事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

許容する美女たち

2008-08-23 | 邦画

Midaregumo  ハリウッドのメジャー映画から喫煙シーンは次第に消えている。あの国の現状を考えれば無理のない話。おかげで昔の映画を観ると「おー吸ってる吸ってる」とそんなシーンが特異に思えるほどだ。

 同じ種類のことが日本の古い映画にも言えて、なにより驚かされるのが日本の男の亭主関白ぶり。会社から帰るといきなり背広を脱ぎ始め、背中で妻の繰り言を聞く。そんなとき奥さんは旦那の後ろに自然に控え、背広を衣紋掛け(ハンガーじゃないぞ)に通し、「お風呂を先になさいます?」と“敬語”で話しかけたりするのだ。びっくり。

「なんか、いいなあ」とうっかり妻の前でつぶやいてしまったわたしが馬鹿だった。
「ヒロシさんは、こういうのがうらやましいの?こんなご亭主になりたかったの?」
奥さん、ことばに怒気があります(T_T)

今回は、そんな夢の時代の三本。

乱れ雲」(‘67 東宝)
監督:成瀬巳喜男 音楽:武満徹 主演:司葉子、加山雄三、浜美枝
幸福の絶頂にいた人妻が交通事故で夫を失い、その加害者である若者と……。あの司葉子がとても色っぽいことだけでも驚き。成瀬のマジックなんだろうか。森光子と加東大介の愛人関係も艶っぽくていい。適当に荒れてるのね。大人向けの昼メロ。

これが成瀬の最後の作品になった☆☆☆☆

人間の條件」(‘59 松竹)
監督:小林正樹 出演:仲代達矢、新珠三千代、山村聰
く、暗ぁい。陰鬱映画好きの妻でさえ二の足を踏んでいるぐらいだからたいしたものだ。それにしても新珠三千代の若いころの美しさは比類がない。

娼館の女主人にして現役の娼婦を演ずる淡島千景も妖艶☆☆☆★★

24tanin女の中にいる他人」(‘66 東宝)
監督:成瀬巳喜男 出演:小林桂樹、新珠三千代、三橋達也
60年代までの男たちって、実はすごく幸せだったのではないだろうか。自分ひとりが深刻ぶり、女はそれをことごとく許容している。それにしても新珠三千代って綺麗。「細うで繁盛記」以前の彼女を、もっとチェックしてみよう。少なくとも、彼女の声の美しさはもっと語られるべきだ。

美しく、貞淑であるがゆえに怖い人妻。くわばらくわばら☆☆☆★★★

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