事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「サウンド・オブ・サンダー」A Sound of Thunder(’05 米)

2008-08-14 | 洋画

原作はレイ・ブラッドベリ。ファンは怒っただろう。ブラッドベリらしい繊細なSFを単なるフリークス映画にしやがって、と。

でもエドワード・バーンズなどキャストがわたし好みだし、フリークスたちがなんとも愛嬌があっていいっす。監督がピーター・ハイアムズなんだからもうちょっと何とかならなかったのかって気も。まあ、製作途中で会社がぶっつぶれてしまったりといった過程を忖度するかどうかで評価は変わってくるのだろうが。

ハイアムズっていつもちょっとだけひねくれた映画をつくるんだ☆☆☆

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「茄子 アンダルシアの夏」(‘03 マッドハウス)

2008-08-14 | アニメ・コミック・ゲーム

Nasu 脚本・監督:高坂希太郎 声の出演:大泉洋、小池栄子

 07年のテレビドラマの収穫はなんといっても「セクシーボイスアンドロボ」(日テレ)だった。オタクな青年(松山ケンイチ)と女子中学生(大後寿々花)にスパイをやらせるというとんでも設定なのに、脚本が「すいか」の木皿泉だから、描かれるのは例によって東洋的死生観なのだ。この落差はすごいなあ、と思っていたら原作のコミックを読んだらまったくおんなじテイストだった。びっくり。その原作マンガを描いたのは黒田硫黄。彼の原作はもうひとつ映像化されている。

それが「茄子」。傑作だ。見逃してて損した。練りに練り上げられた脚本、吹っ飛ぶような自転車レースの描写。そして47分間という上映時間もいい。この映画に金を出した出資者たちもまたいい仕事をしたと思う。エンディングテーマは忌野清志郎。

いやしかし黒田硫黄ってどんな存在なんだか☆☆☆☆

コメント (4)
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「バガボンド」井上雄彦著 吉川英治原作 講談社刊

2008-08-14 | 事務職員部報

コミックス売り上げ一億冊(!)を記念して主要全国紙すべてに全面広告を載せるほどの大ヒットとなった「スラムダンク」。次の作品に吉川英治の「宮本武蔵」をもってくると誰が予想したろう。正直に言えば連載開始当初はいまひとつのれなかったが、佐々木小次郎を“無邪気に人を斬る聾唖の童子”に設定したあたりからむやみに面白くなった。

 前作が安西先生と湘北高校バスケ部の「父と子の物語」であったように、剣聖たち(柳生石舟斎、宝蔵院胤栄)とふれあうにつれ成長していく武蔵の姿は、漫画表現をイノベートする凄絶な斬り合いシーンの迫力とあいまって爽快。

 しばらく休載したあと始まった第二部においては、肩の力をぬいたユーモアも随所にちりばめられていて読者を喜ばせてくれる。なにしろ「スラム~」における桜木花道の名セリフ

大好きです

まで武蔵がかましてくれるのだから。まあ、前作がバスケのことを言っているのに、今回は「殺し合いが好き」と宣言しているあたりは殺伐としたものだが。

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「昭和史」 半藤一利著 平凡社刊

2008-08-14 | 事務職員部報

Showashi 「こんな本が読みたかった」という声が数多く寄せられているベストセラー。近現代史をまともに学習したことのない(学校では教えてくれなかったし)わたしも「そうかそうかそういうことだったのか」と目からウロコがバランバランに落ちまくりました。

歴史のなかのひとつひとつの事象をマニアックに分析することもけっこうでしょう。でもこの本のように通史の形で一気呵成に語られると“歴史上のできごとはすべてつながっている”と実感することができます。

満州事変から太平洋戦争にいたるまで、日本が絶望的な戦争に突入する過程においては、資源のない国家として仕方のない部分もあったのかな、と侵略された国が激怒しそうなことも考えていたのですが、そんなことは全然ないことがよくわかりました。引き返すべき、そして引き返せるポイントはたくさんあったのに、日本は意図的にその機会を無視し続けていたのです。背景にあったのは陸軍や海軍、そして外務省の派閥争い。そして熱狂する国民をさらに鼓舞する新聞……石原莞爾の地元の人間がこんなことを言ってはいけないのかもしれないけれど、日本人って本当に調子こきやすい民族なんだなあ。

現代においても「改革!改革!」と叫んで“スカッとしてしまう”国民性は、その頃とまったく変わっていないことを学習できるという意味で、やはりこれはみごとな歴史書です。やれやれ。

事務職員部報公式版Vol.6 05年10月7日号より

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