実在の人物を演ずるには、一種の覚悟が必要だろう。仕草や表情を研究するだけでなく、そのモデルをどう評価するのかが、確実に演技に影響するだろうし。俳優の力量が試される場だ。まあ、山本薩夫の政治映画のように単にドッペルなそっくりさんショーでかまわない、とするならそれもまた一手なのだろうが。
「マッカーサー」MacArthur (‘77 米)
監督:ジョセフ・サージェント 主演:グレゴリー・ペック
あの大元帥が早逃げマックと呼ばれていたり、大統領候補になっていたことは初めて知った。国民的人気の背景にあったものが宣伝のうまさや目立ちたがり屋の本性、そして天才的なスピーチにあったことは納得。コクがないのが惜しい。トルーマンとの不仲の背景がもうちょっとうまく出せていれば。グレゴリー・ペックは大健闘だと思う。
マッカーサーにとって日本はどんな存在だったんだろう☆☆★★★
「ホワイトハンター ブラックハート」White Hunter Black Heart(‘90 米)
製作、監督、主演:クリント・イーストウッド
イーストウッドがどう動こうと、そこに映画が生まれている。彼が狂気の映画監督ジョン・ヒューストンを演ずる体裁。特徴をうまくつかんではいるが、イーストウッドはイーストウッドにしか見えないあたりがおかしい。
キャサリン・ヘップバーンを演じたマリサ・ベレンソンが綺麗!☆☆☆★★★
「小説吉田学校」(‘83 東宝)
原作:戸川猪佐武 監督:森谷司郎 主演:森繁久彌
そっくりさん政治家シリーズ。吉田茂の森繁は当然としても(似てるもんなあ)、田中角栄の西郷輝彦は意外にはまっている。あの池田勇人は高橋悦史が気持ちよさそうに演じていて結構。中曽根康弘が勝野洋ってのはどうなの?
東宝の政治映画といえば、佐藤栄作が神田隆だったなあ。久米明は誰だっけ?☆☆☆