事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

I Don't Want To Die PART2

2008-03-04 | 国際・政治

Iraq03 PART1からつづく。

 人質の三人、および彼らの家族に投げつけられた心ない言葉の数々。それはおそらく「危ないと政府が警告しているにもかかわらず、勝手にイラクに行っておいて、誘拐されたのは自分の責任だろう。そのくせ自衛隊に撤退しろだの、笑わせるな」という、いわば自己責任論によるものだったろうか。

 火に油を注いだのは、人質の一人が左翼だったことで、2ちゃんねるに代表される左翼(サヨ、と彼らは呼ぶ。気の利いた言い回しのつもりかしらないが、要するにアカ、と同義。)嫌いの風潮から「この人質たちと家族は“批判してもいい存在”だ」とスイッチが入ってしまったのである。村八分だ。世間のうけた印象として、ハリウッド映画などによくある『必死になってがんばっている主人公の努力を水泡に帰してしまう、現場でウロチョロするマスコミや野次馬』に人質たちが見えたこともあったのだろう。

 このムードにのって「反日分子」などと大時代な言葉を確信犯的に口にした政治家(お笑いマンガ道場の司会者で、オールナイトニッポンのDJだった男だ)まであらわれたし、マスコミは「こんな批判が多数寄せられています」的な報道を羅列することで、結果的に家族を痛めつけた。おかげで、無事に帰ってきた人質たちをいきなり説諭する家族、なんて笑い話にもならない場面をわたしたちは見ることになった。そしてそんな情景を、カメラは延々ととらえ続けるのだ。

Kashimura01  近所の百姓たち(このシリーズ、こいつらには徹底的に悪役になってもらおう。なにしろ日本人を代表させているのだから)は、「まったぐ困ったもんだのやー。あんだ連中さ税金使て」と気の遠くなるような発言をかまし、わたしを危うくキレさせるところだった。

 騒ぎが沈静化したかに見える今(日本人は忘れやすい民族でもある)、サヨであるわたしから、ちょっと反撃させてもらうぞ。

PART3につづく

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I Don't Want To Die PART1

2008-03-04 | 国際・政治

Iraq01 今回から、4年前の一種の“熱狂”を特集しようと思う。
また古いネタを、と言われることは承知しています。
バックナンバーを読み返して、この頃にわたしが考えていたことに、今でもまったく修正の必要を感じない。
熱狂から熱狂へ。
日本人は何も変わっていない。

うちの田んぼの真向かいに、いわゆる五反百姓と呼ばれる小規模な農家の水田がある。会社勤めをリタイアし、老妻と二人でいつも農作業にはげんでいるその爺さんは、本当に楽しそうだ。草取り、水管理など、なにもそこまでやらなくても、と不良事務職員であると同時に不良百姓であるわたしは余計なことを思う。二人の精進で、そのわずかな田んぼは、まわりと比べても美田を絵にかいたような風情が突出している。

そんな彼らが、はたして近所の連中からどう思われているか、想像できるだろうか。

篤農家として尊敬を集めている?いやいや。

わたしみたいに「ったぐそごまでやんねくても」?まだ甘い。

実は

「道楽で百姓やらっでいいもんだのや!」

と悪罵を投げつけられているのだ。

Iraq02  アジア人の特性がまさしく農耕民族的メンタリティであり、「他と違ったり」「他者と関わりなく自己完結している」ことが敬遠されがちであることは、典型的なアジア人であるわたしたちが日々感じているのではないだろうか。特に稲作農家の場合、水の奪い合いが日常茶飯事だった歴史もあってか、何らかの突出は徹底して弾圧され(村八分)、ために「長いものにはまかれろ」的な考え方が身に染みついている。

 そんな日本人の心性を端的にあらわすことばは「排除」と「嫉妬」だろうか。

 三邦人がイラクで人質になったとき、政府の対応のみっともなさは予想できたことだが、国民の反応はわたしの予想を完全に裏切った。一体なんだこれは……

PART2につづく】

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