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事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

バブルへGo!! PART3

2008-08-28 | 邦画

A0055913_024035 PART2はこちら

「気まぐれコンセプト」は、1981年からビッグコミックスピリッツに連載され、以降一度も休載せず、誌上最長の連載となっている4コマまんがだ(Wikipediaより)。相原コージの「コージ苑」、吉田戦車の「伝染るんです」、高橋留美子の「めぞん一刻」など、80年代初期のスピリッツは最強だったので、このころはよく読んでいた。

ネタとしては、要するに広告代理店などの“業界人”の生態を描くことで、結果的に世の中のトレンドを先取りしてしまえ、という欲張りなお話。登場人物たちが勤務する白クマ広告社と荒鷲エージェンシー(電通や博報堂よりもワンランク下の代理店という設定)が、メーカーやTV局との間でどのようにちゃらんぽらんに金を稼いでいるか、どんな苦境も笑ってごまかしているかがギャグの中心。生活のすべてがセックスに奉仕され、広告屋だからよオレたちは所詮よ、と自虐的になりながら、片側では猛烈なプライドが体液のように流れ出ている。まことにアンビバレントな連中だ。原作は「バブルへGo!!」を監督している馬場康夫。作画は馬場の同級生の松田充信。馬場は日立の宣伝部出身だから、むしろメーカーの側から代理店をさめた目で見ていたことになる。

前回、とにかくホイチョイはトレンドのパイオニアたらんとしていると言ったけれど、おかげで彼らの著作は文庫化されることもなく、再刊もめったに行われない(「東京いい店やれる店」だけはケータイサイトでしっかり商売にしている)。テレビの内情をおもしろおかしく暴いた「OTV」など、いま読んでも十分に面白いと思うのになあ。まあ、これが流行りものをネタにしている宿命だろう。

おかげで「気まぐれコンセプト」は、84年以降、一度も単行本化されていなかったのだ……しかしこれはホイチョイの狙いだったことがわかった(狙いじゃないと思うけど)。07年の1月に、二十三年分を再編集し「気まぐれコンセプトクロニクル」として刊行したのだ。これはすごかった。千ページに及ぼうかという量(おかげで重くて重くて)と、常に時代と“軽薄に切り結んでいる”姿勢が圧倒的。いい女とやることを第一義に考える姿勢はそのままなのに、やはり登場人物の行動は時代に影響をうけまくっていることがいやでも感じとれるようになっている。まさしく、クロニクル(年代記)だ。これだけの量があるとギャグはくだらないのに傑作に思えてくる。結果的にホイチョイの代表作になったかも。

 そしてやっぱり業界の狂躁が激しいのはバブルの時代。馬場が「オレがやらんで誰がやる!」とばかりに撮った映画が「バブルへGo!!」だ。次号最終回

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バブルへGo!! PART2

2008-08-28 | 邦画

PART1はこちら

 バブルの象徴として前回セルシオとシーマを挙げた。今は普通の高級車になっているが、初代はトヨタと日産が気合い入れまくりでつくりあげたエポックカーだったのだ。乗ったことないけど。さて、バブルと言われて思い浮かぶのは、わたしにとって以下のとおり。

ワンレン……これほど一般化し、そして消えていった髪型もめずらしい。もっともインパクトがあったのはフジ「夢で会えたら」における清水ミチコのしょーもないワンレンかんちがい女。

ボディコン……これは今のスキニーとは違うことなの?

NTT株……87年2月に第1次放出。政府売り出し価格の119万7000円が、わずか1か月足らずの間に300万円を超えるまでに上昇。しかしバブル崩壊後に72万円まで一気に降下した。ひと株の値段が百万円超というのは、当時意味がよくわからなかった。実はいまでもよくわからない。

ふるさと創成基金……全国の市町村に一律1億円をばらまいたもの。竹下登の超バブリーな政策。これは時代だよなあ。

・「平成」……忘れられがちだけれど、昭和64年~平成元年って1989年のことなのだ。バブルまっさかり。微妙にへたくそな(そう思いませんでした?)年号決定パネルを掲げたのが小渕官房長官だったので、後年この人が当時の首相だと誤解されるかも。その頃の首相は当然竹下登。彼のスキャンダルが噴きだした途端に昭和天皇が死んだものだから、「なんかやったろ!」と思ったものでした。生命維持装置をはずすとか。ホントに、なんにもやらなかったのか?

……さて、このようなバブル関連用語に(『平成』はともかく)わたしはほとんど関係がなかった。職場にワンレンボディコンOLがいるわけでもなく(いてほしかった)、NTT株を買う資金もなく(買わなくてよかった)、ふるさと創成基金のいま思えばもっとも効果的な使途は借金返済だったはず(交付税措置だから無理か)。

 そんな時代に、トレンドを追いかけるどころかトレンドをつくりあげる立場にいたのがホイチョイ・プロダクションズ。成蹊大学(だから安倍前首相とは同窓生)の映画製作グループが、社会人になってからも徒党を組んで世間を騒がせ続けている。なんか、うらやましい。

「見栄講座」「極楽スキー」「東京いい店やれる店」など、著作のコンセプトはかなり露骨。トレンドのフォロワー(追随者)なんぞには絶対にならない、という気概すらうかがえる。その彼らの真骨頂が「気まぐれコンセプト」だ。以下次号

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