事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ローレライ」('05 東宝)

2007-12-29 | 邦画

Lorelei 一本の映画を観たあとに、その映画について語り合うシチュエーションといえば、

・いっしょに観ていたデートのお相手とコーヒーを飲みながら
・趣味の合う友人と電話で
・職場の給湯室で同僚と
・教室でバカ騒ぎ「観たかあの映画!」

こんなパターンだろうか。ところがネットの普及がこの世界を爆発的に拡大させてしまった。2ちゃんねるなどのチャットサイトや無数のブログで、日夜「あの映画のここが好き」とか「気づいたかあの場面には○○がっ!」的な書き込みがなされている。宣伝方法のなかで最強とされる口コミ(くちこみ)がパワーアップしたわけだから、映画の業界にとってはありがたい話。しかしやはりここにもダークサイドが。というのも、これらのサイトは匿名性が担保されているため、その映画(に限らない)を持ちあげているうちはいいけれど、一旦けなすとなるとこれがもう……。去年(’04)のワースト映画と評判の「デビルマン」など、おかげで「そんなにひどいんなら」とかえって観客が増えたぐらい。嫌な客たちである。

 この「ローレライ」も毀誉褒貶が激しい一本。「日本にもついに本格的な潜水艦映画が」と激賞する向きもあれば「だせー特撮!ドラマもさーすがフジテレビ製作!」と嫌みを炸裂させている連中も多い。

Yakusho  卑怯な言い方になるけれど、これはどちらも当たっているんだと思う。「ガメラ」などの特撮で着々と実績を積み上げてきた監督デビューの樋口真嗣は、だからこそCGを売り物にするような特撮大作にはすまいと心に決めたのだろう。原作ではもっとアクロバティックな場面が多かったのにバッサリ切っているし。余計だった戦後史の部分のカットも正解。

役者陣では、紋切り型の演技しかできない俳優も目立つけれど(特に鶴見辰吾のやる気のなさはどうしたことだ)、汗くさそうな潜水艦のなかでもひときわ脂ぎっている(笑)役所広司はやはり名優。潜望鏡をのぞくとき、ピュッと帽子のひさしを後ろにまわす動作のタイミングなど、演出の力とセンスだなあ。

これで監督としての力量はわかった。樋口よ、だから今度は思いきり特撮大作を撮ってくれないか。「ガメラ4」とは言わないからさあ……ってオレこそがいちばん嫌なタイプの観客だったか!

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