生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

生き生き箕面通信1058 ・11月の注目点はTPP――「交渉参加」へ国民をあざむく野田政権の手法が見もの

2011-10-31 06:46:24 | 日記

 おはようございます。TPP(環太平洋経済連携協定)に「賛成 45%」「反対 32%」。日経新聞の本日朝刊に掲載された同社の世論調査の結果です。メディアが、「開国、つまりTPPは日本発展のカギ。バスに乗り遅れるな」とキャンペーンした成果は、ともかくも「賛成多数」という結果になっています。本当にそれでいいのでしょうか。
 生き生き箕面通信1058(111031)をお届けします。

・11月の注目点はTPP――「交渉参加」へ国民をあざむく野田政権の手法が見もの

 明日から11月。11月の注目点は、「TPP」が最大の焦点だと見ます。11月中に決着がつき、それによって日本の国柄が大きくゆがめられる一大事だからです。

 そして、野田首相の腹の中はとっくに、TPP交渉に「参加する」と決まっているノダ。あとは、どのようにごまかして「国民合意」をでっちあげるか、そのプロセスを見せて頂くだけです。

 TPP交渉に「参加」という旗振り役は、前原政調会長を先頭に、仙石由人・政調会長代行、そして閣僚では枝野経産相、玄葉外相、 財務相ら。もちろん元締めはノダ首相なノダ。

 片や反対派は、山田正彦・前農相ら。TPPに反対および慎重で署名した国会議員は300数十人といわれています。

 「後からでは不利になる。まずは交渉に参加してルール作りに加わり、その上でどうしても日本に不利なら、その段階で交渉から離脱すればいい。ともかく交渉に参加しなければ始まらない」「韓国との競争でも、関税面で日本が不利。GDPに占める農業など第一次産業の比率は1.5%。それを守るために、後の98.5%を犠牲にするのか」と、賛成派は「早期参加」を大合唱しています。

 しかし、いったん参加したら、抜けることはできません。アメリカさまが許しません。アメリカさまを「敵」に回すだけのハラと度胸があれば別ですが、”どじょう”首相の肝っ玉はノミの肝っ玉くらいの座り方です。

 貿易は、いまや関税の勝負ではありません。それはとっくに下げるところまで日本は下げています。農産物にしろ、コメなどごくわずかの品目を除けば、ほとんど下げるところまで下げています。

 アメリカさまの関心は、「非関税障壁」といわれる分野に移っています。例えば、司法の分野でいうと、アメリカ側企業が手慣れた司法ルールに日本のルールを変えろ、ということです。訴訟が起こしやすいようにする。

 TPP協定には、ISD条項、別名「毒素」条項が盛り込まれます。これは、力のある方が押し切れるシステムで、例え不満があっても上告はできないシステム。さらに、「ラチェット」ルールも盛り込まれます。歯車などで逆回転させない機構のことを「ラチェット」というように、いったん認めた自由化は元に戻せません。

 アメリカが、カナダやメキシコと結んだNAFTAで、すでにカナダとメキシコ両政府はアメリカ企業からまんまと多額の賠償金をむしり取られ、酷い目にあっています。

 オバマ大統領は、韓国と結んだ自由貿易協定について、「これでアメリカの雇用が7万人増やせる」と成果を強調しました。だから、李明博大統領を国賓扱いでもてなしました。韓国は多くの雇用を失ったことと引き換えの「国賓扱い」です。韓国国内には「李明博大統領は国をアメリカに売り渡した」という非難の声が渦巻いています。こうしたことを、日本の大手メディアは決して伝えません。

 ぼくは以前も書きました通り、基本的にはより「開国」し、世界の様々な国とともに発展しなければならない、と思います。しかし、いまの野田政権のもとでのTPP交渉には強く反対します。アメリカさまにむさぼり尽くされるだけだと分かっているからです。日本はまず、中国や韓国などと、FTA (自由貿易協定)あるいは EPA(経済連携協定)の交渉をより精力的に進めるべきだと思います。


生き生き箕面通信1057 ・「もんじゅ」を直ちに廃炉へ

2011-10-30 07:06:21 | 日記

 おはようございます。経産省の前でフクシマのお母さんたちが今日も、「原発を直ちに止めてもらいたい」と座り込みを続けています。マスメディアはこうした動きを伝えません。こうした動きを伝えない(無視する)ことで、原発維持の動きに加担しているのです。
 生き生き箕面通信1057(111030)をお届けします。

・「もんじゅ」を直ちに廃炉へ

 高速増殖炉「もんじゅ」は今日も一日5500万円のムダ遣いをしています。結果的には、大惨事になるまで巨額の費用をかけて一生懸命に維持しようとするのが、現政権の方針です。

 大地震などが起きた場合、どの原発でも大惨事につながることは、今回のフクシマ原発事故が明らかにしました。しかし、あれから7か月。野田政権は、現在止まっている原発の再稼働のきっかけを模索しています。

 高速増殖炉は、世界のすべての国が「開発はムリ」という結論を出しました。まずアメリカが1983年に撤退、つづいてイギリス、ドイツも、そしてフランスは98年に撤退しました。未練がましく残っているのは、唯一日本だけです。その日本でも95年にナトリウム漏えい事故が起きました。あわや大惨事という事故でした。温度計が折れてそこからナトリウムが漏れ出したのです。この時は奇跡的に助かりました。

 今も商業化のめどは全くついていません。もんじゅは現在は「原型炉」にすぎず、これで技術を確立できると、次の段階として「実証炉」に進み、さらにそのうえでやっと「商業炉」へたどり着く段取りです。それが、ざっと40年後の2050年目標です。それもまったく実現性はないのです。それまでに一体いくらつぎ込むつもりでしょう。すでに1兆6千億円がつぎ込まれています。これだけでも、採算が取れない結論が出ています。

 それでも、あきらめない。その理由はただ一つ。いつでも「核兵器を造れる」からです。高速増殖炉では、極めて純度の高いプルトニウムができます。これを取り出せば、すぐに優秀な「小型の核兵器」が造れます。

 しかし、コントロールがむずかしいナトリウムを冷却材として使用、配管も地震に弱いものにならざるを得ない設計上の宿命を抱えています。「もんじゅ」は、福井県の若狭湾に面して建っています。琵琶湖までの距離は近い。だからいったん事故が起きると、ナトリウムとともに飛散するプルトニウムは琵琶湖に降りそそぎます。「近畿の水がめ」琵琶湖は放射能で汚染されます。近畿、中部地方が放射能汚染にさらされるのです。いや、放射能汚染は、偏西風にのって太平洋をわたり、アメリカ大陸へ、さらに地球を一周します。

 地震は活動期に入っています。もんじゅのすぐ近くを大きな断層が走っていることが分かりました。もんじゅを建てたころには、まだ分かっていなかったことです。つまり、地震はいつ起きてもおかしくない。今日か、明日かもしれません。もんじゅは地震に弱い。経済性は絶望的という結論が出ています。

 今日にも「もんじゅは廃炉とする」という結論を出すことが、世界に対する日本の責務です。


生き生き箕面通信1056 ・重要な課題から逃げた野田首相の所信表明演説

2011-10-29 07:30:45 | 日記

 おはようございます。「難しいことからは、逃げるノダ」とノダ首相
 生き生き箕面通信1056(111029)をお届けします。

・重要な課題から逃げた野田首相の所信表明演説

 野田首相の昨日の所信表明演説は、重要な政策課題から全て逃げ出した「無責任さ丸出しの政治姿勢」を見せつけてくれました。無責任さを挙げると、まず国家財政と税体系については「消費税の引き上げ問題」には一言も触れませんでした。

 議論が沸騰している焦眉の課題、「TPP問題」では、「できるだけ早く結論を出す」というだけで済ます素っ気なさ。「原発の再稼働問題」でも一言の言及もありませんでした。

 肝心なことだけど難しい問題からは自分が逃げたうえで、演説の冒頭と結びでは「全国会議員に政治家としての『覚悟と器量』が求められています」と強調してみせました。何たる厚かましさ!

 野田首相は、記者が取り囲んで行ういわゆる「ぶら下がり会見」は拒否しました。その代わり必要に応じて、正式の記者会見を行う、という方針を決めました。こうした会見は、国のリーダーが何を考え、重要な課題についてどの方向を選択しようとしているか、国民に伝えるために欠かせない義務です。国のリーダーが何を考え、それに対して国民がどう判断するかが透明であることは、民主主義によって立つ政治体制を運営する上で、最低にして最重要な条件であることは当然ご承知のはずです。

 所信表明演説は、野田首相にとって、自分の考えを国民に伝える「望むべくもない絶好の機会」のはずでした。その機会をいわば放棄することは、ひとえに「できるだけ議論せずにすませたい」ということの現れです。それでもやらねばならないことに直面していますから、結局は「議論を尽くさずに決める」という、一種の独裁方式とならざるを得ません。それは、「財務省にいうなり政権」、ひいては「アメリカさまのいうなり政権」でありさえすれば、長期政権を実現できるという私的願望につながっています。それが、野田首相の「安全運転」の本質です。私たちは、この非常時に安全運転の政権を持って本当に幸せです、といわなければならないようです。


生き生き箕面通信1055 ・〈Tax the Rich!〉(金持ちに増税しろ)

2011-10-28 06:55:26 | 日記

 おはようございます。野田首相が今日、所信表明を行います。国民に何を語ってくれるのでしょうか。「日本の希望」でしょうか、それとも「アメリカのポチになる」という固い決意でしょうか。後者に軸足を置いているように見えますが、果たしてどうでしょうか。
 生き生き箕面通信1055(111028)をお届けします。

・〈Tax the Rich!〉(金持ちに増税を!)

 アメリカは国柄を変えられるのでしょうか。オバマ大統領は、国柄を変える「チェンジ」を掲げて大統領の座を得ました。いまニューヨークのウォール街にデモと座り込みをかけた若者たちは、〈われわれ99%の人間は格差に憤っている〉、格差を解消するためにも〈Tax the Rich!〉(金持ちに増税しろ)と叫んでいます。若者が感じているのは「『格差』を解消する『チェンジ』ができなかった」、「期待のオバマはチェンジしてくれなかった」という失望感のようです。この若者たちを、ノーベル経済学賞のクルーグマン 氏らは応援しています。

 アメリカの1%にも満たない富裕層は、「貧乏なのは、努力が足りないからだ。自己責任だ」と割り切っています。だから、オバマ政権が、富裕層からもう少し税金を納めてもらおうとすると、猛反対します。テレビ情報によると、オラクルという企業のCEO(最高経営責任者)は年間の報酬が550億円(日本円換算)だそうです。年間10億円以上のCEOはゴロゴロいる。経営破たんしたAIGという保険会社の経営者は、税金で助けられながらも高い報酬を得て平然としていました。一方で、大学を出ても仕事につくことができず、生活に窮している若者がゴロゴロいる。

 アメリカという国はかつて「あこがれの国」でした。自由があり、努力次第では「アメリカン・ドリーム」の実現も夢ではない、というチャンスに恵まれた国でした。

 今は、傾いてしまった。肝心の産業が、稼げる分野が非常に少なくなりました。世界最先端の金融資本主義の国に進化したなどと言って、マネーゲームにうつつを抜かしている間に、額に汗して稼ぐことが不得意になってしまいました。それでも今のところ、世界最大の「超大国」です。

 しかし、今のうちに格差を解消して、大多数の人々が安定して豊かさを享受できる社会に立て直すことができるのか。走り始めた大統領選の中で一つの結論が出そうです。ただ、今のところ「金持ちに増税して、所得の再配分による公平・公正な社会」をつくる道は極めて困難のように見えます。

 ウォール街を占拠した若者は、国柄を変える力を発揮できるでしょうか。 組織の動員ではなく、一人ひとりの集まりが大きな力となり得るか、ウォール街を占拠した若者たちが、どんな「直接民主主義」へ結実させられるか。それともうたかたの泡と消えさるのか。判断の基準の一つが、「金持ちに増税しろ!」が実現するかどうかです。


生き生き箕面通信1054 ・「ギリシャくん、ありがとう」とドイツのメルケルおばさん

2011-10-27 06:31:32 | 日記

 おはようございます。非民主的な候補には投票しない「落選運動」を展開してきた社会派弁護士が、韓国のソウル市長にほぼ決まりました。昨日行われた市長選の投開票で朴元淳(パク・ウォンスン)氏が当選を確実にしたのですが、これは来年の大統領選にも大きな影響を与えそうだと見られています。
 生き生き箕面通信1054(111027)をお届けします。

・「ギリシャくん、ありがとう」とドイツのメルケルおばさん

 ギリシャの債務不履行(デフォルト)危機に端を発したユーロ危機が現在も続いているかように、メディアが相変わらず危機をあおっています。しかし、事の重大性は明らかに峠を越えた、といえます。ドイツの連邦議会(下院)が資金の融通を認める決議を昨日、圧倒的多数で可決したからです。

 ユーロ(欧州共同体)は、その本質はいわば「ドイツ帝国」です。ドイツの経済力が欧州の経済力を引っ張っています。その力の元は、「ユーロ」という国際通貨。それがいまでは、アメリカの「ドル」とともにどんどん値下がりし続けています。「ドル安」と雁行する「ユーロ安」。だから、ドイツの製品は、世界中に飛ぶように輸出できています。

 つい数年前まで、1ユーロは140円ほどでした。それが現在は105円ほど。つまりドイツは日本より3割ほど安く売れるのです。儲からないはずがない。ドイツにしてみればいわば、ウハウハなのです。

 「ユーロ安」は、もちろん”ギリシャ危機”が原因です。ドイツがもともとの通貨「マルク」だったら、ここまで「マルク安」にはなりません。ひとえに「ユーロのおかげ」であり、「ギリシャくんのおかげ」です。

 国際的な投機筋は、いろいろと仕掛けてくるので、不安定要因ではあります。ギリシャが落ち着いても、次は「イタリアが危ないぞ」、いや「ポルトガルも、スペインも危ない」と、危機をあおる材料に不自由はしない。そしてそれは、世界経済の波乱要因ではあります。しかし、その投機筋というか、世界のばくち打ちも、すべて台なしにしてしまっては得になりません。そこはギリギリのところで稼がせてもらうシナリオです。それはいまのところ、ドイツの「得」にもなっているのです。

 ドイツのメルケル首相は、ハラの内では「ギリシャ君、ありがとう」と、大いに感謝しているはずです。だから、少々お金を出してもそれ以上の”もうけ”があるから、ユーロをつぶすことは絶対にあり得ないと見ることができます。今回の危機が落ち着いた後にはっきり見えてくるのは、ユーロ(欧州共同体)が「ドイツ連邦帝国」に変身した姿ではないでしょうか。

 日本は、アメリカに引きずり回されるTPP(環太平洋経済連携協定)ではなく、中国や韓国などと結ぶ「東アジア共同体」を模索すべきだと思います。