おはようございます。明日から3月。パンドラの箱の底に残った
「希望」はこの3月、日本の政治に大きな力をもたらすでしょうか。
生き生き箕面通信1178(120229)をお届けします。
・小沢一郎「憲法教室」と日本の危機管理
「日本国憲法には危機管理というか、非常事態に対する条項が
ありません」と小沢一郎氏。昨日2月28日に開かれた民主党一年生
議員に対する2回目の”小沢教室”で、日本国憲法の基礎について
講義しました。
「もうすぐ日本が終わるのではないか、という世にも恐ろしい日が
目の前に近づいてはいないかと、胸騒ぎがする」と広瀬隆氏。昨日
発売された週刊朝日(3月9日号)で、「書くべきか、迷ったけれど、
相当に高い確率なので、筆を執ることにした」と前置きし、福島での
講演会で「いざという時にいつでも逃げられるように、逃げる用意を
しておいてください、と会場の人に向かって本心からこうお願いした」
と書いています(連載48回目)。
福島原発では4基とも危ないが、とりわけ4号機の危険度は差し
迫っている。この原子炉建屋は水素爆発で骨組みの鉄骨がむき出し
になっており、最上階のプールには原子炉数個分の使用済み核燃料
が入っているとされている。大型の余震でどさっと崩れ落ちると、
現場は高濃度放射能で覆われるから人間は全員逃げ出さざるを
得ず、次々と新たな爆発を誘発する恐れが強い、というのです。
米エネルギー省の廃炉手引書作成に携わったアーニー・ガンダーセン
氏の著書「福島第一原発――深層と展望」(集英社新書)にも触れ、そこ
にもプール内の水がなくなることで燃料棒が燃え出す「人類史上経験し
たことのない大事故」の危険性が指摘されていると書いています。
福島原発に対する民間事故調が発表した報告書でも、東電や政府
の責任感の欠如や組織的な怠慢が明確に結論づけられています。
海外で成果を上げた研究などの知見も取り入れない「ガラパゴス化」
という言葉で、危機管理能力の致命的欠陥を明らかにしています。
小沢氏は「憲法に危機管理条項がないため、日本の法律体系から
非常事態に対する備えが抜け落ちている」と指摘しました。「例えば
ですよ。永田町の首相官邸を見降ろす周囲の高いビルから、閣議の
日にミサイルをぶち込まれ首相をはじめ全閣僚が死亡した場合、
日本は一瞬にして『無政府状態」になる。国会が休会中なら、国会を
召集する責任者が死亡しているから、国会を開くことすらできない。
国会で新しい首相を選ぶこともできない。アメリカは万一、大統領に不
慮の事故があった場合を想定して、20番くらいまで代理できる人を決
めている」と。
日本は危機管理を怠り、非常事態を想定せずにのうのうと過ごして
きました。そして、いったん事故が起きると、「想定外だった」と言って
責任を免れようとするその責にある人々。
その背景には、「危機管理や非常事態は苦手」として議論を避けて
きたジャーナリズムの存在があります。さらにそこには、「そんな面倒
な話には関心がない」という私たちの心理や空気が反映しているよう
です。危機管理を棚上げした「ノーテンキ・ニッポン」の姿があります。
しかし、仕方ありません。責任をとることがいやなのですから。だから、
行きつくところまで行くしかないようです。
まもなく、フクシマから1年です。