事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「死刑にいたる病」(2022 クロックワークス)

2023-04-13 | 邦画

温厚そうな町のパン屋。客あしらいもていねいだ。特にまじめな若者(男女問わず)を彼は応援している……ように見える。しかしその男、榛村(はいむら)は、24件の殺人容疑で逮捕され、死刑判決をうけていた。彼は次々にそのまじめそうな若者たちに、爪をはがすなどの拷問を加え、屠り、死体を焼き、遺灰を庭にまいてそこに植樹までしていたのだった。

榛村は、むかし店に来ていた法学部の学生、雅也に

「ぼくは24人殺したことになっている。でも、最後のひとりはぼくがやったんじゃない。真犯人を捜してほしい」

と依頼する。紳士的な口調。だれにでも好かれ、とても殺人犯に見えないパン屋は、どうせ死刑になるのに、なぜ一件だけにこだわるのか。

「だって自分がやったことじゃないので裁かれるのって、いやじゃないか」

どのクチが言っているものだか。

雅也は次第に事件にのめりこんでいく。確かに、その一件だけは他の殺人と違う特徴があった。

この映画がすごいのは、真犯人を見つけてそれでおしまい、といった単純な結末にしなかったことだ。榛村の狂気の伝染力こそが……あわわわ、言えません。

監督は「凶悪」「孤狼の血」「孤狼の血LEVEL2」「止められるか、俺たちを」などの白石和彌。

そして主演の榛村に阿部サダヲ。穏やかな物腰と残虐な行為の落差がすばらしい。出演は他に中山美穂、岡田健史(去年、本名の水上恒史にもどしている)、岩田剛典。10億を超える大ヒットを記録した作品でもある。すごい映画です。殺すにも程があるけど。


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