生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

生き生き箕面通信728 ・今夜はNHKスペシャルで「安保50年」

2010-12-04 07:18:16 | 日記
おはようございます。昨日の「坂の上の雲」(再=NHK)で、日清戦争を取材する正岡子規に森林太郎(鴎外)が「正岡君が書く(戦争の)記事は写実でなければ困るよ」という場面がありました。マスメディアには現代も「写実」、真実を書くことが求められています。
生き生き箕面通信728(101204)をお届けします。

・今夜はNHKスペシャルで「安保50年」

 現在の日米安保条約は1960年に大幅に改定し、生まれ変わった新安保からちょうど50年。NHKが今夜9時15分から放映するスペシャル番組は、この半世紀を振り返って安保の検証を4回シリーズで行うもののようです。日本人が自分の頭で安全保障問題を考える必要性を痛感していますので、どんな内容に仕上げたのか、NHKの姿勢を”点検”しようと思っています。

 最も関心をもってチェックしたいのは、日米安保条約を通じて日本がアメリカの機能の一部に組み込まれていく経過が歴史的に明らかにされているか、です。アメリカが太平洋戦争の終盤、日本を降伏させる自信を持った段階から検討を始めたのが、「いかに日本の”キバ”を抜き、できれば永遠に無力化するか」でした。それが、武力放棄、戦力放棄、戦争放棄を義務付けた憲法9条の押し付けでした。

 ところが、第2次世界大戦後、まもなく今度は共産圏との東西対立、いわゆる冷戦がはじまり、北東アジアでは朝鮮戦争が勃発(1950年)しました。このころからアメリカの対日政策は、日本無力化から、アメリカに役立つコントロールされた日本への改造でした。そこで、占領日本に「独立を与える代わりに、日米安保条約を飲め」という政策を打ち出し、日米安保条約(旧)はそうした狙いで1951年に結ばれたものです。

 歴史的にみますと、アメリカは「黒船襲来」以来、日本には力で開国させ、力で”不平等条約”を押し付け、力でコントロールすることが有効と学び、その通りにしてきた実績があります。アメリカの日本コントロールには年季が入っています。日本を操縦するハンドリングには、歴史と伝統のわざが鍛え抜かれて厳然と存在するのです。いまはアメリカの代理人が枢要なポストに網の目のように配置されています。

 旧安保はあまりにも不平等だったので、当時の岸信介首相が改定を主張し、新安保に改定されたものの、アメリカ軍に特権的な地位を保証する地位協定などは大きな不平等を残したまま今日もそのままです。

 そして、自分たちが押し付けた憲法9条が”邪魔”になってきたアメリカは、9条を変えるのはなかなか時間がかかり面倒なので、「日米共同声明」というお手軽なやり方で、憲法を超える効力を持たせることにしました。まず、安保条約で決めた適用範囲を「極東」から一気に「全世界」へ拡大しました。国民の目にあまり触れない形で、いつの間にか自衛隊を世界どこへでも派遣できるようにしたのです。

 年内に発表される「防衛大綱」では、アメリカ軍の”指示”にしたがって、「武器輸出三原則」も緩めることにします。これは、日本の防衛産業からの強い要請でもあります。日米の軍需産業の利害が一致して、「平和国家日本」のイメージは実質的に大きく変貌してきました。

 横須賀を母港とする原子力空母ジョージ・ワシントンは「核」を積載していないといっているようですが、検証のしようがありません。もし核を積んでいれば、非核三原則のひとつ、「核を持ち込ませず」はとっくに破られていることになります。

 「それでも憲法9条」の意義は大きいと思いますが、いまや日米安保条約のもと、9条はボロボロにされています。アメリカの権力者たちは、「こと日本に関する限り、もういかようにもコントロールできる」との自信を深めています。

 今晩からのシリーズで、NHKはどんな立場からどんな内容を見せるのでしょうか。