事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

謝罪広告

2008-02-24 | うんちく・小ネタ

Unidonお詫びとお知らせ                        株式会社 高島屋

さて、このたび、弊社東京店八階催会場におきまして開催いたしました「大九州展」のイートインコーナーにて、「天草豪快うに丼3,150円(一人前・税込)」を、151食販売させていただきましたが、この商品につきまして、催事期間中、実際にお客様にご提供したものより、「大九州展」の新聞折込チラシに写真で掲載されたものの方が、うにが多く盛り付けられていたことが判明いたしました。
つきましては、当該商品をお召し上がりになったお客様におかれましては、誠にお手数をお掛けいたしますが、、お問い合わせ先までご連絡をお願い申しあげます。
弊社において確認をさせていただいた上で、後日、郵送にてご返金手続きをとらせていただきます。なお、売り場でのご返金は、ご容赦願います。       

読者から送られてきた先月(2004年5月)の読売ネタ、確かにツッコミどころ満載。まるで読解能力が試されているようだ。いくら豪快とはいえ、うに丼ごときが3,000円もすることや、期間中に151食って数字はどうなの?という疑問はおいといて、最大の謎は

【いったいどうやってうに丼を食べた客を判別するのか】

これにつきる。しかしこれは当然言ったもん勝ちだろうし、高島屋も倍の300人ぐらい申し出があることは覚悟の上のはず。トラブル対策専門のセクションがあるくらいの業界だ、「ウニが足りねーじゃないか!」という、いわば因縁に過剰に対応してしまうのも無理からぬことかも。チラシ写真ではうにの下のご飯は見えないが、販売されたものはごはんが見えていたらしいのはさすがにちょっと。でもわたしも気になって調べてみたら、このクレーム、たった一人しか寄せていないのである。すごいな。ひょっとしてそいつ総○屋?(総菜屋じゃないよ)

 こんなトラブルの陰で、実は笑いがとまらないヤツがいる。新聞社である。この不況下、広告出稿量は減り続け、おかげで全面で数千万円と言われる全国紙の広告料も、今はかなりダンピングされている。そんななか、必ず定価で売れる謝罪広告は、新聞社にとって涙がでるほどうれしい存在なのだ。さあ今日も三面下の謝罪広告チェックだ。あそこにこそ“現代”はあるもんな。

……2008年現在、謝罪広告はまさしくシャレならん状態になっている。“偽装”という言葉でひとくくりにされるあたりがなお痛い。特に考えこまされるのが製紙業界。要するにリサイクルをやってたら勝ち残れない、というのが業界全体の常識だったわけでしょう?うーん。

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「博士の愛した数式」 小川洋子著 新潮文庫

2008-02-24 | 本と雑誌

Hakasenoaisitasuusiki 冒頭から、美しい。

彼のことを、私と息子は博士と呼んだ。そして博士は息子を、ルートと呼んだ。息子の頭のてっぺんが、ルート記号のように平らだったからだ。
「おお、なかなかこれは、賢い心が詰まっていそうだ」
 髪がくしゃくしゃになるのも構わず頭を撫で回しながら、博士は言った。友だちにからかわれるのを嫌がり、いつも帽子を被っていた息子は、警戒して首をすくめた。
「これを使えば、無限の数字にも、目に見えない数字にも、ちゃんとした身分を与えることができる」
 彼は埃の積もった仕事机の隅に、人差し指でその形を書いた。

             

……80分しか記憶を持つことができず、背広のいたるところにメモを貼り付ける博士。《僕の記憶は80分しかもたない》朝目覚めると、彼は絶望的な一文を書きつけたメモを読むことで一日を、いや、80分の生活を始める。映画「メメント」の主人公のようにわずか10分の記憶しか持てず、身体にタトゥーを入れるほどのハードさではないけれど、彼の日常の切なさは十分に伝わる。しかしスパンが短いとは言え、有限の記憶しか持つことができない博士とは、つまりわたしたち人間のシンボライズであり、無限の真理である数学との対比はせつない。

 そんな博士が、過剰なほどにそそぐルートへの“父”なる愛情。ルートの頭の中に、きちんとしまい込まれた博士の記憶。わたしは読み方を間違えたのだろうか。ラストでは涙がとまらなくなってしまった。

 端正この上ない文体。推敲に推敲を重ねたであろう表現。短い新聞記事で博士の前半生を一瞬にして読者に悟らせる技巧。絶賛口調は恥ずかしいけれど、この1冊はわたしの宝物だ。必読

事務職員部報に載せた映画版の特集はこちら

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水族館に行こう。

2008-02-24 | まち歩き

Img_photo_nakama_10  水族館のアシカショーのステージに上がり込み、アシカに輪投げの輪を投げつける--。

酒田署は9日、鶴岡市の加茂水族館のショーを妨害したとして、酒田市北新町2丁目、無職○○○容疑者(37)=器物損壊容疑で逮捕=を威力業務妨害容疑で再逮捕した。飛んできた輪を飼育員がたたき落とし、アシカにけがはなかったという。
 調べでは、○○容疑者は先月29日午前10時ごろ、鶴岡市今泉の加茂水族館で開かれたアシカショーのステージに、酔っぱらって上がり込み、「(アシカが)怖くないぞ」と叫んでアシカに輪投げの輪を投げつけるなどし、ショーを中断させた疑い。
 当日は満席で、立ち見客もあわせて200人ほどが見ていたという。○○容疑者は乱入直前、ステージそばのプールに飛び込み、中で飼育されているアザラシやペンギンを追い回したという。
 男性飼育員(31)によると、アシカは23歳のオスで、体長は約2メートル50センチ。「人間で言うとおじいちゃんなので、神経が太く、動じなかった。この後に登場するメスだったら、おびえて大変だったはず」と話した。
2004年6月10日(木)朝日新聞朝刊

0036image1 久しぶりにツッコミがいのある事件。この男、現行犯で逮捕されたわけではなくて、酒田にタクシーで帰ってから、なぜか『市内で、女性の車に自分の車を数回ぶつけてバンパーを壊した』から、器物損壊容疑なのだった。アシカ事件は余罪。すごい一日。

この男がなぜ水族館に行ったかといえば、子どもの保育園の遠足についてきたものらしい。いいオトナが、子どもの身にもなれよ。

彼が無職であることもあって、やるせない事件だなあ……と全然思えないのは、あまりにぶっ飛んでいるからである。水族館のプールに飛びこんでアザラシとペンギンを追い回し(笑)、アシカにむかって「怖くないぞ!」は最高だ。まるでこどもの夢を体現したかのよう。でもまたやりたいんなら気をつけた方がいい。加茂水族館には、かの有名なクラゲの飼育槽もあるからね。痛いぞあれは。

……2008年現在、この事件についてはわたしもいろいろと情報収集した。あんまり語りたくない事情もあるけど、それでもファンキーさが隠せない事件であることは確かだ。加茂水族館はクラゲによってなお人気を集めている。画像はアシカじゃなくてアザラシ(勝手にいただいてすみません)。だってあまりにも(* ̄▽ ̄*)/

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「バッテリー」 あさのあつこ著 角川文庫

2008-02-24 | 本と雑誌

4043721013  多くの書評家のなかで、もっとも影響力があるのは北上次郎らしい。この場合の影響力とは、文壇のなかでドンになっている(ほら、丸谷才一とか)という意味ではなくて、純粋に「この本を読みたい、買いたい」欲求を喚起する、出版社や書店にとってはまことにありがたい存在ということ。

 この北上次郎とはすなわち「本の雑誌」(※)を椎名誠らと創刊した目黒孝二のペンネーム。もう二十数年この雑誌につきあっているわけだが、加齢とともに彼の嗜好がギトギトの冒険小説から哀愁漂う家族小説にうつっているあたりは少しさびしい。

※創刊当時は山形県では山形大学の生協でしか買うことができなかった。

 さて、そんな北上が「こんな小説があったのか!知らなくてごめん!」と激賞したのがこの「バッテリー」。作者のあさのあつこ(ほんとにこんな名前です)は児童文学畑の人なので、さすがの北上も見逃していたらしい。

 それにしてもちょっとびっくりするぐらいまっとうな少年成長小説。白球しか信じない主人公のピッチャー、病弱な弟、金持ちであるがゆえに野球を続けられるかに悩むキャッチャー……わたしも意表を突かれた。グッとくる。もはや児童文学にしか存在しないであろう「普通の家族」「普通の友人」がここにはいて、そのことが胸にしみ入る。こいつを文庫化するギャンブルに出た角川書店もえらいが、爆発的に売れているようなので、これでまた北上の業界での評価は上がったろう。いい本を紹介してもらってありがたいことだ、とわたしも思いました。

Meguro その後ブームが巻き起こり、映画化も成功したこともあって、あさのは一躍メジャーになった。さすが北上、ってことかな。

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次は誰だ~ナンシーフォロワー選手権

2008-02-24 | うんちく・小ネタ

Matsuosuzuki01  ナンシー関が亡くなって、もう2年が経とうとしている。この不在の期間で、彼女ならどう突っ込むのだろうという事件が頻発しまくり、ひたすらその存在の大きさを再確認させられた。たとえば、永井大なんぞという中途半端な二枚目の存在など、おそらくぶった切ってくれたであろうに。

 さて、それでは彼女につぐ第2走者はいったい誰なんだろう。ギャグの切れ、誰も予想も付かない観点からの指摘など、欠落の大きさゆえに生半可な書き手では及びもつかないのだが、何人か候補者をあげておきたい。

 一人目はもうドッペルゲンガー(あとでまとめてアップします)でとりあげている松尾スズキ。あふれるほどのコンプレックスと才能をかかえたこの劇作家は、その文体が徹底して特異であり、しかもかなり伝染性が高い。こんな感じである。

何だ。佐藤藍子のあの耳は。
手塚マンガじゃん。
初めて彼女がテレビに出演した時はさすがの私も度肝を抜かれた。直に会ったことがないので断言はできないが、「CDの半分」くらいはあると見た。つまり両耳合わせると、「ほぼCD」ということになる(註・そんなにはありません)。二人で「CD2枚」だ(註・意味がありません)。だから何だ、と言われても困るのだが……
                           「この日本人に学びたい」光文社知恵の森文庫

Lilyfrankie01 ナンシーフォロワーとしての資格十分と見たのだが、どうだろう。伝染しそうじゃない?続いてはナンシーと対談集まで出しているリリー・フランキー(加藤紀子との仲はどうなったんだ?)だろうか。この対談がまた無茶なのである。

ナンシー リリーさん、今までどんな車に乗ってきました?怖いもん見たさに近いんだけどさ(笑)。
リリー 最初は友だちから40万円で買ったBMW320。買った時にステアリングが壊れてて、すでに重ステだった。俺、アメ車好きで、BMWやベンツをいいと思ったことないんですよ。それで内装をアメ車風に変えていったら、どんどん気持ち悪い車になっていった(笑)。その車は、台風の日に環七と甲州街道の交差点でカリブの海賊みたいに水の中に突っ込んで、エンジンが動かなくて壊れた。ドア開けたら水が入ってきて、俺は小便を我慢してたんだけど、たまらず車の中でしましたね。冠水した時にエンジンかけるのは、一番やっちゃいけないことらしいんですよ。
                           「リリー&ナンシーの 小さなスナック」文藝春秋

……いやはや、なんちゅうかしかし。
そしてふと気づく。この三人、いずれも絵がうまいのである。まあナンシーとリリーは本業だから当然としても、松尾の腕もなかなか。“笑い”と“アート”って、なんか相関関係があるんだろうか。

Odajima1  そしてここにわたしは隠し玉を持っている。というか、パソコンの世界ではとっくに有名な人だし、噂の真相のコラムも爆笑ものだった。そして臨時だけどなんと学校事務職員出身にしてやっぱり絵が堪能……小田嶋隆である。この人の罵倒芸は一級品。アルコールで身体がめちゃめちゃになってしまい、断酒中という現状も書き手としての資質は十分だ(笑)。わたしは彼の新刊が出るたびに買っているのだけれど、書店に発注しても品切れのことが多い。これは売り切れなんじゃなくて、重版してくれないだけね。とりあえず、現在も在庫はあるようだから小学館文庫の「パソコンは猿仕事」あたりを読んでみて!

※以上は2004年のコメント。そして4年が経過し、それぞれが名をあげたのはうれしい限り。特にリリー・フランキーの売れ方はびっくりするほどだ。「東京タワー」も特集しよう。加藤紀子とのてんまつも、しっかりと描いてあるし。

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「キューティーハニー」庵野秀明監督・佐藤江梨子主演

2008-02-24 | 邦画

Cutiehoney01 もしも現実社会にアニメのキャラクターが“そのまんま”現れたら、これはかなり異様だろう。ドラえもんアトムのようなロボットはもちろん、ミッキーマウスキティのようなファンシー系にしたって、あなたの隣に本当に存在したら、まずは“怖い”と感じるのが普通ではないだろうか。この異様さを巧みに利用したのが「ロジャーラビット」だったし、近年のCGアニメはキャラと現実の境界線をぼやけたものに必死で変えようとしている。あいつらはプロデューサーに文句を言ったりしないし、ギャラもいらないしね。

 ところが、この「キューティハニー」は、現実の方をアニメに徹底的に近づけようとしたわけだ。如月ハニー(よく考えたら、ムチャだこの名前)をサトエリが演ずるという、おいおい大丈夫なのかと突っ込みたくなるこの企画は、佐藤の、美人とはおよそ言えないルックス(ジョージアのCMで矢田亜希子と比較すると理解してもらえると思う)がむしろ幸いし、セクシーボディという着ぐるみを身につけたコスチュームショーみたいに楽しむことができる。えーと正確に言うと、それ以外には楽しみようがない映画でした(笑)。

 わたしはエヴァンゲリオンや「ラブ&ポップ」を観ていないので、庵野作品は「ふしぎの海のナディア」以来。宮崎駿の後継者には収まりきらなかった才能の持ち主の新作が、しかしなんでハニーだったんだかなあ。あまりにも弾けた演出に「金返せー!」と怒った観客もいただろうけれど、イオンシネマでわたしが飛びこんだ回では、電源トラブルのために10秒ほど映像が途切れ、おかげで終了後に招待券を手渡されたのでとりあえず全然怒ってません(笑)。

Kitamurauruka ※アニメ放映時から笑っていた空中元素固定装置なるトンデモ設定が消えていたのは残念。どうせこんなにむちゃな映画にするんなら、いっそAVアイドル北村うるかあたりを一般映画の主演女優にする選択肢はなかったか。趣味に走りすぎかなあ。

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