生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

1774 ・「『脱原発』実現しつつある日本」と、小熊英二さん

2013-10-31 06:55:06 | 日記

おはようございます。
生き生き箕面通信1774(131031)をお届けします。

・「『脱原発』実現しつつある日本」と、小熊英二さん

 「実質的に脱原発を実現した国はどこか。いうまでもなく日本である」と、慶応大の小熊英二教授。私たちを勇気づけてくれる指摘ではないでしょうか。朝日新聞の本日10月31日朝刊、オピニオンのページ(15面)に、「政府は宣言していないが、実質的に脱原発を果たした国は、日本である」と明快に断言する論考を寄せています。

 「日本には偉大なリーダーはいないが、民衆の実行力はすごい」というのが一貫した日本評価であり、「あとは政治家が、この(民衆の)趨勢を認識し、応えられるかの問題だ」と、結論づけています。

 脱原発と言えば、ドイツ。フクシマのあと、ドイツのメルケル政権は「脱原発」を宣言しました。日本からも、多くの政治家が視察に訪れました。しかし、そのドイツでは、実際には今も多くの原発が操業しています。

 それに比べ、日本はすでに「脱原発してるんだ! なんか文句あっか」といわんばかりの小気味いい小熊教授の論考です。「日本に偉大なリーダーはいないが」という指摘はその通りだと思います。ただ、「民衆の実行力はすごい」というのは、少し持ち上げ過ぎでは、と面映ゆい

 とはいえ、日本の大衆が毎週金曜日に首相官邸で抗議の集会を続け、経産省前で「フクシマ原発事故の責任を問い、脱原発をめざすハンスト」などを続けてきたのも事実。世論調査の結果は、「段階的に減らし、将来は止める」がいつも7割の圧倒的な多数を占めています。それは時間とともに減るどころか、小熊教授によると、「脱原発を求める民意の水準は上がってきている」。

 でも、不安が残るのも事実です。それは原発ムラの巻き返しが着々と進められているからです。原発再稼働に反対の泉田・潟県知事にはさまざまな圧力がかかり、再稼働を望む原発関連企業関係の県民からの意向もあるなかで、柏崎刈羽原発は再び動き始めるのではないか

 関西電力も、大飯原発を先頭に押し立てて、原発再稼働の先兵役を引き受けています。

 何よりも安倍政権の原発へのこだわりが強烈です。多くの国に原発を輸出しようと、首相自ら原発セールスに力を入れています。

 脱原発の活動には、「原発輸出反対」「原発をよその国に造るな」をメイン・スローガンのひとうに格上げする必要があります。

 小熊教授は、「あとは民意に政治家が応えられるかの問題だ」と、紋切り型の結びにしましたが、政治の実態は「いかに民意を裏切って、原発を推進するか」で動いています。その実態を全く無視したかのような小熊さんの論考は、お手軽すぎます。

 私たちが、手を緩めず、粘り強い脱原発の運動を求められている現実は、少しも変わっていません。

 


1773 ・「原発ゼロ」の波がうねり始めた――小泉劇場の再来はあるか

2013-10-30 07:58:19 | 日記

おはようございます。
生き生き箕面通信1773(131030)をお届けします。

・「原発ゼロ」の波がうねり始めた――小泉劇場の再来はあるか

 安倍首相はトルコに訪問中ですが、真の狙いは「原発セールス」です。半年に2度の訪問です。首脳外交と称して、ベトナム、インド、チェコ、サウジアラビアなどを訪問、こうした国々に原発をセールスしてきました。外国で日本の原発が評価されたら、国内の原発再稼働にも大きな援軍になるという含みがあるようです。しかし、日本がこうした国に原発を輸出したら、人類がコントロール不能の「核のゴミ」を多くの国にばらまくことになります。

 小泉元首相は昨日10月29日、社民党の吉田忠智党首らと会談し、「脱原発」の方向で一致したと伝えられています。政治の中心地、永田町には激震が走っているようです。もちろん、官僚の中心地、霞が関にもです。小泉氏は来月12日には、日本記者クラブで記者会見を予定しています。脱原発のうねりは少しずつ大きくなっていきそうです。小泉劇場の再来でしょうか。

 民主党は、「脱原発」か「原発維持」かで党内が二つに割れていますが、その議論の行方にも大きな影響をおよぼしそうです。生活の党の小沢一郎代表は28日、「本気で政治的運動として展開する気なら、話をすることがあるかもしれない」と、前向きの評価をしました。みんなの党の渡辺喜美代表は、「前回(9月下旬)はおごってもらったので、次は私がおごる」と、会談を望んでいます。共産党の志位和夫委員長も記者会見で、「『脱原発』の一点では、私たちとも接点がある」と、小泉発言を歓迎しています。

 他方、安倍首相は、「今の段階で『原発ゼロ』を約束することは無責任だ」と切り捨てました。石破茂・自民党幹事長も「わが党の政策は変わらない」と、防戦に大わらわ。息子の進次郎氏は、「父は父。私は私。父をコントロールはできない」と、言葉少なです。自民党は、安倍首相の師匠筋にあたる元首相の発言に、「コマッタ」というのが本音でしょう。

 小泉氏は、「政府に『原発ゼロ』を決断させるには、世論(の力)しかない。自分は主張を続けていく」と、決意を語っており、どうやら本気です。単なる思い付きではない、と見えます。

 ただ、今の段階では、小泉氏の”本当の狙い”は何か、よく見えない部分もあります。今の段階では、少なくとも「新党結成」は否定しています。しかし、今後の動向次第では、どう展開するか。

 私たちの動きが大切です。とりあえず、大阪では原発に対する関電前での「金曜抗議集会」を盛り上げましょう。世論で、安倍政権の原発推進にストップをかけるチャンスです。

 


1772 ・愚直に正論を述べる亀井静香―ーその正論をバカにするマスメディアと風潮

2013-10-29 07:02:12 | 日記

おはようございます。
生き生き箕面通信1772(131029)をお届けします。

愚直に正論を述べる亀井静香――その正論をバカにするマスメディアと風潮

 「今の時代、欲望だらけで、金よ、金よの利益追求が極大に達している。新自由主義なんてその最たるものだ」と、亀井静香。朝日新聞の本日10月29日朝刊に掲載された、「私の悪人論」(オピニオンのページ、13面)に登場、相変わらず毒舌を吐いていました。

 亀井さんの生きざまには多々共感しています。小沢一郎氏氏と同じく、日本の政界の「良心」だとすら敬意を表するくらいです。

 一方、「申し訳ありませんでした」と、深々と頭を下げて見せる日本の主流を歩むトップたちの情けない姿。毎日、毎日、紙面を開けると、頭を下げています。

 放射能汚染水が漏れる不祥事が続く東電のトップ。暴力団への融資を知っていながら長年にわたって放置してきたみずほ銀行の頭取ら。偽りのメニューで高い料金を得ていた阪急阪神ホテルズの社長たち。その傘下の「ザ・リッツ・カールトン大阪」でも、不適切なメニューがありました。

 いずれも日本の一流企業にランクされていますが、そのトップがそろって、「知らなかった」「二度と過ちは繰り返しません」など、見苦しいいい訳を繰り返し、頭を下げ続けました。

 「一流」と称されるブランドは、信用によってこそ保たれるものですよね。その超えてはならない一線をあっさりと超えさせる大きな力は、何なのでしょう。

 亀井氏が「新自由主義」が問題とする指摘に、賛成します。新自由主義は、「市場に任せておけば、いわば神の見えざる手によって、しかるべきところに落ち着く」という考え方が根底にあります。だから、できるだけ規制を緩和して、自由な競争に任せるのがいい。しかし、実態はどうなったか。

 新自由主義のもとでは、最大利益の追求に最大限のエネルギーをつぎ込みます。つまり、できるだけ儲けたモノが、勝者です。新自由主義のご本家、アメリカでは富める者はどこまでも富み、貧しいものはますます貧しくなる格差社会になりました。今も「1%vs99%」の対立は深刻です。

 儲けさえすれば少々のことは許される社会。勢い、儲け至上主義に突っ走ることになります。一流企業もすべてその流れに乗ろうとしました。「カネ、カネ、カネ……」

 亀井氏は、「(自分は)運輸大臣も建設大臣も自民党の政調会長もやった。利権のど真ん中よ。でも調べてもらえば分かる。ゼネコンなどから政治献金を受けたことは一切、ありません! フェアでないことはやらない」「地検に、亀井静香を捕まえられなかったのが最大の心残りだって言っている検事がいるんだって」と。

 「政治家に必要なのはね、使命感と覚悟だ」「政治家がまなじりを決して、生体反応を起こさない国民を引っ張っていかないといけない。あなた任せだといけない」と、吠えまくっています。いかにも悪人の面目躍如というところでしょうか。

 しかし、そんな正論を吐く政治家は、煙たがられ、マスメディアも一般の風潮もバカにします。日本は、マスメディアの状況が権力支配屈し、そのメディアの報道に影響されて、日本の国柄はまだ汚されていくのかもしれません。

 


1771 ・ものもんたの「朝ズバッ」降板は、次男の「盗み」と自身のセクハラ問題だけが理由でしょうか

2013-10-28 07:06:10 | 日記

おはようございます。
生き生き箕面通信1771(131028)をお届けします。

・みのもんたの「朝ズバッ」降板は、次男の「盗み」と自身のセクハラ問題だけが理由でしょうか?

 「みのもんたさんの番組は終了し、11月2週から新しい番組にします」と、TBSテレビが発表しました。週刊誌などは一斉に、みのもんたの次男の「盗み」とみの自身の女性アナに対するセクハラ問題を理由に書き立てているのは、ご承知の通りです。しかし、どうも釈然としません。

 というのも、みのもんたバッシングがはじまる直前に、みのが安倍首相批判をかなりたっぷりとやったからです。こんな具合です。安倍首相のオリンピック招致演説の内容に対して、「安倍首相は東京オリンピックに6000億円出すんだって。福島の放射能汚染水対策には470億円。それも、オリンピックが来るから出す、という。オリンピックがなければ、470億円出さないのか。福島の原発事故から2年半、汚染水は出続けているんだよ。どう感じますか。世界中のみなさん」

 「誰か言わなければならないから、私が言わせてもらう。『東京は福島から250キロ離れているから安全です』と言う。それをきいた福島の人たちはどう思うでしょう。私は福島に8回行きましたよ。汚染水対策について聞いたら、『タンクに貯めているから、海には出していません』と説明された。ところが、東京に帰ってきたら、『タンクから漏れていました』だって。オイ、オイ、オイ。どうなってるんだ」

 「今は、4号炉に入らせてくれ、と言っている。やはり、(4号炉が)どうなっているか、自分の目で見て、伝えたい」

 実は、みのが原発や東京オリンピックについてそんな発言をしているとは知らず、原発再稼働に賛成する言辞をろうしているのだろうとばかり思っていました。だから、みのはキライ。だから、みのの番組は決して見ようとしませんでした。しかし、ネットに再現された「朝ズバッ」の動画をみると、「これはかなりヤバい」と思いました。

 安倍政権はとりわけ、テレビのお茶の間への影響力を重視しています。テレビを抑えることが、政権の支持率向上のカギと認識しています。だから、安倍首相がテレビの人気モノと会食したりして、”懐柔”してきました。もちろん、みのもんたとも食事をしました。そのみのが政権批判をしたのだから、安倍首相と取り巻きの世耕弘成氏らにとっては「裏切りもの。許せん!」と、激怒したことは想像に難くない。「このまま放ってはおけん」と思ったことでしょう。直ちに措置したことでしょう。

 次男の問題や、みののセクハラ癖など、あらを探せばいくらでもある。それを流して、反みのの空気を造るなどお茶の子さいさい。そんなことはなかったでしょうか。

 


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2013-10-27 04:00:51 | 日記

おはようございます。
生き生き箕面通信1770(131027)をお届けします。

・新潟県の泉田知事が謀略をしかけられ逮捕、失脚するなどの”想定小説”「原発ホワイトアウト」を読みました

 現役の経産省キャリア官僚が小説の形で原発ムラを内部告発したとされる「原発ホワイトアウト」。書かれている内容は、ある意味では「そうだろうな」と思わせるモノがほとんどです。しかし、活字にされてみると、改めて原発ムラの闇の深さがどす黒い不気味さで迫ってきます。

 新潟県の泉田裕彦知事を思わせる人物は、「新潟県の伊豆田清彦知事」として登場。親族が贈収賄したという謀略で逮捕、失脚します。抵抗する手段はありません。かつて、福島県の佐藤栄佐久知事が実弟の贈収賄を仕掛けられ失脚させられたことがあります。

 北朝鮮の謀略として、高圧鉄塔の倒壊テロが描かれ外部電源が喪失、原発内の電源車も折からの豪雪で凍結、原発本体は全電源が失われ、原子炉のメルトスル―が現実に。

 この本の新聞広告には、「河野太郎、福島みずほ氏ら、そして毎日新聞、東京新聞が激賞」とあります。

 ネットでも次のような投稿がありました。以下、転載。

 「特集ワイド:『内部告発小説』の現役官僚に聞く 『再稼働いいのか』問いたい」

毎日新聞 2013年10月22日 (東京版夕刊)
http://mainichi.jp/feature/news/20131022dde012040012000c.html

 ■「日本の原発は世界一安全」はウソ

 ■政界への献金「モンスターシステム」

 ■電力業界に冷たい職員のチェックリスト

 ナゾの覆面作家が現れた。若杉冽(れつ)さん。現役のキャリア官僚である。9月に出版した小説「原発ホワイトアウト」(講談社)で、原発再稼働にひた走る経済産業省と電力業界、政治家を結ぶ闇のトライアングルを描き霞が関からの「内部告発」として波紋を広げている。本人に胸の内を聞いた。【吉井理記】

 東京都内の料理屋に現れた若杉さん、もちろん覆面姿ではなく霞が関の住人特有の、特徴に乏しいスーツ姿だ。「尾行対策にね、後ろを気にしながら道をあちこち変えて。時間かかっちゃいました」。ささやきながら腰を落ち着け、ようやく表情を緩めた。

 東京大法学部卒、国家公務員1種試験合格、霞が関の省庁勤務−−公にされた素性はこれだけだ。もちろん執筆は役所には秘密。近親者にしか明かしていない。

 小説は参院選で政権与党が大勝するところから始まる。電力業界の政治献金で飼い慣らされた与党政治家と業界幹部、両者と軌を一にする経産官僚が原発再稼働に向けて暗躍する姿を縦軸とし、役所のあり方を疑問視する若手官僚の抵抗、原発テロ計画といったエピソードが横軸として交錯していく。「柱の部分は私の知る事実がベース。役所では表立って話題にしませんが、裏ではみんな『詳しすぎる。作者はだれだ』と大騒ぎです」。静かに笑う。

 リスクを冒してまでなぜ執筆を? 「現実世界は原発再稼働に向けて着々と動いています。一方で私は、電力業界のずるさや安倍(晋三)首相の言う『日本の原発は世界一安全』がウソなのを知っている。私は公僕です。そうした情報は国民の税金で入手したとも言える。もちろん国家公務員として守秘義務もある。だから小説の体裁を借りて『みなさん、このまま再稼働を認めていいんですか』と問いかけたかった」。声が知らず知らずのうちに高くなり、テーブルに広げた著書を何度かたたいた。

 「電力業界のずるさ」の最たるものが、若杉さんが「モンスターシステム」と呼ぶ巨大な集金・献金システムだ。作中で描いた構図とは−−。

 電力会社は資材や施設の修繕工事などを、随意契約で相場より割高な価格で業者に発注する。業者は割高分の一部を加盟する電力業界団体に預ける。団体はその預託金を政治献金やパーティー券購入に充て、「大学客員教授」などのポストを買い、浪人中の政治家にあてがう。政治資金収支報告書上は関連企業や取引先企業の名前が使われるため、電力会社は表に出ない。業界団体「日本電力連盟」に“上納”される預託金は年間400億円。これで業界に有利な政治状況をつくり出す、というわけだ。

 「これは私が見聞きした事実を基にしています。東京電力福島第1原発事故後、東電の経営状況を調べた国の調査委は、東電が競争入札にした場合より1割強、割高な価格で業務発注していたことを明らかにしました。私は昔は2割だったと聞いていますが」。預託金の原資、元はといえば電気料金だ。割高発注はコストを増やし当然、料金にはね返る。「企業献金がすべて悪いとは言いません。でも国が地域独占を認め、競争環境にない電力会社は別。国民にとって電気料金は税金と同じ重みがあり、税金並みの透明性が欠かせない。業務発注だって競争入札にする規制が必要です」

 多額の選挙費用がかかる政治家が電力マネーに弱いのは理屈としては分かる。では公正であるべき官僚は。

 「上層部ほど電力業界にねじ曲げられている。退職後の天下りポストが欲しいというのもありますが、一番の理由は出世です。これは本には書きませんでしたが……」と、あるエピソードを語った。

 霞が関には省庁の垣根を越えたネットワークがある。かつて、その中で知り合った人物が経産省資源エネルギー庁の電力担当の幹部になった。上司にあたる同省官房長からは「電力と酒飲んで遊んでればいいから」と言われたそうだ。だが電力業界に「従順」と思われたその知人、真面目に電力自由化をやろうとした。「その矢先、ピュッとトバされてしまったんです。もう退職なさった方ですが」

 背景にはある「リスト」の存在が絡んでいた。「電力会社が役所の電力・ガス部門に来てほしい職員、そうでない職員を記したものです。『業界に冷たい』職員には印を付け、電力マネーに浸った与党政治家に渡す。政治家は経産省上層部に職員をトバすよう求めるんです」。上層部人事は事実上、政府・与党が握っているから、出世したい幹部は政治家に迎合する。「実は昨年末の衆院選で、まだ野党だった自民党のマニフェスト作成に関わった再稼働推進派の経産省幹部すらいる。今は安倍政権に非常に近い人物です。もはや役人としての一線を越えている……」。覆面作家の顔が紅潮している。

 小説では、冬場の「爆弾低気圧」に覆われた北国の原発をテロリストが襲う。非常用発電機や電源車も動かせない暴風雪と酷寒の日、まさに「ホワイトアウト」状態の中、外部電源を支える送電線鉄塔を爆破して「第二の福島」を引き起こす。「今年7月に施行され『世界一厳しい』との触れ込みの新規制基準では、原発敷地内のテロ対策は盛られましたが、敷地外は手つかずのまま。その盲点を描きました」

 政府が再稼働や海外輸出の錦の御旗(みはた)にしている新規制基準の「穴」はまだある。「欧州や中国で導入されている最新型原子炉は炉心溶融に備え、溶けた核燃料を冷却する『コアキャッチャー』という仕組みがある。抜本的な安全策ではないが、万が一の際にかなりの時間稼ぎができるのです。これが日本の新規制基準では無視された。電力業界や役所、原子炉メーカーも高額の費用がかかるから国民に知らせない。今や世界的に見ても日本の原発の安全性が劣るのは明らかです」

 毎週末、首相官邸や霞が関で行われる脱原発デモ。彼らの声は庁舎の窓越しに若杉さんにも聞こえている。「恥ずかしながら私も福島第1の事故までは、原発があれほどの被害を出す危険な代物だとは思わなかった」。ぽつり漏らした。心情的には脱原発に共鳴する。だが霞が関の中にいるからこそ「デモをいくらやっても原発推進の流れは止められない。電力業界、役所、政治家のモンスターシステムを内部から変えない限りは」との思いが深まる。

 「まだまだ驚くべき事実はたくさんあるんです。こうした情報が国民に届けば、きっと世論のうねりが起きる。私が役所に残り続け、素性を明かさないのは、情報をとり続けるためです。さらに第二、第三の『若杉冽』を世に送り出すためにもね」

 若杉さんは再び街に溶け込んでいった。次回作の構想は「すでに固まりつつある」と言い残して。

 以上、転載終わり。

 原発ムラのパワーの源泉は、やはり「カネ」です。皆様が支払う電気料金からくすねたプール資金です。それをくすねる手法は、割高発注でキックバックさせる昔から日本に定着している方式です。いずれにしろ、皆様の電気料金によって、原発ムラのパワーを支えさせられています。