監督、脚本:森田芳光 出演:佐々木蔵之介、塚地武雅、沢尻エリカ
「間宮兄弟」のDVDには森田芳光のメジャーデビュー作「の・ようなもの」の予告編が特典映像でついている。曰く「ニュアンスの映画」。この当時から森田の味は“ニュアンス”というフレーズで語られていたわけだ。「の・ようなもの」はわたしのオールタイム・ベストに確実に入る。久しぶりに観たいな。あの道中づけのシーンだけでも。
まみや、はもちろんマニアとひっかけてあるのだろう。趣味に走ることで自らが傷つくことから逃げまくっているオタク兄弟。彼らに向けられる視線に悪意がないので気分よく観ていられる。「家族ゲーム」の松田優作のような、異物としての塚地がすばらしい。キャスティングは満点。いやしかしそれにしたって母親役に中島みゆきって(笑)
校務員の日常がここまで描かれたのってはじめてじゃないか。事務職員は?!☆☆☆★★★
その4「場末のスナックにて」はこちら。
北京オリンピックに関して、ひとつ重要なことを忘れていた。なんとウチでも地上波デジタルが視聴できるようになったのである。
「もうすぐオリンピックだ。テレビ買うことにした。」オヤジ、いつもカネがないカネがないとブーたれていたのにどうしたの?
「知らないのか。あと三年で今のテレビは見られなくなるんだぞ。」
でた。日本中で語られているであろう大問題。わたしはしかし2011年7月の全面移行は今でも無理だと思っている。なんらかの経過措置がもうけられるだろうとふんでいるのだ。デジタルテレビの供給が追いつかないだろうし、チューナーを取り付ければ……とはいうものの、アナログテレビの大量廃棄にどう対応するのだ。地デジのCMを見るたびに、国策という名の恫喝が行われているみたいなもんだな、とあきれている。
と、正論をぶったもののやはりデジタル放送はきれい。中途半端にちっこいテレビを買ったらかえってこどもたちの反発をくらうんじゃ、と思っていたら、めちゃめちゃ大画面なのだった。オヤジ、くどいけどそのお金はどこからでたの?
さて、ハードがグレードアップしたものの、肝心の中継はひどかった。NHKもふくめて、どうしてバラエティ色がこんなに強くなってしまったのだろう。
キャスターのテンションは不自然なほど高く(地方局のアナウンサーが全国放送のときに舞いあがるのに似て)、見ている方が恥ずかしくなる。特にひどかったのがフジテレビ。すべての五輪番組が「ジャンクSPORTS」化しているのだ。
視聴者が見たいのは、世界を代表するアスリートの奇跡の瞬間なのであり、そのためには一見退屈に思えるような静寂の時間はむしろあった方がいい。それなのに、とにかくつめこめるだけつめこんで、すべての競技に(家族や地元の応援とか、負傷からの復帰とかの)ドラマをくっつけるのはひたすら鬱陶しかった。そんな“おかず”がなければ番組が成立しないとでも思っているのだろうか。デジタル多チャンネル時代に、地上波がやっていることは自らの地盤沈下を証明するようなバカ騒ぎだ。やれやれ。
次回は「星野ジャパン」