PART1からつづく。
人質の三人、および彼らの家族に投げつけられた心ない言葉の数々。それはおそらく「危ないと政府が警告しているにもかかわらず、勝手にイラクに行っておいて、誘拐されたのは自分の責任だろう。そのくせ自衛隊に撤退しろだの、笑わせるな」という、いわば自己責任論によるものだったろうか。
火に油を注いだのは、人質の一人が左翼だったことで、2ちゃんねるに代表される左翼(サヨ、と彼らは呼ぶ。気の利いた言い回しのつもりかしらないが、要するにアカ、と同義。)嫌いの風潮から「この人質たちと家族は“批判してもいい存在”だ」とスイッチが入ってしまったのである。村八分だ。世間のうけた印象として、ハリウッド映画などによくある『必死になってがんばっている主人公の努力を水泡に帰してしまう、現場でウロチョロするマスコミや野次馬』に人質たちが見えたこともあったのだろう。
このムードにのって「反日分子」などと大時代な言葉を確信犯的に口にした政治家(お笑いマンガ道場の司会者で、オールナイトニッポンのDJだった男だ)まであらわれたし、マスコミは「こんな批判が多数寄せられています」的な報道を羅列することで、結果的に家族を痛めつけた。おかげで、無事に帰ってきた人質たちをいきなり説諭する家族、なんて笑い話にもならない場面をわたしたちは見ることになった。そしてそんな情景を、カメラは延々ととらえ続けるのだ。
近所の百姓たち(このシリーズ、こいつらには徹底的に悪役になってもらおう。なにしろ日本人を代表させているのだから)は、「まったぐ困ったもんだのやー。あんだ連中さ税金使て」と気の遠くなるような発言をかまし、わたしを危うくキレさせるところだった。
騒ぎが沈静化したかに見える今(日本人は忘れやすい民族でもある)、サヨであるわたしから、ちょっと反撃させてもらうぞ。
PART3につづく