、という説がまことしやかに語られている」と、週刊金曜日の今週号(12月24日号)が伝えています。その見出しは「”CIAの手先”とまで揶揄される『朝日』主筆の退任」です。

 「船橋さんは鳩山由紀夫前首相ら民主党幹部と親交が深い上、米政府要人にも数々の知人がいる知米派です。いや、米国追従型といった方が正確でしょうか。”CIAの手先”などと揶揄されるほどですから」と、外務省関係者のコメントも載せていました。

 朝日の幾人かの記者は「ヤメてくれてよかったんじゃないですか」と口を揃えたとも。「船橋さんが編集現場の人事や取材にまでいろいろと口を出し、混乱することばかりが多かった。」「末端の取材現場は経費節減であえいでいるのに、信じがたいほどの高給を得ている上、秘書付きで出張はファーストクラス。それで書くものは米国ベッタリの記事ばかり。それに、政財界に知己が多く、現実政治にコミットするのが大好き。いわば”スマートなナベツネ”ですから、退任を歓迎している人も多い」と、デスク級の話も紹介しています。

 船橋氏が駐米大使になった場合、どんな役割を果たすのでしょうか。一言でいえば「アメリカの要求をストレートに日本につなぐ”生きたホットライン”」です。もともとぎくしゃくした日米関係の修復をめざしてアメリカにもお気に入りの船橋氏を民間からわざわざ起用するのですから、狙いは明らかです。オバマさん側の要求が、船橋氏を通じて直接、官邸に伝えられるのです。

 その結果進むのは、アメリカへの「属国化」です。

 小泉・竹中コンビは、金融をアメリカの属国化させ、長銀などを売り飛ばしました。イラク戦争支持をして、それまでかろうじて保っていた「平和国家・日本」のイメージをさらに大きく傷つけました。

 菅政権下で想定されるような人事が行われれば、自衛隊をアフガンに派遣する権限を含め日本の安全保障にかかわる、つまり日本の主権の大きな部分もアメリカ様に自ら進んで握られる結果になりそうです。

 ただ、外務省は、中国大使を民間に取られただけに、最重要の海外拠点である駐米大使だけは取られたくない。現在の藤崎一郎大使は来年4月で2年。そろそろ勇退の時期です。船橋説が出て以来、官邸には必死の抵抗をしています。いずれにしても、アメリカに忠誠を誓う流れが強まります。