生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

生き生き箕面通信742 ・菅さんのノータリンな安全保障論で日本は危険な方向へ

2010-12-18 08:04:46 | 日記
おはようございます。CNNの看板番組「ラリー・キング・ライブ」が一人で続けたものとしては世界一のギネス長寿記録を残して12月16日に終了しました。名物のサスペンダーも見られなくなりますが、問題はアメリカのニュース解説がまともな方向へ向かうのかどうか、です。
生き生き箕面通信742(101218)をお届けします。

・菅さんのノータリンな安全保障論で日本は危険な方向へ

 「向こうがケンカする気なら、受けて立つ」――菅政権が昨日閣議決定した新「防衛大綱」の実態は、分かりやすくいえばこうなるでしょうか。「中国も、北朝鮮も、やるならこい」と、自衛隊を北海道から南西方面へ移動させることにしました。潜水艦はこれまでの16隻から22隻へ大幅に増やし、護衛艦も1隻増強し、48隻にすると決定しました。

 こうしたことが今回の売り物の「動的防衛力」の中身です。これまで自民党政府ですら大事にしてきた「専守防衛」の哲学に基づく「基盤的防衛力」、つまり「戸締まりはしますよ」という考え方をあっさり捨て去りました。(言葉としては「専守防衛」を形だけ残している)

 これまでは「脅威に直接対抗はしない」と極めて抑制的な路線を守ってきたのですが、今回は明らかに「脅威対抗路線」へと、重大な路線転換をしたのです。

 菅さんは、十分に話し合うこと、「熟議」を大切にする、と約束しました。河野洋平・前衆院議長は「今回の防衛大綱は議論が不足しているから、もう少し議論を尽くななければならない」と、朝日新聞へ寄稿しました。

 今回の大綱決定するまでの9回の安全保障会議では、議長の菅さんはほとんど発言せず、会議もリードせず、もっぱら聞き役だったと伝えられています。

 菅さんが「熟議」を大切にするなら、少なくとも自分の安全保障論をまずきちんと語るべきでいた。「これからの世界はこう動く。その中で日本は平和な世界をめざし、こう貢献する。そのための日本の防衛政策はかくあるべき」と、菅さんに哲学があるならその哲学に基づく「平和と防衛」を有権者に明確にする義務があるはずです。

 日本の国の形を決める極めて大切な安全保障問題で、菅さんは相変わらず「逃げ菅」をかましてくださいました。これは、自信のある安全保障観を持ち合わせていないことを、言わず語らずで示しています。そんなリーダーを担いでいることは、危なっかしくて見ておれません。

 菅さんは、この大綱発表の前に、「朝鮮半島で有事が起きれば、邦人救出のために自衛隊の派遣も考える。そのために法案が必要ならその法案提出も辞さない」と、大見えを切ってみせました。これが大した噴飯もの。韓国からは早速、日本の自衛隊は受け入れられない、とそっけないあしらわれ方。

 第一、有事となれば、戦闘地帯です。そこに自衛隊を派遣することは、そもそも憲法違反です。単なる法案成立で可能な範囲を超えた問題なのです。それすら分かっていなかったわけです。菅さんの「邦人救出に覚悟を決めた菅総理」というきらきら輝くはずだった”思いつき”は、鼻の先であしらわれる始末。

 今回の大綱は、とくに中国脅威論に力点があります。「中国軍事大国のお化け」を大々的にキャンペーンしています。大綱では、アメリカの抑止力のもとで中国に対抗するという戦略に頼りきっています。そのアメリカは、中国と粘り強い交渉の末、つい先日、米中軍事交流を再開することにしました。米中両国には、自分たちの国益のためには日本のことなど瑣末にすぎません。そうしたパワーゲームの現実のあるなかで、必要なことは、確固とした「平和構築の努力」ではないでしょうか。