生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

生き生き箕面通信269 ・医療難民と医療テロ

2009-08-19 06:35:21 | 日記
おはようございます。
生き生き箕面通信269(090819)をお届けします。

・医療難民と医療テロ
 めざすべき「この国の形」を追究しているかげで、この日本では医療の崩壊が進み、「医療負け組」が難民化しています。一方、「医療勝ち組」は、五つ星ホテルなみの豪華な施設で手厚い医療を受けています。やがて、逆恨みした「医療テロ」が続発する――そんな近未来フィクションを中央公論の9月号が掲載し、警鐘を鳴らしています。

 いまは、無駄な医療費削減の名のもと、患者の切捨て、強制退院、治療中止が起きています。健康保険に加入する費用が払えず、無保険者が増え、医者にかかれないため、簡単な風邪をこじらせて重症化し、ついには死亡する。医療を受けられない「医療難民」は確実に増加しているのが実態だそうです。

 また、医療訴訟が増加し、訴えられ易い産科、小児科、外科(心臓外科、脳外科を含む)が嫌われ、医者が逃げ出している。このため残った医師は、ますます過重労働となり、やはり逃げ出さざるを得ない。負のスパイラルが起きているのです。実際、地域の中核となる総合病院で、総合の名が怪しくなってきています。

 患者あるいはその親族などからのあまりにも身勝手なクレーム、無理難題の押し付け、規則無視、延々たる苦情、そして医療訴訟で、医者側は身を守るための保険に入らなければなりませんが、これがまたとんでもなく高くなっています。医療訴訟先進国のアメリカでは、保険料が日本円換算1000万円というのもザラで、医者は報酬の相当部分を保険料に持っていかれる。このため、ついには保険料が払えないために失職し、ホームレス化するのも珍しくないとか。

 腕のいい医師、誠実な医師ほど待遇が悪く、売り上げを上げる医師が幅をきかせる医療体制になってきています。これが、自公政権がたどりついた現在の姿です。しかし、民主党中心の政権になっても、事態の好転は容易ではありません。根本には、「高齢、低所得、病気がち」という三拍子そろった高齢社会があるからです。国の財政はいまのままでは持ちません。

 結局、国全体の富の再配分、公平化を考えた仕組みが大切です。その答えは「高福祉・高負担」しかないのではないでしょうか。どんなにむずかしくても、「長生きして良かった」と思える社会をめざすほかありませんよね。

郡山 吉雄
ek.1122@r5.dion.ne.jp
http://blog.goo.ne.jp/ikiikimt



生き生き箕面通信268 ・武力に頼らない平和構築路線の選択をしよう

2009-08-18 06:34:24 | 日記
おはようございます。
生き生き箕面通信268(090818)をお届けします。

・武力に頼らない平和構築路線の選択をしよう
 衆院選は本日公示され、30日の投開票日深夜から31日にかけて、新しい勢力分野が確定します。果たして前評判どおり、民主党中心の政権交代が行われるのか。その通りになったとしたら、民主党中心の政権は、「この国の形」を本当に有権者の意向に沿った方向で形成していけるのか。

 まず、根本は国の防衛・安全保障にどう取り組むか。国の安全がなければ、社会保障も年金、介護もないことは、先の戦時下に照らしても明らかです。

 では、武力で安全を確保するのか。それなら、隣の北朝鮮と対抗するためには、非核3原則の見直しも視野に入れる必要が出てきます。それとも、専守防衛を堅持するのか。つまり、他国との紛争解決は武力に頼らず、あくまでも「話し合い」によるとし、防衛体制は戸締りにとどめる、というものです。

 民主党の防衛大臣に擬せられている長島昭久氏(民主党「次の内閣」防衛大臣)は、「民主党政権で日本は守れますか」という直撃インタビュー記事(正論8月号)で、むしろ「力による平和」に傾いています。主な主張は
 ①国連に頼るのではなく、日米韓がスクラムを組み、北朝鮮に内実を伴うプレッシャーをかけることが重要
 ②日米同盟が空洞化してきた今こそ集団自衛権の行使について検討をはじめなければならない
 ③北朝鮮が2012年の節目の年までに核と弾道ミサイル開発を全廃するよう交渉し、それでも態度が変わらなかったら、その時点で敵基地攻撃力を持つ
 ④社民党との連立は、個人的見解としては、「現実問題として難しい」――などとしています。

 「鳩山由紀夫代表自身が、憲法改正論者であり、民主党が現実離れの安保・外交政策しか打ち出せず、北朝鮮問題に手をこまねくとしたら、世論の支持を一気に失い、たちまち政権は崩壊します」とも語っています。

 問題は、国民がこれからの世界平和、その中の日本の平和を、20年先、50年先を考えて、どう選択するかにかかっています。私たちはいま、歯をくいしばっても、平和憲法路線を選択すべきだと考えます。アメリカとの厳しい対立、場合によっては、経済問題でも相当の妨害が行われること、「敵視」される場面もふくめ、平和を貫く国として、世界に高く旗を掲げるべき時期に来ていると思います。世界のなかで「話し合いで平和をすすめようと努力する国」の立ち位置を明確にすべきと訴えます。

郡山 吉雄
ek.1122@r5.dion.ne.jp
http://blog.goo.ne.jp/ikiikimt



生き生き箕面通信267 ・軍部独裁に通じる「官僚政治」

2009-08-17 06:35:51 | 日記
おはようございます。
生き生き箕面通信267(090817)をお届けします。

・軍部独裁に通じる「官僚政治」
 毎日テレビのドラマ「官僚たちの夏」を昨夕、見ました。城山三郎の同名小説をテレビ・ドラマ化した番組です。

 東京オリンピックを間近に控えた昭和38年ごろの通産省は、佐橋滋(風越信吾=佐藤浩市)という重工業局長・企業局長のもとで、貿易・資本自由化の荒波に対応する日本経済の舵取りに懸命に取り組みました。”ミスター通産省”の異名をとった佐橋は「特定産業振興臨時措置法」(特振法)を成立させようと、時の池田勇人総理(池内信人=北大路欣也)をはじめ産業界にも働きかけたのですが、結局は政治の壁にはばまれ、佐橋は特許庁長官に左遷されました。(翌年には、通産省事務次官として復帰)

 通産省をはじめとする官僚たちは、日本経済復興の司令塔として、獅子奮迅ともいえる働きで、競争力のある経済体制を作り上げました。それはアメリカなどにも、一種異様な怖れを感じさせ、「日本株式会社」と称せられるほどでした。

 官僚たちは、使命感に燃え、的確な政策を立案し成立させていきました。「日本の官僚は優秀」と折り紙をつけられたころもありました。

 ところが、その後、「われわれが国を引っ張っていく」と自信過剰に陥り、官僚独善へと変質していったのです。

 かつて、日本帝国陸海軍が、日清、日露の両戦争に勝利した時から自信過剰に陥り、軍部独裁に走ったあげく、ついには太平洋戦争をはじめて国をほろぼしました。

 ここ十数年目立つ官僚政治の弊害は、かつての軍部の横暴を思わせます。そっくりといっても言い過ぎではありません。

 今回の選挙が、「脱官僚政治」への転換点にできるかは、有権者の判断にかかっています。

 郡山 吉雄
 ek.
1122@r5.dion.ne.jp
http://blog.goo.ne.jp/ikiikimt



生き生き箕面通信266 ・「核」に対する「この国の形」

2009-08-16 08:05:49 | 日記
おはようございます。
生き生き箕面通信266(090816)をお届けします。

・「核」に対する「この国の形」
 「日本のこれから――”核廃絶”は可能か」を掲げた3時間番組が昨夕、NHKで放映されました。結論的には、「核が核抑止力を持っている」という現実論が、「核はなくさなければならない」という理想論に一歩も退かぬところまで勢いをつけてきたように感じました。それほどこの日本でいわゆる核アレルギーが薄まり、「北朝鮮の脅威が現実にある以上、非核3原則の見直しもやむを得ない」という考え方が幅をきかせるようになったのです。驚くべき変化といえます。

 しかし、よく考えてみると、この国は長らく安全保障の問題を「アメリカさん任せ」できましたから、そのツケがいま回ってきただけです。いやむしろ、これまでアメリカさんは「日本は防衛問題は考えなくてよろしい」と、むしろ”思考停止の勧め”を「日本属国化」の基本戦略としてきました。それが、アメリカにとって安全であるうえ、鼻ずらを引き回すことができて好都合だったからです。日本の保守政権は、半世紀以上前の立党のとき以来、アメリカさん(とりわけ当時のCIA)から資金提供を受けたいきさつなどのしがらみもあり、アメリカ追従の外交政策を脱することはできませんでした。

 ところが、アメリカにも日本はお荷物になってきています。アメリカのオバマ政権が中国を「戦力的パートナー」と位置づけてからは、日本の利用価値が著しく低下したわけです。もともと夫クリントン政権のときから、中国びいきだった、妻ヒラリー・クリントン国務長官は、「米国債を購入してくれる中国」と仲良くしなければならない地政学的国益があります。その中国と、例えば尖閣諸島の資源問題などで先鋭化しかねない日本は、アメリカにとって「核の傘」で守り切るとはいいたくない状況になってしまいました。

 もちろん北朝鮮を脅威に感じる日本の立場は理解しますから、日本にいったん緩急ある場合は、「核の傘の提供」を言明はします。しかし、この言明の本旨は「日本が核武装に踏み出さないように止めておくこと。仮に日朝間で有事が発生しても、それがアメリカ本国に波及しないかぎり、日本の責任で処理させる」という割り切り方です。

 そのため、民主党政権になった場合、日米安保条約の見直し、つまり日本側からいう日米対等の原則は「望むところ」、「防衛は日本の自己責任ですよ」とやっかい払いできるのです。

 ただ、日本が独自に「核」を持とうとすれば、なんとしても阻止することに変わりはない。それでも日本が核で独自路線に踏み出そうとすれば、かつてのABCD包囲網を想起させる手段で、石油はもちろん食料の輸入もままならないようにしてきます。

 そうして大きな状況のなかで、私たちが取るべき「この国の形」は、日本国憲法の精神をより具体的に進めることだと確信しています。めざすべき理想を求めて努力する、それが国づくりのあるべき姿であることは、これからもことあるごとに強調したいと思っています。とりわけ、「日本国憲法の世界的先進性を私たち自身が過小評価しているのではないか」という点にもっと目を向け、憲法を再評価する作業が重要ではないでしょうか。



生き生き箕面通信265 ・「敗戦の日」に「学問のすゝめ」

2009-08-15 07:13:10 | 日記
おはようございます。
生き生き箕面通信265(090815)をお届けします。

・「敗戦の日」に「学問のすゝめ」
 本日は64回目の「敗戦の日」です。日本武道館では天皇、皇后をお迎えして政府主催の「全国戦没者追悼式」が行われます。ぼくは、民主党政権になった場合、この日の名称に「および平和を誓う日」を加えてほしいと思います。追悼する心も大事ですが、そこにとどまらず「これからの平和へ普段の努力をする」ことを改めて決意するという確認作業が不可欠と考えるからです。

 この日にあたり、各党はそれぞれ談話や声明を発表しました。
 ・自民党「米露両国を中心に核兵器削減の機運が高まっている。北朝鮮をはじ   め 新たに核を保有しようとする国は容認できない」
 ・民主党「オバマ大統領と手を携えて訴えていく。過去の教訓と反省を未来の平
  和につなげる努力を続ける」
 民主党の談話は、わが意を得たりの感です。
 
 また、民主、社民、国民新党の野党3党は昨日、衆院選公約を発表しました。外交・安全保障については、「唯一の被爆国として憲法の『平和主義』の遵守を確認する」と記しただけです。本当に表明しなければならないことについては、見送られました。つまり、戦後60年余を経てなお、「平和主義」について共通認識を持てる内容はまだ深まっていないことを示すものです。

 「福澤諭吉展」が天王寺の大阪市立美術館で9月6日まで開かれています。来館者が多く、しかも若い人が目立つのに驚きました。貴重な資料が展示されており、参観されることをお勧めします。なかには、「自由主義者」を自称する慶応義塾の若者が特攻隊員として出撃する前夜に書いた遺書も展示されており、「自由の勝利は明白だと思います。(中略)明日は自由主義者が一人この世から去っていきます。彼の後姿は淋しいですが、心中満足で一杯です」とあります。「きけわだつみの声」の最初に収録された遺書でもあります。

 福澤諭吉は、ご承知の通り、「独立自尊」を唱え、一人の人間として自立するためには学問が必要として、「学問のすゝめ」を著しました。展示されている初版はぺらぺらのざらばん紙つづりです。幕藩体制から中央集権体制へ、時代が革命的な転換をしつつあるなかで、「学問のすゝめ」を強調したのでした。

 今、時代は大きな転換点にあります。「平和」をどのように築いていくのか、「学問のすゝめ」をひもとくところから始める意味があるのではないでしょうか。

 郡山 吉雄
 ek.1122@r5.dion.ne.jp
http://blog.goo.ne.jp/ikiikimt