カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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福井県敦賀市内で突風 1人死亡 本州上は広範囲で不安定な天気

2008-07-27 20:04:29 | インポート

①7月27日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②7月27日13時※敦賀市で突風発生直後 の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大)。気象庁HPより引用

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本年は、本州各地で梅雨明けした後も、本州付近では大気が不安定な日が続き、日中から夜にかけては、各地で雷や一時的に強い雨が降っています。

7月25日は、群馬県南東部で竜巻と見られる突風を観測し、民家の屋根が飛んだりの被害も発生しています。が本日7月27日12時50分頃、福井県敦賀市で突風が発生し、市内のイベント開催場所でテントが倒壊し、1人の方がお気の毒に亡くなられてしまいました。

引用図②より、突風発生直後の27日13時には、福井県周辺には、ひときわ白く輝く雲の集団があり、画像をよく見ると、福井県付近で、おおむね西から東方向へ、雲の隙間(フックエコー)がありますね。で、これらの集団自体、鍵型に白く輝いている様子がわかります。

これは、メソサイクロン と言って、大気が不安定な状態時に、天気図でなかなか解析しにくいスケールの小さな気圧の谷や、地形的に地表と上空との風向や風速の差が大きくなる(鉛直シアーが大きくなると言います)状態が重なった際に積乱雲が塊上に形成されてたもので、当該積乱雲の塊の下では、ひときわ激しい雨や、強い雷の発生は勿論、雹や竜巻、ダウンバーストなどの激しい突風(激しい突風は前記したフックエコーの先端部)を発生させるものです。

今回、引用図②で福井県周辺に現れている雲の塊(メソサイクロン)は、本日27日朝からに北海南西部を東進してきました。これは、スケールの小さい上空の気圧の谷に伴って発生して雲の塊であるため、当該気圧の谷の東進に伴い、雲の活動を持続させつつ、東進してきたものです。

このため、敦賀では、27日12時49分に 29・7mの最大瞬間風速を観測し、27日12時56分には前10分間の平均でも16・2mの最大風速を観測していますし、当該メソサイクロンの東進に伴い、石川県小松空港では、午後14時09分に、飛行場強風警報も発表されています。

このような、スケールの小さい上空の気圧の谷は、

1・上空5500m付近の正渦度移流流域(上空3000m付近の上昇流)として表現されることが多いのですが、

今回 7月26日は、こういう正渦度移流域(上空3000m付近の上昇流)でも、見出されにくく、

2・上空1500m付近の高温位の部分や風向風速のコントラストの大きい部分 

として表現されていましたし

3・上空5500m付近での周囲よりも低温域となった部分

としても表現されていました。

ので、以上、当該、スケールの小さい上空の気圧の谷の見出には、前記した項目1から3までの部分に注目し、、併せて、雲画像図やレーダーエコー図で雲の活動状況を把握するべきです。