生き生き箕面通信

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生き生き箕面通信748 ・朝日新聞の「イラク戦争検証」の検証――マスメディアの検証は?

2010-12-24 06:23:13 | 日記
おはようございます。民主党内では、「小沢邸新年会」が話題になっているようです。どのくらいのメンバーが”結集”するのか。その数のパワーで新しい年の先行きを占うことができそうです。
生き生き箕面通信748(101224)をお届けします。

・朝日新聞の「イラク戦争検証」の検証――マスメディアの検証は?

 本日の朝日新聞朝刊は、「イラク戦争検証」を検証する特集(3面)を組みました。記事は「オランダやイギリスでは首相の指示でイラク戦争の検証が進む。米国を支持して戦争に加担した日本はこのままでいいのか」と、日本でも検証をすべきと主張しています。

 この特集が組まれることになったきっかけは、今月2日に民主党の斎藤勁衆院議員らが「政府の判断を検証する議員連盟」を立ち上げたことでした。日本では、イラク支援の特措法を07年に延長するにあたって、「イラク戦争の検証をする」という付帯決議を行いました。国会には、付帯決議に従って「検証する義務」があるのです。ところが、政権交代した民主党がさぼっているのです。菅、前原、岡田、仙谷氏らは「アメリカ様のご機嫌をそこねかねない検証は行わない」と決めているようです。

 イラク戦争を当時のブッシュ米大統領が始めたとき、国連では「調査が不十分だから、イラクに大量破壊兵器が本当にあるのか、もう少し時間をかけて調査すべき」と、ドイツなどが反対していました。国際世論の支持を受けられない中で、「戦争を始めたかった」ブッシュ大統領は、見切り発車で一気に開戦にもっていきました。それをいち早く「支持する」と表明したのが、当時の小泉純一郎というアメリカべったり首相でした。国会で論議もせず、閣議ですら検討をせず、小泉一人で「支持」を決定したのでした。

 オランダ政府の独立調査委員会は今年1月、「イラク戦争は国際法違反だった」と結論づける報告書を公表しました。オランダ政府は03年に、約1100人を派兵し、6人が死傷。05年に部隊を撤収しました。イギリスは独立調査委員会に当時のブレア首相ら140人を喚問し、徹底的な検証作業を進めています。

 戦争に対してどう向き合うのか、国の行方を左右する重大問題についてどう判断するのかは、過去の事例を徹底的に検証し、そこで得た教訓を生かすほかありません。しかし、日本では先の第2次世界大戦に対する「日本人みずからの検証」すら行われないまま、今日に至っています。日本には、過去の大きな問題を検証してそこから教訓を学ぶという「検証文化」がまったく欠落しています。そしていつもその時代の「空気」で決めるのです。だから、同じような過ちを繰り返します。

 日本の「空気文化」は、ジャーナリズムも無縁ではありません。ジャーナリズムがじっくり腰を据えて「検証する」という本来の活動の一つを誠実に行うことが大切です。しかし、新聞記者も「検証は苦手」で、いつまでも成長しません。

 その意味では、今朝の朝日の取り上げ方は、読売新聞のまったく検証しない姿勢に比べればそれなりに評価できます。しかし、その朝日も「小泉氏のブッシュ支持」をきちんと批判はしてきておりません。本日の特集でも、マスメディア自身のイラク戦争報道がどうだったのか、その検証は1行も見当たりません。つまり、「自分は批判は受けたくない。自分のことは棚にあげておきたい」という”無責任文化”なのです。

 そうした欠陥はあるにせよ、本日の特集の結論が「外交を検証する文化を根づかせる第一歩として、日本版の『イラク戦争検証委員会』を立ち上げる時が来ている」としたのは、高く評価できると思います。

 *昨日、豊中、池田、箕面の有志が集まり、地域の市議会に「国会が『イラク戦争検証』を行うよう求める決議」を働きかける署名運動やイラク戦争の実態を知ってもらうドキュメント上映会をすることになりました。