おはようございます。ユーロの危機は、ドイツの犠牲的精神でひとまず回避されましたが、ドイツ国民もいつまで我慢するでしょうか。依然、欧州危機はカウントダウンの状況です。
生き生き箕面通信1027(110930)をお届けします。
・沖縄密約文書――主権者ないがしろの東京高裁逆転判決
沖縄返還時の日米交渉における密約文書は「ありません。ないものはない。仕方がない」という判決を、昨日、東京高裁の青柳馨・裁判長が言い渡しました。
密約をスクープした毎日新聞の西山太吉・記者(当時)を、「情に通じ」として検察が社会的に葬った事件にもなった問題の「密約文書」。東京高裁は、「それがあった」という存在は認めたものの、なぜ「無くなったのか。その責任は?」となると、不問に付しました。
沖縄返還という重要な外交交渉の「第一級の歴史的価値」がある文書は、国民的な財産です。歴史を国民が検証できるようにする「情報公開法」も制定されています。
しかし、「探したけれど、見つかりませんでした」で済むなら、まったく意味はありません。国家権力は一定の時間が経った後に、どういう交渉をしたか主権者に公表する義務がありますが、この「民主主義の根幹」が揺るがせにされてしまったのです。
「沖縄の返還を平和裏の交渉によって実現した」と、世界の領土紛争の解決のモデルと評価され、当時の佐藤栄作・首相がノーベル平和賞を受賞した経緯もあります。しかし、それが、日米間の密約で、「実は日本がカネを出して買い戻したのだった」というのが、密約文書で検証できるものでした。
主権者に公表する義務を「文書は探したが、見つかりませんでした。すんまへん」で済ます外務省(カネを出した財務省を含む)という官僚組織。「主権者ないがしろ」は、官僚の常套手段です。「お上は、あんじょうしてくれまっしゃろ」に慣れさせてきた官僚側の勝利の図式が今回もいかんなく発揮されました。